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もぐらスライム、スニーキングする。

 さて、ダンジョンに帰ってきた。三日でできることをサンシャインを入れて五人で考える。


「とりあえず念話を覚えれば作戦上有利に動けますよ」


「私が空から火を投げ込んでも良いですけど」


「それは最後に逃げるとなったら考える。まあ奇襲でやるのも有りかな」


「まず地形図」


「これね。盆地にはなってるね」


「俺留守番なのに参加しないと駄目か?」


 おっと、サンシャインの紹介してなかった。三人にサンシャインを、サンシャインにはイリス、ケイシー、ユキメの三人とスライム数匹を紹介する。サンシャインはもうあたしの配下なので特に争うような素振りもない。この後は湖と畑に引きこもる予定だ。温泉は喜んで入ってた。カビ臭さが無くなったよ、河童なのに。


「サンシャインもダンジョン防衛には参加するんだから連携は必要でしょ?」


「……まあ戦い方を知っとくのは悪くないか」


 偉そうな河童ね。触手で軽く叩いておく。


「イテッ!」


「じゃあやるわよ」


 河童に気合いを入れたところで作戦を練る。まあ中心になるのはあたしの武力だ。かなりヤバイよ。


「この地形なら火攻め水攻めどちらも有効」


「物資をごっそり盗んでから火攻め、C拠点方面で待ち伏せてA方面に逃げるやつらはどうせブレイズさんが苦労するだけだから放置、では?」


「天才かユキメ」


 特にブレイズさんが苦労する辺り。EからD、Aに連戦しないとならないブレイズさんたち冒険者チームはかなり負担が大きい。騎士団チームはCの一番守りの堅いところを攻めないと駄目だからそれでも騎士団と冒険者の突撃タイミングはどうしてもずれるだろう。

 守りの兵力が多いほど攻めるのは大変だと言うし。


「火を放つのは南からね」


「敵を北に追うのね」


「そんなにそのブレイズってのは嫌われてるのか」


「嫌いじゃないけど一泡は吹かせたいかな。嫌いじゃないけどね」


 ただちょっと嫌がらせされたから仕返し。まあたぶんあの人が山賊に負けることはないと思う。あたしより強いし。


「最初はあたしが潜入。騒ぎになったらケイシー以外全員突入。かき回したら一斉にC拠点のある東に逃亡、あたしが殿(しんがり)で撹乱しつつケイシーが上空から火計で敵を北に追う」


「そんな感じですね」


「アザレアが負ける姿が想像できないけど」


「負けた場合も考えておきますか」


「その時は一斉にC拠点に逃げてね。まあ核さえやられなければ逃げ切れるから」


「ちょっといいか、そのヒゲモフ?」


「ゲヒモフ傭兵団」


 名前変だよね。サンシャインにすかさず突っ込めるイリスも凄いけど。


「そのゲヒモフ傭兵団はそんなに弱いのか?」


「推定戦力は五百から千人、小さな町を襲い物資を奪い逃げる程度はできる戦力と思われますわ」


「それが拠点五つに分かれてるから一拠点の推定戦力は八十から百五十というところ」


「仮に三倍でも最大戦力は五百以下ですか?」


「それくらいなら捻れそうなんだけどねえ」


「その自信はどっから来んだよ……」


 これだって、殲滅する必要はないしもぐらスライムしてお宝取って逃げたら勝ちで火計まで使うんだよ? 風向きも見ないとダメだけど火が消せる戦力は有るのかな? 更に追撃までするってよっぽど指揮官が有能でもできないよ。無能なら尚更いたずらに被害を広げるだろう。

 ただ不安なのはこの世界って魔法世界で個人戦力は想定できないんだよね。だからこそあたしが有用なわけでしょ? 前世の地球人なら個人差はここまで開かないよねえ。凄腕の傭兵と一般人ならあり得るのかな?


 まあ三日で色々作戦を立てて、あたしたちはエリオールの陣地に向かうことになった。念話と潜伏スキルは取っておいた。赤ノート先生の授業を受けたよ。チートだね、先生!





