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闇の帝国    作者: 大和 武
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 第 23 話。 げんたの危機一髪。

「ご免。」


「はい、あの~何を御入り用で御座いましょうか。」


 店員は店に入って来た人物は今までに来た人物とは全く感じた。


「直ぐ店主を呼べ。」


 店に来た人物は最初から威圧的な態度だ。


「はい、直ぐに。」


 と、言って見せの奥に居る店主を呼び、店主と思しき人物は急いで来た。


「私が一応店主をさせて頂いておりますが、お客様は。」


「私は帝国政府の者だ。」


「左様で御座いますか、では奥で詳しいお話しを伺いますので、さぁ~此方の方に。」


と、店主だと言う男は帝国政府の者だと言う男を店の奥へ案内し、男は椅子に座ると。


「お客様は帝国政府のお方と伺いましたが、当店にはどの様なご用件で御座いましょうか。」


 店主だと言う男が丁寧に聞くと。


「店主に聞くが店頭に展示されて要る服だが、あの服は一般の者に売って要るのか。」


「はい、一般のお客様に買って頂ければ思いまして、私の仲間が考え作った服で御座いますが今だ多くのご注文は頂いてはおりませんが。」


 店頭に展示されて要る洋服とは黒の生地に白の釦で首の下からは金糸を縫い込み、だが余りにも一般的では無い為に今日までは数着の注文で終わって要る。


「そうか、其れであの服だが我が帝国軍隊の制服として採用したいがどうだ。」


 店主は政府の役人と思われる人物が軍隊の制服とすると言うが、余りにも突飛な話しに最初は信用出来ず、其れよりも帝国軍の軍服として採用すると言うのが本当なのか、いや、其れよりもこの男本当に政府の役人だとは到底信用出来ないと思い。


「今、何と申されましたか、私は帝国の軍隊に、私どもの店に展示して有る服を軍服にすると聞こえたので御座いますが、誠で御座いますか。」


「店主殿、今の話は誠だ、其れで一部手直しをしたいので、明日、此処に来て欲しい。」


 と、新政府の役人と称する人物は書面を渡した。


「はい、確かに、では明日、私と服を考えました者とお伺いさせて頂きます。」


「では宜しく頼む。」


 と、新政府の役人だと称する人物は店を出た。


「飯田様。」


「今新政府の役人だと言われる人物が突然来店され帝国軍隊の制服を作れと申されたのですが。」


 飯田、上田、森田の三名は源三郎の命を受け、野洲を出立し、日本全国を、いや最初は其の予定だったが、途中で有る事件に遭遇し、其れでも今では江戸から東京に改名された東京の市中で洋服店を営み、時代を先取りした服を作り販売し、其れが見事に成功し大きな店へと発展している。


「あの~社長様、宜しいでしょうか。」


 彼は飯田達が助けた最初の農民で、今は店で働いている。


「えっ、社長様って、一体誰の事ですか。


 飯田達は始め社長と呼ばれ驚いて要る。


「オラ達は社長様を命の恩人だと思ってるんです。」


「私達が命の恩人ですか、でも何故私達が命の恩人なのでしょうか、私達は貴方方の命を助けたとは思ってはおりませんよ。」


 飯田も忘れているだろうが。


「でもあの時、社長様達に助けて貰ってなかったら、オラは。」


「今は農民さんでは有りませんのでね、オラよりも私の方が良いと思いますよ。」


 上田は覚えていた、話は少し戻り、上田達三名が野洲を出立し、菊池の海岸沿いを田中以外の者が初めて高い山の向こう側に出て暫く北へと向かって数日が過ぎた頃で有る。


「上田殿、森田殿、あれは若しかして。」


 飯田が見たものとは、二町程先の村から煙が上がっている。


「飯田殿、火事ですぞ。」


 と、上田は言うのが早いか煙の出て要る村に向かって走って行く。


「お侍様、どうか命だけは。」


「おい、米は食べ物は何処に有るんだ、正直に言えば命は助ける。」


 と、侍、いや侍の姿をした武士達の集団が農村を襲い、食料を略奪しようと多くの農民を殺し、今残る農民も命の危険に晒されている。


「おい、貴様達、一体何をして要る。」


 上田は早くも太刀を抜き仁王立ちの構えで。


「何だと、お前達こそ一体何者だ。」


「我々か、そうだなぁ~、あのお山の大天狗様でなぁ~、貴様達の様な悪者を成敗する為に高い山から舞い降りて来たので有る。」


 飯田は自ら言った言葉に酔いしれて要るかのようだ。


「何だと、大天狗様だと、う~ん小癪な、こやつらやってしまえ。」


 飯田、上田、森田の三名も源三郎には及ばないにしても野洲では名の知れた剣術使いだ。


「そうか、我々三人の大天狗様を殺すとな、よ~し受けて立つ、何処からでも掛かって来い、だが大天狗様は強いぞ、お前達は簡単に死ぬ事は出来ぬぞ、苦しんで苦しんで死なせてくれるからな何処からでも。」


 と、言った瞬間。


「何を小癪な。」


 と、突然数人が切り掛かったが。


「うっ。」


 数人はもんどり打って倒れ、両腕の付け根からは鮮血が飛び散って要る。


「まぁ~両腕を切り落としたので暫くは苦しむ事だ。」


 と言うと、飯田達は野武士の集団の中へと切込み、次々と腕や足だけを切り、野武士の集団はあっと言う間に撃退され地面で呻き声を上げ転げ回っている。


 農民達は恐怖の為か怯え、身体の震えが止まらない。


「皆さん、もう大丈夫ですよ。」


 飯田は笑みを浮かべて要るが農民達は未だ恐怖が抜けておらず。


「皆さん、何が有ったのですか。」


「あの~お侍様は本当に大天狗様でしょうか。」


「えっ、我々が大天狗様ですか、これは参ったなぁ~、あれはねぇ~言葉の彩とでも申しましょうか、まぁ~私の閃きでしてね、我々は大天狗では有りませんよ。」


「あ~良かった、オラは又本物の大天狗様だと思ったんですよ。」


「へ~、本物と間違ったのですか。」


「オラ達の村では大昔から言い伝えが有りまして、悪人が蔓延ると高い山から大天狗様が飛んで来て悪人どもを退治するって聞かされて来ましたんで。」


「成る程ねぇ~、其れで我々が其の大天狗様だと思われたのですか、いゃ~其れは大変な間違いですよ、私達は大天狗でも無く、たまたまこの道を歩いておりましたところ野武士の振る舞いを見ましてね。」


 飯田達はたまたま通り掛かっただけだと言うが、前の方を見ると村の殆どは焼き払われ、多くの村人が、其れも老人と子供の全員が殺され、僅かに生き残ったのは十数名で有る。


「少しお聞きしたいのですが、何故、野武士が貴方方の村を襲ったのですか。」


「お侍様、奴らは腹が減ったので食べ物が要るって、でもオラの村には何も無いって言ったら、突然村の人達を殺し始めたんです。」


「そうでしたか、ですが貴方方だけが生かされたのですか。」


 上田は十数人だけが生かされた理由を知りたと。


「オラ達はまだ若いので別の所へ連れて行き売るんだって言ってました。」


「其れではまるで人身売買では無いですか。」


 野武士達は若者を集め別人に売ると言った。


「其れに若い娘は女郎として売れるって。」


 だが人身売買は今に始まったのでは無く、大昔から行なわれ、特に農村では不作が続くと親は残る家族の為だと言って娘を売り、其の代金で家族は生き残る為に食べ物を買う事が出来た。


