少女スライム、ダンジョンという生物を知る。
数日間赤ノート先生によるトレーニング、赤ノートブートキャンプであたしは強くなった。ステータスよろしく!
名前 アザレア
性別 女
種族 アーシースライム
魔力 125
スキル
・魔力操作
ウォール ステップ
・土魔法
穴掘り クレイスパイク クレイランス 落とし穴
・回復魔法
ヒール ミドルヒール
・浄化魔法
クリア キュアポイズン
・触手
銛 貫通強化
・種族スキル
溶解吸収 スライムボディ 軽出血毒 酸 収納強化 毒飛ばし
・特殊スキル
言語翻訳 アカシックノート ダンジョンメイカー
称号
ボッチクイーン ダンジョンボス 女神の寵愛を受けし者
こんな感じ! ボッチからボッチクイーンに進化しました! って、うるせえわっ! ボッチの時の能力が更に十%アップまで強化されたね。
攻撃魔法や毒を飛ばしたり、色々と戦闘スキルも得たよ。回復魔法もミドルヒールまでは使えるようになった。あたしとしては人化したり槌を振り回して戦ったりしたいんだけどなー。人化にはまだ魔力が足りないようだ。
ウォールは魔力を圧縮した壁で土で壁を作るより瞬発力があるけどもろい感じ。ステップはこのウォールを足下に作ってジャンプする。つまりは空中散歩ができるよ! やったねアザレアちゃん! 高く飛ぶと魔力が切れた時に落ちます。べちゃん。潰れスライムになるのは嫌だね。
一番大きいのがダンジョンボスだね。どうやらあたしの作った穴蔵がダンジョン化したらしい。狭い穴蔵で生命の魔法を使いまくった結果、穴蔵が命を持ったのだとか。もともとダンジョンメイカーの力も有るからね。それでダンジョンという特別な穴蔵になったと。
ダンジョンについて赤ノート先生に聞いてみたところ、また長々と説明された。
ひとつにダンジョンは生物である。
魔力を吸収して生きている。そのため、ダンジョン内は魔力濃度が高くなる。
魔力には均一になろうとする性質があり、空気伝いの方が魔力が流れやすいため、ダンジョン入り口近くの方が魔力が薄くなる。そのためダンジョンボスは一番奥にいることが推奨される。
ダンジョンの壁は生物であり、魔力を吸収したり光や空気を発生させたりする。そのため深くダンジョンを掘っても生物にとって死にやすい空気毒が溜まることは少ない。ダンジョン内に生物が増えても魔力吸収力は高まる。広範囲にダンジョン壁を広げた方がダンジョンの総魔力吸収力が高まるのでダンジョンとしての格が上がっていく。
結果深部ほど魔力濃度が高まり、ダンジョンボスも強くなる。
長かった。つまりダンジョンの中が広がれば広がるほどダンジョンが強くなるってことだね。あたしの穴蔵は普通の穴蔵とは違うのだよ!
まあそういうわけで、ダンジョンを掘っていくことにした。
魔法の練習をしながら奥に奥に進む。海とかマグマに当たったら困るので一応赤ノート先生に注意してもらう。まあ赤ノート先生は喋れないので私が常に読む必要が有るんだけどね。けっこう疲れる。土魔法と溶解を併用して穴を広げ、回復魔法で生命を与えていく。
地下水脈に当たった。これであたしは更にダンジョンから出る必要が無くなったね。地下水おいしー。冷た~い。ピンク色のプルプルボディが更につやつやに、そして強くなってる気がする。
ここに休憩室を作ろう。この赤の星にはモンスターしかいないけど、人型のモンスターは人間のように暮らしている。冒険者や商人もいるそうだ。野生のモンスターは人として暮らしているモンスターと同種の場合でも襲いかかってくることもあるけど、サンシャインみたいに親切なモンスターもいる。騙されて殺されたりしないように殺気とか魔力で判別できるようにしないと駄目だけど、いずれこのダンジョンをお客様でいっぱいにしたい。
ダンジョンが人に親切なのは中に大量にモンスターがいた方がダンジョンの魔力吸収能力が高くなるからだ。物理現象に近いよね、この世界の魔力って。
個々の吸収力で外から魔力を引き込むとその人数や能力だけ魔力吸収能力が高まる。なんか聞いてると、てか読んでると当たり前のような気がしてくる。この世界は魔法という科学のある世界なんだな。
ダンジョンを……そうか、遊園地みたいに、アスレチックみたいにしていこうか。温泉とか掘り当てても良いし、スパリゾートにしてやるのもいいじゃん。そもそも魔物しかいない世界なら敵が少なそう。スライムをわざわざ食う魔物は少ないらしいし。
色々お客様を招く方向で構想を練って掘り方を考察して、毎日掘り続けた。
そんなある日、魔力を使いきって寝た翌日、目の前に水色のプルプルが現れた。どちら様?
