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闇の帝国    作者: 大和 武
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第 85 話。遂に戦いの火蓋は切られた。

「中隊長の作戦は。」


「私はその前に一個分隊を出し、北側周辺の偵察する様に指示を出しております。」


「やはりですか、私も北側を確認する必要が有ると思っておりましたので、中隊長の指示は大変良かったと思います。」


「有難う御座います、其れで先程の作戦ですが、二又付近まで行き林の中から一斉攻撃を行えば官軍は一瞬にして全滅させる事が出来るのではと考えておりますが。」


 中隊長は余り深刻には考えておらず、一斉攻撃で終わると考えて要る。


「まぁ~私もその方法で良いと思いますがね、山賀の朝霧隊の報告では官軍と言っても正規軍では無く、極悪非道な奴らの集まりですから正規軍とは違いどの様な作戦を考えて要るのかわからないと思いますよ。」


「今大佐殿が申されました正規軍では無いとは一体どの様な奴らなのですか。」


 菊地の中隊長は山賀で全滅させた特攻隊がどの様な部隊なのか知らない。


「中隊長はご存知無かったと思いますが、奴らは特攻隊と申しましてね、例えば菊池の城下に数人のやくざ者を送り込み官軍兵が農村を襲って要ると大騒ぎするんですよ。」


「では城内の家臣が駆け付けると思いますが。」


「ええ、その通りでしてね、農村に家臣が向かうと特攻隊が乗り込み城下の男達と城内に残って要る家臣を皆殺しにするんですよ。」


「ですがその国が幕府側では無く官軍寄りで有れば別に家臣を殺す必要も無いと思いますが。」


 中隊長の考え方が普通なのだが、さすがに甘い。


「まぁ~確かに普通ならば中隊長の考えておられるのが当然ですがね、特攻隊とはその様な事は全く関係無く人を殺すと言うのが当然の様に考えておりましてね、男達を殺すと今度は城内、城下を問わず女性達を犯すんですよ。」


「其れは誠で御座いますか、自分も以前は官軍の一員でしたが、官軍の上層部はその様な命令を出す事は有り得ないと思うのですが。」


「正しくその通りでしてね、ですがこの特攻隊を編成したのがあの川田なんです。」


「えっ、川田って正か。」


「中隊長も知っての通り、総司令の裁きを受けたあの川田でして、山賀に誘い込んだ中隊もその特攻隊でしてね、今回も向こう側に集結して要る六百人近くの全員が特攻隊だと分かったんです。」


