表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の帝国    作者: 大和 武
91/288

 第 17 話。 建造を急がねば。

話しは少し戻り。


 「総司令、只今、戻りました。」


 「工藤さん、大変ご苦労様でしたねぇ~、其れで皆さんは。」


 「はい、戦死者はおりませんが第一小隊から負傷者が出ましたがどの兵士も大怪我では無く皆が元気です。」


 「そうですか、で、お怪我をされた方がは。」


 「はい、今はテントで休ませております。」


 「工藤さん、城にお連れ下さい、雪乃殿は。」


 「はい、直ぐに用意します。」


 犠牲者は出なかったのが良かったと、だが負傷者をテントの中では満足な治療には少し無理が有ると考えた。


 「誠に有難う御座います。

 ではお言葉に甘えさせて頂きますので、小隊長直ぐに。」


 小隊長は大手門前に有るテントへと急いだ。


 「工藤様、その方々は私達で看護させて頂きますので。」


 作戦が確かに成功した事は分かって要るが、今は負傷者の看護を優先させるべきだと考え十数名の負傷者は全員雪乃達に任せた。


 「弾薬と火薬の全てを持ち帰りました。」


 「でも大変だったと思いますが、一人の犠牲者も無く其れが何よりでしたねぇ~。」


 「はい、私も今回は全て猟師さん達の指示で動き、其れが良い結果に繋がったと考えております。

  其れで私は明日にでも菊池に参りたいと考えております。」


 「別に急ぐ必要も無いと思うのですが。」


 「ですが、技師長が。」


 「げんたの事ですか、げんたの事ならば何も心配する事は有りませんよ、まぁ~何時もの調子だと思いますよ。」


 げんたの事だ何も心配する必要も無いと、其れよりも兵士達の休養が必要だと考えて要る。


 「まぁ~其れよりも今は兵士達を休まさなければなりませんよ。」


 「其れも承知致しておりますが、今回幕府軍が来たと言うのは野洲だけですが、何時何処から来るやも知れませんので明日には全中隊を戻したく考えております。」


 「隊長、我々も明日には戻る様にと考えております。」


 「まぁ~まぁ~お気持ちはよ~く分かりますよ、ですがねぇ~。」


 「総司令殿、山向こうの幕府軍が一体何人いたのかも分からないのです。

 其れとは別にもうそろそろ連隊本部から残りの二個大隊と一緒に連隊長が来ると、いやもう既に来ているのでは無いかと考えております。」 


 「吉田さん、二個大隊が仮に着いて要るのか、其れとも手前なのか知れませんが若し到着していると考えしょうか、山向こうで幕府軍の死体に狼の大群が餌食にして要るところを見ると一体どうなると思われでしょうかねぇ~。」 


「う~ん、其れは。」


 吉田もだが工藤も返答のしようが無い、第一中隊だけが幕府軍に応戦し、他の中隊は何人の幕府軍がい

たのかも分からないので有る。


 「大勢の幕府軍が狼の大群に襲われ、更に餌食になっているところを見て、其れでも山に入れると考えられますか、私が連隊長ならばこの山には狼の大群が要る、。

 そして、目の前で大勢の幕府軍が襲われ次々と餌食になっているところへは行きませんよ、更にですよ、その連隊長が我が身だけの事を考える人物ならばまず山には入らず山から遠く離れた所を進むと思いますがねぇ~如何でしょうか。」 


 吉田も狼の恐ろしさは嫌と言う程知って要る。

 だが二個大隊が若しも山に入り越えて来たならば連合国への侵入だけは阻止しなければならないと。 


「其れにですよ、兵士も人間ですから、今日、狼の大群から逃れたと言う気持ちで今は他の事などは考えられ無いと思うのです。」


「はい、承知いたしました。」


「吉田中尉、何も今直ぐに行く必要が無いと申されておられるのは私も同じ意見です。

 中尉も他の中隊長も二個大隊の侵入だけは阻止したいとの考えは私も理解できますが、私が連隊の指揮

官ならばあえて危険を犯して山へは入りませんよ、其れにあの連隊長は我が保身だけを考える人です。

 若しも大隊の全員が山に入れば一体誰が我が身を守ってくれるんだと考えれば、まぁ~絶対に山には入りませんよ。」


「まぁ~そう言う訳ですから吉田さんものんびりとして下さい。

 其れよりもこの先の事を考えねばなりませんので此処は時を掛けてじっくりと考えてから次の行動に移れば宜しいのでね。」


「ご相談が有るのですが。」


「まぁ~まぁ~工藤さんも先程戻られたのですからねせめて今日はゆっくりとされ、明日からとされては如何でしょうか。」


「はい、承知致しました。」


「では食事が終わられますれば後は皆さんご自由にして下さいね。」


 工藤も何かに対して急いでいると源三郎も分かって要る。

 千五百人の全員に近い兵士達が背嚢には弾薬を詰め込み、火薬の入った樽を背中に担ぎ高い山を越え全員が無事に帰って着た。


 今は他の事は考えず休養を取る事が大切で、其れに今事態が切迫しているとは考えられ無い。


 工藤達は食事が終わると疲れが一気に出て来たのだろう、山から聞こえて来る狼の遠吠えにも起こされず朝までぐっすりと眠っていた。


 翌朝、源三郎が登城し執務室に入ると早くも家臣達が何やらを始めて要る。


「皆様方如何なされたのですか。」


「はい、実は昨日持って帰られました弾薬を数えておりました。」


 「其れは大変ご苦労様ですねぇ~、其れで何発有りましたか。」


「はい、昨日の分が十万発で全てを合わせますと八十万発近く有りました。」


「へぇ~そんなにも大量に有るのですか。」


「はい、其れと連発銃ですが各中隊で持たれているのとは別に一千丁も御座います。

 更に火薬ですが樽の中は全て満杯で五百樽も御座いました。」


 其れは大変な量で、今元官軍兵が一千五百人で全員が連発銃を持ち弾薬は一人百発も腰の弾倉帯に付け

ている。

 連合国と言っても小国の集まりで家臣全員を合わせても五百人足らずで、この時連合国の家臣全員に連発銃を持たせる事を考え、弾薬も八十万発も有れば訓練に多く使う事も可能だと考えて要る。


「総司令、お早う御座います。」


「工藤さん、お早いですねぇ~、其れに中隊長も小隊長もご一緒だと言う事は。」


「実は昨夜全員に聞いたところ全員が早く戻り警戒に入りたいと申しておりましたので。」


 確かに幕府軍と交戦したのは第一中隊だけだが兵士達は危機感を持って要ると。


「私もご相談が有るのですが、宜しいでしょうか。」


「はい、私に出来る事ならば。」


「では、先程も連発銃と弾薬の数を調べましたところ、一千丁の連発銃と八十万発の弾薬が確認されまして、其れで相談と申しますのは連合国の家臣全員に連発銃の撃ち方の訓練をお願いが出来ないかと思ったので御座いますが如何でしょうか。」


「実は私も昨日そのお話しをと思いまして、今のお話しは私としましては大賛成で御座います。

 ご家中の皆様方が連発銃の訓練に入って頂ければ、もう千人力で御座います。」


「ですが、私はまだ各国には話を致しておりませぬので。」


「勿論、私は百も承知で御座いますが、各中隊長は如何でしょうか。」


「私も大賛成で今一千丁の連発銃が有れば全員の方々にご参加して頂けると思います。

 更に弾薬も八十万発も有りますので皆様方には十分では無いかと考えております。」


「私も助かります、今から書状を認めますので、其れと各国の事情が違いますので其れに伴い訓練方法も違と思いますが、何卒宜しくお願い致します。」


 家臣全員が連発銃を使い熟せるとなれば防御方法も変わると考えた。


「先の五百名の兵士ですが二日後の朝には戻りたく考えておりますが。」


「其れで皆さんの疲れは如何でしょうか。」


「皆が何故か分かりませぬが早く戻り任務に就きたいと申しておりますので。」


「そうですか、分かりました。

 後の一千名ですが各国には二百名づつでお願い出来ればと思っております。」


「はい、其れは各中隊長も同じ事を考えておりまして、其れで菊池様にはその中でも勇猛な二百名が居ります中隊を、野洲には吉田の中隊をと、これは私が決めたのでは御座いませんので。」


