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闇の帝国    作者: 大和 武
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 第 92 話。官軍の将校が命懸けで渡す物とは。

 その頃、東京まで一緒に行った昌吾郎も何かを考えて要る。


「昌吾郎殿、何か問題でも起きたのですか。」


「司令、其れが大変な品を預かりまして一刻でも早く源三郎様にお渡ししなければならないと急いだのですが、戻った時にはもう居られなかったのです。」


「大変な品と申されましたが、其れは江戸、いや東京でのお話しで、ですが源三郎殿は東京に向かわれたと知って要るお方は居られませんよ、例え知り合いのお方が居られたとしても昔の事で、今の源三郎殿に会われたところで、まぁ~殆どわからないと思いますがねぇ~。」


「左様で御座いますか。」


「で、今申された品物はどの様な物なのですか。」


「実は私達が東京に着き情報を得る為翌日から散開し、私も色々と調べ、丁度お昼でして有る飯屋でお昼を取り代価を払って要る時、急に表が騒がしくなり、私は直ぐ表に出たのです。」


 昌吾郎は騒ぎの内容を話すと。


「では昌吾郎殿が仲裁に入られたのですか。」


「私自身も東京で騒ぎを起こしたくは無かったのですが、男女の二人に男が言った言葉で火が点いたと申しましょうか。」


「男は何を言ったのですか。」


「オレは銀龍一家の昌吾郎だと申しましてね、男女を脅し金子を要求したのです。」


「えっ、正か本人が居る前で男が名乗ったのですか。」


 江戸が東京と代わり、だがこの男は昔の銀龍一家を知って要るのか、正かこんな所で我が名を使われるとは、其れも強請の為にで有る。


「私も本当は名乗りたかったのですが、若しもの事を考え名乗らずに聞いておりましたが、やはり我慢出来ずに言ったんです。」


 やはり、昌吾郎も銀龍一家の名が汚される、其れが我慢出来なかったので有る。


「では昌吾郎殿は名乗られたのですか。」


「いいえ、正か飛んでも御座いませんよ、で、私は奴らに言ったんです。


 なぁ~あんた達、私が聞いた話では銀龍一家は町衆には絶対に手は出さなかったと、まぁ~早く言えば弱い者いじめはしないんだと、聞いておりますがねぇ~。」


「銀次さんも同じ様に申されておられましたからねぇ~。」


 吉永も銀次達が相手にするのは役人や侍達で江戸では町衆には絶対相手にすることは無かったと。


「私も何度も聞いておりましたので、ですが奴らは何度も銀龍一家の名を言いますので、私はもう我慢の限界を越えまして、もういい加減にしなければ痛い目に遭いますよって言ったんですが、奴らは懐から刃物を出しましたので、私は丁度通りがかりのお方から天秤棒を借りまして、奴らを対峙したのですが、奴らは二十人以上もおり、その時、人垣の中から一人の軍人さんが出られまして、一人対二十人では余りにも不公平ですからねぇ~、私もお相手しますよって、同じ様に天秤棒を持ち、二人対二十人となりまして。」


「まぁ~昌吾郎殿ならばその様な相手ならば二十人程では何とも無いと思いますがねぇ~。」


 吉永も昌吾郎は相当な使い手で二十人くらいのやくざ者ならば問題は無いと見抜いて要る。


「私も正か軍人さんが手助けに入るとは思っておりませんでしたので、少しは驚きましたが、軍人さんは貴方方を本当に病院に送りますよ、ですが二度と歩く事も手を使う事も出来ませんよって申されまして、私は軍人さんの構えを見ますと、やはり相当な使い手で有ると思いました。」


「やはりそうですか、まぁ~二人だと言っても相手にすれば二人で有れば簡単に終わると考えたのでしょうが、其れが大変な誤りだと言う事ですねぇ~。」


「誠に左様でして、私も軍人さんも自然体でしたので、奴らは野郎ども相手は二人だけだやっちまえって、其れで数人が襲い掛かって来たんですが、私が手首を、軍人さんは足の膝を狙い打つのですが、私もあの時は骨が砕ける音が聞こえた様に思うのです。


