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正直スライム、アナさんのやり口に感心する。

 魔神様に会うのだからアポとか必要なのかしら? 貴族とか王族とか神とか言うけどあたしらモンスターだから関係ないっちゃ関係ないけど。まあ連絡方法はカルさんに任せるわね。こんな高濃度の魔力が漂う空間じゃ、自分達のダンジョンでない限り念話も難しいわ。ダンジョンマスターのアナさんの許可があれば別だけど。あ、もちろん魔神様は別ね。


 ちなみにアザレアダンジョンにはドリンさんが常駐するようになったから守りは大丈夫だわ。最近はジルドさんとグレイさんのコンビもご飯食べに来るし、オージンさんも岩風呂がいたく気に入ったらしくて夜にはやってくる。魔力がうはうはだわ。ダンジョンはあたしや配下とは魔力供給ラインが繋がってるので外にいても魔力上がるし。有り難いけどほんともう戦闘力は要らないから!


 しばらくアナさんのダンジョンの入り口で待っているとカルさんに呼ばれたらしいアナさんがテレポートしてやってきたわ。


「ぷるぷる!」


「ぷるぷる!」


 ぷるぷるするのはスライムの挨拶よ。カルさんも一部をぷるぷるしてるわ。イリスはぷるぷるできないわね。猫人リディアちゃんとスライムノエルさんも着いてきてるけど、リディアちゃんもぷるぷるできないわ。悲しいわね。あ、イリスに睨まれた。エスパー?


「は、胸にスライムを二匹入れたら……!」


「イリスさん天才だわ!」


「やめなさいリディアちゃんもイリスも! むなしくなるわよ!」


「ぐっ、だめか!」


「ぷるぷる~」


 あ、アナさんが胸を大きめに変化させたわね。鬼ねアナさん。ロリ巨乳ね!

 ちなみに何故かあたしの胸は変形できないわ。魂と肉体が一致……うるさいわ!

 前世は成長しなかったのよね~、全体的に。虚しいから考えるのはやめるわ。


「アザレアちゃん、リゾートの感想お願いねー!」


「あ、うん」


 ボーッとしてたわ。やっぱり魂の記憶は思い出しちゃ駄目ね。特に貧相だったとか。


 アナさんダンジョンとアザレアダンジョンとの違いはあたしも知りたいところね。冒険者ダンジョンの方は二百階層とか有るみたいでさすがに調べきれないけど。最後まで潜れる冒険者とかいなさそう。

 おお、温水プールの天井からロープが下がっててターザンごっこできるようにしてる! これはすぐにケイシーにイメージ送っておこう!

 案の定ケイシーも大興奮だわ! すぐにうちでもやれるわね! エアロスライムが管理してるからぶつかる事故も防げるのね! 凄いわ、この世界ならではのアイデアよね! 魔法を使って安全性を確保とか!


 あ、ゴンドラもレールで固定しないで滑り落ちるようになってるのね。これ固定しないで転覆しないの、なぜ?

 あ、底にウォータースライムを張り付けてジェットでブレーキ掛けられるのか!

 アナさんアイデア凄いわね! ちょっと嫉妬するわ!

 フリーフォール気味で水しぶきがかなり上がるから水着推奨なのね。さっそくみんな水着に着替えてるわ。イリスも本格的に遊ぶつもりね!

 まずはターザンロープに行くわよ! まあこの世界ターザンいないから別の呼び名だと思うけどね。アナさんはロープダイブと名付けたらしい。魔法を使わずにできるだけ遠くに飛ぶのが楽しいわ。


 お、ウォータースライダーも本格派ね。空中から投げ出されるタイプだわ。スライムもさすがに本場だからスプリングスライムとかエアロスライムもいるわね。

 ちょっと、エアロスライムが風魔法で温泉の上を飛ばせる飛行体験コーナーとか有るわよ! ケイシーにイメージを送ったら何故気付かなかったのかって叫んで歯軋りを始めたわ。アナさんもアイデア盗んでるからこっちも盗めば良いのよ!

