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闇の帝国    作者: 大和 武
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続きが有りました。



 と、 又も猿軍団が合図を送り。


「みんなもう直ぐだ、そのまま待機。」


 兵士達は気持ちを引き締め、特攻隊が登って来るのを待ち構えており、更に監視して要るのは猿軍団だけでは無い。


「小隊長、奴らですが全員が山の中腹まで行きましたよ。」


「そうか、ではもうこれで戻って来る事は無いだろう、今からお城へ戻るぞ。


 やはり、日光隊が監視をしていた。


「奴らも正か連合国軍が待ち伏せて要るとは夢にも思って無かったでしょうねぇ~。」


「まぁ~そう言う事ですよ、ですが良くも官軍の偵察兵士が我が軍に寝返りましたねぇ~、普通ならば考えられないのですがねぇ~。」


「自分達は何も詳しくは知りませんが、裏でご家老様が動いておられたと聞いておりますが。」


「やっぱりなぁ~、ご家老様だけの事は有るなぁ~。」


 彼らが言うご家老様とは吉永で、だが果たして吉永が裏で動いたのだろうか。


「よ~し、もう直ぐだ、みんなも頼むぞ。」


 兵士達は頷き、ゆっくりと狙い定め、指示を待つ、そして、先頭が予定した地点に着くと。


「よ~し、今だ一斉攻撃開始せよ、特攻隊は皆殺しだ、皆殺しにするんだ。」


「パン、パン、パン。」


「パン、パン、パン。」


 と、連合国には新たに来た橘部隊の兵士が官軍の特攻隊に向け一斉射撃を開始した。


「うっ。」


「わぁ~。」


「一体何処から撃って来るんだ、応戦するんだ、応戦だ。」


 と、応戦せよ。


「パン、パン、パン。」


 と、特攻隊からも応戦するが、彼らは一体何処狙って要るのか、無茶苦茶な反撃では一発も命中せず、それどころか反対に狙い撃ちされ特攻隊の兵士は次々と倒れて行く、


そして。


「よ~し、射撃止め。」


「うっ、一体どうしたんで、撃って来ないぞ。」


 と、一人、又一人と大木の間から顔を出した。


「よ~し、一号弾、点火次第投げろ。」


「ドッカ~ン。」


「ドッカ~ン。」」


 と、今度は一号手投げ弾が次々と爆破し、大木や岩の後ろに隠れて要る兵士達に直撃すると、兵士達の身体は次々とバラバラになり肉片となり四方に散って行く。


「何だ、一体何問の大砲が有るんだ。」


 特攻隊の兵士が驚くのも無理は無く、だが連合国軍には一問の大砲も無く、全てが一号手投げ弾で有る。


「よ~し、投てきを中止せよ。」


 そして、一瞬だが何の音も無く、だが其れが特攻隊が受ける悪夢の始まりで有る。


「ウォ~。」「ウォ~。」


 と、狼の大群が襲い掛かって来た。


「わぁ~狼だ、狼が来やがった。」


「何、狼だと。」


「ぎゃ~。」


「助けてくれ、わぁ~。」


 特攻隊が犯した罪に天が罰を加えた。


「ぎゃ~。」


「わぁ~狼の大群が。」


 狼の大群が特攻隊を襲い始め、狼の群れは次々と兵士に襲い掛かり、兵士は応戦する事も出来ず、噛み付かれ、倒れて行く。


「何て事だ、オレ達は狼なんて初めて見たぞ。」


「わぁ~何て恐ろしい光景だ。」


 橘部隊兵士も初めて見たと言う狼の大群、其れが特攻隊と言う極悪非道な人間を襲い、噛み殺して行く。


 彼等はこの地の連合国に来るまでの敵軍と言えば幕府軍だ、其れが今ではどうだろうか、同じ軍服を着て要る官軍兵で、だが同じ官軍兵では無く、特攻隊と名乗り宿場や農村、更に守り手が少なくなった城下を襲い、男達を先に殺し、其れが終われば次は本来の目的で有る女で有る。