 源三郎が何を言うのか分かっており、自分が勝手に決めたのでは無く各中隊長と小隊長達が決めたと。


「私も分かっておりますよ、其れと弾薬ですが一万発を新たに追加したいのですが。」


「其れは大助かりで一万発も使う事は無いと思いますが、其れにしても大助かりで御座います。」


 そして、その二日後の朝、先の中隊と後の一千名の兵士達は各国に二百名づつが配置となり、追加の一

万発を持ち帰って行く。


「私は皆さんに来て頂きまして大変嬉しく思っております。

 其れに訓練までもして頂けるのが尚更でして、後の問題は二個大隊が果たして何時何処に現れるのか其れだけで御座います。」


「中隊長と小隊長達も十分に承知致しておりますので、其れはまず大丈夫だと思います。

 昨日吉田中尉と話をしたのですが、官軍が長崎で建造に入っております新型の軍艦が何故か気になるので御座います。」


 やはりだ、工藤はその軍艦に自らが関わったおり海軍の予定まで知って要る。


「直接関われておりれるた軍艦だからですから私もよく分かりますよ、其れで何時までの期限なのでしょうか。」


「私が考えておりましたのは約一年後には五隻の軍艦が完成し乗組員の訓練などで半年ですが。」


「では早くて一年半、遅くとも二年後には佐渡に向かうのですか。」


「その通りで、司令部でも一隻だけで向かう事は無いと、これだけは断言しても良いと思います。」 


 確かに一隻だけで佐渡に向かうと言うのは、若しも途中で幕府の軍艦数隻に攻撃を受けたならば、幾ら新型の軍艦と言えど勝ち目は無い。


 だが五隻ともなれば幕府の軍艦が十隻相手だとしても勝算は有る。


「では軍艦の佐渡行きを阻止する事は出来ないのでしょうか。」


「其れはまず不可能だと思います。

 其れに造船所付近には数か所の砦が造られており、其れも頑丈な造りでして仮に幕府軍が十万の兵で攻撃を掛けても反対に幕府軍が壊滅するのは間違いは御座いません。」


「う~ん、これは正しく大問題ですねぇ~、私はどの様な策を弄しても佐渡には行かせてはならないと考えております。」


 執務室では重い空気が流れている様で暫くの沈黙が続き。


「総司令は官軍の軍艦を沈めるおつもりでしょうか。」


「いいえ、私の考えは別に沈める必要は無いと、ですが航行不能となれば其れで十分ですので。」


「では一つだけ策が御座います。」


 工藤の言う策と言うのは源三郎の考えた方法と同じなのか。


「策が有ると申されるのですか。」


「はい、実は船尾に取り付けて有る舵を破壊すれば良いのです。」


 やはり源三郎が考えた方法と同じだ。


「舵を破壊すれば航行不能になると、ですが其れには大量の火薬が、あっ、有りましたねぇ~。」


「はい、其れも少しですが手を加えれば大砲の弾が当たるよりも破壊力が増しますので。」


「少し手を加えると申されるのですか。」


 源三郎は火薬だけでも十分だと考えていたのだが、工藤の考えた方法とは二倍、いや三倍以上の破壊力が有ると言う。


「私は火薬を樽に入れ火薬の周りに石を詰めれば、爆発と同時に樽に入れた石は船体に対して強烈な衝撃を与え舵が破壊されます。」


「ですが其の前に石は粉々になりませんか。」


 工藤の考えた石を詰めると言う方法は強烈な衝撃を与えるのは間違いは無い、だが其の前に樽と同じ様に石も粉々になるのでは無いかと。


「う~ん、確かにその様に申されますと、やはり石では無理なのか。」


「視点を変えては如何でしょうか、木製の樽では無く陶器かその他の物にすると言うのは如何でしょうかねぇ~。」


「陶器の器に代えるのですか。」


「専門家では有りませんので間違っていると思いますが、器を陶器物か鉄物に変えては如何でしょうか。」


 松川の陶器物が利用出来ないかを考え、同じ粉々になるので有れば中に入れるよりも外側に有れば破壊力が増すだろうと考えたので有る。


「陶器物か鉄物ですか、陶器は石と同じで粉々になるでしょうが、鉄物ならば粉々にはなりませんからねぇ~、ですが鉄物で作るとなれば大変では御座いませんか。」


 源三郎の頭の中に山賀で鉄を作って要る事を思い出した。


「鉄物で宜しいので有れば作る事は出来ると思いますよ。」


 工藤は山賀で鉄を作り出して要る事を知らない。


「実はですねぇ~、山賀で鉄を作っておりましてね、松川の窯元で型枠を作り、山賀で溶けた鉄を使えば工藤さんの言われます破壊力の有る爆発物が作れると思うのですがねぇ~。」


「えっ、山賀の国では鉄も作って要るのですか、いゃ~私は驚きましたよ、其れならば破壊力は三倍、いや五倍にもなりますよ。」


「そうですか、ならば松川の窯元に型枠を作って頂き、山賀でその器を作って頂きましょう。」


「そうですねぇ~、形は一生徳利とし大きさとしまして五合くらいの大きさで十分で御座います。」


 持ちやすい方法を考えたのか正かお酒の入れ物の形とは考えもしなかった源三郎で有る。


「はい、分かりました。

 ですが一体どの様な方法で爆発させるのでしょうか、火薬を詰め栓をするのでしょうから。」


「大砲は異国の物で火薬を爆発させる方法ですが導火線と言う物が有り、其れに火を点けると爆破します。」


「ほ~、導火線ですか、其れが有ればですが。」


「中隊長が持って来ておりますので。」


 よ~し、これで全てが上手く行くだろう、だが一番大事な潜水船が一体何隻必要なのか分からない。


「残るは潜水船ですねぇ~。」


 「はい、一年で何隻建造できるのか私にも分かりませんが、私は船体を造るのはさして難しい事では無いと考えて要るのです。

 ですが、一番苦労されるのは鍛冶屋さんだと思っております。」


「やはり水車型と風車型でしょうか。」


「其れよりも大事なものが空気の取り入れ装置だと思います。

 技師長は髪の毛一本以内の隙間だと申されておられ、その部分が一番苦労すると思っております。」


 源三郎も空気の取り入れ装置が一番大事だと分かって要る。


 潜水船は軍艦を発見した時から潜り近付き爆薬を付け導火線に点火直ぐ潜らなければならない。


「軍艦に近付いて舵に爆薬を付ける時に発見される事は無いのでしょうか。」


「其れは大丈夫だと思います。

 舵を操る者から真下を見ても舵は全く見えないところに取り付けて有り、例え潜水船が発見されたとしても後方から軍艦に知らせる事も、後方から潜水船に向かって大砲を撃つ事も不可能です。」


 軍艦の大砲は全てが前方には向けてはおらず、全てが横に設置されていると。


「ですが後方の軍艦との距離ですが。」


「先頭の軍艦では無く最後尾から爆薬を取り付け爆破させれば潜水船の乗組員も安全だと考えております。」


 軍艦の長所も短所も知っており、其れが一番の強みで有る。


「分かりました、ですが大工さんにも鍛冶屋さんにも急いで造れとは言わないで頂きたいのです。」


「其れは十分承知致しておりますので、明日にでも菊池に参ろうと思っております。」


「其れで宜しいかと、技師長も説明は終わっていると思いますので。」


「私もその様に思っておりますが。」


「では、私は松川に書状を認め送りますので。」


 工藤は執務室を出、源三郎は松川の竹之進に書状を認め始めた頃、山賀の若様松之介が来た。


「義兄上。」


「若様、どちらに居られたのですか。」


「はい、少し姉上と。」


「久し振りですからお話しも。」


「はい、山賀では鉄を作り出す作業も順調に進み、正太さんが先頭になられて私も大変助かっております。」


「其れは何よりで正太さんも元気で、其れと丁度良かったです。」


「何か有るので御座いますか。」


「若様もご存知の様に大量の火薬が手に入りまして、先程まで工藤さんとも色々なお話しをさせて頂いておりましたが、話しの中で官軍では長崎の造船所で軍艦を建造し、佐渡の金山に向かうのですが、その通り道と言うのが我々連合国の沖と分かりました。」


「義兄上は軍艦を攻撃されるのですか。」


「我々には軍艦を攻撃するだけの巨大な大砲も無ければ、対抗出来るだけの軍艦も御座いません。」


「其れでは官軍の軍艦は何事も無く佐渡に着けるのでは。」


「其れで考え付いたのが潜水船でして、軍艦に爆薬を付け爆破させる方法を考えたのです。」


「ですが一体何処に着けるのですか。」


「工藤さんの申される方法ですが最後尾に有る舵に取り付けると。」


「でも其れでは軍艦は沈まないのでは有りませんか。」


「何も軍艦を沈める必要も無いのです。

 舵が壊れると航行不能となり漂流し、乗り込んだ兵士達も一体何処に向かうのか不安になります。」


「ですが、他の軍艦が助けに行くのでは御座いませんか。」


「工藤さんの考えた方法では後ろの軍艦から爆発されれば良いのだと。」


 工藤が考えた戦術は有効だと考えて要る。


 潜水船が何処に要るのかも分からず海上を漂流する、乗組員にとっては一番苦しくなるんだと。


「官軍兵を殺す事よりも不安に陥れる方が兵士には大変に有効だと考えております。」


「では爆弾を作るのですか。」


「はい、其れに付いても若様にお願いが御座います。」


「私に出来る事ならばどの様な事でもさせて頂きますので、是非お聞かせ下さい。」


「火薬を入れる器を作って頂きたいのです。」


「えっ、器ですか、其れは若しや溶けた鉄を流し込み作れと申されるのでは無いのでしょうか。」


 松之介もどうやら予想はしていたのだろうか。


「その通りでして、型枠は松川の窯元で作って頂きますので。」


「よ~く分かりました、其れで其の型枠ですがどの様な形なので御座いますか。」


「実に簡単でしてね、五合徳利を作れば良いのですよ。」


「鉄の五合徳利を作るのですか。」


「工藤さんのお話しでは鉄で作った物ならば爆発の衝撃は五倍以上にもなり、五合徳利の中に火薬を詰め爆発させると官軍の軍艦でも相当大きな損害を受け、舵が壊れる事により軍艦は航行不能になると。」


