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闇の帝国    作者: 大和 武
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第 119 話。 日本国とロシアとの違いとは。

ロシアとの一大戦争が勃発する、ではと日本国政府は何も手を拱いていた訳では無いが、実のところ日本国政府の中にもロシアとの戦争は避けるべきだとの声も有った。


 だが国内ではどんな事が有ってもロシアとの戦争に勝利しなければ日本国の未来は無いと言う声が大勢を占めて要る事も確かで有る。


「お前はオレ達が奴隷にされてもいいと思ってるのか。」


「いや、オレは何もそんな事は言って無いんだ、ただ。」


「ただなんだよ。」


「おい、ただなんだよ。」


「オレは戦争がもう嫌なんだ、戦争になると大勢が死ぬんだ、だから戦争には反対なんだ。」


「じゃ~お前はロシアに行って話せよ、戦争は止めて下さいって言って来いよ、だけど奴らはお前の言う事なんか絶対に聞かないぜ。」


 だが果たして今のロシアが日本人の言う事を聞くであろうか、その様な事は誰が考えてもわかっており、だが日本国中でこの様な会話が、いや議論がなされて要るのも確かで有る。


「陸軍はあの高地を攻略出来るのですか。」


「私はどんな犠牲を払ってでも攻略しなければならないと考えております。」


「だが若しも、若しもだ多大な犠牲を払って攻略出来なければ一体どうなるんだ。」


 陸軍の高官は多大な犠牲を払ってでも高地を攻略しなければならないと言うが、若しも攻略出来なければ一体どうなるんだと詰め寄られ。


「若しもですが攻略出来なければ、下の湾に潜む艦隊が本国の艦隊と合流する、そんな事態にでもなれば今の日本国海軍では絶対に勝つ事は不可能で、陸軍と海軍が共に勝利出来なければ日本国はロシアの植民地となり、子孫の代まで、いや今後数百年間は地獄の生活を味わう事になるのです。」


「では陸軍としてどんな事が有っても攻略させると申されるのですか。」


「其れは勿論で、例え日本人の半分が戦死したとしても攻略させます。」


 陸軍はこの一戦に全てを懸けて要ると言う、だが海軍も同じなのか。


「其れでは海軍にお伺いしますが、今の海軍でロシアの大艦隊を撃破出来ると言えるでしょうか。」


「私が素直に申しますと、確かに日本海軍は連日猛訓練を行っておりますが、其れでも他の艦隊が合流すれば、今の力ではまず勝利する事は不可能に近いのです。」


「何ですと、では海軍の総力を上げても勝つ事は出来ないと申されるのですか、う~ん、何とかならないのか。」


「ではお伺いしますが、ロシアの艦隊は百戦錬磨の艦隊ですよ、ですが我が日本海軍は今まで一度と言っても過言ではない程に大海戦を経験しておりません。


 日本中の、いや世界中の軍関係者はどんな戦法を取ってでも日本海軍が勝利する事は有り得ないと考えて要るのです。」


「う~ん、そんなにも日本国は遅れて要ると言う事なのか。」


「私は何も日本国が遅れて要るとは考えてはおりません。


 ですがよ~く考えて頂きたいのです、明示新政府が設立されて一体何年が経過して要ると思われますか、私はこの十数年で驚くべき発展して要ると考えておりますが、皆様方は如何お考えで御座いましょうか。」