 何処の城下や宿場でも女と見るや、其れは間違い無く女だけを襲う獣で、奴らは全く見境が無く、人間の所業で無い。


 そして、三個中隊が完全に滅びるまで半時以上を要したが、其れでも一人の侵入も許す事は無かった。


「源三郎様、只今の時点で特攻隊は全滅したと思われますが、まだ数日の猶予を頂きませんと確約は出来ませんが。」


「まぁ~其れも仕方有りませんねぇ~。」


 特攻隊が全滅して要るとはわかっては要るが、だがやはり最後は人間の目で確認しなければならず、更に山にはまだ狼の大群がおり、兵士達を派遣する訳にも行かない。


「工藤さん、監視の兵を残し、一度元の部隊に戻して頂きたいのですが宜しいでしょうか。」


「勿論で、私も確認出来るまではまだ数日は必要だと思っておりましたので、兵も喜ぶと思います。」


「左様ですか、では早速手配の程を宜しくお願いします。」


「承知致しました、少佐、えっ。」


 吉田は源三郎の話の途中で部屋を飛び出して行った。


 源三郎はその後数日を掛け、工藤や銀次など数人に何やら新たな任務を伝え、その後も何かを考えて要る。


「おや、向こう側から官軍の部隊が近付いて来るぞ。」


「自分が中隊長に知らせに行くよ。」


 歩哨兵が見たのは特攻隊は全滅し、残された、いや元の部隊になっただけで、その部隊がやって来た。


「私は有るお方の命を受け、一千の農民兵や町民兵をお連れしたのですが事情が有りまして数日の間、此処に泊めて頂きたいのですが、参謀長殿はおいでになられますでしょうか。」


「有るお方とは、若しや、えっ、自分が案内いたしますので、どうぞ。」


 と、歩哨兵は慌てて要るのか、やはり有るお方と言うだけで歩哨兵は直感したのだろうか。


「参謀長殿に司令長官殿の命を受けられましたお方が一千名の兵士を連れて参られました。」


「えっ、司令長官殿が来られたのか。」


「いいえ、そうでは御座いませんで、司令長官殿の命を受けられたと申されまして、一千名の兵士を連れて来られました。」


 上野が執務室の外に出ると、兵士が次々と整列して行くが、その時、吉三組が工事現場から戻って来た。


「若しかして吉三さんでは。」


「えっ、あっ、あんたは。」


「あ~やっぱり吉三さんだ、生きてられたんですか、オラですよ、作造ですよ。」


「作造さんって、えっ、何であんたが。」


 吉三に声を掛けた兵士は同じ村の農民だ。


「お~い、みんな吉三さんが生きてたぞ。」


「えっ、あっ本当だ。」


「本当に吉三さんか。」


「えっ、みんなも生きてたのか。」


 吉三もだが、たった今駐屯地に着いた官軍の兵士達の中に吉三と同じ村の者が数人おり、吉三は正かとは思ったが、今目の前に居る官軍兵は間違い無く吉三と同じ村の農民で有る。


「でも何で吉三が官軍に要るんだ。」


 彼らも同じ思いだ。


「オラは官軍の兵隊じゃ無いんだ。」


「官軍じゃ無いって、だけど此処は官軍の駐屯地って聞いたんだ。」


「まぁ~官軍の駐屯地には間違いは無いんだけど、オラは官軍の兵隊じゃ無いんだ。」


 たった今着いた官軍の、いや同じ村の者に此処は官軍の駐屯地だが、自分達は官軍の兵隊では無いと言ったところで一体何処の誰が信用すると言う、事実、吉三達は官軍の軍服を着て要るのが何よりの証拠で有る。


「吉三、何が有ったんだ。」


 吉三組に仲間が官軍兵に囲まれて要るとでも思ったのだろうか、仲間が集まって来た。


「いや、其れが違うんだ、オラが居た村の人達なんだ。」


「だけど吉三は村の人達全員が官軍の奴らに殺されたって言ってた思うんだけど。」


「ああ、オラもあの時は全員が殺されたって思ったんだ。」


「まぁ~なぁ~、誰だってそう思うのも当たり前だ。」


「そうだよ、オラも家族は殺され、村は焼き払われたんだから、そんな時にだよ冷静になれてった言われても、オラだったら絶対に無理だって。」


「そんなのって当たり前だ、まぁ~今だったら少しはわかるけどなぁ~、オラもあの時、母ちゃんと息子が官軍の奴らに殺されたんだ、だから他の人達も全部殺されたと思っても仕方無いと思うんだ。」