「ですが官軍兵は死亡しないのでは。」


「先程も申しましたが、官軍兵に不安をあおる方が戦意が落ちると考えております。」


「ですが航行不能になると言う事は連合国の浜にも漂着するのでは有りませんか。」


「勿論ですよ、何処に向かうのか分かりませんのでね、ですが爆発の衝撃で舵の付近の船体が破損すれば浸水し沈没する事も考えられます。」


 あえて沈没すると言ったのは、工藤の話で軍艦の補強は船体の左右で官軍も正か潜水船が存在するとは考えもしない。


 官軍でも幕府軍でも前方と左右からの攻撃されると考えており、左右と前方の補強はするが海中からの攻撃などは全くの想定外の話で、其れが舵の有る最後尾の部分を補強する必要も無いと、工藤も先日までは潜水船が建造されているとは全く知らずにいた。 


 異国の書き物にも潜水船の文字すら無く、異国でも潜水船の発想もされて無かったと言うので有る。


「承知致しました。

 明日にでも松川の兄上にお話しし窯元に作って貰いますので、私も連合国の一員として何としても阻止しなければならないと思います。」


 そして、明くる日の朝、工藤は菊池へ、松之介は松川へと向かった。


 話は少し戻り、げんたは工藤が菊池を離れたその日から鍛冶屋のところに居た。


「なぁ~あんちゃん、今度、菊池でも潜水船を造る事になったんだけど、鍛冶屋のあんちゃんの仕事が一番大変なんだ。」


「大変だって一体どんな風にですか。」


「簡単に言うとね、船の外側に付ける風車型と水車型は別に大した事は無いんだ、だけど潜水船の中で一番難しいところは空気の取り入れ装置なんだ。」


「ねぇ~その空気の取り入れ装置ってオレしか作れないんですか。」


「そうなんだ、これはね誰にでも作れるって品物じゃないんだ、鉄の板を少しづつ削って行くんだけどその隙間は髪の毛一本以内に削らないと駄目なんだ、だからあんちゃん以外の人では絶対に無理なんだ。」


「えっ、今髪の毛一本以内の隙間って聞こえたんだけど、そんなの初めて聞くよ。」


「そうなんだ、だけど潜水船って海の中を進むんだ、だから外から空気を入れないと中に乗った人達は息が出来なくなって死ぬんだ。」


「う~ん、だけど話しだけでも大変な品物だなぁ~。」


「この絵なんだ、でんでんむしの形をした物で、上から入れて下から出す、其れだけの事なんだ。」


「だけどよくもまぁ~こんな物を考えたなぁ~、オレなんか今までそんな事考えた事も無かったんだ、そうかだから技師長なんだ、でもやっぱり技師長って凄いなぁ~。」 


 とは言ったが、鍛冶屋の職人はげんたが見せた絵を見て腕組みをし考え込んで要る。


「だったら、この被せて有る物も正確に作らなければならないのかぁ~、わぁ~こりゃ大変だぁ~。」


 鍛冶職人は改めて驚いて要る。


 これと同じ物を野洲の鍛冶屋は作ったのだと言うと。


「よ~し、野洲の鍛冶屋に作れたんだオレも絶対に作って見せるよ。」


「有難う、あんちゃん、他の水車型や風車型はまぁ~簡単と言えば簡単なんだけどね、だけど空気の取り入れ装置が作れないと潜水船は潜れないんだ。」


「よ~く分かったけど直ぐには出来ないと思うんだ。」


「分かってるよ、でもねぇ~あんまり無理はしないで欲しいんだ、オレは何日で作って欲しいとは考えて無いんだ、だからゆっくりと日数を掛けてでもいいから作ってくれればいいんだ。」


「よ~し分かったよ、じゃ~早速作りに掛かるよ。」


「あんちゃん頼んだよ。」


「そうだ忘れてたけど大きさは。」


「え~っとねぇ~、直径が一尺で幅が五寸なんだ。」


「え~そんなに大きい物なのか。」


「そうだよ、だって潜水船の大きさだけど長さが五十尺以上も有るんだよ。」


「え~五十尺ってそんな大きな船を造るのか。」


 鍛冶職人は潜水船の大きさが五十尺と聴き更に驚いて要る。

 菊池にも漁師が使う小舟は有るがそんな大きな船は無い。


「そうだよ、其れに幅がえ~っと直径なんだけど十尺なんだ、まぁ~お酒を入れる徳利って有るでしょう、あんな形だと想像すればいいんだ。」


「まぁ~其れにしても大きな船を造るんだなぁ~。」


「でもねぇ~中は鉄の棒が横に有って、その棒から今度は後ろにも長い鉄の棒が入って、その鉄の棒も鍛冶屋さんが作るんだぜ。」


「じゃ~鉄物は全部このオレが作るのか。」


「うん、そうだよ。」


「う~ん、大変な事になったぞ。」


 鍛冶職人はまたも考え始めた。


「う~ん、全部が鉄物か、でも他に何か別の物で利用出来ないかなぁ~。」


「えっ、他の物って、何処に使うんだ。」


「その鉄の棒もだけど、横だけでも十尺近くも有るんだ、其れに後ろにも行くのが半分としても二十尺以上も有るんだ、そんなにも長いくて太い鉄の棒は簡単には作れないよ。」 


「そうかなぁ~、だけどこの棒は潜水船を動かせる為の棒なんだけどなぁ~。」


「オレも分かってるんだ、だけど全部が鉄の棒で無くてもいいと思うんだ、何か他の物で強い物が有ればいいんだけどなぁ~。」


「そうか、最初の潜水船と違って数倍も大きいからそんなにも太くて長い鉄の棒って簡単には作れないの

かう~ん、だけど本当に困ったなぁ~。」


 げんたも考え始め、二人は暫く考え。


「なぁ~あんちゃん、木剣って硬い木で作るって聞いたんだけど本当なの。」


 源三郎は真剣は持たず、何時も木剣を持って要る事に気付いた。


「あの木は一番硬いと聞いてるよ。」


「ねぇ~だったらその木を細工して使えないかなぁ~。」


「そうだ、確かあの木は樫の木で木剣は全部樫の木で作ってるんだ。」


「よ~し、だったら大工さんに相談してみるかなぁ~。」


「あんちゃん、だけど鉄は必要なんだぜ、潜水船の中には大小の歯車を使うからなぁ~、其処の部分だけは鉄で作らないと駄目なんだ。」


「其れも考えるよ、其れよりもさっき言った空気の取り入れ装置だけど最初から鉄の材料を使って作るのはオレも初めてなんだ、だから少し自信がないんだ。」


 鍛冶職人はまだ自信がないと言うがげんたは何としてもこの鍛冶職人に作って欲しいと思って要る。


「あんちゃん、それだったら木材を使ってどんな物が出来るか作ったらいいと思うんだ、木材だったら柔らかいから加工も簡単だと思うんだ。」


 げんたは源三郎から仕事を受けるまで城下の小間物屋で色々な物を作っており、その頃は客の注文で木を加工する事も多く其れが鉄を材料とする作り物の原点と言っても良い。


「そうか木材を使ってどんな物が出来るのか作って見れば分かるんだ、そうか分かったぞ。」


 鍛冶屋の仕事は鉄の加工だが、げんたの言った木材を加工すると言う考えは無かった。


 潜水船は大工だけでも鍛冶屋だけでも造る事は出来ない。

 大工と鍛冶屋に、そして他の人達も建造の作業に入らなければ潜水船を造る事は出来ないと、其れはげんたが一番知って要る。


「其れで聴きたい事が有るんだけど風車型と水車型、其れに空気の取り入れ口に使う物なんだけど早い回り方をするのか。」


「そうなんだ、最初はゆっくりと回るけど次第に早く回り出すんだ。」


「だったらどれも強い物に作らないと駄目なのか。」


「そうなんだ、水車型は船の外で海水の力で回るんだ、其れを鉄の棒に付けた歯車を回すんだけど、この絵ではこの部分なんだ、だけど歯車の大きさが一尺も有るから、その歯車で今度は船の後ろに付いた風車型を回すんだ、其れで大きな歯車から棒の先に付けてた小さな歯車なんだけどこの大きさで風車型の回る速さも変わるんだ。」