 手首はぐしゃっと、其れと膝はもっと大きくばきっと、まぁ~今まで初めて聞く音でして、男達は悲鳴か唸り声かわからない様な声を上げ、地面を転げ回っており、全員を片付けるのに四半時程で終わりまして、男女の二人連れには気を付けて行く様にと申しまして、二人連れは人込みの中に消えて行ったのです。」


「その軍人さんが問題の人物なのですね。」


「正しくその通りでして。」


「ですが、役人と申すのか、警察と申すのか分かりませんが来ないのです。」


 東京と改められた土地には幕府時代の様な役人は居らず、全て警察と言う新しい組織で、服装も一新されて要る。


「まぁ~直ぐにとは申せませんが奴らの全員を成敗し終わった頃に駆け付け事情を聴くので、我々は何も知りませんよ、彼らが自分で転んで怪我をしたのでしょうと申しますと、集まっていた町衆もその通りだと申しますので、警察としては何も出来ないと申しまして、直ぐ引き上げたのです。」


「ですが何故町衆はその様に申したのでしょうか。」


「多分ですが、町衆の中には奴らから難癖を付けられ金品を奪われたお方も居られたのでしょう、ですが軍人さんが言った事で奴らかは二度と脅しを受ける事も無いと分かり、その様に申したのでは有りませんか。」


 町衆の中には下手に警察に届けると後からもっと恐ろしい事になると、其れで今までは一度も被害届は出ておらず、その為一度も捕らわれる事も無かったが、今まで犯した罪の償いとして二度と表に出る事の出来ない身体になったので有る。


「まぁ~それも自業自得と言う事でしょうなぁ~。」


「私もその様に思いますが、その後、軍人さんと先程の飯屋に入りまして話をする事になったので御座います。」


「では昌吾郎殿は何も聞かれ無かったのですか。」


 吉永は何故軍人がやくざ者の姿をした昌吾郎から何かを聞きだそうとして要る理由がわからない。


「其れが、何処から東京に来られたのですかと穏やかな口調で聞かれまして、私も何気無く西の方で、後ろは海で前には高い山と、その時一瞬はっと思いまして止めたのですが、軍人さんは前には高い山が有り、後ろは海で、山と海に囲まれて要るのですかと聞かれ、私は恐ろしくなり、其れ以上は何も申せなかったのです。」


「其れにしても恐ろしい人物ですなぁ~。」


「私も最初は軍人さんは何を求めておられるのかもさっぱりわからず、何も聞けない状態でした。」


 昌吾郎にすれば突然助太刀に現れた軍人に挨拶程度で終わるものと思っており、簡単に考えていたが、軍人は何かを探して要る様にも思えて来たので有る。


「昌吾郎殿が何かを聞かれたのですか。」


「私もこの際だはっきりと聞かなければと思いまして、何か大切なお方を探しておられるのですか、と、しかし軍人さんも少し考えておられまして、でもその後に、私は大事な、これは日本国に取りましては存亡に関わる事で、そのお方にどうしてもお渡ししなければならない品物が有るのです、と申され、最初の話で私が何処から来たのかと聞かれ、其れと今のお話しからして、若しや源三郎様の事では無いだろうかと思ったのです。」


 だが軍人は一体何の為に昌吾郎が思う源三郎を探して要ると言うのだ。


「日本国の存亡に関わるお話しとは、これは聞き捨てなりませんよ。」


「私もその様に思ったのですが、正か源三郎様ではとは申せませんので、まぁ~話を少し遠回しに日本国が存亡の危機に有るとは大変物騒がせなお話しですが、一体どの様なお話しなのですかと聞いたのです。」


「ですが、直ぐには話す事は出来なかったのでは御座いませんか。」


 やはりだ吉永は話の内容からしてロシアだと、だが軍人も簡単に話す事は出来ない事情が有ると、其れでも事情を知りたいと思った。


 明示新政府となり、幕府の時代とは大違いで情報と言うものは一部の地域を除き瞬く間に民衆が知る様になり、其れでも民衆は知らない、いや知らせてはならない事柄も有り、政府も軍も必死で隠そうとしており、その為か軍人はその後暫く考え四半時が過ぎ。