 吉三も、いや農民が自分の家族が殺され、家が焼かれた状態の時に冷静になる事はまず無理だと、だが其れにしても良くもまぁ~生き残っていたとは誰もが思うので有る。


「なぁ~吉三、確かに吉三達がこんなところで再開するって事は奇跡だと思うんだ、若しもだよ、今日、此処に来た人と元から居る人達が同じ国から来てるって事が有るとは考えられないか。」


「そうか、成程なぁ~、じゃ~紙に書いて行こうか。」


「よし、オレが紙と筆を取ってくるからよ~。」


「よ~し、じゃ~吉三組が中心になってだ、そうだ大工さんや左官屋さん達に鍛冶屋さん達にも協力して貰おうか。」


 この様な時になれば吉三組の動きは実に早い。


「参謀長殿、こちらのお方が部隊の隊長で御座います。」


「左様ですか、私はこの駐屯地では一応隊長と申しましょうか。」


「参謀長殿、私は滝川市之助と申します。」


「滝川殿ですか、其れで今回は何用で来られたのでしょうか。」


「参謀長殿、其れに付きましては私が説明させて頂きますが。」


 昌吾郎がその後、滝川と一千名の官軍兵と共にやって来た理由を説明すると。


「左様でしたか、まぁ~此処ならば司令本部からはどなたも来られませんので、数日ならば何も問題は御座いませんよ。」


「参謀長殿、実は私は兵達とは一緒に参る事が出来ないのです。」


 隊長は兵士とは行動を共にする事は出来ないと言う、何故だ、部隊の全員が他国へ行くものと思ったのは上野だけでは無い。


「何故ですか、私はご貴殿が一緒に行かれると思って要るのですが。」


「私は官軍の将校で、兵士の全員が官軍に戻るのが嫌だと申しましても、今の私では引き留める事も出来ないのです。」


 確かに幾ら官軍には戻らないと言っても、隊長が止めたところで無理で、だが隊長は他に理由が有りそうだ。


「確かに隊長が止めても無駄だと言うのは私にも分かりますよ、ですが其れとは別の何か理由が有るのでは御座いませんか。」


「私は有るお方を探して居りまして、今回も上州の駐屯地に新しく配属する部隊が有ると聞きまして、其れで私が名乗り上げたのです。」


「何故に上州の駐屯地に向かう部隊に貴殿が名乗り上げられたのです。」


「はい、では説明させて頂きます。」


 滝川はその後も詳しく説明を始めた。


 その頃、吉三組は自分達が元の国は何処かを書き出し、其れをいろはの順に吉三組の仲間が手で持ち、皆の前に立った。


「みんなも聞いて欲しいんだ、今、オラの仲間が自分達が住んでたところの国の名を書いた紙を持って立ってるんで、みんなもその前に立ち並んで欲しいんだ、わからない事が有れば聞いて貰ってもいいんで、みんなも協力して欲しいんだ。」


 吉三組の仲間が国名を書いた紙を持ち、頭の上に上げ、今日到着したばかりの官軍兵も大工達に左官屋と鍛冶屋の人達も住んで居た国名を書いた紙を持つ者の前に立ち、まぁ~駐屯地に着て以来の大騒ぎになり、わいわいがやがやと、其れこそお祭り騒ぎの様で有り、その騒ぎは直ぐには収まりそうにも無い。


 その頃、執務室でも正かと言う話が起きた。


「今のお話しを伺いますと、若しやとは思うのですが、その者は工藤と申されませんか。」


「えっ。」


 其れこそ滝川は大変な驚き様で話の中では名を言った事も無い。


「参謀長殿は何故に工藤少佐とお分かりになられたのですか。」


「工藤ならば、元は私の部下で、其れに今は有るお方の元で毎日が充実して要ると言っとるよ。」


 滝川は驚きの連続で、其れよりも今は充実して要ると、だが一体何処の国に居るのかさっぱりわからないが、昌吾郎はこれで全員連合国に連れて行く理由が出来たと確信を持ったので有る。




     

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