四人娘とダンジョン、進化する。
何日間かのトレーニングを経て、あたしは更に進化したようだ。今回のトレーニングはとても厳しかった。
はい、赤ノート先生、今のステータスお願いします。
名前 アザレア
性別 女
種族 エンジェルスライム
魔力 1037
スキル
・魔力操作
ウォール ステップ 身体強化 マジックブレット マジックソード ショートジャンプ 魔力感知
・土魔法
穴掘り クレイスパイク クレイランス 落とし穴 土強化 成型 ストーンスパイク ストーンランス ストーンレイン メテオランス ストーンコフィン ストーンシールド
・回復魔法
ヒール ミドルヒール エリアヒール グレーターヒール エリアミドルヒール
・浄化魔法
クリア キュアポイズン キュアパラライズ キュアディジーズ キュアストーン
・触手
銛 貫通強化 吸収 注入 触手増加 槌 鞭
・種族スキル
溶解吸収 スライムボディ 出血毒 酸 収納 毒飛ばし 強酸 溶解強化 高速移動 サイズ調整 硬度調整 壁登り
・特殊スキル
言語翻訳 アカシックノート ダンジョンメイカー
称号
ボッチクイーン 孤高の存在 もぐらスライム ダンジョンマスター モンスターマスター 虐殺者 女神の寵愛を受けし者
色々気になっていた能力を習得した。マジックブレットやマジックソードは魔力を固めて使う技で、威力はあまりないので割愛。魔力感知とストーンコフィン、そして大きいのが二つ、ショートジャンプとダンジョンマスターだ。他の魔法と虐殺者の称号はどうもあのギルドのテストの時に付いたらしい。メテオランスとかストーンシールド、だいたい使った覚えがある。
新しく増えた魔法、まずは魔力感知だが、これは元々欲しかった能力だ。索敵能力はなんとしても欲しかった。次は隠密能力が欲しい。
ストーンコフィンは相手を閉じ込めてしまう技が欲しかった。クレちゃんは閉じ込めても自力で出てこれるのでこの魔法習得を手伝ってもらっていたらロックスライムに進化した。進化速いね。
そして、種族。回復魔法の練習をコアルームでしまくっていたらエンジェルスライムなる種族に進化した。何故か翼が生えた。ジェル状の。邪魔なのでいつもは仕舞ってある。今もピンクの球体だ。虐殺者の天使ってなんやねん。進化したので回復魔法の種類は増えた。
ダンジョンマスターになったのは言うまでもなく、ついにコアができたからだ。コアと意識を繋げることであたしは正式にこのダンジョンのマスターとなった。
最後にショートジャンプ。何度も習得を諦めようとした高速移動術だ。全身を魔力に変換し質量ゼロになることで光速での移動を可能とする魔法なのだが……これが難航した。
まずは準備として魔力のラインを伸ばし、そのあとその先に設置した魔力に魔力化した自分を引っ張らせる必要があったのだが、これが難しかった。空気中にも魔力の壁が有るし、質量ゼロ同士の綱引きだと当然総魔力量が多い手前の方が引っ張ってしまう。どうしても欲しい力だったが、本当に何度も諦めかけた。
結果としては伸ばした先の魔力を実体化させることでこの問題は解決した。
その結果、自分の魔力と繋がりがある場所ならどこにでもジャンプできるようになった。つまり、ダンジョン内ならどこにでも行ける。
このショートジャンプには大きな欠点があるが、それはいずれ分かるだろう。
あ、称号の孤高の存在は、ボッチ系の称号の能力が一人でいてもみんなといても発動する称号だ。人といてもボッチ。……これがとても痛い理由で習得されていた。それは後で分かる。
ダンジョンコアができたことでダンジョンコアと赤ノートが繋がり、赤ノート先生がダンジョンコントロールキーになった。ダンジョンの意思も赤ノート先生が読み取ってくれるレベルに濃厚になった。
そもそも赤ノート先生はなんでも教えてくれるわけではない。例えば誰かの心の中、プライベート性が強い情報はまず教えてくれない。知っている素振りはあるのだが、秘匿されるべき情報は教えてくれないようなのだ。例えば犯人は誰か、みたいなこともたぶん教えてくれないだろう。裏技はあるかも知れないが。
赤ノート先生は謎が多い。今後も調べて行かなければならないだろう。
さて、だが、ダンジョンコアを得た。ダンジョンに設置できる施設は気になったが、さっそく三人の武器を複製しよう、と思って気付いた。三人を完璧に放置していたのだ。
あれ、あれから何日経った? 数ヵ月とかはさすがに経ってないよね?