 海軍の高官の言葉に出席して要る各大臣達は返答出来ないのか、誰も言葉を発しない。


「皆様方は何も申されませんが、心の中では全てご理解されて要ると思います。


 ですが私達日本海軍は世界をあっと言わせる為にはどんな戦法を取ってでもロシアの大艦隊を撃破したいのです。」


 高官の言うどんな戦法を取ってでもロシアの大艦隊を撃破したいと、では一体どの様な作戦が考えられるのだろうか。


「ではお伺いしたいのですが、ご貴殿が今申されましたがどんな戦法を取ってでもと申されました。

 ではご貴殿が今申されましたがどんな戦法を取ってでもロシアの大艦隊を撃破したいと申されますが、一体どの様な作戦を考えられておられるのですか。」


「いいえ、其れがまだ計画はされておりませんが。」


「えっ、何ですと、まだ計画がされていないと申されましたが、其れは何故で御座いましょうか。」


 出席して要る者達は驚きの余り唖然として要る。


「作戦の立案と申しますのは簡単に出来るものでは有りません。


 敵方の分析がまず第一で御座いまして、ですが今はその様な時期では無いと考えて要るのです。」


「何故ですか、私は早急に纏めるべきだと思って要るのですが。」


 やはりだ海軍の高官が何故今では無いと言って要るのか全く理解しておらず、高官も余り積極的に説明する必要は無いと思った。


「左様ですかねぇ~、では私も今一度考えて見ますので。」


 と、海軍の高官は説明を止めた、だが陸軍だけは別の考え方が有る様だ。


「我々陸軍は大増員しなければならないと考えて要るのです。」


「陸軍は大増員ですか。」


「陸軍は海軍にロシアの大艦隊を撃滅して頂く為には半島の付け根に有る高地を攻撃しなければならないと考えておりまして、その為には大量の兵士が必要なのです。」


 陸軍は高地を攻略しなければ半島の付け根に有る軍港からは大艦隊が出撃すると、若しもこの大艦隊と本国からやって来る大艦隊が合流する様な事態にでもなれば日本海軍は全艦撃沈され、そのまま日本本土へと攻撃を掛け、日本国は数日で完全に鎮圧される事は間違い無い。


「では陸軍としては何千人くらいの増員の予定なのですか。」


「えっ、何千人ですと、我々としては数十万、いや百万人でも少ないかも知れないのですぞ。」


「何と申された、百万人でも少ないと申されましたが、何故にそれ程まで必要なのですか。」


 軍関係者でも無い政治家は近代戦争を全く理解していないと陸軍と海軍の高官は思った。


「皆様方は欧州の国々が我が国の昔と同じ様に武士、いや騎士同士の戦をやって要るとでも考えておられるので有れば、其れは飛んでも有りません。


 我々が持っております武器の全てが欧州の国々で考案され製造されたのです。

 

 更にその武器を使いこなすだけでも其れはもう大変で御座いまして、兵士は毎日必死で訓練を行って要るのです。」


「えっ、新型の武器を使いこなすとはそんなにも大変なのか。」


 出席して要る者達は兵士の訓練が大変だと初めて聞かされ大変な驚き様で有る。


「ですが、兵士の訓練は其れだけでは有りませんので、背嚢の中には十貫目の荷物が入っており、十里以上の行軍を行うのです。」


「いゃ~それ程にも厳しい訓練を行って要るとは説明を伺うまで全く知りませんでした。」


 陸軍と海軍の高官は政治家の認識がこれ程にも酷いとは今初めて知ったので有る。


「皆様方にお伺いしたいのですが、ロシアと言う大国がどれ程強大なのか知っておられますか。」


「今強大と申されましたが、大きさと言う事ですか。」


「まぁ~その様に解釈して頂いても宜しいですが。」


「大きさは日本の十倍くらいですかな。」


「いいえ、飛んでも有りませんよ、東の端は北海道と申しましてもお分かりにならないと思いますが、蝦夷地から西は大陸の端まで数万里も有るのです。」


「今、数万里と申されましたが、誠なのですか。」


「はい、本当で、ではこの地図を見て頂ければ分かります。」


 と、陸軍の高官が大臣達の前に出した。


「此処から、此処までがロシアと言う最強国の領土で御座います。」


 全く世界の状況を知らない大臣達は驚きよりもロシアと言う国家の大きさに呆れ果て唖然として声も出ない。


「わかって頂けましたでしょうか、皆様方がご覧になって要るロシアと一大戦争をやろうとして要る日本国は東の端に有る、この小さな島国なのです。」


「えっ、これが日本国なのか。」


 大臣達もだが出席して要る者達全員から驚きの声が上がった。


「左様で、これが我が国で大陸に有るこれがロシアと言う大国で、ロシアが我が日本国を植民地にする為、大艦隊で攻撃して来るのです。


 皆様方、ご理解して頂けましたでしょうか。」


「よく分かりましたが、今後は集めた兵士達を訓練されるのですか。」


「我々はただ訓練するだけでは有りません。

 今の世界を知る為に多く知識を学ばせる必要が有るのです。」


 兵士達に一体何を教える必要が有るんだと大臣達は思って要る。


「皆様方もですが、全ての日本人が何故ロシアと戦争しなければならないのか知らない兵士も多く要るのです。」


「だが何故知る必要が有るんだ。」


 と、厳しい口調で迫る大臣が居た。


「ではお伺いしますが、ご貴殿のご子息が戦地に向かう事になったとしたら、どの様なお気持ちですか。」


「えっ、何故に我が息子が行くと決まったんだ。」


「ご貴殿は何もご存知無いようですが、今回は日本国民の男子で十八歳から二十五歳までで身長は五尺五寸から六尺まで、其れと見た目で肥満で無い事や病気で無い事など色々と有りますが、それから身体検査時に分かりますので、我々は日本国男子に対し徴兵検査を受ける様に書面を送っておりまして、これは拒否できないのです。」


