表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/72

計略スライム、偽善者の面の皮をひっぺがす。

 まあね、この子爵が手にしてるか少し怪しいんだけど、地下に奴隷の山がいるのも、この三人の奴隷の妾が真剣にこいつが好きなのも分かってるのよ。

 どうもこの子爵が悪人に見えないのが違和感バリバリ。逆にこれが演技ならめちゃくちゃ食えないやつなのよね。

 ……あと、ブレイズさんとリゼさんが働かないわ! お前ら報酬出さんぞ!


 そう思ったらおもむろにリゼさんが資料を出した。


「魔神、カル・ダモン様が署名済みの調査書類です。ご存分にお改め下さい。ふん」


 おろろ、これ、リゼさんはこのデニス子爵が狸だと判断したのね? どこでだ? うん、分からん。

 デーモンって若々しいからな。カルさんでも下手したら中学生くらいに見えるし。このデニス子爵も実は見た目より高齢なのか?


 でもまあメインイベント、デニス子爵が悪の総帥でした。を始めよう。あんまりにもベタぼれしてるこの奴隷たちには通じない気がしてきたわ。可哀想な被害者なんだけどな。……被害者だから保証があるなんてことは前世でも無かったけどね。


 はあ、悲しいわ。人は簡単に洗脳されてしまう。でも、仕方ないか。魔物ルールよ。逆らうなら殺す。敵は作りたくないなあ。

 でもさ、警察官だって悪いやつには無遠慮に恨まれる。仕方ないよこればかりは。だいたい駐在所でこもってるだけの人が殺されることもあったのよ。日本が平和ってある意味笑い話だわ。人がいる限り平和なんて来ないわよ。モンスターしかいないこの世界なら尚更。


 調査書類を読むうちに顔が青くなる奴隷たち。あれ? 心酔してるように見えたけどやっぱり心当たりがある?


 このデニス子爵がマッチポンプで奴隷の心を(もてあそ)んで楽しんでるクズってちゃんと伝わった?

 ならなかなかグッジョブじゃないのリゼさん!


 ブレイズさんの方を見ると一つため息を()いて語り出した。


「この偉大なクソスライムが全部調査済みだ。カル・ダモン様からの勅命でもある。もはや言い逃れはできんぞ、デニス」


 おおう、ここで奴隷たちにとっては悪役の執行官になってくれるのね。ブレイズさん、あんた見直したわ。あたしが楽になった。まあブレイズさんは変態だけど普通にできる人なのよね。格好良い! しかしあたしはスライムだ。惚れた腫れたはない!


 ってしれっとクソスライムって言ってるうーーー!! だまれ! とか言うべき? タイミング逃したわ! このクソバンパイア! ダンジョンから追い出すわよ?!


「アザレア様とブレイズ様は本当に仲がよろしいですわね」


「仲良くないわよう!!」


「こいつは変だが面白いからな」


「あんたの顔の方が面白いわ!!」


「顔が面白いってどんなんだ?」


 くそう、イケメンだわ! まああたし恋愛感情とか無いしイリスが内縁の妻ポジキープしてるけどね!

 ステータスだと女なんだけどしょせんスライム、性別なんて有って無いのよね!


 まあそれは置いといて。デニス子爵が知ってるか怪しいけど地下の奴隷部屋に向かうわ。全員出してあげないとね。


「そう言うわけで、デニス子爵、何か弁明は有るかしら? 証拠揃っちゃったからあたしに弁明されても困るんだけど」


 さすがに綺麗にしているとは言っても明らかな奴隷。ここからどこに出荷されてるのかは分からないけど、さすがにそこまではあたしが関与していられないわ。

 このデニス子爵の組織を破壊する以上のことはカルさん任せね。


「こ、こんなことが……」


 演技なのか本当なのか分からないけど、知らなかった感じだわ。

んー、はっきり言うとどっちでもデニス子爵に罪は有るわよ。奴隷の元締めは別にいそうだけど。大丈夫。


 あたしが殺すわ。


 この家の人間を片っ端から締め上げる。あたしの殺気に当てられて平気な奴なんていないわ。下手したらカルさんでもお漏らしするわよ。……あの人が普通にお漏らししそうとかは危険だから考えてはいけないわ。あの見た目でお漏らし……危険すぎるわ!