「ではお聞きしますが、他の村でも同じ様に略奪が行われて要るのですか。」


「はい其れはもう、オラ達の村以外でも別の野武士の集団が行くって言ってました。」


「う~ん、其れが確かで有れば重大な問題ですねぇ~。」


「飯田殿、今からでも参りましょう。」


 森田は一刻も早く駆け付け村人を助けるんだと言う。


「お侍様、オラが一緒に行きますんで、どうか一人でも助けて下さい、お願いします。」


 十数人の村人は土下座し飯田達に助けを求めた。


「よ~く分かりました、今から直ぐに参りましょう。」


 飯田達三名は農民の案内で別の村へと急いだ。


「おい、食べ物は何処に有るんだ、正直に言うんだ、言わないと殺すぞ。」


 と、脅かして要る。


「お侍様、オラ達の村は不作続きでお米は取れないんです。」


「何だと、不作だと言うのか、ではお前達は何を食べて要るんだ。」


「オラ達は粟や稗と、其れと山に生えてるキノコで飢えをしのいでるんです。」


「そうか分かった、だが正直に言わなければ村を焼き払うぞ。」


 其の時、村人達の家に次々と火が点けられ村民の家からは炎が上がり。


「助けて。」


「誰か助けてくれ~。」


「母ちゃん、怖いよ~。」


 と、家の中からは女子供、更に年寄りの悲鳴が聞こえて来るが、村民にはどうする事も出来ず、ただ呆然と見る事しか出来ない。


「何だお前達は。」


「我々か、我々はなぁ~お前達の様な極悪人を成敗する為に高い山から舞い降りた大天狗様だ。」


「何、大天狗様だと、其れがどうしたと言うんだ。」


「貴様達に命ずる、村人を放せ。」


「何を抜かすか、オレ達は無敵だ、野郎ども殺してしまえ。」


 野武士の一人が言った時、上田の太刀が風を切った。


「うっ。」


 森田も飯田も続き、十数名の野武士は次々と倒れ唸り声を上げて要る。


「さぁ~もう大丈夫ですよ。」


 だが先程の村人達と同様で助けられた村人達は目の前で起きた虐殺に恐怖の余り身体の震えが止まらず。


「お~い、オラだみんな大丈夫か。」


「あんたか、其れでオラ達は助かったのか。」


「そうだよ、あちらの大天狗様が助けて下さったんだ。」


「えっ、大天狗様って。」


「本当だ、大天狗様が悪人を退治して下さったんだ。」


「我々は大天狗で皆さんの村を襲った悪人どもは退治しましたのでもう安心ですよ。」


「えっ、本当に大天狗様なのか。」


 この村でも大天狗様だと信じて要る。


「我々は大天狗では有りませんよ、ただ皆さん方の村近くを通っただけでしてね。」


 この村でも大勢の野武士達により若い娘十名を含め三十名程が生き残った。


「お侍様、オラ達は一体これからどうすればいいんですか。」


「う~ん、其れは困りましたねぇ~、私にも分からりませんが、上田殿、何か方策でも。」


「私も今は何も考え付かないのです。」


 飯田達が予想した展開とは別の方向に向かうとは、この時には全く考えていなかった。


「お侍様、オラは村に戻って、オラの母ちゃんと子供のお墓を作りたいんです。」


「オラもです、村の人達のお墓を作りたいんです。」


「では皆さんも亡くなられた人達を弔って下さい、其れから考えてみましょう。」


「飯田殿は何か策でも有るのでしょうか。」


「いいえ、私は何も考え付かないのですが、其の前に殺された村人を弔う方が先だと思っておりまして。」


「では我々もお手伝いしましょうか。」


「オラは村に帰りますんで。」


 先の農民は焼き払われた村へと戻って行く。


「皆さん、私達もお手伝いしますのでね。」


「お侍様がオラ達を手伝うって、そんな事は駄目ですよ。」


「何故ですか、私は侍の前に一人の人間として皆さんのお手伝いをするのですからね。」


 上田は源三郎の言葉を思い出した。源三郎は何時も領民に対し。


「私は侍の前に一人の人間として、皆さんにご無理を申し上げて要るのですから、頭を下げるのは当然だと思っております。」


 と、源三郎は例え相手が子供で有ろうと、農民で有ろうと無理なお願いをするのだから頭を下げるのは当然で有ると。


「でもお侍様。」


「いいんですよ、我々が勝手にするのですかね。」


 その後、二つの村で村民の埋葬が行われ、一日半を要し終わった。


「森田殿、何か有りますでしょうか。」


「私は其の前に村人から話を聴いても遅くは無いと思っております。」


「確かに飯田殿の申される通りで、私も賛成致します。」


「私もで、では明日でも聞いて見ましょうか。」


 飯田達はその夜、主のいない名主の家に泊まり、明くる日の朝。


「皆さん、お早う御座います。」


「オラ達は昨日の夜みんなで話し合ったです。」


「ほ~何をお話しされたのでしょうか。」


「実はオラ達全員でお侍様と一緒に行きたいと思ったんですが、駄目でしょうか。」


「今、我々と一緒にと聞こえたのですが、実は我々も何処に行くのか宛ても無いのです。」


「オラ達はお侍様と一緒だったら何処までも行こうって決めたんです。」


「えっ、ですが我々は何も考えていないのですよ。」


「其れはオラ達も分かってるんです。

 でもオラ達は何処に行けばいいのかも分からないんで、其れだったらお侍様と一緒に行こうって。」


「う~ん。」


 上田も判断に困った、彼らは源三郎の命を受け、幕府軍と官軍の動静を調査するのが本来の目的で有り、其れが何かの手違いなのか二箇所の村民四十数名を助けたので有る。


「仕方が有りませんよ、あの人達の家族は殺され、更に家も焼き払われ帰る所も無いのですから。」


「実は我々も行く宛ても有りませんが、其の前に少しでも宜しいのですが食べ物が有れば私達も助かりますので、如何でしょうか。」


 飯田も最後には諦め二か村の村人達を同行するのを認めた。


「名主さんの家の裏に小さなお堂が有り、其の中には常に数俵の米俵が有りますんで、其れと梅干しが数樽ですが村民の非常用として有ります。」


「えっ、正か、ですが今となっては使われる事も有りませんので拝借したいと思いますが宜しいでしょうかねぇ~。」


 其れは名主が常に村民が次の収穫まで生き延びる為に必要だと米俵数俵と梅干しだけを保管していた。


「この付近の村では当たり前でして、でも野盗や幕府の奴らには絶対に渡す気持ちは無かったんです。」


「ですがねぇ~命有っての物種の食べ物ですよ、若しもあの時野武士に殺されたら今頃は食べる事も出来なかったんですよ。」


「オラ達は農民で、毎日が死ぬ思いで作ったお米や野菜を略奪して行くんですよ、だからオラ達も命懸けで守ってるんで、でも昨日の野武士は幕府の奴らを違ってまして、オラ達も正か本当に家に火を点けて家族を殺すとは思って無かったんです。」