「じゃ~その大小の歯車の組み合わせで潜水船の進む速さも変わるのか。」


「そうなんだ、小さい歯車だけど、う~ん、四寸五分か五寸までなんだ。」


「じゃ~歯車も最初から作らないと、だけど五寸の鉄の板だったら厚みは一寸以上は。」


「あんちゃん、心配は要らないよ、丸い鉄の板は山賀で作って貰うんだからね。」


「えっ、山賀って何処の国なんだ。」


「山賀の国ではねぇ~鉄の板を作る所が出来たんだ、あっ、そうだ松川で型枠を作って貰ったらもっと簡単に出来るんだ、よ~し。」


 菊池の鍛冶屋はげんたが一体何を言って要るのか分からないが、山賀も松川にも行き事情も分かって要る。


「なぁ~技師長、一体何の話しなんだ、オレにはさっぱり分からないんだけどなぁ~。」


「そうか、分かったよじゃ~簡単に説明するからね。」


 げんたは鍛冶屋に山賀と松川に行って来た事を話すと。


「そうか、其れでオレも分かったよ、だったらオレは丸い鉄の板を仕上げて焼きを入れればいいんだ。」


「そうなんだ、鉄の歯車でも特に小さな歯車は摩擦が激しいから何回も取り換えが有ると思うんだ。」


「だったら補修用の歯車も多く作らないと駄目だなぁ~。」


「其れも全部鍛冶のあんちゃんに頼まないと駄目なんだ。」


「う~ん、だけどこれは大変な仕事だなぁ~、だけどその潜水船って沢山造るのか。」


「其れはねぇ~あんちゃんが考える事でオレは別の仕組みを考えないと駄目なんだ。」


「其れにしても大変な仕事だなぁ~、技師長の仕事って、次々と新しい事を考えるんだから。」


「でもねぇ~オレは今一番楽しいんだ、だってこの頃は難しい事を考えるのが楽しいんだ。

 オレはねぇ~何処の誰もが考えて無かった物を考えて作りたいんだ、其れを鍛冶屋さんや大工さん達に作って貰って、オレは其れだけで十分なんだ。」


 其れからもげんたと菊池の鍛冶屋の話は続き。


 そして、明くる日の昼頃、菊池に工藤が来た。


「吉川さん、技師長は。」


「先程から何かを考えて要る様子です。」


「そうですか、分かりました。

 私は技師長にお話しが有りますのでお部屋に参ります。」


 げんたは部屋で何かを考えて要る。


「技師長。」


「工藤さんか、何か有ったのか。」


「技師長がまたも新しい事を考えておられると聴きまして。」


「そうなんだ、実はねぇ~。」


 げんたは鍛冶屋との話で樫の木を利用し鉄の棒を短くすれば焼き入れも簡単に出来ると説明した。


「実は私も考えておりまして、長い鉄の棒を焼き入れすると言うのは大変難しいと考えております。」


「其れでオレは樫の木が一番硬いって聴いたんだ、其れで長さと太さ、其れに継ぎ目の事も。」


「鉄の棒ですが長さを一尺くらいにして樫の棒を太くすれば問題は有りませんよ。」


「じゃ~その方法に決めたよ、その方法を鍛冶屋さんと大工さんに話すよ。」


「鍛冶屋さんとの話は終わったのでしょうか。」


「終わったよ、此処の鍛冶屋さんもこれから潜水船で使う鉄物を作ってくれるって、其れでもう少ししてから大工さんのところに行こうって考えてたんだ。」


「そうですか、では私もご一緒させて頂きます。」


「ねぇ~工藤さん、あれは全部終わったの。」


「官軍ですか、一千名の兵士でしたよ。」


「えっ、千人の官軍と戦をしたの。」


「そうでは無かったんですよ、実はねぇ~官軍兵と言うのが全員が領民でしてね、其れよりも大量の弾薬と火薬も手に入れましてね。」


「火薬って。」


「其れよりも重要な情報が入ったんですよ。」


「重要な情報って、正かあんちゃんが言ってた軍艦の事なのか。」


「そうですよ、軍艦がこの一年くらいで五隻建造されるんです。」


「だったら大変な事に成るんでしょう。」


「長崎の造船所で建造し佐渡に行き、異国の軍艦を買う為に金塊を略奪する計画が有るのです。」


「その軍艦って佐渡に行く為に連合国の沖を通るのか。」


「その通りでしてね、総司令も佐渡に行く事だけは何としても阻止したいと申されておられます。」


「異国の軍艦って木材で造られてるんですか。」


「いいえ、私の聴いたところでは鉄で造られていると言うのです。」


「そんな鉄の軍艦を買ったら幕府の軍艦は。」


「多分、全滅しますよ、大砲も幕府の軍艦よりも強力ですから。」


「あんちゃんは何も言わないけれど、オレもお侍さんや兵隊さんの話を聴いて分かるんだ、あんちゃんは軍艦を佐渡に行かせない為には潜水船が必要だって前にも言ってたんだ、でも五隻の軍艦を相手に潜水船が役に立つのかなぁ~。」


「其れが誰も考えもしなかった潜水船が大変重要でして、大きな船には必ず船の方向を変える為の舵が有るのです。

 官軍から手に入れました火薬を軍艦の舵に付け爆発させれば大きな軍艦は航行不能になり、海の上を漂い、兵士達の食料も飲料水も補給出来ないとなれば軍艦の兵士達は戦闘意欲も無くなり、結果的には我々の勝利と繋がるのです。」


 工藤はげんたはまだ子供だと思い兵士と言えども人間で、兵士達を殺すとは言えず、だがげんたは工藤の言った食料も無くなり戦闘意欲が無くなると言う意味は理解して要る。

 更にこの数年は源三郎から色々な話を聴いており、野洲の家臣からも聴き戦とは人間と人間の殺し合いだと理解して要る。


「ねぇ~工藤さん、だったら潜水船も多く造らないと官軍に負ける事に成るのか、そうかじゃ~オレは潜水船よりも強い物を考えるよ。」


「技師長、潜水船よりも強いものですか。」


 工藤はげんたが次に何を考え付くのか全く分からない。

 工藤が想像しても全く理解出来ないものとは一体どの様な物なのか。


「工藤さん、今度の潜水船だけど長さが五十尺も有るんだけど外に取り付ける水車型を大きく作れば少しでも早く進むと思うんだ。」


 げんたは工藤の話を聴いて次の潜水船の改良する事を考えて要る。


「まぁ~理論的には其れだけ多くの海水を取り入れますのでねぇ~。」


「だったら、中の歯車も大きくすればいいんだ。」


「其れは必要だと思いますよ。」


「じゃ~水車型の直径も一尺五寸にして大きな歯車も同じ大きさに作り変えればいいんだね。」


「小さい方は五寸でも十分だと思いますが、私も潜水船と言う船は初めてなのと、歯車だけを余り

大きくしますと何処かに負担が掛かり思わぬ事故になりかねませんので、技師長、私の提案として参号船を試験船にされては如何でしょうか。」


「そうだねぇ~オレもその方がいいんだ、壱号船も弐号船もオレは何も考え無かったんだ、だけど工藤さんの言う通りで参号船からはきっちりと、う~ん。」


「船の大きさは十分ですので基本船は参号船として歯車と水車型、風車型だけを調べる様にされては如何でしょうか、その様になれば船体は同じですから菊池でも上田でも早く造れますので。」


「そうか船だけは先に造って行けるんだ。」


「其れが今最も効率の良い建造方法では無いでしょうか。」


「オレやっぱり工藤さんに負けたよ、オレは今まで何も考えて無かったんだからなぁ~。」


「其れは違いますよ、技師長が考えられたので調べる事も出来たのです。

 今でも私の頭の中で潜水船を考える事は到底無理ですからねぇ~。」


 工藤もげんたを認めざるを得ないのだ。


 故郷に居た頃に異国の書き物にも潜水船と言う船は無く、其の時は考える事も無かった。

 