ショートジャンプのトレーニングにハマりすぎてすっかり忘れてた。魔力感知は自分の魔力のある範囲なら感知できる。つまり、ダンジョンの中ならどこでも。つまりはダンジョン内なら感知してジャンプできる。三人を探してみよう。出ていったりはしてないよね? あり得る。
まずはイリスは……ん? スプリングスライムのリーダー、スパちゃんと一緒にいるな。何故かスパちゃんの気配がいくつもある。何が起こってるの? 意味が分からない。
とりあえずショートジャンプする。あたしがそこで見たものは……。
「スパちゃん、分裂」
「はい、イリスさま!」
「合体!」
「はい!」
「……」
イリスはスライム使いに進化していた。種族もなんか変わってるっぽい。目とか尻尾が赤くなってる。赤ノート先生は他人のプライベートは覗けないんだよね。何があった。
「アザレア、……」
「あー、イリス、久しぶり」
「放置は酷い」
「すんませんしたーッッ!!」
その後一時間謝り倒した。イリスはサキュバスに進化してスライムテイマーにジョブチェンジしたらしい。やべえ、テイムされる。
次はユキメ……食堂にいるな。ん? おかしいな、あたしがいた頃から浅層の構造がめちゃ変わってる。いや、宿泊施設を作るのは他のスライムに任せてたっけ。……嫌な予感がする。あたしがそこで見たものは……。
「野菜を斬る!」
「ハッ! ユキメさま!」
「次ッ!」
「ハイッ!」
「……」
鬼の形相のユキメにいっちゃんが食材を投げ、一瞬で食材が綺麗に斬り刻まれた。意味が分からない。イリスより更に意味が分からない。
「アザレア様……」
「あ、ユキメ~、久しぶり~!」
「放置は酷いですわ」
「すんませんしたーッッ!!」
その後一時間謝り倒した。ユキメは鬼女に進化して料理人剣客という謎の職業になっていた。調理場も拡張に拡張を重ねられていた。ヤバい、剥かれる。
最後にケイシーか……。なんだろう。一番恐ろしい。やっぱりウォータースライダーのところにいるし、何故かウォータースライダーの数が増えてる。ショートジャンプ。あたしがそこで見たものは……。
「風だ! 風になるのだ!」
「はい! ケイシーさま!」
「速く! もっと速くッ!」
「はい!」
「…………」
ケイシーは空を舞っていた。知らないエアロスライムの子がいるし。意味の分からなさが天元突破した。今までで一番意味が分からない。
「アザレアさん……」
「あ、ケイシー久しぶり~!」
「放置は酷いですよ」
「すんませんしたーッッ!!」
その後一時間謝り倒した。ケイシーは犬仙に進化して職業がスピードスターになっていた。なんで遊んでて進化してるんだ? ヤバい、跳ねられる。
三時間謝り倒してしんどいのでとりまご飯を食べて久しぶりに寝ることにした。ご飯はユキメが作ってくれたよ。魚中心の和食だった。嬉しいね。修行中は石と水しか取ってなかったからなあ。イリスに撫でられる。テイムされそう。あとケイシー、やっぱりウォータースライダーに遊びに行くのね。ご飯のあとはやめといた方が良いよ。
こうしてあたしたちとダンジョンは謎の進化を遂げた。やっぱり放置は良くないね。孤高の存在とか言われるわけだよ。
今後の予定はなんだっけ。ああ、アイテムを増やして山賊を狩りに行って資金やアイテムを増やしたら宝箱を増やして、あとは公開して、得られた魔力で運営していくんだな。これからも一仕事だ。頑張ろう。放置しないように気を付けて。
次回、緑のモンスター、再び!
もちろんあっちのですよ。