「軍人さんは何かを考えてらして時々天井を見る様に暫くしてから話をされたんですが、私は最初何を言ってられるのもさっぱりわからなかったんです。」


「其れは若しかして外国のお話しでは無かったのですか。」


「えっ、何故に其れを。」


 と、昌五郎は絶句に近い声を上げた。


「司令は何故におわかりになられるので御座いますか、私はまだ何も。」


「昌吾郎殿、我々連合国の者達ならば、今外国で何が起きて要るのかは知って要るのです。

 其れと言うのも源三郎殿は連合国の民にも知らせる必要が有ると申され、時有るごとに領民に話されて要るのです。」


「左様で御座いましたか、私はこの地に来させて頂きましてまだ数日程しか経っておりませんので、全てを理解しておらず、聞くもの全てが驚きの連続で御座いまして、正かとは思いましたが、では連合国では外国の情報は誰でも知っておられるので御座いますか。」


「全員とは申せませんが、外国の事と言うよりもロシアと言う強大な国家の脅威に晒されて要るとだけは誰でも知っておりますよ。」


 昌吾郎は吉永の言葉に少し安心した様で。


「実は私も驚きの余りこの様なお話しをしても良いのかと考え、ですが今司令のお話しを伺い、実を申しますと少し安堵致しました。」


「我々は日頃から正かと思う様な話を聞かされ、まぁ~少々の事では驚かないのです。

 その様な訳ですから、その軍人が話された内容を申されても驚くことは有りませんので、どうかご心配される事無くお話し下さい。」


「では、私もお話しさせて頂きますが、実は軍人さんから渡された品物ですが、私も中は見ておりませんので、どの様な品か全くわからないので御座います。」


 昌吾郎は席を外し、軍人から預かったと言う品を出した。


「両方とも封がされておりますので。」


 吉永は封書の差出人を見て驚いた。


「昌吾郎殿、この本藤平八郎と書いて有るお方がその軍人なのですか。」


「左様で御座いまして、ですがこの本藤と名ですが養子に参られた家の名だと申され、その前は上野だと申されました。」


「えっ、何ですと、上野と申されたのですか。」


 吉永は其れこそ正かと言う表情で、工藤が官軍時代の上官が上野と言い、その息子が平八郎と言って、本藤と言う家に養子に行ったと聞いていた。


「昌吾郎殿、上野と申されるお方ですが、山賀を越えた大きな入り江で今軍港を建設中で、其処に駐屯されておられる参謀長殿ですよ、其れで上野参謀長のご子息が平八郎と申され本藤家に養子に入られたと伺っております。」


