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スライム、魔神を接待する。

 海鮮料理がどんどんテーブルに並ぶ。煮付けとか誰か頼んだっけ?

 ユキメのサービスらしい。きゅっと締まった魚の肉質が美味しい。柔らかければ美味いってもんじゃないよね。


 隣の席はお酒が先に来ておつまみもまだなのに飲み始めた。この辺りで売ってたワインで美味しいのをユキメが選んでダンジョンコアで増やしまくったやつなんだけど口に合うかな?


「清酒も再現したかったんだけどねー」


「青の星清酒もあるの?!」


「まあ買いに行けばいいかなー」


「帰ってこれるなら買ってきてほしいかな。コアで増やせるし」


「あ、そっかー。今度買ってくるー」


 近所にお使いに行く乗りで隣の星に行かないで欲しい。化け物だよねこの人は。


「おお、このワインうめえじゃねえか!」


「いい! 実にいいな!」


「ヴィンテージに拘らずに味で集められたワインのようじゃな。古くて希少だから高いワインも多いからのう」


 ユキメセレクトは魔神の男性陣には受けたようだ。ユキメって料理に関しては謎の才能発揮するよね。ちなみに配下の中でもユキメたち三人は管理者権限の食材や武器のコピーもできるようにしている。あたしがいちいちコピーすると大変だからね。


「スライムでも酔えるめいしゅー」


「美味しい美味しい! もっとお酒もおつまみもガンガン持ってきてー!!」


「成分が複雑……研究対象が増えた……」


「ユキメちゃんはお酒も料理も美味しいねー!」


「有り難う御座います」


 ユキメはシェフとして来てもらっている。料理やお酒の解説をしてもらってるんだけど知識すごいな!

 この方面の知識チートは諦めないと駄目だわ。まあまだユキメが知らない料理もあるから教えるつもりだけどね。

 前世のあたしは家に隠りきりで料理とか勉強してたみたいだね。だんだん魂の記憶を思い出して、だんだん魔物の精神が薄れて、なんかそれが嫌なんだよね。魔物としてこの星で生きていきたいのに。

 ぷるぷる、あたしはこれからも悪いスライムだよ!


「次はこちらのムニエルをどうぞ」


「うまー!」


 アナさんは本当に綺麗に酔ってるな。核分裂試してみるか。んぬぬ。

 あかん。一朝一夕では無理っぽい。


「お口直しに酢の物はいかがですか?」


「おおー、これ好きかも! お刺身で甘くなった口がさっぱりするねー! 好き好き!」


 ドリンさんは可愛いなぁ。小さいバンパイア。ブレイズさんが拝んでたよ。あいつはロリコンだな。ドリンさんはとても賑やかな魔神様だ。


「美味しい。料理を魔法的にアプローチしてみたい」


「魔力の高い生き物は基本美味しいですね。こちらは岩喰いと呼ばれる根魚の唐揚げになります」


「いい。最高」


 ライムさんはやばげな雰囲気だけどどうもユキメに胃袋を捕まれてるね。明日は刃物館の方も案内するかな?


 やっぱり女の子の魔神様の接待するの好きだな~。スライムだけどあたしの性癖って女の子好きな方なのかも知れない。前世の仲の良かった相手もあの子だけだったしなー。


 今のままだと感情とか薄いし、やっぱり核分裂は学ばないと駄目かも。

 男性陣は好きに飲んでるよ? テーブルが違うから話さないだけだよ?


「これ美味しいのー!」


「最近入荷した肉質と旨味の強いエリオール蟹の肉を使ったパスタで御座います」


「おお、美味しいね!」


 カルさんとは趣味が合うんだよなー。このダンジョンカルさんの魔力受けまくりだからひょっとして影響を受けたりしてるんだろうか?