「やはりでしたか、最初は脅かしだと思い、食べ物が有る場所は言わなかったのですか、其れにしても何と惨い事をするのでしょうかねぇ~、私は到底理解出来ないですよ。」


 上田も森田も首を振り理解に苦しむと言う仕草で有る。


「オラ達も一緒に連れてって下さいませ、お願いします。」


「分かりましたよ、では準備出来次第に出立しますのでね。」


「はい、じゃ~直ぐに用意しますんで。」


 農民達は大急ぎで出発準備に入り、いや本当は準備も出来ていたのだろう四半時程で終わった。


「飯田殿は何処かに向かう宛てもで有るのでしょうか。」


「大変難しいですが、私はこの人達と一緒に江戸に向かうのを決断しました。」


「飯田殿は何故江戸行きを決められたのですか。」


 上田も森田も江戸へ向かうのを何も反対して要るのでは無く、むしろ大賛成なのだ。


「私も野洲を出立した時より江戸へ向かえば良いのか迷っておりましたが、其れが先程要約決断出来たので御座います。」


「やはりでしたか、実は私も同様でして、何時江戸へ向かえば良いのか考えておりましたが、この付近で有れば少しは江戸までは近くなっており、あの山へ向かえば良いのでは無いでしょうか。」


 森田も早く江戸へ向かうのだと、だが菊池を出直ぐ江戸へ向かうとなれば付近には未だ幕府軍や官軍が多数要ると考え、何時も危険に晒されて要る状況でも有り、何も危険を犯して江戸に向かう必要も無い。


「では皆さんそろそろ出発しますからね。」


「は~い。」


 と娘達の元気な声で出発した。


「この地から江戸までは五日から七日くらいだと思うのですが、我々の所持金では少し心もとないのです。」


「う~ん、其れは大変な問題ですねぇ~。」


 上田も困ったと言う表情をして要る。


「飯田殿、上田殿、私は別に心配はしてはおりませんよ、我々は何も旅籠に泊まる必要も有りませんので、私の考えではこの先には幾つものお寺や農村が有ると思っておりますので、其れにお寺に事情を話せば寝る事だけは可能だと考えますが。」


 飯田達は野洲を出立する時数十両も有れば十分だと考えていた、其れが正か今回の様な事態が起きるとは考えもしなかった。


「あの~今のお話しでは金子が足りないと聞こえたんですが本当に申し訳有りません。

 オラは何も盗み聞きするつもり無かったんです。」


「聞こえましたか、ですが何も心配す事は有りませんよ、なぁ~に何とかなるでしょうからねぇ~。」


 と、飯田は恍けたが。


「そうでしたがか、やはり聞こえましたか。」


「其れでお侍様、その実はオラ達も。」


「貴方方は何も心配される事は有りませんのでね。」


 上田も同じ様に言ったが心中は穏やかでは無く、今の路銀では江戸どこらか半分も行けない。


「あの~お侍様、実はオラ達も路銀を持って来たんですが。」


 農民が持って来たと言う路銀は飯田達が受け取る訳にも出来ないし、他人の路銀を頼りにする事は侍として許されるはずも無かった。


「その路銀は何れ貴方方が使う時に必要だと思いますのでね、貴方方のご厚意だけで十分ですよ。」


「お侍様、実は名主様の家から持って来たんです。」


「何ですと、其れでは盗人と同じでは有りませんか。」


「いいえ、其れがオラ達の名主様は何時もオラ達の事を考えて何かの時には使う様にと言われ、オラ達も忘れてたんで、名主様も村の人達もオラ達を責めないと思うんですけど。」


「ですがねぇ~、僅かの路銀ではねぇ~。」


 上田が言うのも無理は無い。


「お侍様、名主様の家に七百両も有りましたよ。」


「えっ、七百両もですと。」


 何と名主は農民の為に七百両もの大金を隠しており、だが其れだけでは無かった。


「お侍様、オラの村でも名主様が同じ様にって言ってまして三百両有るんですが。」


 何と二か村で一千両もの大金が隠されており、其れだけの大金が有れば江戸までは十分過ぎる。


「え~両方合わせると一千両もですか、これだけの大金が有れば江戸に着き商いを起こす事も出来ますよ。」


「上田殿は江戸で商いをされるおつもりなのですか。」


 三人の侍と四十数名の農民達だけで商いを起こすとは余りにも無謀だ。

 だが其れよりも生き馬の目を抜くと言われて要る江戸で有る。


「う~ん、ですがねぇ~余りにも無謀では御座いませぬか、我々は商いの事は全く知らないのですよ、其れに他の人達全員が農民さんですよ。」


 森田が言うのも無理は無く、上田は何を根拠に商いを起こすと言いだしたので有ろうか。


「森田殿、私は何も突飛な考えで申したのでは御座いませぬ。

 我々は侍で後々の事は自ら考える事は出来ますが、農民さん達には無理だと思うのです。

 私は何もあの人達が無能だと申してはおりませぬ、寧ろあの人達は我々以上に我慢強く、其れは毎日が苦しい思いで作物を作られているのです。

 私はとてもでは御座いませぬがあの人達の様に我慢する事などは出来ませぬが、私は何も商いをする事が本当の目的では無く、農民さん達にはこの先に何をすれば良いのかを提案しただけの事で、後は農民さん達が考え行動を起こす様に持って行ければ良いのではないかと考えただけの事です。」


「成る程ねぇ~、確かに上田殿の申される事も納得出来ますねぇ~、我々よりも農民さん達自身の将来を考え無ければならない、其れが商いと言う言葉になっただけで、商いをしなさいと言うのでは無いと申されるのですね。」


「其の通りでして、私は農民さん達に将来の事を考えて欲しいと思って要るのです。」


「では商いが重要では無く考える事が大事だと申されるのですね。」


「我々三名も源三郎様から新たな命を頂いたと思っております。

 私達はあの時打ち首になったとしても当然なのですが、源三郎様はあえて我々三名の命は取らず、この先は領民の事を考えて下さいと、其れならば今此処に居られる農民さん達も同じだと考えたのです。」


