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スライム、戦後処理を丸投げしてリゾートする。

 戦争は終わった。圧倒して終わっちゃったよ。

 今もナイトメアコースでは悲鳴が響いているし、リゾートコースでもケイシーに捕まった敵が風魔法による紐無しバンジーを繰り返している。ケイシー、自分でやりたそうな顔をするな。

 あたしは戦後処理を元ギルドマスターのバンパイア、ブレイズさんに丸投げしてカルさんと遊ぶことにした。


 そういえばレッサーデーモンであたしが最初にリザレクションしたアルト君を配下として受け入れた。彼にはアークデーモンを目指してもらおう。


 仲間との戦闘もシミュレーションしておかないといけないし、やっぱりみんなを守るのはあたしでありたいからね。

 でも今日はカルさんと遊ぶ。金髪碧眼の可愛い魔神様。ちなみに元コーシン領代官のログさんは帰ってきてお店の準備を始めた。彼女も分体が欲しいので配下になってもらってる。分体は知識は共有してるので各地で本や魔道具や宝石を集めてもらっている。

 オリハルコンインゴットを十本ほど吐き出して(十日かかった)アイテムを集めさせている。これをコピーするのにも数ヵ月は掛かりそうだ。

 物が良すぎる場合は少し劣化させてレプリカとして販売することにしている。

 いやー、やること意外に多いなあ。

 釣り堀とかも準備は整えている。建築関連はほとんどクレイスライムチームに任せてるけどね。


 さて、カルさんと遊ぶか。どこに行こう?


「農園川下りとー、宝探しとー、ユキメのご飯、あと温水プール」


「夜はエアロスライムとスプリングスライムで共同開発したジェットバスに入ろう。そこで冷やしたスパークリングワインでもいただいて」


「楽しそうー」


 早速広大な河童農園に向かう。地下三階の鉱山方面に設置してある。攻略ルートからは外れているのでここで探索する冒険者は追い返される。

 ここのモンスターは大型の竜種もいるので大迫力だ。あたしの配下なので実際に襲ってきたりはしないが脅してはくる。

 前世の魂の記憶が最近よく顔を出すのでワクワクする。ほぼモンスターなのにぶれてしまうなぁ。まあ楽しいから良いけど。


 ゆったり流れる川を下るゴンドラ。緑の水の流れが綺麗だ。時折河童が川から顔を出す。


「アザレアー、河童いたー」


「いたね河童。分体だと思うけど」


 ちなみに水虎ではなく河童だ。分体は進化前のものも呼び出せる。アーシースライムのあたしも呼び出せるよ。それぞれが進化したりもするけど、それはもうあたしとは別人だね。違う系統に進化したりもする。ロックスライムのあたしとか可能性があるなら生まれてくる。


「すごい草原があるよー」


「家畜の餌ね」


 ダンジョンの中でもここは光が強いので植物が良く育つ。日本でも研究されていた野菜工場のようだ。魔法世界だとコストがかからないのが嬉しい。魔力は使う。

 終点にはステーキとか新鮮な野菜が食べられるレストランがある。まだ少し早いが、お肉の焼ける匂いに負けて今日の昼食はここだ。


 あたしのダンジョンは入場料は取らないけどこういう各施設でお金をもらっている。そのお金は配下のお給料とダンジョン内の宝箱に行くよ。人気が高いので宝箱もかなりリッチで、冒険者コースも人気だ。ナイトメアコースは使えないのでコースを更に分けたよ。

 アザレアダンジョンナイトメアコースでは侵略者(お客様)をお待ちしております! サキュバス(イリス分体)が貴方の尻子玉を狙ってきます!


 普通の冒険者コースはかなり実入りが良いので大人気だよ。モンスターもそこそこ強い。ナイトメアコースには宝箱なんか置いてないよ。当たり前だけど。なので普通コースはイージーモードだね。これ、更に実入りの良いハードコースとかも作ったら人気出るかも?


 さて、新鮮な野菜と果物のサラダと、ぶあっつい謎肉ステーキを頂こう。マッドホーンブルとか言う魔物の肉のステーキらしい。ニンニクと脂の焼けた匂いと挽き立ての胡椒の香りが堪らない。付け合わせの野菜のフライもとても甘い。


「おおーいしいー!」


「美味しいね。素材が違う」


 日本の品種改良されまくってる野菜とかより更に美味い! 魔法世界すごいな。

 何故かカルさんの秘書のリゼさんが泣きながらステーキをかじっている。食いしん坊さんめ。


 食休みしてから迷宮階層に向かう。地下三階だから同じ階層だ。ここにも宝箱はあるが、本格的に宝箱を置いてあるのは四階なので、そこを目指す。魔力探知とか使わずに迷路に挑戦する。ここは客として入るの初めてなんだよね。どんな出来だろう?