 だがげんたと言う天才は潜水具を考え、其れが基となり潜水船を考え造ったので有り、今の工藤に其れ以上の船を考える事など出来ないと言うので有る。


「だったら、大工さんに達に船体だけを造って貰うんだね。」


「調べ終わるまでには何隻建造されるのか分かりませんが、その方法で進めては如何でしょうか。」


 げんたと工藤の話しの最中に菊池の大工の親方の家に着いた。


「ご免下さい。」


「は~い、どちら様でしょうか。」


「オレは野洲のげんたって言うんですが親方は居られますか。」


「えっ、げんたって、あっ、正か野洲の技師長さんですか。」


 大工の親方が慌てて要る。


「あんた、技師長って。」


「早くお茶をお出しするんだ。」


「親方、オレの事よりも親方にお願いが有るんですが、聴いて欲しいんです。」


 何時ものげんたでは無い、其れも無理は無い、初めて菊池の大工の親方の家を訪ねたのだから。


「えっ、このわしにですか、其れで何を作るんですか。」


 大工の親方は突然げんたに頼みが有ると言われ驚いて要る。


「親方、この絵の船を造って欲しいんです。」


 げんたは何時もの調子では無い、だが親方はげんたの差し出す絵を見て更に驚いた。


「えっ、これは以前見せて貰った潜水船のですか。」


「うん、そうなんだ、菊池でも造って貰いたいと思ってるんだ。」


「えっ、技師長、五十尺って、こんなに大きな船を造るんですか。」


 親方も五十尺の船は見た事も無いので驚きの連続で有る。


「そうなんだ、親方、菊池の人達の為なんだ、何とか頼むよ。」


「う~ん、五十尺かそれにしても大きい船だなぁ~。」


 親方が見た潜水船は二十尺でさほど大きくはないが、今回造る潜水船は弐倍以上も有り、親方は腕組みして考え込んだ。


「其れにしても大きいなぁ~、わしにこんな大きな船が造れるのかなぁ~。」


 親方は少し不安だと言う顔をしている。


「親方だったら大丈夫だって、オレなんか何にも知らずにみんなに悪い事したって思ってるんだ。

 だけど官軍や幕府の軍艦に勝つ為にはこの潜水船がどうしても要るんだ、なぁ~親方頼むよ。」


 げんたは其れからも親方に五十尺の潜水船が必要だと何度も話し、親方も次第に分かって来たのか。


「分かりましたよ、わしも大工の親方と言われてますからねぇ~、わしにも意地ってものが有りますので技師長のお頼み何とかしてやって見ます。」


「親方、有難う、其れで造る場所なんだけど浜に有る洞窟の中だからね。」


「えっ、あの浜に洞窟なんて有ったのかなぁ~。」


「親方、其れが有るんだ、お城の高野さんってお侍に言えば連れてってくれるから。」


「じゃ~明日にでも若い奴らと一緒に見に行きますから、其れで何時まで造ればいいんですか。」


「其れだったら親方に任せるよ、だって親方も初めてなんだからね。」


「其れは有り難いですねぇ~、今までは何時何時迄に仕上げろって言われてばかりでしたんで。」


「ねぇ~親方、其れよりもお願が有るんだ、水が入らない様に造って欲しいんだ、海に潜って水が入ったら中の人達が溺れて死ぬ事に成るんだ。」


「わしもそんな船を造ったら世間様の物笑いになりますんでね、水が入らない様にわしら菊池の大工の意地でも造りますよ。」


「親方、有難う。」


 げんたはその後も色々と話し一時半程で親方の家を後にした。


「オレ高野さんにも話をしたいんだ。」


「勿論ですよ、これからも色々とお願いしなくてはならない事も有るでしょうからねぇ~。」


 げんたと工藤は菊池の城に向かい高野にも詳しく話しその日の夕刻野洲へと戻って来た。


「あんちゃん、帰って着たよ。」


「これはげんた、ご苦労様でしたねぇ~。」


「あんちゃん、オレ明日上田に行くぜ、其れが終わったら松川と山賀にも行きたいんだ。」


「えっ、今帰ったばかりですよ、何故そんなに急ぐのですか。」


 源三郎はげんたが潜水船の重要性を工藤から聴いたのだと思った。


「そんな事は分かってるよ、でもねぇ~工藤さんから色々な話しを聞いてね其れで潜水船を早く造らないと駄目になると思ったんだ。」


 やはり源三郎の思った通りで、げんたの話しはその後も何時終わるかも分からないほど続いた。


「まぁ~あんちゃん、そんな訳だからオレはゆっくりとは出来ないんだ。」


「げんたの気持ちはよ~く分かりました。

 では明日から馬で行って下さいね。」


「あんちゃん、有難う、じゃ~工藤さんも一緒でもいいのか。」


「勿論ですよ、其れでお母さんには。」


「まだ浜には帰ってないよ、だってオレはこのままにしては帰れないんだぜ。」


「げんた、では山賀での話が終わらなければ浜には戻らないのですか。」


「だって、今はその話が一番大事なんだぜ。」


「分かりましたよ、明日、浜の親方に話をして置きますから。」


「あんちゃん、有難う。」


「誠に申し訳御座いません。

 私が余計な話しをしたばかりに。」


「いいえ、その様な事は有りませんよ、工藤さんのお話しが無ければ連合国は今のままで気付いた時には既に遅かった言う事になっていた可能性が有りましたのでねぇ~。」


「私は吉田の言う話は本当だと思います。

 長崎の造船所で建造される軍艦を阻止する為に私は他に何か良い方法が無いか考えたのですが、やはりどの様に考えても行き付く先は潜水船と言う事に成りましたので。」


「私も同じでして、ですが潜水船の建造は連合国以外には知られない様にしなければなりません。」


「今の段階で他国が潜水船の存在を知る事は有り得ないと思います。

 例え知ったとしても潜水船を造る事は無理でして全てが技師長の頭の中に有りますので書き物だけで同じ物を作るのは不可能だと思います。」


 源三郎は工藤が何かを考えて要ると思った。


「工藤さんは何かお考えでも有る様ですが。」


「実は私も潜水船を拝見した時、中隊の兵士達にも操縦は出来ないだろうかと考えたのです。」


「潜水船の操縦をさせたいと考えておられたのですか。」


「その通りでして、我々は官軍の良いところも悪いところも知っております。

 ですが、官軍が佐渡を襲った金塊で異国の軍艦を買い入れると言うのが私は許せないのです。

 確かに戦争ですから有る程度の行為は私も我慢しておりますが、でも軍艦で戦争とは全く関係の無い人々の命を奪うと言うのが今の官軍のやり方ならば、幾ら表向きで幕府を壊滅させる為だと申しましても、何故佐渡の金塊を略奪する必要が有るのでしょうか。

 私はあの当時何も考えず軍艦の基本造りを行なっており、図面を書き上げ上層部に渡しました。

 でも一部ですが上層部の者達はこの戦争を利用し私腹を肥やす事を考えて要ると聴き上層部に対し意見を述べたところ。」


「工藤さんを左遷させろと言う話になったのですね。」


「はい、何も知らない兵士達は次々と戦死したのですが、その者達は一切大砲の弾や鉄砲の弾が届かないところで好き勝手な議論だけの任務でした。」


「そうですか、では佐渡の金塊の一部はその上層部の者達の懐に入るのですか。」


「私はその様に聴いておりました。」


 確かに工藤の言う戦争とは軍隊と軍隊の、そして、国と国との争いだが、その戦争を利用して私腹を肥やすのが許せないと言うだ。


「官軍の軍艦を沈められるおつもりですか。」


「いいえ、私は航行不能に出来れば良いと考えております。」


「航行不能になれば海上を漂流しますが。」


「はい、其れだけが問題でして漂流した軍艦が何処に向かうのか其れが分からないので、私は他の方法も考えては要るのですが。」


 航行不能となった軍艦が連合国の浜近くに着く事も考えられるが全く別の方向に向かう事も考えられる、其れよりも乗組員は一体どうなる、そして、兵士達は。


「航行不能となれば乗り込んでいる兵士達の命は悪く考えれば海上を数日、いや数十日間も漂流する事に成りますが食料は無くなるのでは有りませんか。」


「勿論です、下手をすれば全員が餓死する事も有り得ると思います。」


「では兵士達は苦しみながら死ぬと、う~ん、これは少し。」


 源三郎は兵士を餓死させるのは考えものだと、だが連合国の浜に漂着でもすれば官軍兵が食料の略奪行為に走り、その為に領民が殺される様な事態だけは避けたいと考えて要る。


「話は変わりますが、幕府軍は別として今まで官軍兵が略奪行為に走った事は有るのでしょうか。」


「私は絶対に無いとは断言出来ないのです。

 官軍の兵の中には女を犯し、殺すと言う残虐な行為に走った者も多く居ると聞いております。」


「う~ん、その様な者達は許す事など決して出来ませんねぇ~。」


「はい、私もで御座います。

 特に武士の家が狙いを付けられていると聞いております。」


「ですが何故上層部は処罰しないのですか。」


「その様な話しは決して上層部には伝わりません。

 特に小隊長になった者が犯行に及ぶと部下も良い思いをしますので密告も無いと聴いております。」


 やはりか、幕府軍では無かった残虐行為の大半は官軍が起こしていたのだと、源三郎は時には戦になる事も有るが、其れは相手が武士だけならば問題は無かった。


 だが全く関係の無い領民を残虐な殺し方で行なうとは、これだけは絶対に許せる事では無い。


「軍艦にですが乗組員と兵士の中には農民や漁民は含まれているのでしょうか。」


「軍艦には領民は乗せてはおらないと思います。

 私の知るところでは当初から全員が武士で有ると聞いております。」


「では軍艦を沈めても問題は無いと思いますねぇ~。」


 源三郎は工藤の反応を見て要る。


「領民などは当初から歩兵部隊に配属すると、其れは上層部の中に農民や町民を人間として見ていない者達が居りまして、何故ならばと申しますと、彼らも数百年間武家社会の中で生きており、幕府と同じ様に農村には人手が多いと知っておりましたので其れが農民は歩兵部隊に配置せよと。」


 源三郎の思った通りだ、一部の上層部の者達は農民は人間では無く、牛や馬と同じ様に思って要る。

 仮に突撃を命じ敵の大将の首でも取ってくれれば全て自分の手柄だと上層部に報告し、部下が上げた功績は全て我が身が上げたと、自分が部下の教育訓練を行なった賜物だと報告するだろし、兵士が戦死したとても幾らでも補充は出来る。

 其れならば幕府軍以下では無いのか、表向きは農民達民衆の為だと言ってはいるが実は官軍の上層部に要る元藩士達が悪者で有り、一番の犠牲者は他ならぬ一般の民衆だ、何が民衆の為だ、全ては我が身の為の戦争で一般民衆は言葉巧みに踊らされて要る。


 これは何としても打破しなければならないと源三郎は心に誓ったので有る。


「軍艦は沈めましょう、方法は有ると思いますので。」


 正か源三郎が官軍の軍艦を沈めよとは言わないだろと考えており、だが今はっきりと軍艦を沈めると、だが船尾の舵を破壊したところで軍艦は簡単には沈没はしない、かと言って船底はとても無理だ、何か他に方法は無いのだろうか。


「う~ん、ですが軍艦を沈めるとなると簡単では無いと思います。

 舵を破壊しても軍艦は沈みませんので。」


 工藤も考えて要る。


 げんたとの話の中で一升徳利、これくらいの大きさで有れば後部の舵付近の破壊は可能だと考えた。


「総司令、一升徳利です。」


「えっ、一升徳利と聞こえたのですがねぇ~。」


 正かお酒を入れる徳利で爆発させるとは源三郎も考えはしなかった。


「そうです、一升徳利を鉄で作るのです。」


 徳利を鉄で作る発想に源三郎も少しは驚くのだが。


「一升徳利を鉄で作るのですか。」


「はい、昨日、技師長との話の中で船の舵に爆薬を付け爆発させれば舵は壊れ航行不能になると、ですが五合徳利の大きさでは船体は壊れる事は無いと思いますので、其れならば一升徳利の大きさにし、更に肉厚の有る徳利ならばより一層の破壊力が有るとおもいます。」