「あるじさまー。あなたのまりょくでうまれたー」
「え、どゆこと?」
『ダンジョン内の魔力濃度が一定に達したため、スライムがスポーンしました』
スっポーンとスポーンしたらしい。いや、一回は言っとかないと駄目かと。そうらしい。スライムが、とうとうあたしのダンジョンで自然発生したらしい。
『このダンジョンを生産した魔力のほとんどは貴女のものであるため、自然にこのダンジョンで発生したモンスターは貴女の配下となります』
「ほえー。あたしの仲間が増えたのね~」
難しいことは分からないけどそういうことらしい。
この子も当然魔力吸収能力が有るので、ダンジョンの魔力吸収力もこの子の分増えた。つまりダンジョンの成長能力がほんの少しだけど上がった。
つまりはこの子みたいにどんどんモンスターをスポーンさせて行けばどんどん成長能力も高まり、魔力濃度も高まり、この子達もあたしもどんどん強くなって更に魔力吸収能力も高まってうはうはってことじゃんね!
『魔力が高まると魔力圧も高まるため、逃げる魔力も増えます。成長速度は様々な条件でブレーキも掛かります。またダンジョンから噴き出す魔力が高まると敵対的存在に発見されやすくもなります』
「だよね。旨い話なんてそうそう有りはしない。あたし知ってる」
前世のあたし誰かに騙されたな? だって女神様に人生いいこと無かったから記憶消してもらったんだもんね。だから変に悟ってるんだな。
「じゃあ君に名前をあげようか」
『名前を付けた場合、このダンジョン内であるかぎり殺されてもリスポーンすることができます』
「ん? そうなの?」
逆に言えば名前を付けなかったり外で死ぬともう会えなくなるわけか。……いつかは外で戦うことも有るのかな?
『当然敵対的群体は多数存在します』
「やっぱりかぁ~……」
いずれは戦争しないと駄目らしい。あたしダンジョンボスでモンスターマスターになったんだもんね。ちな、今のあたしならオーガでも一対一なら勝てるらしい。あたしそんなに強くなってるの? まだ戦闘一回もしてないのに?
『それがダンジョンマスターという存在です』
「戦闘知識とか戦闘勘は養わないと駄目かな?」
『当然その方が生存率は高まります』
「か~。だよね~」
「あるじさまー」
おっと、すらちゃん放置してた。あたしもすらちゃんだけど。名前か~。リスポーンするなら付けるか。数が多くなりそうだから数字で名前を付けるのが楽そうだけど……。いいか、じゃあいっちゃんね。
「わたしいっちゃん。わるいすらいむ!」
「あー、あたしの知識もある程度魔力から引き継いでるのか~。外ではいいスライムって言うんだよ?」
「はーい!」
元気で可愛い水色プルプル。最初の仲間だ~。サンシャインが最初か。あの河童元気かな? いつかはお招きしよう。スパリゾートイン河童。楽しそうだ。
とりあえずいっちゃんはダンジョンに住まわせておいてこの子が強くなったら探索をお願いしたりすればいいよね。あたしはダンジョンを快適に改良だ!
あ、ボッチクイーンの能力を使うためにいっちゃんは常には遠くにいてもらう。……せっかく仲間ができたのに~。