「では普通の作戦では通用せずかも知れないのですか。」


 中隊長は作戦の変更を考え始めたが、では一体どの様な作戦を行えば良いのかもわからずに要る。


「我々は正規の官軍が考える作戦は予想出来ますが、相手が特攻隊ともなれば別の作戦を考えなければなりませんねぇ~。」


 工藤も考えては要るが、直ぐには思い付かない。


「大佐殿、弓隊で最初の攻撃に入り、奴らが一瞬ひるんだ隙に一斉攻撃すると言う作戦は如何でしょうか。」


「そうか弓を放つ作戦か。」


 と、工藤も暫く考え。


「ではその作戦で行きましょう、誰か高野司令に弓隊を編成し直ぐに出撃させて下さいと。」


 工藤の説明を聞いた伝令兵は大急ぎで城へ向かった。


「前後から同時に数人が矢を放てば一体何処から飛んで来たのかもわからず歩みは止めますが、反撃は直ぐには出来ないと思います。


 連発銃だと撃って来た方向は直ぐ分かりますので反撃も早いと思いますが、弓ならば音もしませんので数人でも宜しいかと思います。」


「分かりました、では中隊長は今の作戦を全員に伝えて下さい。」


 連発銃を撃つと発射音と煙で直ぐ相手の位置がわかり反撃も早く、幾ら一斉攻撃だとしても一回の攻撃で全員を殺す事は出来ない。


 だが無音で飛んで来る矢が命中すれば一瞬だが反応が遅く、その時に一斉攻撃すれば半分以上殺す事は出来る。


 暫くして二十数人の弓を持った家臣が到着し、中隊長の説明で前後の半分づつに分かれ、更に中隊の兵士達にも作戦の変更を伝えた。


「そうか、奴らも前後から飛んで来る矢で殺されても一体何処から攻撃を受けたのかもわからずと言う事なのか、成程なぁ~その作戦ならば成功するやも知れないか。」


「あの~お侍様、オレ達は一体どうしたらいいんですか。」


「まぁ~今は何もする事も有りませんのでね暫くはのんびりとしてて下さいよ、その内に銀次さん達が来られると思いますよ。」


「高野司令、大変です。」


 と、野洲から行った兵士が執務室に飛び込んで来た。


「一体どうされたのですかそんなにも慌てて。」


「実は銀次さん達全員が今日の早朝馬に乗り山賀へ向かわれました。」


「やはりねぇ~、銀次さん達は総司令を命の恩人だ、総司令のお手伝いをするんだと考えられたのでしょうねぇ~。」


 と、高野は別に気にもせず、やはり銀次達の行動を知ってたかの様で有る。


「今申されました総司令様ってどんなお方様なんで御座いますか。」


「まぁ~この話を始めますと、そうですねぇ~、じゃ~お話しをしますから。」


 今更、昌吾郎達に話をしないと駄目だと言う事は無いと思ったのだろう、だが昌吾郎達は総司令と言われる人物と銀次達の関係を説明を始めると、昌吾郎達は驚きの連続で唖然として要る。


「やっぱりなぁ~、親分だけの事は有るなぁ~、オレ達の親分はどんな事が有っても恩義だけは絶対に忘れるなって何時も言ってられましたからねぇ~。」


 昌吾郎は銀次の取った行動には当然の行為で何の不思議でも無いと言う顔だ。


 銀次は常日頃から恩義だけはどんな事が有ったとしても一生涯忘れるなと言っていたので有る。


「では銀次さんに知らせる為に向かわれて要るのですね。」


「はい、でも怒られるかも知れませんが、自分でも向こうに向かいます。」


「まぁ~其れが当然ですよ、ですが今度の戦は今までとは全く違いまして山賀が一番危険ですからねぇ~。」


「じゃ~親分も危ないんですか。」


「其れならば心配有りませんよ、総司令が居られますから、でも多分ですが銀次さんの事ですからねぇ~簡単には引き下がらないでしょうねぇ~。」


 高野は山賀では源三郎に止められているだろうと思って要るが。


「じゃ~親分は心配する事は無いんですね。」


「その通りですよ、貴方方は数日此処でのんびりとして頂ければ、その内に野洲に行って頂きますのでね。」


 其れを聞いた昌吾郎達はやっと安心したので有る。


「えっ、其れは誠ですか。」


 源三郎は正か銀次達が来るとは考えもしなかった。


「隊長も正か銀次さん達が来られるとは思って無かった様でして、其れに銀次さん達は駐屯地で銃と補充用の弾薬を持てるだけ持ち来られました。」


「では正かとは思いますが銀次さん達も戦闘に参加するつもりなのですか。」


「自分も最初はその様に思いましたが、銀次さんは鉄砲は撃てないが弾薬の補充は出来ると申され、隊長が話を聞いて要る時でもお仲間がどんどんと兵士の方へと向かって行かれ、その為隊長も止める事も出来なかったんです。」


「左様でしたか、まぁ~今更止めろと言っても聞く様な銀次さんでは有りませんからねぇ~、では今は何処に居られるのですか。」


「其れならば、野洲から来られました二個中隊の方に居られます。」


「左様ですか、其れと今の状況を教えて頂けますか。」


 源三郎は何時もの様に最前戦には行かせて貰えずに、その為に不満も溜まるが、いや其れよりも今の状況を知りたいので有る。


「今だ戦闘状態には入ってはおりませぬが、隊長は猿軍団の合図を待つと申されておられます。」


「やはりでしたか、まぁ~この様な時には猿軍団が一番頼りになりますからねぇ~。」


「自分もその様に思っております。」


「其れでは小川さんも一緒なのですね。」


「勿論でして、隊長殿は一番前で合図を待っておられます。」


「左様ですか、貴方も気を付けて下さいね。」


 兵士は源三郎に敬礼し戻って行った。


「義兄上、銀次さん達は無茶ですよ。」


「若、其れは違いますよ、銀次さん達にすれば自分達も連合国の一員だ、野洲でも菊池でも、其れにこの山賀でも領民達の全員で官軍をやっつけるんだと知っておられ、銀次さん達にすれば城下の人達とは別の方法を考えられたのだと思うのです。」