 「それ程の威力が有るのですか。」


「大砲の弾の様に大きく重い鉄の塊を遠くに飛ばせば大きな木造船でも多大な損害を与えます

 火薬を多く使えば一個の一升徳利の爆発で後部は大損害を受け其処から海水が入れば軍艦が沈没する事は間違い御座いません。」


「分かりました、では松川で型枠を作り山賀で一升徳利を作る事にしましょう。」


 話は実に簡単に決まり、げんたと工藤、更に吉川、石川の四名は明くる日早朝野洲を馬で出発した。


「あの~オレは野洲のげんたって言うんですが、斉藤さんに大急ぎで会いたいんです。」

 

 松川の門番は驚きの表情をし、侍が三名で一人はまだ大人では無いが斉藤を知って要る。


「少し待って下さいね。」


 大手門詰めの家臣が斉藤が居る執務室へと駆け込んだ。


「斉藤様、野洲のげんたと。」


「えっ、技師長がですか、分かりました大至急お連れして、其れと若殿にもお伝え下さい。」


 げんたが突然松川に来るとは知らなかったが突然来ると言うのは余程の事態が起きたと直感した。


 其れも馬で来るとは。


「一体何が有ったんですか。」


 斉藤はげんたと吉川、石川は知って要る。


「まぁ~部屋の方に、其の前にお食事は。」


「そうか、オレはまだ食べて無かったんだ。」


「誰か方々の昼餉を至急に頼みます。」


 其の時、若殿が執務室に入って来た。


「技師長が突然来られたと聴きましたので。」


「若殿、其の前にこの人なんだけど、元官軍の人で軍艦の基本を考えたんだ。」


「技師長、宜しいでしょうか。」


「うん、いいよ。」


 げんたも工藤を紹介するつもりだったが。


「私は工藤伸太郎と申しますが、実は大変な事態が起きたので御座います。」


 工藤は野洲での事件と言うのか一千名の兵士の元部下の話をした。


 執務室に詰める松川の家臣達は大変な驚き様で、更に官軍の軍艦五隻がこの一年程で完成し佐渡で金塊を略奪し、更にその金塊で異国の軍艦を買い入れるとの話しをし、源三郎は官軍の軍艦を撃沈せよとの命令を下したと全てを話すと。


「お話しはよ~く分かりました。

 其れで我々は一体何を致せば宜しいのでしょうか。」


「はい、実は陶器で一升徳利と五合徳利を数個づつ作って頂きたいのです。」


「えっ、一升と五合の徳利をですか。」


「はい、其れを次に山賀に持って参りまして鉄の徳利を作りたいのです。」


「そうですか、承知致しました。

 では今から窯元のところへ参りましょうか、其の前にお食事を。」


「オレはもう腹が減って動けないよ。」


「お腹いっぱいに食べて下さいよ。」


 げんたは野洲を早く出たので腹が減ったと、其れは工藤も吉川達も同じで運ばれて来た食事を美味しそうに食べ、食事が終わると、若殿と斉藤、更に数人の家臣が同行し、げんた達を窯元のところへと案内し、窯元に事情を話すと窯元は直ぐに作ると約束した。


「斉藤さん、其れを山賀に。」


「分かりました、型枠が完成次第山賀の松之介へ送りますのでご安心下さい。」


「其れと松川でも潜水船の建造をお願い出来れば思っております。」


 松川の大工も野洲で潜水船を見て要るがやはり驚きの連続で有る。


 大工の親方の家には鍛冶屋も来て話を聴いており、鍛冶屋は余りにも突然の話で驚きよりも幕府軍か官軍の軍艦が今にも攻めて来ると勘違いしている。


 今まで深刻な事態では無かったのが余計な誤解となったのだろうか、だが大工の親方も鍛冶屋も次第に落ち着きを取り戻して行く。


 げんたと工藤の話は夕刻、いや夜まで続いた。


「技師長さん、オレが本当に作れるのかなぁ~。」


「鍛冶屋さんは松川で一番の腕利きでしょう、オレなんか壱号船を作った時なんか誰も教えてくれなかったんだぜ、オレ見たいな素人でも出来るんだから絶対に大丈夫だよ。」


「鍛冶屋さん、我々も協力させて頂きますので宜しくお願い致します。」


 若殿は鍛冶屋と大工の親方に手を付き頭を下げた。


「お殿様、オレ達なんかに頭を下げては駄目ですよ。」


「何故ですか、私はお願いする立場なので頭を下げるのは当たり前だと思っております。」


 此処でも源三郎と同じだと、松川の藩主が城下の領民に手を付き頭を下げており、其れが連合国では当然の様になっていると改めて源三郎の存在は大きいと思ったので有る。


「お殿様、わしらに出来る事は何でもします、ですがわしらにはお城やお侍様のお屋敷の修理の仕事も有りますので、直ぐにとは行かないんですが何時頃まで潜水船を造れば宜しいんですか。」


「親方、お城と家臣達の家の修理ですが、今日からは中止して頂きまして潜水船の建造を最優先にして頂きたいのです。」


「えっ、そんな事が許されるんですか。」


「私が許しますのでね何も心配される事は有りませんよ、親方、私達の事は何時でも宜しいのです。」

 松川もですが我々の連合国が生き残ってからでも十分だと思いますよ、お城と言うのは頑丈に造られておりますのでね。」


「ですが、お侍様は。」


「私が全ての家臣に伝えますのでね。」


「なぁ~親方、オレはねぇ~、野洲のあんちゃんが官軍か幕府軍の奴らが浜に上がってオレの母ちゃんやねぇ~ちゃん達が殺されるって聞いたんだ、あんちゃんはねぇ~オレ達の事ばっかり考えてるんだ、どんな事が有っても領民だけは助けるんだって、だからオレも必死で潜水船の改良を考えてるんだ。

 オレは親方の気持ちも分かるよ、だけどねぇ~官軍や幕府の軍艦に攻められたらオレ達の国の人達全員が殺されるんだぜ、オレはねぇ~絶対に母ちゃんやねぇ~ちゃんを守るって決めたんだ、だから親方の力を貸して欲しいんだ、だから頼むよ。」


 やはり若殿との違いだ、げんたの話は現実味を帯びているのだと工藤は思った。


「お殿様、よ~く分かりました。

 わしは命を掛けて潜水船を造りますんで。」


「親方、有難う、其れで潜水船の建造ですが、何時までとは申せませんので親方にお任せいたします。」


「えっ、でも官軍の軍艦が。」


「親方、官軍の軍艦も今直ぐに出来るのではないのです。

 ですから親方の都合で遅くなったとしても誰からも文句は言わせんませんよ。」


「はい、じゃ~明日からでも始めますんで。」


「まぁ~まぁ~親方、何も其処まで急ぐ事は有りませんよ、其の前に他の人達と打ち合わせも要ると思いますのでね、其れからでも十分だと言う事ですよ。」


 松川の若殿も潜水船の建造を最優先にと考えて要る。


 その後もげんた達は松川の大工や鍛冶屋との話は遅くまで続き山賀へは明くる日に向かう事になり、次の日の早朝げんた達は山賀へと馬を走らせ。


「あの~、オレは野洲のげんたって言いますけど、吉永さんに会いたいんですが。」


 山賀の門番は驚いた。


 突然馬で来たと思いきや、山賀のご家老様を名指しで呼ぶとは一体何者だと思うが、傍には工藤達侍も同行しており、これは大変だと思い門に詰めていた家臣に伝えると。


「えっ、野洲のげんたと申されたのですか。」


「はい、後はお侍様で。」


「そのお人は野洲の技師長ですよ、直ぐご家老に伝えて下さい。

 野洲から技師長から馬を飛ばして来られましたと。」


 門番は別の家臣に伝え、家臣は大急ぎでご家老の元へ知らせに向かい、暫くして吉永が飛んで来た。


「げんた、いや技師長突然に何か野洲で起きたのですか。」


「うん、其れで馬を飛ばして来たんだ。」


「義兄上に何か有ったのですか。」


 大手門の門番は驚き目を丸くしている。


 若様もご家老様もげんたを知って要ると言う事はげんたとは相当な大物だと。


「若様、お久し振りです。」


「其れよりも部屋に入りましょうか。」


 山賀にも執務室が有り、若様とご家老はげんた達を其処へ案内した。


「其れより一体何が有ったんですか。」


「其の前にこの人なんだけど工藤さんって言って元官軍の中佐なんだ。」


「ええ、私も存じておりますよ、確か野洲の山で。」


「はい、あの時は大変失礼致しました。」


「いいえ、その様な事は別に宜しいので、其れよりもお話しを聞かせて下さい。」


「吉永さん、実はねぇ~。」


 げんたは若様と吉永に今までの経緯を詳しく話した。


「う~ん、これは容易ならぬ事態ですねぇ~。」


「うん、其れで昨日松川の窯元さんに徳利をお願いしたんだ、出来上がったら山賀に送って欲しいってお願いして来たんだ、其れでね山賀で鉄の徳利を作って欲しいんだけど。」


「鉄の徳利ですが何に使われるのですか。」


「その話は工藤さんが詳しいんだ。」


「若様、ご家老様、私からご説明させて頂きます。」


 この後、工藤は何故鉄の徳利が必要なのか詳しく説明した。


「では官軍の軍艦が連合国の沖を通過するのですか。」


「私の得た情報ですが、先日、投降しました元官軍に吉田の話しですので間違いは御座いません。

 吉田も元私の部下で信頼しており、吉田の話で連隊長と言うのが何故か分かりませんが全てを知っておりその連隊長と連隊長の部下で有る隊長達の話を聴いたと言っておりましたので。」