 ユキメが刃物館にいるときはなるべく近づけないようにしないと!


 まあそれも置いといて。この館のほとんどの使用人は捕らえて拷問にかけてもらったわ。イリスのモチモチしたくなるスライムをモチモチできない拷問とかは見なかったことにする。あたしはモチモチさせないわよ!


 結局デニス子爵は本気で操られてるだけだったらしい。まあ操られていたから罪が消えるかと言うとそんなわけないんだけど。貴族なんだから拘禁されて終わりかと思ったけど首をハネられるらしい。そういうとこが魔物よね。

 まあ裏で奴隷を売り買いしてた奴も、この家の執事だったんだけど、そこから芋づる式に何人かの貴族や商人が捕まってデニスの町はガタガタになってしまったわ。

 そう言えばデニス子爵を捕まえる時に奴隷にナイフで刺されたわ。まあスライムをただのナイフで刺しても意味ないんだけどね。なんか哀れだから無かったことにしておいたわ。どうせ奴隷上がりじゃあまともに生きていけないだろうしね。

 真面目なようならダンジョン送りにしたんだけど。ダンジョン送りの方が幸せって面白いわね。あたしのダンジョンだけだと思うけど。


「なんかあたし旅に出たはずなんだけど仕事ばっかりしてるわ」


「お疲れなのー。深く考えては駄目なのー」


「カルさんっていつ仕事してるの?」


「分体にさせてるー」


「可愛い顔して卑怯ね」


「世の中はようりょうなのー」


 卑怯だわ。あたしも今度から全部分体にやらせようかしら。でも分体って能力は高いけどちょっとお馬鹿だったりするから使いづらいのよね。逆に変に真面目な分体もいるし、個性豊かだわ。


「デニスの領主誰にしようかなー」


「それはあたしに言われてもね」


「ログー。誰かいないー?」


 カルさんとログさんが話し合いを始めたのであたしは席を立った。カルさんってしゃべり方が間延びしてるから忘れがちだけど、この国の女王様なのよね。仕事してないように見えて念話とかで仕事してるみたいよ。……いや、普通に遊んではいるんだけどね。


「農園行くー」


「はいはい」


 ほらね。たぶん分体か誰かに丸投げしたわね。それでも国が持ってるんだからカルさんの分体は相当に優秀なのね。

 本体からは考えられないわ。あ、なんかジト目で見られてる。考え読まれた?


「どーせ私は遊び人なのー」


「いや、そんなことは思ってないけどね。部下が優秀そうで良いなーとは思ってる」


「アザレアの部下も優秀なのー」


「まあイリスたちもブレイズさんたちも優秀だけどね。あ、農園レストランの無料券渡してるからリゼさんがいそう」


 うちの従業員だから普通にご飯を食べる分には無料なんだけど、レストランで食べるにはお金がかかるのよね。あたしとかカルさんはそこでも無料だけど。

 あの大食いモンスターのリゼさんが無料だからって高級食材食べまくってないかしら?

 一応魔力消費するからドラゴン肉とか食べまくられたら困るわ!


「河童いたー」


「カルさんいつも河童探しだすわね!」


 カルさん本当に河童好きよね。小さくて可愛いのは分かるけどサンシャインだからね。性格は可愛くはないわ。紳士だけど。まあ分体の方はナチュラルに河童だけどね。

 んでこうやって遊んでるときもカルさんが時々念話してるのが分かる。あたしの魔力感知もずいぶん成長したものだわ。カルさんもお仕事大変ね。


 農園レストランではやっぱりリゼさんが泣きながらステーキにかぶりついていたわ。この人仕事してるのかな?

 色々お店とか任せてたはずなんだけど。

 そう言えば農園で魚を飼って釣りができるようにしたはずだから探したらログさんもいるかも知れないわね。

 ケイシーたちはこっちにはあんまり来ないのに、不思議に住み分けができてるのかしら?


 まあ色々片付いたし、あたしも旅を続けないとだわ。いつになったらアナさんに会えるのかしら?







 次回、緑色は紳士。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