「では最初から弾薬の補充を考えられたのですか。」


「多分ですが、此処に着くまで考え、其れに下手に鉄砲を撃つよりも兵隊さんが弾薬の補充する時が一番危険だと知っておられ、其れが今回の行動に走られたのだと思いますよ。」


「其れでは、兵隊さんは銃を撃つ事に専念出来ると言う事ですねぇ~、成程なぁ~そうだったのか、やっぱり銀次さん達だなぁ~。」


 と、若様も納得したのだろう。


 その頃、大木の上から官軍兵の動きを監視して要る猿軍団が動き、官軍兵を待ち伏せして要る特選隊から半町までの所に近付いて来た。


「よ~し今だ。」


 と、猿軍団が合図を送った。


「パン、パン、パン。」


「パン、パン、パン。」


 と、特選隊の一斉攻撃が開始され、官軍兵の、いや特攻隊の先頭を行く数十名がバタバタと倒れて行く。


「えっ、一体何処から撃って来たんだ。」


「なんだ、今のは山の向こう側は漁村のはずだぞ。」


「おい、おい、何で幕府軍が連発銃を持ってるんだよ。」


「反撃だ、反撃するんだ早く。」


「パン、パン、パン。」


 と、官軍兵も反撃に移ったが、その時には特選隊は移動しており一発も命中する事は無く、其れでも官軍兵は必死で応戦しているが、その時突然。


「うっ。」


「あっ。」


「お~い、矢が頭上から飛んで来るぞ。」


 と、兵士は叫ぶが、官軍兵が数十本もの矢を引き放ったので有る。


「うっ。」


「わぁ~。」


 と、大声で叫び、兵士に命中し、更に二段目が待ち構えており、山賀の中隊は連発銃を撃つ事も出来ず、だがその時。


「よ~し、みんな行くぞ。」


 と、正太の掛け声が飛び、正太と仲間が一斉に一号弾を官軍兵に向け投げられて行く。


「どっかっ~ン。」


「どっかっ~ン。」


 と、数十個もの一号弾が大爆発し、官軍兵は次々と吹き飛ばされ、腕が飛び、頭だけが飛び、辺り一面肉片と潜血が噴き出し、官軍兵は一体何が起きたのかも理解出来ないで要る。