「良く分かりました、まぁ~直ぐに答えを出す必要も有りませんのでねぇ~、では明日にでも江戸へ向かい出立しましょうか。」


 飯田も森田も納得し、彼ら三名も江戸へ向かう理由が付いたと思うので有る。


「オラ達もご一緒させて頂いても宜しいんですか。」


 傍では飯田達の話しを聞いて要る農民達も不安が先立つので有ろう。


「は~い、勿論ですよ、私達は貴方方を仲間だと考えておりますのでね。」


 飯田は不安顔の農民達を仲間だと言った。


「あ~良かったよ、オラはもう見捨てられるのかと思ったんです。」


「えっ、何故ですか、私達が貴方方を見捨てるとでも言われるのですか、我々が貴方方を見捨てるので有れば、何故危険を犯して助ける必要が有るのですか。」


「我々はねぇ~貴方方と一緒に江戸に行きますよ。」


 森田も農民達を納得させたいので有る。


「では明日の朝出立したいと思いますが、今夜は何処に泊まれば宜しいでしょうか。」


「名主様の家だったら大勢でも寝れますんで。」


「分かりました、では今夜は其処で寝るとして。」


 飯田は寝る場所も必要だが、食べ物が特に農民達には必要だと考えて要る。


「オラ達が今から用意しますんで。」


 娘達はご飯を炊くと言う。


「では明日の朝用におむすびを作って頂けますか。」


「はい、オラ達もご一緒させて貰うんですから一生懸命させて貰いますんで。」


 娘達の表情も最初の頃より幾分が落ち着きを取り戻した様子で少しだが明るくなった。


 そして、明くる日の朝、飯田、上田、森田らに生き残った四十数名の農民達は江戸へと向かった。


「本当に大丈夫でしょうか。」


「勿論ですよ。」


 飯田は笑みを浮かべながら言った、だが果たしてこの先は一体どの様になるのか不安でも有った。


「この先も色々と有るとは思いますが、皆さんは命有る限り一生懸命働きましょうね、其れが皆さんの為でも有り、無残にも命を取られたご家族や村の人達の為でも有るのですからね。」


「森田殿の申される通りですよ、我々の為でも無く、皆さんの為ですからね。」


 だが正直なところ飯田や上田、森田達にこれと言った策は無かった。

 彼らが村を出発し二時程経ち、目の前に山が見え小川に差し掛かると江戸まで五十里と書いた木標が。


「さぁ~皆さん川を渡りお昼にしましょうか。」


 飯田達は川を渡り、川原に入り娘達が握ってくれたおむすびを食べ始め。


「この街道を進むと山に入って行きますねぇ~。」


「ええ、其の様ですが、飯田殿はこの間々江戸に向かわれるおつもりで御座いますか。」


「実は私も其れを考えておりまして、江戸の状況が分かりませんので、直接には行かず少しですが回り道をし江戸の状況を知る事も大事では無いかと思うのです。」


「私も同じ様に考えておりました。」


「やはり森田殿もですか、私も同じで御座います。

 我々は江戸の状況を全く知りませんので江戸の情報を得てからでも遅くは無いと思っておりました。」


 飯田の考えに上田も森田も同じだと、其れと言うのも彼らは高い山に囲まれた国以外の事は全く知らず、実は江戸へ向かうと言っても方角さえも知らなかった。


「ではそろそろ出立しましょうかねぇ~、ですが何も急ぐ必要も有りませんのでね、まぁ~のんびりとね行きましょうか。」


 飯田、上田、森田の三名が先頭に立ち、当然ながら前方もだが周辺にも気を配りながら山道に差し掛かった。


「さぁ~これから山道に入りますからね。」


 上田は優しく農民達に声を掛け、山道を進む事半時が過ぎ前方に数人の浪人、いやよ~く見ると十数人の浪人風の男達が見え、暫くは何も無かったが目前に掛かった時。


「おい、金目の物を出すんだ。」


 やはり山賊だった。


「何ですか突然に金目の物を出せって、我々は農民さん達と一緒に江戸に向かうので何も有りませんよ。」


 山賊達は周りを取り囲み腰の刀に手を掛けている。


「おい、荷車の物はなんだ。」


「これですか、そうですねぇ~千両箱が積んで有るんですがね。」


 飯田達は平然としているが、後ろの農民達は山賊が恐ろしいと見え身体はガタガタと震え、数人づつで固まって要る。


「よ~し其れを置いて行くんだ。」


「え~其れは出来ませんよ、この千両箱はねぇ~農民さん達の物で我々の物では有りませんのでね。」


「そうか分かった、野郎どもこの三人を血祭りに上げるんだ、殺せ。」


 と、言うのが早いか山賊達が一斉に刀を抜き襲い掛かって来た、だが飯田達は荷車から六尺棒を取るとあっと言う間に山賊達を打ちのめした。


「わぁ~。」


「うっ。」


「痛い、痛い助けてくれ。」


 山賊達の腕や足の骨は砕け身動きが出来ない。


「大丈夫ですか。」


「我々ですか、何とも有りませんよ、皆さんは大丈夫ですか。」


 農民達の震えは未だ続いて要る。


「さぁ~皆さん参りましょうか。」


 飯田達と農民達はその後峠を越え、山の麓に有る寺の近くまで来た。


「今夜はこのお寺に頼んで見ますので、皆さんは待ってて下さいね。」


 飯田が山門を潜り。


「あの~申し訳御座いませぬがどなたか居られませんでしょうか。」


「は~い。」

 