 しかしアナさんがあんまりうちに来ない理由が良く分かるわね。こっちの施設もしっかり面白い。

 まあ水族館とかはないみたいだけど。スライム館も、まあこの国には必要ないわね。町全体がスライム館だわ。料理も食べられるみたいだし楽しみね。うちのユキメには敵わないでしょうけどね。彼女は鬼だけに料理の鬼だからね! 上手いこと言った!

 あ、イリス、心を読んで冷たい目はやめて! なんで読めるの?!


「アザレアはだいたい酷いことしか考えてない」


「酷いわ!」


「うんうん、アザレアは酷いねー」


「カルさんまで!?」


 あたしは今日から酷くないスライムよ! まあそれは置いといて遊ぶわよ!

 お、こっちのウォータースライダーは一旦空中に投げ出されるのね。二段目の水量が多いからできるんだわ。二段階ダイブはかなり楽しいわ。ケイシーに伝えたらついに泣きながらそっちに行きたいと言われたのだけど、カルさんとアナさんがいるからテレポートは難しいわね。カルさんに頼んで連れてきてもらう。カルさんのテレポートは技術が違う。パワーも違うけどね。

 ケイシーは鬼の形相で楽しみだしたわ。犬なのに!

 イリスの冷たい視線はもう気にしては駄目よ!


 あ、お湯に魚を飼ってて一緒に泳げるようにしてある。これやりたかったのよね。周囲を緑で囲んでたり凝ってるわ!

 うちもスパ部分と遊園地部分の間に作ろうかな? 大型の魔物魚を配下にして潜ったら目が合うようにしても面白そう。イルカと泳げるプールみたいな? 魔物だから丈夫だしリスポーンするしコントロールもできる。やはりこの世界ならではね。そう言うアイデア大事。せっかく魔法世界なんだから魔法を使わないと。


 あれ? スライムがたくさん入っててもちもちしそうなプールの一角に魔神ライムさんがいる。どうやらあたしでスライムに興味が湧いて、スライムはこっちが本場だからこっちでスライム研究してるらしい。スライム好きなのねー。ライムだけに。

 あ、目が合った。めっちゃ笑顔で手を振ってる。ヤバい、研究される。一応手を振り返しておくわ。

 すると後ろからスッと近づいてきたアナさんが周囲の魔力伝導を断絶してさらに遮音してまで話しかけてきた。何事?!


「あとでライムちゃんも交えて三人で話したいことがあるの」


「はい、何の話? 魔力伝導を断ったってことはカルさんには聞かれたくないのよね?」


「さすがだわ。スライムはやはり優秀ね!」


 この場で絶対に誰にも知られないようにする理由は他に考えられない。それにあたしもアナさんに聞きたいことが有ったのよね。だからどの魔神さんでも良いから会いたかったのだし。自分探しの旅だけならわざわざ魔神様に会う意味無いものね。もちろんそれも有ったのだけど。毎日実家(ダンジョン)に帰るからあんまり意味がないし。

 アナさんは情報遮断しつつ偽情報を作ってるわ。ものすごい器用さね。見習わないと。


 なに食わぬ顔でそのあとはカルさんたちと遊んだ。


 あたしはその夜アナさんの待つダンジョンの宿泊施設の一室に向かった。念のためカルさんの接待をイリスに任せる。たぶんカルさんに怪しいと思われたら力ずくで突破されて終わりだろうけどね。カルさんだから。

 アナさんもこの器用さなのでカルさんにも早々バレないように認識障害くらいはかけてそうだけど、手早く終わらせなくてはね。


 アナさんはさっそくと、あたしにとんでもないことを言い出した。


「青の星の人類を最も滅ぼしたがっている魔神は、いや、青の星を破壊したがっている魔神は、カル・ダモンよ」


 それはあたしが閉口するには充分な情報だった。まあそうかな、という予感が有ったからアナさんに聞きにきたのだけどね。

 でもその話をライムさんも交えてするの?


「もう一つは、隣接世界感応仮説について検証したいの。ライムちゃんが専門家なのよ」


「隣接世界感応仮説?」


「もはや仮説ではないと思ってるけどね。アザレアちゃん、貴女前世の記憶とかない?」


 本日二度目、あたしは閉口した。






 次回、閑話二話挟み赤の星編は終わります。

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