 未だに夜は布団に引っ張り込まれるからなぁ。どんな魔力してるのか分からん。まだ全然計れない。たぶん五万は超えてるのは分かるんだけど。


「明日はアザレアちゃんあたしの案内してねー!」


「私も私も、一緒一緒!」


「良いですよ。じゃあ三人で回りますか」


「私は明日は河童さんの畑いくー」


「サンシャインと仲良いよね、カルさん」


「キュウリが甘いのー!」


 サンシャインの畑で取れるキュウリって何故か甘いんだよね。瓜科の別の野菜かと思うくらい甘い。鰹節と醤油とお酢で軽く漬けて食べると美味しいんだ。サラダ一品困ったらサンシャイン畑からトマトとか茄子を盗んで来ると良い。

 最近はユキメに任せっぱなしだしあたしも料理しようかなー。


「カルさん、あたしが料理したら食べる? ユキメの方が美味しいけど」


「食べる食べる! 一緒に料理する!」


 あー、カルさんって料理できる人だった。青の星のレシピとか見てみたいな。


「カルちゃんの料理久しぶり!」


「楽しみだね! スッゴく美味しいんだよ! ここの新鮮な野菜とか魚とか肉で料理したらスッゴいのできそうだよ! 楽しみ!」


「重要な研究対象……」


「私も勉強させて欲しいです!」


「あたしも気合い入れて作らないとね!」


 カルさんとユキメとあたしで料理対決だね! 対決じゃないけど。


 その日は部屋に戻って女子会した。お酒も出るしユキメがおつまみも作ってくれるし楽しかったよ。早く酔えるようになりたいなぁ。


 魔神様方みんな上機嫌でアナさんやカルさんに抱き枕にされて眠った。やっぱりアナさんも化物だよ。完全にスライムボディを拘束された。ちなみにユキメも気に入られてドリンさんに抱き枕にされていたがなんか幸せそうな顔をしていたのでちょっとムカついた。今度あたしも抱き枕にするんだからね?


 翌朝はユキメとカルさんとあたしで朝食を作った。わかめと豆腐のお味噌汁や焼き魚、酢漬けに白ご飯とシンプルだ。お昼はユキメ分体に任せるが夜はまた三人で作る予定だ。

 カルさんは豆腐を魔力で生み出して見せた。この人は一人でもダンジョンコアの能力を発揮して見せる。完全に化け物である。豆腐はコピーさせてもらうよ。絹ごしも木綿も作ってもらった。お味噌汁には絹ごしの方が好きだなあ。豆腐メインなら木綿の方が味が濃いから麻婆豆腐とか豆腐を調理して食べる料理には木綿がいいんだよね。絹ごしは舌触りが良いからそのまま食べる冷奴(ひややっこ)とかに向いてる。


 今日はプールから回る予定である。お昼が終わったら釣り堀だ。当然魚を怖がるような魔神様はいない。夜はそのお魚でお寿司かな?

 また飲み会になりそうだね。楽しいから良いけど。酔いたいなぁ。


 なんとなく覚えている。前世で一度だけ無理を言ってお酒を飲んだんだ。すごく楽しかったのを覚えている。

 知識チートとか言って半端に記憶を残したせいか関連してる記憶が少しずつ戻ってきてるんだよね。……嫌だなぁ。消したいほどの記憶が蘇ったりしたら嫌でしょ?


 翌朝、何故かイリスがむくれていた。いや、別に仲間はずれにするつもりは無かったよ?

 今日はアナさんたちの案内だけどイリスも加えてプールで遊ぶことにした。ユキメはお昼ご飯の仕込みをするらしい。なんかすごいの出てきそうだね。

 このダンジョンで一番人数が多いのがユキメ分体なんだよね。お料理は大変だ。お客も多くなりすぎていてレストラン五つくらいだと回しきれない。ルームサービスとか入れてもユキメ分体の仕事が多すぎる。本体は刃物館で遊んでるしね。何が楽しいのかは分からない。


 みんなでプールで遊ぶ。朝のうちはプールだね。温水だから体が冷えたりもしないし、朝からワイワイと楽しめる。魔神様方も普通の女の子のようだ。勘違いしてしまいそうになるね。


 この人たち国の一つや二つ滅ぼせる化け物なんだよね。アナさんやカルさんなら星も滅ぼせるだろう。ひょっとしてあたしはこのダンジョンで平和を生み出しているのだろうか?


「アザレアがキラキラしてる。どこか悪くした?」


「アザレアさんのことだから何か悪いことを考えていそう。もしくは難病にかかったか」


「アザレア様、拾い食いしなくても私が料理作りますよ?」


「病気扱いは酷くないですかねえ?!」


 酷いよね? モンスター酷い。イリスたち三人は最近遠慮がないね。良いことだけど。


 その日はのんびりみんなで料理して終わったんだけど、……あたしに喧嘩を売る人はどんどん増えてきていた。





 次回、スライムは実は邪悪だった!

 え、知ってる?

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