「其れならば源三郎様もご存知なので御座いますか。」


「其れは勿論ですよ、昌吾郎殿、この品を持ち直ぐ源三郎殿にお話ししましょう。」


 吉永と昌吾郎は二通の封書を持ち、源三郎の執務室へと急いだ。


「源三郎殿、いや総司令。」


 と、日頃は余程の事が無ければ慌てる様な吉永では無いが、その吉永が飛び込んで来た。


「吉永様がその様に慌てて来られるとは余程の事なのですねぇ~。」


「源三郎様、誠に申し訳御座いません。」


 と、今度が昌吾郎が部屋に入るなり手を付き頭を下げた。


「お二人とも如何なされたの御座いますか、正かとは思いますが。」


「総司令、そのまさかで御座いますぞ、昌吾郎殿が大変な情報を得られたので御座います。」


 だが源三郎にはさっぱりわからず、目を白黒させて要る。


「まぁ~まぁ~少し落ち着かれては如何ですか、その前にどなたかお茶をお願いします。」


 何時もの様に加世とすずがお茶を運んで来た。


「まぁ~先にお座り下さい。」


 吉永と昌吾郎は座り運ばれて来たお茶を飲み干し、少し落ち着いたのか。


「実は先程まで昌吾郎殿とお話しをしておりましたが、昌吾郎殿、お預かりした品を。」


 昌吾郎は机の上に二通の封書を出した。


「私は二通の封書を東京で有る軍人さんからお預かりしたのですが。」


 源三郎が手に取り裏に書いて有る名を見て。


「えっ、正か。」


「その正かで御座いますよ、私も先程見て驚きまして急ぎ総司令にお見せしなければと思った次第で御座います。」


 日頃の吉永とは思えぬ程の慌て様で、だが吉永が慌てるのも仕方無いと源三郎は思った。

 だが自身も封書の名を見て驚き、だがまだ中身がわからず、そして、封書を開け驚きは数倍、いや数十倍にもなるとは誰も思わなかった。


「昌吾郎様にはまだお話しはしておりませんでしたが、今我が国より時々ですが有る資材を受け取る為に参っております官軍の駐屯地の司令官と申しましょうか、参謀長殿の名が上野様と申されましてね、ご子息が本藤様と申されるお方のご養子になられ、その名を平八郎様と申されまして、工藤さんや吉田さんもご存知なのです。


 どなたか工藤さんと吉田さんを。」


 と、言った時には家臣の一人が飛び出し、工藤の居る駐屯地へ向かった。


 だが一番驚いて要るのは昌吾郎なのだ。


「実はお約束の刻限に参る事が出来なかったはこのお方とお話しをしておりまして、私も何故かあの時は軍人さんのお話しを聞かなければならないと感じたので御座います。」


「私はその様な事には全く気にしておりませんのでね、其れよりもあの時は何か急用が出来たのでは思いまして、私は昌吾郎様がご無事で有ります様にと願っておりまして、私としてはご貴殿が無事に戻って頂いた事の方が何よりも嬉しく思って要るのです。」


 これが他国ならば人の安全よりも手に入れた情報が大事だと言うだろうが、源三郎は情報と言うものは何時かは知る事が出来る、だが人の命と言うものは二度と戻って来ることは無いと考えており、源三郎の言葉は昌吾郎の胸にグサッと突き刺さったので有る。


 その時。


「総司令。」


 と、工藤と吉田が駆け込んで来た。


「工藤さんも驚かないで下さね。」


 と、言って源三郎は封書を工藤に見せると。


「えっ、これは、えっ、正か参謀長殿の。」


「左様ですよ、ご子息が昌吾郎様に東京で、其れも偶然に遭われましてね、この二通の封書を渡されたのです。」


「ですが昌吾郎さんは参謀長殿を知っておられるのですか。」


 工藤が思うのは無理は無い。


「いいえ、正か、私もまだお話しはしておりませんよ。」


「では何故にこの様な封書を受け取る様になったのですか。」


「そうでしたねぇ~、私もまだ伺っておりませんでしたが、昌吾郎様、お話しを伺いましょうか。」


「源三郎様、そして、皆様方、私は吉永司令にお話しをさせて頂くまでは一体どの様にすれば良いのかもわからず、考え込み、ですがお話しをすると今度は飛んでも無い事が起きたのだと思ったので御座います。


