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楽しいダンジョン暮らし(sideケイシー)

 たぶん一番ダンジョンを楽しんでる人。真面目な人が方向を見失うとこうなる。

 私はケイシー。元カーシーで今は犬の仙人になっている。アザレアさんのダンジョンのお陰だ。


 最初にアザレアさんに会った時、私たちはゴブリンに襲われていたが、イリスの魔力も尽きて大ピンチだった。

 その時、何処からか伸びてきた触手があっさり私が剣を交えていたゴブリンを刺し殺した。

 ゴブリンはどうやら毒や酸を流し込まれたらしく、ビクンビクンと体を跳ねさせていたと思ったら溶けていった。

 なんて残酷な、しかし強い人だろう。振り返ったらそこにいたのはピンク色のスライムだった。

 彼女がこのあとずっと私たちのマスターとなるアザレアさんだったのである。


 大きさは二十センチくらい。核はあるけどその他はただの水袋のような球体だ。半球体?

 とにかくそれ以上説明するなら、強い。酷い。賢い。新しい。

 彼女に誘われて彼女のダンジョンに向かう。そこには私の運命が在った。


 ウォータースライダーと言うらしい、お湯が流れる滑り台。とにかく一発で虜になった。速いのは犬の習性かカーシーの習性か大好きだ。特に自分で走らなくても良い。それにずっと速い。何度も滑った。何度も何度も滑った。皆が呆れるまで滑った。楽しかった。楽しすぎた。

 尻尾がちぎれるくらい滑った。


 アザレアさんが深層に行って帰ってこなくなってからも水着を購入してずっとプールで遊んでた。同じ楽しみを分かち合える相手が欲しかったのでスライムを抱きしめて滑りまくっていたらスライムはエアロスライムに進化していた。私も空を飛べるように進化していた。

 二人で飛び回っていたらエアロスライムのアロちゃんは分裂していった。複数のエアロスライムと空を飛び回る。たまにスライダー。また飛ぶ。

 これは、スライダーを高所で終わらせて飛び込むようにしたらもっと面白いのでは!?

 そこで二本目のスライダーをクレイスライムのクレちゃんのチームの開拓班に頼んで作ってもらう。ユキメも居住施設を開発しているしイリスはスライムと遊んでるから文句は言わないだろう。アザレアさんならこの楽しさを分かって許してくれるはずだ。

 モンスターだから怒られたら殺されるまであるけど、アザレアさんは戦い方は酷いけど優しいからね。悪いスライムとは言ってるけど。


 何よりこの落下するタイプのスライダーのためなら命を賭けられる!

 はっ、飛び込み台も作ってはどうか? 私は天才だ!

 飛び込み台を高くするのにプールを更に深くした。この辺りは巨人も泳げるくらい深くなった。

 空を飛びあがりそこで魔法を切って飛び込んでみる。これは……、楽しい!


 ユキメにお使いを頼まれてギルドに向かう。やはり遊んでばかりでご飯は食べられないよね。スライムたちが外で狩ってきたという狼の毛皮やボア種の毛皮、レックス系の骨などをギルドに売りに行く。種族や職業を鑑定してくれる水晶に何気なく触ってみると種族は犬仙、スピードスターという初めて聞くジョブにチェンジしていた。カーシーの魔法剣士だったのになぁ。


 お金で食材を買い集めて、空を飛んで帰る。速くなったし空からだから一瞬でダンジョンに帰れた。アザレアさんのお陰だ。ユキメとイリスに職業が変わったことを伝えたら二人も調べにいき、二人とも職業も種族も変わっていると分かった。ダンジョンのお陰、アザレアさんのお陰だ。


「速く! もっと速く!」


「はいっ! ケイシーさま!」


 アロちゃんと高速飛行からの飛び込みを楽しむ。より速く飛ぼうとしているとアザレアさんが帰ってきた。放置は駄目ですよ?