「ですが、潜水船の建造ですが。」


「其れに付きましては先日菊池へ参り、大工さんと鍛冶屋さん達にも協力して頂けると承諾を得ております。

 昨日、松川へ参り若殿と斉藤様にも同じ内容の説明をさせて頂き、大工の親方と鍛冶屋さんにも承諾を得たので御座います。」


「お話しはよ~く分かりましたが、行き成り軍艦に取り付け爆破させるのは少し危険では御座いませんか。」


「私も十分に理解しておりますので事前に試したいのですが、浜の舟は全て小舟でして漁師さん達の大切な小舟を爆破は出来ませんので何処かに試す所は御座いませんでしょうか。」


「若、山賀には浜は有りませんが、断崖絶壁が有りますよ。」


「あ~あの断崖絶壁ですか。」


「はい、あの場所ならば誰も近付きませんので試すには好都合だと思うのです。」


「ご家老、ではその場所で試す事にしましょうか。」


 山賀でも若様の結論は早い、やはり源三郎のやり方なのかも知れないと工藤は思った。


「では、早速火薬を数樽運び込みます。」


 話は進み、工藤も今まで鉄の徳利で爆弾を使った事は無いが、官軍の思い通りにはさせる事は無い。

 源三郎も軍艦を佐渡に行く事を何としても阻止したいと、其れは連合国の誰もが思うのである。


「若様、その他にも有るのですが宜しいでしょうか。」


「はい、勿論です、山賀に出来る事が有るならば何でも協力させて頂きます。」


「誠に有難う御座います。

 お願いと申しますのは、先日も技師長とお話しをさせて頂いたのですが、野洲で造る参号船を試験専用船とする為に数種類の歯車が必要になるので御座います。

 歯車の型枠も松川の窯元にお願いしておりまして型枠が出来次第山賀に送って頂く事に成っております。」


「では、其の型枠で数種類の歯車をと言うよりも丸い鉄の板を作れば宜しいのですね。」


「左様で御座いまして、後は野洲の鍛冶屋さんにお任せする事に成っております。」


「野洲の大工さん達は今頃参号船を造り始めて要るからなんだ。」


「そうだ、山賀の空掘りで相当数の歯車を作った物がまだ数十個残っているのですが、一度この歯車も試しては如何でしょうか。」


「あっ、そうか、あの歯車が有ったんだ、じゃ~その歯車を持って帰って。」


「荷車で無ければ運べませんよ。」


「えっ、そんなにも重いのか。」


 げんたはあの時大小の歯車を作って欲しいと正太に頼み、其れが数十個も残って要る。


 歯車は小さい物でも五寸で大きい歯車となると一尺五寸も有り、更に厚みも一寸以上も有り、其れが数十個ともなれば荷車が無ければ運ぶ事は出来ない。


「数日の内に野洲へ運ばせますから。」


「工藤さんは其れでいいのか。」


「私は若様の申される通で宜しいかと。」


「じゃ~若様、頼むよ。」


 工藤はげんたがどの殿様に対しても平気な顔で要る事、其れは潜水船を考案したと言う自信なのかと不思議でならないので有る。


「オレは明日の朝上田に行ってから野洲に帰るよ。」


「上田にも行かれるのですか。」


「そうなんだ、潜水船を造れるのは菊池から松川までの洞窟だけなんだ、でも先に松川行ったから帰りに行こうと思ってるんだ。」


「其れは大変ですねぇ~、其れと先程の歯車の件ですが、正式に決まれば何個が必要なのですか。」


「私もまだ何隻建造せよと総司令から命は受けてはおりませぬが、最低でも五隻建造しなければないと考えております。」


「では、当面は五隻分が必要になるのですね。」


「詳しくは後程総司令から各国に伝えられると思いますので。」


「分かりました、ご家老、我が山賀は潜水船の大事な歯車を作る役目が出来ました。

 今後は私が先頭になりまして無事に潜水船が完成出来る様に歯車を作りたいと思います。」


「若、私も山賀が参加出来る事に対し喜びを感じておりますぞ。」


「ご家老様、私も今は何故だか分かりませんが、官軍に居りました頃よりもこれが本当に任務だとは思わずに楽しく仕事をさせて頂き、毎日が充実しております。」


「工藤さん、源三郎と申される人物ですが何時も領民の事を考えておられ、我ら武士足る者は領民の幸せを優先し、その為にどの様な策を考え、如何に実行して行くのかを示されておられます。」


「私も野洲に着て初めて自らの仕事が分かった様に思えるので御座います。

 今は総司令も申されておられますが、官軍の軍艦が佐渡に行く事をどの様な策を講じれば阻止出来るのかを考えております。」


「源三郎殿は人を裏切る様なお方では御座いませぬ。

 工藤さんも其れだけは十分に承知して置いて下さい。


「私も今は総司令を心から信頼しており、全てを投げ打ち阻止致します。」


「ですが、よ~く考えて見ますと良くぞお二人は潜水船の建造方法を書き留められましたねぇ~。」


「吉川さんと石川さんはオレの話を全部書いてたんだ。」


「ですが、菊池と上田、松川にも同じ書き物が。」


「私と石川殿が相談し若しやと思い同じ物を三冊作ろうと考えたので御座います。」


「若、ですがお二人は大したお方ですなぁ~、私にはとても無理ですよ。」


 吉永も彼らを知って要るが、やはり源三郎の大抜擢が今に有るのだと、其れは源三郎には先見の明が有るとでも言うのだろうか。


「ご家老様もご存知の様に私達は下級武士で御座いました。

 ですが、総司令は私達だけでなくご家中の皆様方を適材適所のお役目をお願いされ、今では皆様方は今まで以上に積極的になられご自分のお役目以外も持たれておられ、私達はまだまだで御座います。」


「いゃ~其れは無いとおもいますよ、義兄上がお二人にお願いされたお役目は野洲だけでは無く連合国全ての為で誰にでも出来るお役目では無いと私は思っております。」


 吉川と石川の仕事はげんたの話を全て書き写すと言うが、其れは彼ら二人には最適な仕事で有ると。


「ですが最初は大変だと思いましたが。」


「でも技師長が最初に申されましたのが、オレは読み書きが出来ないから他の人達にも何か残して置きたいと、ですが其の時は野洲だけで、正か潜水船を他国で建造するとは夢にも思っておりませんでした。

 翌々考えますと、他の人達とは他の国を示すのだと、其れで一応三カ国分を書き写したので御座います。」


「私も大変だったと今は感心致しております。」


 工藤は改めて吉川と石川が書き写した潜水船に関する書き物を読みたいと思うので有る。


「では原本は野洲に有るのですか。」


「はい、全て野洲に御座います。」


「オレも色々と考える事が有るんだ、今は潜水船だけじゃないんだぜ。」


「ではまた他の何かを考えて要るのですか。」


「まぁ~ね、だけど今みんなに話しても全然分からないと思うんだ、まぁ~その内に分かるから楽しみにして、そうだ、若様、オレ達明日も早いから。」


「直ぐにご飯の用意をしますから少し待って下さいね。」


 その後夕食も終わり、げんた達は明日の早立ちの為早めに床に入った。

 翌早朝にげんた達は上田に向かい、阿波野にも菊池と同様の説明を行ない、阿波野も翌日から大工達と鍛冶屋に説明し、そして、げんた達はその日の夕刻要約野洲へと戻って来た。


「あんちゃん。」


「大変ご苦労様でしたねぇ~、皆様方もお疲れだと思いますが。」


「まぁ~少しだけど、でもみんなよく分かってくれたと思うんだ、なぁ~あんちゃん、其れも全部工藤さんのお陰なんだぜ。」


「いいえ、私は全て事実を申し上げただけでして、やはり技師長は素晴らしいですよ。」


「工藤さんもお疲れでしょうから数日はゆっくりとお休み下さいね。」


「有難う御座います。

 ですが松川の窯元さんに作って頂く五合徳利と一升徳利を。」


「まぁ~まぁ~工藤さん急いでは事を仕損じると申しますからね、松川の若殿にお任せしましょう。」


「ですが、私も責任が有りますので。」


 官軍にいた頃とは全く別人の様で、官軍では余り積極的には行動せず、其れは官軍の上層部は何か事が起きると直ぐ責任の所在を明確にせよと、其れが原因なのか多くの将校達も積極的には発言せず参加もしなかった。


 工藤もその中の一人で、だが野洲に着てからは源三郎も他国の殿様方も責任の所在とは一度も触れず、其れは何度も失敗が有り、失敗の積み重ねが何れ成功に導くのだと、源三郎が常日頃から言っている。


 今の工藤は失敗する事も成功に繋がると思って要る。


「松川の窯元さんから山賀に届けられ、まぁ~それからですよ、山賀からは必ず連絡が有りますからね、其れからでも遅くはないと思いますよ、まぁ~焦らずにのんびりと行きましょう。」