「何で大砲が有るんだ。」


「一体何問の大砲が有るんだ。」


 と、言いながら必死で逃げ惑うが。


「だが物凄く近くだぞ、其れにしても余りにも正確過ぎるぞ。」


「早く逃げるんだ。」


 と、官軍兵は一号弾の爆発に驚いて要るが、山賀に、いや連合国には一門の大砲も無く、だが官軍兵は余りにも物凄い爆発に大砲が数十問有ると勘違いして要る。


「お~い、一度下がるんだ、早く下がれ大砲が狙ってるぞ。」


「お~い、退却だ、早く退却するんだ、早く下がれ。」


 もう必死で叫んで要る。


「よ~し、みんな少し待ってくれ、猿が止めろって合図してるぞ。」


 正太達は一号弾を持ったままで次の合図を待って要る。


「よ~しみんなは今の内だ負傷兵を連れ出してくれ。」


 誰が言ったのかもわからないが、そんな時には正太達の動きは早かった。


「兵隊さん、オレ達が城下まで連れて行くからな、もう少しだ頑張ってくれよ。」


「有難う、助かるよ。」


 兵士の腕や足に、そして、背中にも矢が刺さっており、正太も仲間も必死で連れ出して行く。


「お~い、荷車と戸板を外して山の麓まで行くぞ。」


 と、今度は城下の男達が荷車と戸板を持ち麓へと走り出して行く。


「兵隊さん、もう大丈夫だよ、オレ達が。」


 と、言ったが兵士は息絶えており、其れでも彼らは戦死した兵士を背中に担ぎ山を下って行く。


 城下では子供達が水を沸かしており、暫くして負傷兵と戦死した兵士の全員が山を下りた。


「隊長殿、隊長殿。」


 と、兵士は小川に声を掛けるが、小川からは全く反応が無い。


「お~い、隊長殿が大変だ、隊長殿がやられたんだ。」


 小川は山賀の中隊でも最前線におり、官軍兵が放った矢を真面に受けて要る。


「隊長、隊長殿、しっかりして下さい。」


「う~ん。」


 と、やっと小川の声がした。


「隊長殿、大丈夫ですか。」


 と、言ったが又も気を失った。


「誰か手を貸してくれ、隊長殿が大怪我なんだ。」


 数人の兵士が小川を連れ城下へと向かった。


「隊長殿が殺されたぞ。」


「えっ、隊長殿が戦死されたのか、だけどなんでだよ、あんな隊長殿は何処にもいないんだぞ、畜生目、奴らは皆殺しだ、全員を。」


「そうだよ、オレ達は此処の隊長殿の為だったら何時でもと思ってたんだ。」


 兵士達は小川が戦死したと、いや官軍に殺されたんだと思っており、口々に叫んで要る。


「よ~しみんなこうなったらもう破れかぶれだ、オレは隊長殿の仇を討つぞ。」


「よし、オレもだ、隊長殿と仲間の敵討ちだ、奴らを血祭に上げてやるんだ。」


「よ~し、もうこうなったらオレもやるぞ、もう破れかぶれだ。」


 と、兵士達は叫ぶが。


「なぁ~みんな、隊長殿の仇はきっと討つ、だが気持ちだけでは奴らは殺せないんだ、一度頭を冷やして作戦を考えよう、みんなも少し落ち着くんだ、とにかく落ち着いてくれ。」


 中隊長は兵士達をなだめたが。


「親分、小川さんが。」


「何、やられたのか。」


「ええ、みんなが言ってますよ、隊長殿が殺されたって。」


「よ~し、オレ達が小川さんの仇を討ってやる。」


 もうこうなっては銀次達も抑えが効かない状態で。


「よ~し、オレ達も鉄砲を撃つぞ。」


「銀次さん、連発銃は火縄銃とは違いますから、我々が全員を仕留めますので弾薬の補充をお願いしますよ。」


「う~ん、でも。」


「お気持ちは隊長殿も知っておられますから、此処は一番辛抱して下さい、お願いしますから。」


 銀次達は怒りを何処にぶつけて良いのかわからず、其れでも小隊長の説得に納得した。


「オレ達が間違ってました、でも絶対に奴らを皆殺しにして下さいよ、これだけはどんな事が有ってもお願いしますからね。」


  その後、銀次達は小隊長の指示に従うのだ。


 その頃、城下に連れて来られた兵士達の身体には二本、三本と矢が刺さっており、だが何時の時代でもこの様な時には女性達は一番強い。


「兵隊さん、少しだけ我慢してね。」


 と、言った時には兵士に刺さって要る数本の矢が一気に抜かれ、兵士はそのまま気を失って要る。


「軍医様、隊長殿が、隊長殿が。」


 と、兵士は涙ながら軍医に何かを伝えようとするが。


「わかった、直ぐ連れて来て下さい。」


 やはり軍医は常に冷静で兵士は隊長は戦死したものと思っており、小川の身体には六本もの矢が刺さって要る。


「よし、矢を抜くぞ。」


 と、言った瞬間、軍医は一気に二本抜くと、小川は痛みで意識が朦朧として要るのか。


「うっ。」


 と、言って又も気絶した。


「隊長は生きて要る、わしがどんな事してでも絶対に死なせる事はしない。」


 軍医はその後全ての矢を抜くと、軍の看護婦は手慣れたもので傷口を洗い、白い布を当て、包帯を巻いて行く。


「小百合、私の着物から襦袢を出し、二寸半で裂いて持って来て下さい。」


「姉上、私のもお出しします。」


 綾乃は包帯の代わりになる布が不足していると知り、自らの着物の中から使える物を考えたのだろう、小百合も同じで、更に小百合は部屋に入ると着物を脱ぎ、今着て要る襦袢を切り裂き持って来た。