 と子供の声が聞こえた。


「お侍様、何用で御座いますか。」


 その子供は未だ幼く五才か六才くらいに見えた。


「申し訳御座いませぬがご住職は居られますでしょうか、私は飯田作衛門と申しましてご門の外には五十人近くの農民さん達とご一緒で。」


 其の時、住職と思われる僧侶が現れた。


「お武家様、今五十人近い農民と聞こえたのじゃが。」


「御坊は。」


「わしはこの寺の住職じゃが、お武家は。」


「御坊、失礼致しました、私は飯田作衛門と申します、実は。」


 と、飯田は何故農民を五十人近くも連れて要るのかを話すと。


「其れは大変な事じゃの~、お~い珍念。」


「は~い。」


 と先程の珍念と言う小坊主が現れ。


「珍念、お武家様と皆さんを井戸へ案内するのじゃ。」


「お侍様、さぁ~どうぞ此方へ。」


 と、珍念は飯田達を井戸の有る所へと案内した。


「飯田殿、良かったですねぇ~。」


「ええ、私も良かったと思っております、其れで珍念さん、今夜は泊まる事は出来るのでしょうか。」


「和尚様はどなたに対してもお優しいですから大丈夫ですよ。」


 と言った珍念の表情が少し変わった。


「珍念さん、如何されたのですか。」


「お寺にはみんなが食べるだけのお米が無いんです。」


 寺にはお米が無いと、珍念は寂しそうな顔をして要る。


「珍念さん、我々の事ならば大丈夫ですよ、私達は夜露さえ凌ぐ事さえ出来れば其れだけで十分なのです。」


「でも~。」


 と、珍念は下を向いて何かを言いたそうで。


「皆さん、足と手を其れと顔を洗えば。」


「あの~お侍様、オラ達は荷車に米俵を積んでますんで。」


「そうでしたねぇ~。」


「お侍様、オラ達に任せて下さい、珍念さん、台所をお借りしたいんですが。」


「はい、でも台所には。」


「いいですよ、みんな手伝ってくれるか。」


「いいわよ。」


 娘達が台所の傍に荷車を付け、米俵を降ろすと娘達は寺の台所へと消えた。


「あの娘達は一体何をするのでしょうかねぇ~。」


「多分ですが、今夜の食事を作ると思うですが。」


「やはりですか、農民さん達は優しい心の持ち主だと言う事でしょうかねぇ~。」


 森田も農民達は優しい心を持って要ると知った。


「では娘さん達に任せましょうか。」


 寺の台所からは娘達の賑やかな声が聞こえて来る。


「和尚様。」


 珍念が和尚に何やら耳打ちをした。


「えっ、其れは本当なのか。」


「はい、本当です。」


「お武家様、今珍念から聞かされましたが、娘さん達がお米を寺の米櫃に入れて下さったと。」


「へ~そうですか、私は何も知りませんが。」


「では娘さん達が勝手に入れられたのでしょうか。」


 お寺の米櫃には一粒のお米も無かった。


「何でしたら、和尚様から直接聞いては如何でしょうか。」


 その後半時程が経った頃、娘達が雑炊が出来たと大きなお鍋を運んで来た。。


「皆さん、雑炊が出来ましたのでどうか食べて下さい。」


「さぁ~さぁ~珍念さんも一緒に食べましょう。」


「でも。」


 と、珍念は和尚の顔を見ると、和尚は。


「珍念、有り難く頂きましょう。」


 珍念は久し振りに食べるお米でこの数日間と言うものは殆ど芋を蒸すか焼いた物で、其の芋も近くに住む農民から貰った物で有る。


 農民達も実はお米などは食べておらず、粟や稗で麦などは全くと言っても良い程食べる事は無かった。


「オラ、お米って食べた事も無いんだ。」


「オラもだ、オラ達が苦労して育てたお米は全部持って行かれるんだからなぁ~、オラはあの時が一番悔しかったんだ、何でオラ達が食べれないんだって何時も思ってたんだ。」


 その後も農民達が口々に幕府の横暴に対し罵る様に話して要る。


「和尚様、雑炊が物凄く美味しいよ。」


 珍念は今まで見た事も無いと表情で雑炊を食べて要る。


「うん、これは本当に美味しいですねぇ~。」


 上田も正かと言う顔をして要る。


「おね~ちゃん、何でこんなに美味しいんですか。」


「其れはねぇ~、私達が美味しくな~れってお米に言ってるのよ、だから美味しいのよ。」


「後で和尚様に作り方を伝えますからね。」


 娘達は米俵の他に梅干しの樽も一個置いた。


「娘さん、珍念から聞いたんじゃが米櫃にお米を入れて下さったと。」


「私達が相談したんですよ、私達の村は私達以外の全員が殺されたんですが、私達の親もですが殺された村の人達の弔いもしたいんですが、皆さん、私達の親とみんなの弔いを和尚様にして頂き、其の為として米俵と梅干しを一樽お布施としたいんです。」


 娘達は自分達だけで勝手に決めたと言う。


「オラはいいと思うんだ、オラの母ちゃんもだけど子供達の供養にもなるし、其のお米だってオラ達が育てたんだからなぁ~。」


「そうだよオラもいいと思うんだ。」


「ですが米俵が一俵とは多過ぎると思うのじゃが。」


「和尚様、オラ達の事はいいんですよ、オラ達には三人のお侍様が、其れにまだお米も有りますんで。」


「其れは誠なのですかな、ですが何故其れまで多くのお米が有るのですかな。」


「和尚様、私が説明しますので。」


 飯田が其れまでの経緯を話すと。


「左様で御座いましたか、其れは大変で御座いましたねぇ~、ですが行き成り江戸に入ると言うのは余りにも無謀では御座いませんかなぁ~。」


 寺の和尚は行き成り江戸に入るのは危険だと言う。


「和尚、其れは何故で御座いましょうか、江戸とはそれ程にも危険だと申されるので御座いますか。」


「左様でして、拙僧には色々な所から話しが舞い込んでおりましてなぁ~、江戸の付近では幕府軍と官軍と言う軍隊が戦を行なっておりましてのぉ~、江戸に出入りはもう厳重な警戒で簡単には行かないと聞いておりますぞ、更にお武家様だけならばいざ知らず、これ程大勢の農民が一緒ならば尚更で御座いますぞ。」


 寺の和尚は江戸は厳重な警戒が敷かれ簡単に入る事は無理だと言う。


「ですが我々は何としても江戸に入りたいのですが、何か良い策でも御座いませぬか。」


「う~ん、何としても向かわれるのですか、其れは困りましたなぁ~。」


 和尚は困ったと言う顔付きで腕組みし考え始め、暫くして。


「お武家、一つの方法としてですが、寺から通じる道ですが峠を越え麓近くに下ると標識があり、まっすぐ進むと江戸へと参る事が出来ますが、其れを左へと進み三日も経てば陽立と言う国が有ります。」


「陽立の国ですか。」


「左様で、その陽立と言う国に入り江戸の情報を得てからでも遅くは無いと思うのじゃがのぉ~。」


「和尚は陽立の国で江戸の情報を得よと申されるのは何か訳でも有るので御座いますか。」


「其の通りでしてなぁ~、陽立の国で作られる綿花と繭の全てが江戸に送られて要ると聞いておりますので、その農村で聞かれては如何でしょうかな。」


 和尚の話しは江戸には直ぐ入らず、陽立の国に入り江戸の最新情報を得てからでも遅くは無いと言う。


「和尚、誠に有り難きお話し、我々も和尚の申されました陽立の国を目指します。」


「其れで良いのじゃ、だがのぉ~陽立の国へは幾つもの峠を越えなければならんのじゃ、何処の峠でも同じじゃと思うが、峠付近には必ずと言っても良いが山賊達が出没し旅人を襲うのじゃ。」


 山賊達が旅人を襲うと言うのは何も今に始まった事では無く、数百年以上前の昔から横行して要る。


「我々と同行して要る農民さん達を襲ったのも山賊だと思っております。」


 飯田達が助けた農民達を襲った者達も山賊に間違いは無い。


「あの人達を襲った者達も山賊だと言って間違いは御座いませぬなぁ~。」


「わしもその様に思うのじゃ、お武家は確かにお強いと思う、じゃがのぉ~、山賊が大勢で其れに奴らには統制と言うものが無い、その様な奴らが襲って来たならばじゃ、幾らお武家達が強いと申してもじゃ、農民達からも相当数の犠牲者が出る事は覚悟せねばならぬと言う事じゃよ。」


 飯田、上田、森田の三名だけならば例え数十人規模の山賊で有ろうと撃退は可能だ、だが五十人近くの農民が一緒ともなれば話しは別で少なくとも数人の、いや下手をすっれば半数近くの農民が犠牲になる事も考えねばならない。