 源三郎も分かって要る、今直ぐに出来る事では無い、焦りは禁物だと、焦れば出来る物でも出来ないのだ言うので有ろうか。


「はい、承知致しました。」


「げんたは今から帰るのですか。」


「そうなんだ、明日の朝、親方と話も有るからなぁ~。」


「分かりましたよ、でも陽が暮れてきましたので、誰かを。」


「私がご一緒致しますので、技師長と親方のお話しも伺いたいのす。」


「そうですか、げんた、では工藤さんと一緒に帰って下さい。」


「うん、そうするよ、寝るところも有るから大丈夫だよ。」


 其れから暫くしてげんたと工藤は馬上の人となり馬の背に揺られながら久し振りの浜へと帰った。


「山賀で潜水船を五隻も要るって言ったけど、今から本当に間に合うのかなぁ~。」


 げんたは五隻もの潜水船を建造出来るのか不安になっている。


「私は建造出来ると思っております。

 若しも、五隻が無理ならば三隻でも仕方が無いと考えております。」


「だけど官軍は五隻の軍艦でしょう、一体どうすれば間に合うんだ、う~ん。」


「若しも三隻ならば、私が戦法を考え直しますので心配される事は有りません。」


 工藤は三隻でも仕方が無いと考えて要る。


 五隻と三隻では自ずと戦法も変わる、工藤も戦法を考え直すと言ったが、若しも二隻、いや一隻でも佐渡に着けば大変な事に成る。


 果たして工藤はどの様な戦法を講じるのか。


「私は参号船で行なう訓練が大事だと考えております。」


「えっ、参号船でやる訓練が大事って、だったら中隊の中から選ぶのか。」


「いいえ、以前の官軍で有れば司令部からの命令と言う事で人数を集め訓練を行いました。

 ですが今回は潜水船と言う官軍と言うより我が連合軍の中でも知らない船で我々にとっても未知の世界でして、どの様な訓練が必要なのか、其れも全く分からないのです。」


 工藤の話は最もで最初に乗った元太も訳が分からない状態で、だが其れは単に潜水船に乗った言うだけで戦闘訓練では無い。


 参号船が完成すれば自ずと戦闘訓練を行なわなければならないので有る。


「じゃ~参号船で訓練に入りたいと言う人だけ集めるのか。」


「私も正直なところ全く集まらないとは思っておりません。

 ですが海上の軍艦とは全く異なる潜水船ですので最悪の場合は中隊長と小隊長に訓練を受けさせなければならないと考えております。」


 だがげんたは意外と楽観的に考えて要る。


「それだったら漁師の元太あんちゃんが教えてくれるよ。」


「漁師の元太さんですか。」


 確かに漁師ならば海の事は全て知って要る。


 だが、今度ばかりは中隊長と小隊長達を除き全員が農民達で陸の上で有れば何も文句は無いが、果たし

て海の中ではどうなのだろうか。


「全員が農村の出なので果たして海の中と言うのをどの様に考えるかでして、私も全く予想がのです。」


「訓練に使うんだったら弐号船でもいいと思うんだ、参号船は大きくなるけれどオレは弐号船も参号船も同じだと思ってるんだ。

 参号船も直ぐには出来ないし其れだったら弐号船で訓練をやればいいんだ。」


「其れならば大いに助かります。」


 工藤は弐号船の内部を知って要るのではない。


 潜水船の操縦方法を学ぶ事の方が大事で船の大小は関係は無い。


「其れにねぇ~、元太あんちゃんや野洲のお侍さんが、あっそうだあの人達だったら最高だと思うよ。」


「あの人達とはどなた様なのですか。」


「え~っと、オレも名前が思い出せないんだ、あんちゃんだったら知ってると思うんだけどなぁ~。」


「分かりました、後日でも総司令に伺ってみますので、私も弐号船内を見ておりませんので明日にでも拝

見させて頂きたいのです。」


「いいよ、じゃ~明日ね。」


 その様な話しの途中で浜に着いた。


「母ちゃん。」


「あらまぁ~げんた一体何処に行ってたのよ、母ちゃんは。」


「母ちゃん、オレは何ともないぜ、母ちゃん、オレは。」


「分かってるよ、何時でも食べれる様にして有るから、直ぐに。」


「母ちゃんのご飯って最高に旨いんだぜ。」


「さぁ~さぁ~何も有りませんが、元太さんがねぇ~さっき片口鰯を持って来てくれたのよ。」


「へぇ~片口鰯か、オレはその魚が一番好きなんだ。」


「そんなに美味しいのですか。」


「まぁ~食べたら分かるよ。」


 工藤は今最高に幸せだと感じている。


 故郷では味わう事の出来ない会話が野洲では日常的でどの殿様方と話をするのも気兼ね無く出来る。


 何事に置いても四角四面では無く、お城の侍は領民の為だと、領民はお城の侍の為だとお互いの気持ちを尊重し合うので何故か上手く回っている様な気がして要る。


 今では千五百人の元官軍兵も各国で満足する待遇を受け、今では元官軍兵だと言われる事も無い。


 元官軍兵と言っても殆どが農村と漁村からの者で食べ物がどれ程大切を知っており、其れがお互いの共通点なのかも知れないと工藤は思った。


 そして、明くる日、漁師の元太の小舟に乗り洞窟に入った。


 其処では早くも参号船の建造が開始されて要る。


「親方。」


「お~げんたか元気そうだなぁ~。」


「オレもあれから忙しかったんだ。」


「まぁ~げんたの事だから全部手配も終わったから戻って来たんだろうからなぁ~。」


「そうなんだ、其れで親方これからの一年で何隻の潜水船が造れるのか知りたいんだ。」


「なぁ~げんた一体何が有ったんだ。」


「その話はするけど、銀次さん達は。」


「銀次さん達は全員で山に木材の調達で行ってるんだ。」


 銀次達は参号船と次の数隻分に必要な木材を調達する為にこの数日間山に入って要る。


「親方、オレよりも工藤さんの話を聴いて欲しいんだ。」


 親方もげんたが何時もと違うと感じていた。


 何時もならばげんたが簡単な話で終わるが、今回は工藤が説明すると言う。


「何か大変な事が起きた様だなぁ~。」


 親方も早く聴きたいのだと言う表情で有る。


 「では説明をさせて頂きます。」


 工藤は親方にこの数日間野洲で起きた事を全て話すが、別に作り話をする必要も無かった。


「よ~く分かりましたよ、げんた、わしらでどれだけの潜水船が造れるのか分から無いが銀次さん達にも

手伝って貰うから何も心配するな。」


「親方、有難う。」


「いや、いいんだ、げんたは頭で、わしらは身体を使って潜水船を造るからなぁ~、だけど少し困った事

が有るんだ。」


「親方、何が有るんだ、オレにも聞かせてよ。」


「なぁ~げんた、此処じゃもう狭いんだ、後、三隻も造れば其れ以上は造れ無いかも知れないんだ。」

 

 参号船は大きい、一隻の大きさが半町も有り野洲の洞窟内では三隻が限界だと言う、何か方法は無いのか、其れで無ければこの一年で五隻の潜水船を造る事は無理だと。


「う~ん、其れは困ったなぁ~。」


 さすがのげんたも建造する場所の事までは頭には無かったのだろうか。


「菊池と上田、そして松川でも造れると思いますが。」


「えっ、そうかオレ達はその為に行ってたんだ、そうだよ、親方、菊池でも造る様に頼んだんだ。」


 だがげんたの話しだけで菊池や上田で本当に潜水船を造る事は出来るのだろうか。


「そうだ、上田と松川の洞窟は繋がってるんだ、親方、オレ上田に行ってくるよ。」


「其れだったらわしも大賛成だ、上田の洞窟は松川に通じてるからなぁ~、よ~し、わしらもこの洞窟で造ってるから、げんたは菊池か上田のどちらかに決めてくれ。」


「分かったよ、明日にでも行ってくるよ。」


「私は少し休まれた方が良いと思います。

 幾ら親方が頑張って頂いても一日や二日で潜水船を三隻も造る事は不可能ですからねぇ~。」


「なぁ~げんた、工藤さんの言う通りだ、わしらが三隻目に入ってからでも大丈夫だからなぁ~。」


「親方、工藤さん、オレが急ぐのは今度の潜水船は大きいからで、幾ら洞窟の中が広いって言っても入り口が狭いと出入りが出来ないんだぜ。」


「そうか、野洲とは違うんだ、若しかすると出入り口を広げる工事が有ると言う事なんだな。」


 げんたは上田から松川に通じる洞窟内の大きさは聞いて知って要る。


 だが上田も松川も出入り口が狭い、問題はその出入り口なのだ。


「だからオレは早く行って調べないと工事が必要だったら工事の日数も考えないと全部が駄目になると思

うんだ。」


「では私もご一緒させて頂きます。」


「工藤さんは明日あんちゃんに会って話しをするのと潜水船の操縦するお侍と中隊の兵隊さんに話をして欲しいんだ、運が良かったら明日から訓練に入れるから、其れに五隻分の人達を集めて欲しいんだ。」


 さすがにげんただ、工藤はげんたの指示が正しいと。


「分かりました、では、私は明日の朝、いや、今から総司令に会いに参ります。」


「親方、銀次さんには。」


「わしらに任せよ、此処の事は銀次さん達と協力して行くから、げんたは上田の洞窟を調べてくれ、其れで何人の大工が手伝えるかも頼む。」


「うん、分かったよ、親方、有難う。」


「何も気にするな、後の事はわしらがやるから。」


「じゃ~、オレも今からあんちゃんのところへ行って話してくるよ。」


 げんたと工藤はまたも馬に乗り源三郎に会う為お城に向かった。


 はたして、この一年間で五隻の潜水艦は完成するのか、更に中隊からは何人の希望者が出るのか、げんたも工藤も考え事をしながらお城へと急ぐので有る。




         


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