 迷って出られない場合はスライムにお声掛けください、とか看板が立ててある。なんて親切なダンジョンだろう。赤の星のダンジョンはモンスターの味方だからね。長期滞在を望みます。


「アザレアー、宝箱あったー」


「何が入ってた?」


「ミスリルソードー」


「お、当たりだね」


 ちなみに空っぽの宝箱もあるが、罠は仕掛けてない。純粋に宝探しだ。ミスリル製武器もそう手に入るものではないので喜ばれる。他に魔法武器やお金、魔道具も出る。中にはひのきの棒とか革の帽子もあるけどね。外れがないと宝探しは面白くないよね。オリハルコン製もまれに出るんだけどブレイズさんにいきなりオリハルコンナイフ取られたのは痛かったなあ。


「これ空っぽー」


「悔しいねぇ」


 二人であっちかこっちかと言いながら四階への階段に辿り着く。四階への階段はいくつかあるが、宝箱がたっぷりの部屋、空き部屋、五階層へ続く部屋など色々な部屋に繋がっている。立体的に侵入者を迷わせる作りになっているわけだ。

 何度か迷いながら五階へ。河童の畑を冷やかしてから帰る。


「なんでアザレアまでキュウリ盗むんだよ!」


「いや、カルさんがハマってるからどんなものかと思って。甘くて瑞々しいけど味噌つけて食べたいね」


 カルさんと二人で、河童が泣くまでキュウリをかじってから二階のプールまで帰る。


 やっぱりケイシーがコースターで遊んでるな。白い毛玉がぐるぐる回っている。


「私もコースター乗るー」


「良いよ、並ぼうか」


 やっぱりスライダーやコースターって人気あるなぁ。あたしは三半規管無いから特に酔わないし怖くも感じない。Gは感じるんだけどね。

 あれ、ブレイズさんがいる。どうやら分体に任せて本体は遊んでいるらしい。気ままだね! 丸投げの丸投げとかやるね!


 イリスとユキメとケイシーも呼んで、ログさんとリゼさんも呼んでみんなで遊ぶか。ケイシーはそろそろボッチが極まってるからな。


「速いのならあそびますよ」


「みんなと遊びなさい」


「はぁい……」


「ケイシーは一人遊びばかりですね」


「たまには私とスライム館で遊ぶ」


「もちもちしにいこー」


 カルさんはいつも軽いな。


「スライム館でもちもち……良いですね」


「この施設回りきれてないです~。楽しみ~」


「まあ二人もしっかり遊ぶと良いよ。施設も増やしていくからね」


 植物園のゴンドラとか好きそうだよね、リゼさんもログさんも文官だし。さて、コースターはどうだろう?

 犬仙と鬼人とサキュバスとデーモン三人とスライム、なかなか異色の組み合わせだね。


 新しい施設作るなら体を動かす施設とか良いかもね~。闘技場とか?

 アイススケートリンク……。氷結系のスライムを作れたらできそうだけど。冷凍庫にスライム入れておく?


「うわあああー……」


「きゃああああ……」


「ひゃわわあ~……」


 デーモン三人でもエアロスライムジェットコースターは速すぎるらしい。三人娘はもう慣れてるな。

 このあとログさんとカルさんは楽しかったのかもう三周回ったけどリゼさんは一回で酔ったらしい。キュアオール掛けたげた。意外と心臓弱い?


「私はご飯食べる施設が良いです……」


「じゃあみんなが降りてきたらどっかのレストラン行こうか?」


 まあ決めるのはカルさんなんだけど。スライム館に行ってからその近くの水族館内のレストランでお寿司とか天婦羅食べるのが良いかもね。


「天婦羅食べるー」


「じゃあそこで晩御飯にしましょうか」


「ここは料理も美味しいですねぇ」


 カルさん、リゼさん、ログさん、三人ともユキメの料理にはまっているらしい。今日は河童とかブレイズさんとかアルト君も呼んでみんなで晩御飯にしよう。明日からまた開発頑張ろう。






 これで二部も終わりです。

 次回、二話更新。

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