「う~ん、これは大変な問題だなぁ~。」


 森田は深刻に考えて要る。


「何か良い策を考えねばなりませんねぇ~。」


 上田も策を考えなければならないと言う。


「あの~お侍様。」


 農民達も真剣に考えて要るのだろう、下を向く者、天井を見何かを考える者も要る。


「皆さんは何も心配される事は有りませんよ。」


 と、飯田は農民達の動揺を収めたいのだ。


「飯田殿、我々は三人ですよ、其れで私が考えた策なんですが、農民さん達も三組に分け、一人で一組を受け持つと言うのは如何でしょうか。」


「そうか、一人でも十四~五人ですから、我々自身も相当楽になりますねぇ~。」


 実に簡単で、農民達も三組に分ければ防御するにも少しは楽になると言うのだ。


「お武家、拙僧も今申された方法が良いと思うのじゃが。」


 和尚も森田の提案に賛成だと。


「では森田殿の申されました方法で参りましょうか。」


 何と言う話しだ、上田も飯田も実に簡単に賛成した。


「では詳細に付きましての話しに入りましょうか。」


 この後、飯田達は話し合いを始めるが、農民達は相当な疲れが出たと見え、何時の間にか眠って要る。


「其れでは今の方法で参りましょうか。」


 実に簡単に話が終わり、翌朝、森田が農民達に話をした。


「では皆さん、今から出立しますからね、先程申しました通りに行って下さいね。」


「和尚様、大変お世話になりました。」


「皆もお武家の言う事を聞くのじゃ、そして、皆が無事江戸に着く事だけを願っておりますぞ。」


「おねぇ~ちゃん、又来てね。」


「珍念さんも和尚様のお話しを聞くのよ。」


 農民達は口々に和尚と珍念に礼を言い、飯田達と江戸へ行く為寺を出発した。


 飯田達が寺を出発し、寺の住職が言った道を進み、やがて山に差し掛かった。


「皆さん、これからは登りが続きますので荷車を押して下さいね。」


 荷車を引く者と押す者に分かれ、飯田が一組目を、上田が二組目と、そして、しんがりは森田が務め、峠を登り始め、一つ目の曲がり角を、二つ目、三つ目と過ぎ、そして、最後もと言う曲がり角を回った時、突然、十四~五人の山賊と思われる男達が現れ。


「おい、金目のものを出せ。」


「えっ、何ですか、その金目のものって。」


 飯田は恍けた言い方に、山賊は怒った様な顔付きで、山賊を見た農民達は一瞬で凍り付いた表情に。


「貴方方は何も心配する事は有りませんので、危ないですからね少し離れてて下さいよ。」


 森田は平然とした顔付きで農民達を宥め。


「何だと、恍けるな、其の荷車に積んで有る物は何だ。」


「これですか、えっ~っと、確か米俵が四俵とですねぇ~後は。」


「何、米俵だと、良し米俵を寄こせ。」


「え~何故ですか、何故貴方方に渡さなければならないのですか。」


 飯田は笑みを絶やさずと言うよりも飄々として答えて要る。


「何だと小癪な、何でもいいから命が欲しくば置いて立ち去れ。」


「え~其れは出来ませんよ、我々も食べなくてはならないですからねぇ~。」


 山賊は刀を抜き少しづつ近付いて来る。


「よし、命は欲しくないと言うならば、おい野郎ども浪人を片付けるんだ。」


 と、言った瞬間数人の男が切り掛かって来た。


「きゃ~。」


 娘達は恐れから身体は竦み、荷車の傍で震え、他の農民達も同じだ。


「うっ。」


 一人の男が唸り声を上げもんどり打って倒れた。


「ぎゃ~。」


「わぁ~。」


 と、次々と声を上げ倒れて行く、中には脳天を勝ち割られ頭から真っ赤な血が吹き上げて要る。


 飯田達は太刀は持っておらず、三人共木剣で有り、その為、刀の用に切られる事は無いが、腕や足の骨は砕け、歩く事も出来ず、身体を激痛が走る、男達が一瞬怯んだ。


「今だ。」


 と、飯田が言った瞬間上田と森田が男達の中に飛び込み次々と男達を打ち据えて行き、男達の身体に激痛が走るのか唸り声を上げ次々と倒れ地面を転げ回って要る。


「終わりましたねぇ~。」


 森田は涼しい顔をして要る。


「早く殺してくれ。」


「痛い、殺せ。」


 山賊達は切り殺されるよりも悲惨で、身体中に激痛が走るが直ぐ死ぬ訳でもない。


「え~何ですか、殺して欲しいんですか、いゃ~其れは無理と言うものですよ、我々は太刀は持っておりませんのでねぇ~。」


「飯田殿、刀は崖の下に捨てましょうか、そうすれば自ら命を絶つ事も出来ずに苦しみながら死ぬ事になりますからねぇ~。」


「そうですねぇ~、山賊達は今まで罪無き人達を殺して来たのですから、当然の報いだと思います。」


 森田も山賊は簡単に許す事は出来ないと言う。


「まぁ~そう言う訳ですからね、お前達は自分の犯した罪を恥、地獄に落ちる事ですよ。」


「では皆さん、参りましょうか。」


 飯田達は山賊が呻き声を上げて要る傍を通り峠の頂上を目指し、半時程で頂上に着いた。


「さぁ~皆さん、これからは下りですので、荷車を引きながら下りましょうか。」


 飯田、上田、森田の三人に命を助けられた四十数名の農民達は峠を下って行き、其の峠も一時半程で下り終えると、和尚が言った道標が有り、右へ行けば江戸、左に行けば陽立の国へと書いて有る。


「皆さん、和尚さんが言われました陽立の国へと参りましょう。」


 飯田達は江戸へ向かわず、陽立の国へと進んだ。


 飯田達は連合国を発つ時には正かこの様な事態になるとは全く予想しておらず、だが現実は違い陽立の国へ、そして、その後の飯田達は驚愕の依頼を受ける事になるが、当の本人達で有る飯田達は何も知らず、一歩、一歩、江戸へと近付いて行く。


 陽立の国までは未だ十カ所以上の峠が有り、高い山を何度も登らなければならず、其れは悪戦苦闘の連続で、一体何日歩けば着くのだ、其れは飯田達も分からず、だが今更引き返す事も出来ず、ただ只管前を向いて進まなければならないので有る。


 野洲では源三郎とげんた、そして、野洲に駐屯する大隊から小隊が源三郎とげんたの護衛任務に就き、菊池の隧道を出、一路東京へと向かった。


 直ぐ後ろからは菊池の高野が同じ様に小隊の兵士が付かづ離れずに距離を保ちながら歩いて行く。


 小隊の兵士は全員が農民の姿に身を隠し、荷車を、其の荷車には連発銃と弾薬、途中で雨に会う事も考え蓑と笠も乗せて有る。


「あんちゃん、オレは今物凄く興奮してるんだ、早く東京に着きたいんだ。」


「私もですよ、今まで連合国以外の国は全く知りませんのでねぇ~、げんた以上に早く着きたいと願って要るのです。」


「へぇ~あんちゃんでもか、ねぇ~兵隊さん、東京って一体どんな所なんですか。」


「実を言いますと自分達も東京、以前の江戸ですが行った事が無いんです。」


 兵士も東京は知らないと言う。


「あんちゃんも兵隊さんも知らないって事は誰も知らないのか、ふ~ん。」


 げんたは一体何を思って要るのか、菊池の隧道を出、五町程行くと、二又に通じる道に出、その道を一里進むと二又に出る。


「あんちゃん、隧道を出ても大きな道じゃ無いけど、何でだ。」


「我々の連合国は幕府から領民を守る為には菊池の隧道は誰にも知られてはならないのです。

 其れで高野様が考えられた方法でしてね、隧道を出ても直ぐには大きな道に出ない様にしたのです。

 確かに考え方を変えれば連合国からも簡単には大きな道に行く事は出来ないのですが、其れならば、幕府も今の官軍も簡単に連合国を見付ける事は出来ないと言う事なんですよ。」