「姉上、これで宜しいでしょうか。」


「小百合、帯はどうしたのですか。」


「私の着ております襦袢を、あっ。」


 と、小百合は声をあげ、小百合は帯をせず、数本の紐で着物を整えていた。


「姉上、私は何と言う恥ずかしい事を。」


「いいえ、私も直ぐに。」


 と、言った綾乃はその場で着物を脱ぎ、襦袢を脱ぎ数本の紐で着物を整えた。


「小百合、兵隊さんは今生死の狭間なのですよ、私達の襦袢がお役に立つので有れば、これしきの事は何とも有りませんよ。」


 綾乃と小百合の思い切った行動に元大江藩の家臣の妻たちはその後、次々と襦袢を切り裂き包帯として使用して行った。


「総司令、先程ですが隊長殿が戦死されたと報告が有りました。」


「えっ、小川さんがですか。」


 と、若様は声を上げたが、源三郎は何も言わず静かに聞いて要る。


 小川も官軍に入る前は藩の侍で何時も死は覚悟しており、其れが今回は官軍との戦での戦死で、更に本人も納得の戦死で有り、何を今更驚く必要が有ると思って要る。


「若、小川さんも官軍に入られる前は侍ですぞ、侍ならば何時何処で戦に巻き込まれるやも知れず、ですが今回は官軍との戦で戦死されたのです。


 私は其れよりも兵隊さんがどれ程戦死されたのか、そちらの方が気になるのです。」


 源三郎は連合国の兵士だと言っても官軍に入る前は殆どが農民や町民と言った民衆で有り、民衆からの犠牲者が多く出るのが一番悲しいので有る。


「若の気持ちは誰でも知っておられますよ、其れよりも負傷された兵隊さんですが、今どちらに居られるのですか。


「今は駐屯地で軍医殿と町のお医者が治療に当たられておられます。」


「では、私は今から参りますので、若もご一緒に。」


 と、源三郎と若様は駐屯地へ向かう。


「忘れておりまして申し訳御座いません。

 先程ですが銀次さんがお仲間を連れ山に向かわれました。」


「左様ですか、やはり銀次さん達も駆け付けて頂けたのですね。」


 銀次と仲間が駆け付けたと聞いても源三郎は別に驚く事も無く、其れは銀次の事だ源三郎が一番危険な場所へ向かうと知っており、銀次も同じ行動に出たので有る。


「親分、オレ達も兵隊さんを。」


「いや、其れは正太さん達に任せるんだ、オレ達のやる事は弾の補充だ、今の内に他の兵隊さん達の分も補充するんだ。」


 勿論、銀次も兵士達を助けたいと、だが其れは正太達に任せ、他の兵士達の銃に弾を補充する事の方が大事だと、仲間は弾倉帯を数本持ち弾の補充を行って行く。


「パン、パン。」


 と、時々発射音が聞こえ、其れは連合国軍兵士が官軍兵を狙い撃ちし、更に「どっかっ~ン。」「どっかっ~ン。」と、時折一号弾の爆裂音が山に響き渡る。


 連合国軍兵士が柵の手前まで下がったその時、突然異変が起きた。


「わぁ~狼だ、早く入れ、噛み殺されるぞ。」


「わぁ~。」


 と、兵士達は大慌てで柵の内側に入ったが、目の前を一体何頭の狼が駆け抜けて行くのだろうか、狼の行く先には連合国軍兵士が居る所では無く、官軍兵に向かって要る。


「わぁ~狼だ、狼が、ぎゃ~。」


「助けてくれ、狼に殺される。」


「ぎゃ~。」


 と、次々と官軍兵に襲い掛かる狼の大群。


「何で今頃なんだ、何でもっと早く来てくれなかったんだよ、早く来てくれればオレ達の仲間も死ぬ事も無かったのに、畜生目。」


「本当だ、オレ達の仲間は。」


 と、連合国軍兵士は言って要るが。


「だけど物凄い大群だけど一体何頭要るんだ。」


「全員、何が起きても柵から出る事はならんぞ。」


「よ~し、もうこれで大丈夫だ。」


「まぁ~オレ達にはやっぱり狼と言う物凄く恐ろしい見方が要る事だけは確かなんだなぁ~。」


 兵士達は狼の大群が官軍兵を襲って要るのが当然だと思って要る


「小隊長、銃の音が聞こえませんが、奴ら下がって来るんでしょうか。」


「多分ですが、全員山を注視し官軍兵が下りて来ましたら全員を抹殺する様に、一人たりとも生かしてはならんぞ。」


 日光隊と月光隊、そして、夕霧隊の兵士達は官軍兵が下って来るのを待ち構えて要る。


 山中では正太達が投げた一号爆裂弾の破壊力と三銃士による連続攻撃により官軍は壊滅的な状態で、更に追い打ちを掛ける様に狼の大群が生き残った官軍兵に襲い掛かり、官軍との闘いは一時半程で終結した。


 だが連合国軍兵士にも多くの犠牲者と負傷兵が出ており、源三郎は一体何人が戦死したのかもわからないが城下へと向かうので有る。



     

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