「騎士団全員整列!」


「冒険者全員集合!」


 おっと、始まったね。あたしたちはすでにブレイズさんから個人行動を認められている。昼間のうちに敵陣にたどり着いて夜襲をかけることが決まっている。慣れない地形だけどCランクで活躍してるケイシーたちなのでそこは把握しているらしい。あたしよりそういうとこは優秀だ。あたしも経験を積んだから戦いだけならかなり行けるつもりだけど、やっぱり経験値はまだまだ足りてないんだよね。


 森の中を目的地点に進む。なかなか暗い森だ。間伐されてない深い森。よくこんなとこ通るよね。戦争じゃないならこの辺りの木を適当に収納して帰るんだけどな。木材も使い道有るしね。剣の鞘や柄とかさ。


 虫とかはあたしを刺さないから平気だけどみんなは大変そうだ。魔力で肌をコーティングしてるらしい。そんなスキルも有るのね。


 さて、そろそろ目的地が見える頃だ。火の明かりが見える。まだ夜には早いんだけどな。空が赤いから夕方に見えてしまう。赤い星に来てから青空が恋しくなってる。青い星に行きたいとは思わないけど。


『そろそろですね』


『せ、戦争ですぅ……』


『じゃあ、ちょいと潜ってくるわ』


『お気をつけて』


 こちらアザレア、相手方に見つからないくらいの距離で、スニーキングを開始する。全部奪って破壊してやるぜ!


 地下を移動、この上は推定敵陣、細く触手を伸ばす。今回身に付けてきたスキル、触手視点だ。任意で触手に視点を移せるから敵に見つからずに索敵できる! 隠密も稼働。


 んー、大きめのテントいくつかあるなあ。深いダンジョンを掘りまくってるから地中でも方向はある程度分かるんだよね。そうじゃないと永遠に迷子になっちゃうし。赤ノート先生がいるから多少は大丈夫だけどいちいちノート見ながら穴なんて掘れないからね。


 恐らく部隊長とかいそうな中央のテントは置いといて他のテントを探る。

 お、物資だな。食料か……もらっとこう。


 地下深くに体二割と核を置いて残りを地上に出し、箱を一個一個収納する。ワハー、あたし無敵! いやこれ、本当に無敵だよね。体を消されたら魔力を大きく損失はするけど。核は地下五メートル、どうやっても殺せないよ。ドラゴンや魔神には殺されそうだけど。

 アイテム収納完了。次のテントに行くよ~。


 次のテントは……ビンゴ! 武器だ! これが欲しかったのよ~。インゴットとか珍しげな金属もある。

 お高そうな剣もあるね。装飾とかは特にいらないな。でもまあ呑むだけだから持っていこう。お宝としてダンジョンの宝箱に置いといても良いしね。

 それにしても全然気付かれないな。全部収納。次に行こう。


 ここにあるのは……、ここは厨房か。人がいるし次に行こう。

 ここも食料か。別にいらないな。でももらっとこ。あ、金貨がたくさんある! いただき!


 本部に来ちゃった。触手の先っちょだけ出してみる。うん、ちょうど荷物の死角だ。話を聞いてみよう。


「そりゃ本当なのか」


「はい、冒険者の話ですがここにはスライムが向かわされたとか」


「この紅蓮のホムラ様も舐められたもんだな。分かった、行け」


「ハッ!」


「スライムなんざ炎が天敵じゃねえか。馬鹿にしやがって……。まあこっちの情報が分からないんだろうな。情報統制は徹底している。このゲヒモフ傭兵団第二部隊長、紅蓮のホムラの、俺様の炎で全て焼き付くしてやるぜ……スライムさんよお……」


 紅蓮のホムラとか強そうだねー。ひとり言多いけどー。赤毛のたぶんレッサーデーモンさんだねー。

 地下十メートルから、ホムラさんが一人になったところで落とし穴五メートルー。土魔法で静かに埋めー。お休みなさい。永遠に。装備はもらっとく。

 一応みんなに伝えとくか。


『はーい、こちらスネー……アザレアです』


『すね? アザレア様、何かありましたか?』


『敵の兵糧とか武器を全て回収して敵の部隊長らしき人を生き埋めにしました。どーぞ』


『酷い』


『酷すぎる』


『酷いにも程がありますわ』


 えっ、なんで?!






 地を這う人間にはもぐらスライム強すぎますよね。天使なのに即死魔法。ハマ系?

 次回、アザレアが変わり始めます。あとケイシーが酷い。

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