 其れで今申されました様に何故このお方を知り合う事になったのかをお話しさせて頂きます。」


 昌吾郎は東京で起きた事件とでも言うべき事柄を言葉を選びながら話した。


「昌吾郎殿のお話しでは軍人さんは私を知っておられる人物を探して居られたのですね。」


「私のあの時はその様に感じましたが、私も正かとは思っておりましたので、源三郎様のお名前だけは出す事は絶対に出来ないと思ったので御座います。」


「左様ですか、ではこの中に何が入って要るかは全くご存知無いのですか。」


「其れは勿論で御座いまして、本藤様と申されます軍人さんも何も申されておりません。」


「其れにしても世の中と言うのは何時、何処で何が起きるやも知れないと言う事ですねぇ~、では封を開けて見ますので。」


 源三郎はゆっくりと封を開けるが、もう誰もが座っておられないと言う表情で見て要る。


 源三郎は封を開け、中の物を出すと、何と重ねられた紙が出て来た。


「これは若しや地図では御座いませぬか。」


 源三郎はゆっくりと広げて行くと、畳半畳分は有るかと言う大きな世界地図で、其れも誰もが初めて見る世界地図で有る。


「これは若しや世界地図では御座いませぬか。」


 一通目の封書には当時の世界地図が入れられており、日頃は少々のことでは驚かない源三郎達は初めて見る世界地図に驚きを隠せ無い。


 その頃になると家臣達も集まり、源三郎達の話を聞いており、其処へ何時もの様にお殿様とご家老様がやって来た。


「何が有ったのじゃ。」


「あっ、殿、実は私も詳しく存じませんが、何やら大変な事が起きて要ると伺っております。」


「よし分かった、皆の者、少し開けてくれぬか。」


 と、お殿様とご家老様が入って行くと、源三郎も全員が立ち、何やら必死で覗き込んで要る。


「源三郎、一体何が有ったのじゃ、皆が知りたがっておるぞ。」


「えっ、お殿様。」


 と、昌吾郎は慌てて土下座すると。


「その様な事はするで無いぞ、余は幽霊なのじゃから、で一体何が有ったのじゃ。」


「皆さんも入って下さい。」


 源三郎の許可が下り、家臣達が入ると。


「殿、そして、皆様方、今からお話しをする事は一切口外無用で、若しも口外したならば、私が直接裁きますのでね、其れだけは覚えて置く様に。」


「源三郎は何故にその様な事を申すのじゃ、何時もならば領民にも知らせよと申しておるでは無いか。」


 お殿様の言われるのは最もな話で、何時もならばまず家臣達に話、納得させ、その後は全ての領民に説明する、だが今回だけは一切口外してはならぬと、若しも口外したならば誰で有ろうと源三郎が直接裁くと言う、これはただ事では無いと家臣達の表情は一変した。


「殿が申されますように今までは家臣を含め、全ての領民にも知らせ、其れが結果的に領民の信頼を得たので御座います。


 殿も皆様方もご存知の様に、私と雪乃殿、鈴木殿に上田殿、更に加世殿とすず殿、そして、昌吾郎様と四組に分かれ、京の都と江戸、いや東京の現在の状況を調査と申しましょうか、情報を得る為に参ったのです。


 其れと申しますのは外国の情報に付きましては山賀の向こう側に有る官軍の駐屯地に居られます上野様だけでして、他からは全くと申しても良い程入って来る事は御座いません。


 更に山賀の若様より官軍の上野様はまだ完全には信用出来ないと申されたのです。」


「何じゃと、松之介が何故その様に申したのじゃ。」


 この後も源三郎は詳しく話、そして、一番の核心部分に入った。


「今、此処に有ります二通の封書は有る軍人さんが大そうかもしれませんが命懸けで、私に渡す様にと、昌吾郎様に託されたのです。


 左様で御座いますね、昌吾郎様。」


「はい、左様で御座います。


 私はあの時、軍人さんは付近に注意しながら店に入られ、更に軍服の内側から取り出され、この封書は誰にも見付からない様にして頂きたいと申されまして、私は若しもの時にと着物の内側を二重にしておりまして、その中に入れ、帯をきつく締めたのです。」


「よし分かった、、皆の者、今源三郎が申した様に決して口外するで無いぞ、余は詳しくはわからぬが、官軍の兵士が何かの訳が有ってのことで、命を懸けた物と思うのじゃ、確かに今の官軍は我が連合国に取っては敵軍じゃ、だが全てでは無い。


 昌吾郎も受け取ってからと言うものは連合国に戻るまで何時殺されるやも知れぬと言う恐怖を抱え戻って来たと思うのじゃ、皆の者も分かったか。」


 お殿様の言葉には家臣達も含め、全員が改めて気を引き締めたので有る。


 二通の封書の一通には世界地図が、だがもう一通の中身はまだ開けられておらず、果たしてどの様な品が入って要るのか誰にもわからないが、源三郎は家臣達に出来るだけ前に詰める様に、そして、説明が始まるが、果たしてどの様な物が出て来るのか、お殿様とご家老様は最前列で座り、そして、皆が静かになるまで源三郎は待ち、そして、源三郎が改めて立ち話を始めるが、皆の視線は前方に有る。



     


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