「だから直ぐ大きな道に出ないのか、成る程なぁ~、そう言う事なのか。」


「私も初めて隧道を出ましたが、正かこれ程とは考えてはおりませんでした。」


「この隧道が我が連合国と外の世界を通じる唯一の道なのですがね、私は別に外に出なくても今の連合国が困る事は無いと思って要るのです。

 ですが世の中の動きが全く分からないと言う事態だけは避けたいので、その為にも今回、

我々が東京と言う所に行く事でしてね、今の状況を知る必要が有るのです。」


「私も現状に満足せず多くの事柄を知る必要が有ると思います。」


 吉川も石川も東京へ行き多くを知りたいと思って要る。


 そして、一里程行くと二又に差し掛かった。


「これからが大変ですよ、この先は何が起きたとしても不思議では有りませんのでね。」


「何か起きるんだ、正か幕府軍が待ってるって事なのか。」


 げんたは勿論の事、吉川も石川も大きな道に出ると幕府軍が待ち受けて要ると。


「何も幕府軍だけが待ち受けて要るとは思っておりませんよ、例えば官軍が待って要るかも知れませんよ。」


「あんちゃんは官軍が待ち伏せしてるって言うのか。」


「其の可能性が有ると思って要るのですよ、何も官軍が待ち伏せて要るとは考えてはおりませんがね。」


「ふ~ん、あんちゃんでも分からない事が有るって事なのか。」


「私は全能の神では有りませんからね、ですが今までの事を考えれば、官軍の待ち伏せの可能性よりも、幕府の残党を警戒して要る方が良いと思いますよ。」


 源三郎は旧態依然の幕府の残党よりも官軍の動きが知りたいと思って要るのだが。


 確かに数百年間も続いた幕府は壊滅し新政府が日本と言う国を統一し、これから先百年、いや其れ以上続くだろう、其れは何も源三郎だけでは無い。


 源三郎達が二又を過ぎ、左側に大きな川が見え、其処には橋などは掛かっておらず。


「なぁ~あんちゃん、この川には橋が架かって無いんだけど、東京って何処に有るんだ。」


「この先一里程行けば川幅が少しですが狭くなったところが有り、其処に橋が架かっておりますのでね、その橋を渡る事にします。」


 田中から聴いており、だがその橋に向かう途中で事件が起こった。


「うっ、あれは若しや。」


 源三郎は二町程先から此方に向かう数十人の者達を発見した。


「総司令、前方から数十人の男達が此方に向かって要ると思います。」


 やはり小隊長も気付いた様だ。


「小隊長、油断は禁物ですよ。」


「はい、小隊は連発銃に持ち替え。」


 兵士が寧ろに繰るんだ連発銃を肩に担いだ、その姿だけでは遠くから見ても兵士とは気付かれる事は無い。


「皆さん、警戒して下さいね。」


 源三郎は何時もと同じだが、げんたの表情はと言うとこわばっており、身体は緊張の余り少し震えて要る様にも見える。


「なぁ~あんちゃん、本当に大丈夫なのか。」


「げんたは何も心配する事は有りませんよ、まぁ~私に任せて下さいね。」


 源三郎達の半町後方からは高野が同じ様に小隊を引き連れ続き、その後、次第に源三郎達と前方の男達との距離が近くなり、突然男達の前に居た十数人が走り出し、半町以内に差し掛かった時。


「野郎ども、矢を放て。」


 と、言った瞬間、源三郎達に向かって矢が放たれ。


「何。」


 と、言った源三郎は飛来する十数本の矢を払った。


「あんちゃん、大変だ。」


 げんたが大声を上げ、源三郎が振り向くと、げんたを庇う兵士の背中に数本の矢が突き刺さり、兵士は何も発せずぐったりとして要る。


「あんちゃん、兵隊さんが、兵隊さんが。」


 兵士はげんたを庇い戦死、げんたの身体からずるずると下がり地面へ倒れた。


「げんた、兵隊さんを荷車の後ろに連れて行け。」


 兵士の身体から噴き出る鮮血を受け着物は赤く染まり、其れでも必死で兵士を後方へと引きずって行く。


「もう許さん。」


 源三郎は木剣を構え、男達の中へと突進して行く。


「小隊は前方の敵を殲滅せよ。」


 兵士から一斉射撃が開始され、男達は次々と倒れ、其の中でも源三郎は木剣で男達を打ちのめし、脳天を割られた男の頭からは鮮血が吹き上げ倒れ、他の男達は足や腕、更に胸の骨は砕け呻き声を上げ、後方から小隊が駆け付け。


「敵を殲滅せよ。」


 小隊長の号令で。


「パン、パン、パン。」


 と、連発銃からは男達に向かって弾丸が飛び出し、男達に次々と命中し、倒れて行く。


 小隊長は腕と肩に矢が刺さっており、其れでも連発銃を撃ち続けて要る。


「小隊長、下がって下さい。」


 小隊長は連発銃を撃ちながら少しづつ下がって行く。


「吉川と石川は兵士を荷車に乗せ、げんたと一緒に隧道へ向かえ。」


 二人は大急ぎで兵士を荷車に乗せ。


「早く急いで下さい。」


 げんたと三人で荷車を引き、必死で隧道へと走って行く。


「大丈夫ですか。」


「高野様、早く戻りましょう。」


「小隊は隧道へ向かえ。」


 野洲と菊池の小隊は応戦しながら隧道へと向かって行く。


「中隊長殿、今の発砲音は連発銃です。」


「この先で何処かの小隊が撃ち合って要る、中隊の全員は急ぎ応戦に向かえ。」


 この中隊は二又の北に有る草原を進んでいたが、前方から連発銃の発射音が聞こえ応戦に駆け付けて行く、隧道の大木に作られた監視小屋からも連発銃の音が聞こえ、菊池の中隊に報告され菊池からも中隊が応援に向かって行く。

 源三郎達が官軍の中隊よりも早く隧道に入る事が出来るのか、其れとも官軍の中隊が隧道に戻ろうとうする源三郎達に追い付くのが早いのか、だが源三郎は官軍が迫って要る事さえも知らない。