「正か、其れは職権乱用では無いのか。」


 この人物は正か自分の息子が徴兵されたとは信じていないが、これが日本国陸軍が出した徴兵で、俗に言われる赤紙で有る。


「そんな事はさせないぞ、私が話を付ける。」


「いいえ、其れは多分無理だと思いますよ、選ばれて居るのは全てが無作為ですので、まぁ~今回は見逃す事が出来たとしても次も有りますのでね。」


 日本政府が行っており何れは徴兵されると言われた。


「う~ん、我が息子が戦争に。」


 と、この人物はその後腕組みし考え込んでしまった。


「皆様方、自分達の説明はこれで終わらせて頂きます。」


 陸軍と海軍の武官は直ぐ部屋を出て行ったが、部屋の中は静まり返って要る。


「まぁ~まぁ~皆さん座って下さい。」


「総理、先程の話は本当なのですか。」


「勿論ですよ、ですが私も誰に送られて要るのかもさっぱりわからんのです。」


「総理がご存知無いとは一体どの部署が管理して要るのでしょうか。」


 其れは秘密裏に行われ、一部の高官だけが知っており、正に秘密中の秘密で有る。


 一方でロシアでも陸軍が大増員しており、だが其れはロシアの領民には悲惨な状況になって要る。


「陸軍では一体何人の兵が必要なのじゃ。」


「皇帝陛下、誠に申し訳御座いませぬ。


 陛下に其処までご心配をお掛けするとは。」


「良いのじゃ、じゃが先日その方が日本との戦に勝利する為には多くの兵士が必要だと申したと思うのじゃ。」


「私の試算では十万も有れば大丈夫だと考えております。」


 と、将軍はあえて少なく言った。


「何じゃと、今十万と聞こえたが、その様な少人数で誠日本軍に勝利出来ると申すのか。」


 将軍が考えた通りで皇帝は十万の増強では少ないと、では一体何人集めよと言うのだろうか。


「誠に申し訳御座いません、確かに十万では少ないと思いますが、では陛下は何人必要だとお考えなので御座いましょうか。」


 さり気なく探りを入れると。


「五十万、いや百万は必要じゃ、何としても日本軍に勝利するのじゃ。」


 やはりだ、皇帝は百万人を集め、何としても日本に勝利せよと。


「ですが、其れだけ大量の人員を集めますと、我が帝国の産業に多大な影響を及ぼすのでは御座いませぬでしょうか。」


 将軍の考えた通りで、皇帝は百万人を集めよと号令を発すれば、陸軍としても反対する、いいや大歓迎で有る。


「皇帝陛下のご決断で、私も改めて国民に伝える事が出来ます。」


 将軍もこれで一安心で、だが本当はこれからが大変な作業で国民にはどの様話せば納得させる事が出来るのだと、まだ心中は穏やかでは無い。


「将軍も大変だとは思うが、決して強制はするで無いぞ、強制すれば必ずや反抗する者が現れ、作戦は失敗するぞ。」


「皇帝陛下のお考え通りで、私もその様に考えております。」


「ではその方に頼んだぞ。」


「皇帝陛下、私も早速各連隊に通知致しますので失礼致します。」


 この様にしてロシア皇帝と陸軍の将軍との話し合いは終わり、将軍は宮廷を後に帰りの馬車の中で方策を考え、その途中で司令本部に着いた。


「将軍閣下、皇帝陛下はどの様に申されましたか。」


 将軍が馬車から降りようとすると側近が直ぐ聞いた。


「我がロシア帝国ならば百万人は直ぐに集まる、大至急国民に知らせよとの仰せだ。」


「承知致しました、では早急に手配致します。」


 側近は早速手配すると言ったが、其れは将軍が皇帝の決断を受けたならばと言う話で、だが若しも皇帝が拒否したならば日本との戦争で確実に勝利出来るとは限らない。


 皇帝は国民には強制するなと言うが、将軍は理解したとしても、果たして現場に近い将校達は皇帝が言った言葉を守れるのかわからない。


 一方で日本国では国民には必ず理解させよと、其れで無ければ戦に勝利する事は到底不可能だと言って要る。


 この様に方針の違いとでも言うのか、ロシアと日本国では国民の意志が違う。


 陸戦と海戦は果たしてどの様な戦いになるのか、其れはもう戦う前に決定した様にも思えるので有る。





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