 それからアザレアさんは物資調達のために傭兵団を潰し、そこで死者蘇生まで身に付けてSランク冒険者になった。そのあと引きこもったけど。Sランクカードは黒だった。私たちも活躍が認められてAランクになれるかも知れない。ダンジョンで遊んでるだけで強くなれる。


 やがてダンジョンは解放され、魔神カル・ダモン様がやってきたことでダンジョンの魔力が更に高まった。その魔力で開拓は進む。また傭兵団と戦うことになったが、それよりもダンジョン開発だ。


 まず最初に高速水流で流れるゴンドラが作られた。ゴンドラが壊れないように作るのが大変らしくコースは単純だが、椅子にシートベルトまで付いてる。

 これなら水じゃなくてエアロスライムの飛行魔法でブーストをかけてみたらどうだろうと交渉してレールの上を走り空中を縦に一回転したりするエアロコースターが作られた。やはりアザレアさんは天才だ!

 植物園でも河童のサンシャインとコースターを作る。水の上を走るがレールが付いてるのでかなり無軌道に高速で動ける。ゴンドラとコースターを全く別に作るために植物園エリアは拡張した。


 引きこもってコースターの研究開発ばかりしていたので一人でいた方が色々捗るようになった。アザレアさんに「ついにボッチクイーンに……」とか言われた。なんかそういう称号が有るらしい。みんなとも遊ばないと駄目だよなぁ。ご飯とかは一緒に食べてるけど。


 私の分体を作って輸送班とか指揮したり一応仕事はしているが、アザレアさんがダンジョンコアから物資を生み出すのでほとんどの仕事は送迎と防衛だ。ダンジョンにいられるので防衛は悪くない。


 なんか何処かの伯爵と戦争になったけど、リゾートに攻めてくる敵は少なかった。ほとんど冒険者コースでイリスが片付けてしまったようだ。石槍のようなもので浣腸しまくっている。イリスが否定してたはずなんだけどな。女の子と言ってもサキュバスになったからいいのかなぁ……。

 どうやら敵の部隊長が全員犯すみたいなことを言ったので激昂してああなったらしい。それは私も怒る。まあ毛むくじゃらだからあんまり相手にされないけど。獣人には口説かれるけどね。毛並みは温泉ですごく良い。つやつやだ。そこはアザレアさんに感謝だ。


 コースターの改良は自由にして良いらしいが強度が足りなくなる。いっそオリハルコンレールにしたいが、さすがにそこまで潤沢な魔力は無いらしい。残念だ。


「カーブのとことか強度の必要なとこだけ材質変えるとかならいけるかな?」


「それでお願いします!」


「良いけど、みんなとも遊ぶのよ?」


「仕方ないね、この事業は分体に任せるよ」


 指示はこちらから念話で出せるしね。改造案は夜にベッドででも出せるし。


 そう言えば私たちは一階に個室をもらっている。たまに三人で集まってお酒を飲みながら駄弁ったりするけど、個室に隠るから一人になりやすくなって一人に慣れてしまうんじゃないだろうか?

 アザレアさんは最近はカル様と一緒に寝てるらしいし。……少しうらやましい。

 アザレアさん、いつかみたいにまたモフモフしてくれても良いんですよ? 少しだけね!


 ある程度開発が済んだのでのんびり遊ぶことにした。せっかくなのでイリスとユキメも誘う。

 コースターの出来を聞くとイリスは「速すぎて気持ち悪い」と、ユキメは「戦闘に必要な動体視力は鍛えられそう」と、それは遊具の評価ではないと思う。

 イリスの調教したスライムショーを見て、ユキメの海鮮料理のレストランに行く。ユキメのレストランは今いくつ有るんだろう? 細かい屋台まで入れると十は下らないらしい。


 イリスのスライムショーはなかなか楽しかった。エアロスライムがスプリングスライムに打ち上げられたり水の中からウォータースライムが魚になって跳び跳ねたり、クレイスライムがストーンアローで的を射抜いたり、よく仕込まれている。

 楽しいと伝えると無表情なイリスが満面の笑みになった。やっぱり仲間と遊ばないと駄目だね。


 次はアザレアさんと二人きりでデートとかしたいなあ。きっとまた新しい遊びを考えてくれるに違いない。






 見失うと言うか極まってる?

 次回、魔神様が出ます。

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