「吉川さん、オレは。」


「今は余計な事を考えず隧道に入る方が先ですよ。」


 げんたは其れ以上何も言わず荷車を必死で引き、隧道を目指して行くが、二又は未だ先だ。


「中隊長殿、連発銃の音が聞こえて来ません。」


「若しかすれば小隊か中隊が全滅したかも、いやそんな事は無い、応戦するはずだ、全員急げ、急げ。」


「お~。」


 と、兵士達は雄叫びを上げ、二又へと向かって行く。


「小隊長、大丈夫ですか。」


「自分の事は構わず、先に行って下さい。」


「その様な訳には参りませんよ、小隊長も我が連合国にとっては大事なお方ですので、私も小隊長を残して行く事は出来ませんのでねぇ~、まぁ~その様な訳ですから荷車に乗って下さいね。」


 小隊長は源三郎の言うがまま荷車に乗ると。


「鈴木様と上田様は其のまま隧道まで走って下さい。」


 鈴木と上田は小隊長が荷車に乗ったと確認するとものすごい勢いで隧道へと荷車を引いて行く。


「第一小隊は前方を調べるんだ。」


 官軍の中隊は二又方面に第一小隊を向かわせ調査せよと命じ、第一小隊は向かった。


「後少しで二又ですよ、其れを過ぎれば隧道は目の前ですからね。」


「分かったよ、でも兵隊さんが心配で。」


 げんたは我が身よりも身体に数本の矢が刺さった兵士の事が心配で、其の時、二又の近くまで来た小隊がげんた達を発見した。


「小隊長、奴らは。」


「う~ん、どう見ても農民では無いぞ、若しかして奴らが官軍兵を殺したかも知れないから小隊は油断するで無いぞ。」


 斥候に向かった小隊が見たのは荷車を必死で引く三人の姿だ。


「吉川さん、あれは若しかして官軍じゃ~。」


「えっ、官軍って、何処ですか。」


「あの二又の向こう側だけど。」


 吉川と石川が見たものは斥候にやって来た官軍の第一小隊だ。


「お~い、お前達は。」


 その声が聞こえたのか。


「石川殿、不味いですよ、早く、早く、技師長も。」


 吉川と石川、げんたは今まで以上に必死で荷車を引く。


「お~待つんだ、止まらなければ撃つぞ。」


 と、言った瞬間。


「パン、パン。」


 と、銃声がし、一発はげんたの直ぐ傍の荷車に当たった。


「わぁ~。」


 と、げんたは一瞬怯んだ。


「何でオレ達を撃つんだ。」


「我々を敵軍だと見て要るんですよ、其れよりも早く隧道に入りましょう。」


「パン、パン、パン。」


 と、今度は続けざまに連発銃の音が聞こえ、小隊の兵士が倒れ、其れは連合軍の兵士が撃った連発銃の音だ。


「中隊長殿、またも銃声です。」


「よ~し全員速足で行くんだ。」


「若しかすれば二又近くまで官軍が迫って要ると思われますが。」


 高野も官軍が迫って要ると理解して要る。


「大急ぎでで隧道に入りましょう。」


「はい、承知致しました、小隊は応戦態勢に入れ。」


 だが其の前に菊池の小隊は応戦態勢に入り。


「パン、パン、パン。」


 と、連発銃を撃ちながら隧道へと向かって要る。


「お~い、技師長が狙われて要るぞ。」


 大木の監視小屋からはげんたが狙われて要ると見えたのだろう。


「全員応戦せよ、応戦するんだ。」


「パン、パン、パン。」


 と、監視小屋の兵士が官軍兵に狙いを定め撃って要る。


「うっ。」


 官軍兵が倒れて行く。


「中隊は応戦だ。」


「パン、パン、パン。」


 と、官軍の兵士が一斉射撃に入ると、げんたが押す荷車に当たり、げんたの身が危険な状態だ。


「あっ、中隊長が来られたぞ、ふ~。」


 と、監視小屋の兵士が一息吐いた。


「中隊長、技師長が、其れと総司令と高野司令がまだです。」


「よし分かった、中隊は応戦態勢に入れ。」


 其の時、「ガラ、ガラ、ガラ。」


 と、けたたましいい音を発て荷車が、身体に数本の矢が刺さった兵士を乗せ、隧道の入り口付近まで来た。


「技師長だ、お~い、早く助けるんだ。」


 菊池から応援に来た中隊の兵士達は吉川と石川が引き、げんたが押す荷車の交代に入り。


「あんちゃんがまだなんだ。」


「えっ、総司令がですか。」


「お~い。」


 高野の声が聞こえた。


「あっ、あの声は。」


「高野司令だ。」


「パン、パン、パン。」


 と、官軍と菊池の中隊が撃ち合い、菊池の中隊は大木の後ろから撃つ。


「うっ。」


 と、官軍の兵士が倒れて行き、源三郎と高野も必死で隧道へと向かう。


「総司令、我々が一斉射撃しますので、その間に。」


「分かりました、お願いします。」


「中隊の全員は連続射撃だ。」 


すると中隊の兵士は立膝に成り官軍兵に向かって連続射撃に入った。


「パン、パン、パン。」


 と、其れは息も付けない程の連続射撃で官軍兵は顔も上げる事が出来ない。


「総司令、今の内です。」


「分かりました、高野さん行きますよ。」


 菊池の小隊は小隊長を乗せた荷車を引き、大急ぎで隧道に入った。


「中隊長、間も無く危険な状態に入りますので、兵士全員は中に入る様にして下さい。」


「はい、了解しました、中隊は全員中に入れ、監視小屋は敵軍の的にならぬ様にせよ。」


 大木の上に要る兵士は手を振った。


「中隊の全員で入り口閉鎖に掛かれ。」


 中隊の兵士は源三郎と高野が入った事を確認し、隧道の入り口が閉鎖された。


「中隊長殿、奴らですが山の中に入りましたが。」


 官軍の二個中隊は山から世にも恐ろしい狼の大群が迫って要る事に今だ気付いておらず、

少しづつ隧道の入り口へと向かって行くが、其の時。


「わぁ~狼だ、狼の大群だ、わぁ~助けてくれ。」


「助けてくれ~。」


「狼が、狼が来た。」


「ぎゃ~。」


 狼の大群の攻撃を受けた官軍兵はチリチリバラバラになり必死で逃げるが、四足の其れも相手は血に飢えた狼の大群だ、官軍兵は次々と倒れ、其れは正に地獄の様で有り、兵士達は其の地獄を半時、いや半時以上も味わうので有る。


「あんちゃん。」


「げんた、大丈夫ですか。」


「うん、でも兵隊さんが。」


「げんた、これが戦なのですよ、気の毒ですが兵隊さんは戦死されています。」


「えっ、何でだよ、兵隊さんはオレを庇って死んだんだ。」


 源三郎は一刀流の達人で有り、幕府軍の残党が放つ矢は簡単に打ち払えるが、げんたにはとても無理で、げんたに向かって飛んで来た矢は兵士が身を持って受け即死で有る。


「げんたは兵士の戦死を無駄にしては欲しくは無いのです。

 其れは我々連合国の領民を守る為にもなるのですからね。」


「あんちゃん、分かったよ、オレは絶対に作るからね、兵隊さん、本当に、本当にごめんなさい。」


 げんたの目には涙が溢れ、だがげんたはこの時、何としても兵士の戦死を無駄にしない為にも新しい武器を作るのだと心に決めたので有る。





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