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闇の帝国    作者: 大和 武
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 第 82 話。正か官軍が。

「お~い、ちょっとあそこを見てくれるか、何かはっきりとはわからないんだけど。」


「えっ、何処だ。」


 向こう側を監視して要る猿軍団の一人が指差す方を見ると。


「何だろう、何かに追われてる様にも見えるんだけどなぁ~。」


「う~ん、そうだなぁ~、若しかして侍なのかなぁ~。」


 川の土手を必死で逃げて要る様にも見えるが、段々と近付いて来る様子で。


「あれは侍だ、うん、えっ山に入って来たぞ。」


「十人くらいだなぁ~、オレは直ぐに知らせるから見張っててくれよ。」


 と、一人が大急ぎで小隊が監視任務に就いて要る所へと向かった。


 猿軍団は大木の上部で監視し、軍の兵士は監視小屋近くで見張りに就いて要る。


「兵隊さん、小隊長さんは何処ですか。」


「小隊長、猿軍団のお方が。」


「何か動きでも有りましたか。」


「小隊長さん、川の土手から十人程の侍と思われるんですが山に入って来ました。」


「分かりました、第一、第二分隊は私と一緒に。」


 小隊長と二個分隊が猿軍団の後ろから行く。


「お~い、どうだ。」


「小隊長さん、今さっきですが山に入って来ましたけど、この真下を上がって来ますけど、其れと人数は十人程です。」


「分かりました、分隊は散開し奴らを待ち伏せて下さい。」


「其れにしても物凄い熊笹だなぁ~。」


「だが今更他に向かうのは無理だ。」


「確かに、このまま登るしかあるまい。」


「奴らまだ追って来るのだろうか。」


「いや何もわからんのだ、其れよりも何処かに身を隠せねばなるまい。」


 侍と思われる十人程の男達は一体何から逃げて要る。


 そして、小隊長と二個分隊が待ち伏せて要る近くまで来た。


「奴ら一体何処に行きやがったんだ。」


「さっき川の土手から山に向かったんだ。」


「早く見つけ出すんだ。」


「何処まで来ていますか。」


「もう少しですよ、後少しですから、オレが手を振りますんで。」


 木の上で見張って要る猿軍団は侍達の動きを見て要るが、侍達は全く気付いておらず、その時、手が振られ小隊長が突然立ち上がり。


「お主達は何処に行くのか。」


「えっ、なんだ、何で官軍が。」


「あ~もう駄目か。」


 と、侍達は小隊長の姿を見て官軍だと思ったのだろうが。


「私は官軍兵では無い、連合国軍で有る。」


「えっ、連合国軍って、では官軍では無いのか。」


「今も言った様に官軍兵では無い、連合国軍だ、其れよりも何故山に入った。」


「お主は官軍では無いと言ったが、では何故官軍兵の姿をして要るんだ、其れに我々は幕府の軍隊では無いんだ。」


「分かりました、ではお話しを伺いましょうか、分隊は見張りを猿軍団にもお願いします。」


「えっ、お主一人では無かったのか。」


「じゃ~我々は取り囲まれて要るのか。」


「その通りでしてね、貴方方の動きはだいぶ前から知っておりましてよ、其れよりもお話しを聞かせて下さい。」


 侍達は既に諦めたのかその場に座り込んだと言うよりもへたり込んだようで、その後、小隊長に話をすると。


「猿軍団にお願いします、直ぐ隊長に、其れと松川、上田、そして。」


「小隊長さん、オレ達に任せて下さい、今から直ぐ向かいますんで。」


 と、数人が山を下りて行った。


「第一分隊は第二、第三分隊に知らせて下さい。」


 第一分隊は別の場所で監視任務に就いて要る第二、第三分隊に知らせるべく大急ぎで向かった。


「では私と一緒に来て下さい。」


「我々は一体どうなるんだ。」


 侍達は打ち首にでもなるのだろうと思っており、もう此処までかと諦めて要る様にも見える。


「私は貴方方殺すとは言ってはおりませんよ、其れよりも早くこの場を離れる事の方が大事ですよ。」


「何故だ、何故この場を。」


「此処にはねぇ~、狼の大群が居りますので早く離れなければ餌食になりますよ。」


「えっ、狼の大群って本当なのか。」


 侍達は正か狼の大群が生息して要るとは考えもしておらず、突然の話に顔色が変わった。


「詳しいお話しは後程聞きますので、今は一刻でも早く離れる事ですよ。」


 小隊長と第二分隊の兵士は侍達を連れ山を下って行く。


「オレは隊長さんに話すから、お前は松川と上田に、お前は源三郎様に知らせてくれ。」


「じゃ~馬を借りよう。」


 猿軍団が駐屯地に飛び込んで来た。


「隊長さん、大変だ、隊長さ~ん。」


「お~い、馬を貸してくれ。」


 数人が馬に飛び乗り松川、上田へ、そして、野洲へと向かった。


「一体どうしたんですか、そんなに慌てて。」


「隊長さん、大変なんですよ。」


 と、猿軍団の一人が侍達が話した内容を小川に話すと。


「分かりました、当番さん、中隊長に出撃すると、大至急だ準備が終わり次第出撃する、貴方は若様にお話しを、其れと松川にも。」


「隊長さん、オレの仲間が松川と上田、其れと源三郎様にも知らせにもう向かってますんで。」


「そうですか、では貴方は若様に。」


「じゃ~行きますんで。」


 と、若様の居る執務室へと、当番兵は中隊長に知らせに向かい小川も出撃準備に入った。


「若様、若様、大変なんです。」


 と、猿軍団の一人が若様の執務室に飛び込んだ。


「えっ、一体どうしたんですか、そんなにも慌てて。」


「若様、其れがもう大変なんですよ。」


 その後、侍から聞いた内容を話すと。


「よ~く分かりました、では松川と上田に。」


「其れはオレの仲間が向かってますんで。」


 と、松川と上田、そして、源三郎にも知らせる為に馬で向かって要ると話した。


「吉永様、私も参りますので後の事は宜しくお願いします。」


 吉永は若様の顔を見て決意を感じた。


「若、全て拙者にお任せを、高木は正太さんを呼びに、他の者は賄い処と領民をお城にお連れするんだ。」


 高木達の動きは早く、正太を呼びに、他の者達もそれぞれの方へと向かった。


「今からでは夜になるぞ。」


「では野営に入る、其れと此処に来るまで農民に聞いたが、山の向こう側は直ぐ海だと。」


「では明日は広げて行くとするか。」


「其れが一番だと思うんだ。」


「では我が中隊がこのまま登る。」


「では自分の中隊は一里程東から登る。」


 と、この部隊は明日の朝登る場所を決めて行くが一体何の為に十人程の侍を追撃して要る。


「隊長、全員準備完了です。」


「では出撃する。」


 山賀の駐屯地から山に向け出撃し、若様は初めて本身を持ち部隊を追い掛けて行く。


「分隊長、川の土手を東から大勢の官軍兵がこちらに向かってます。」


「君は小隊長に知らせてくれ、私と残りは行き先を調べる。」


 猿軍団が官軍兵を発見するよりも早く朝霧隊の第一分隊が発見し監視を続行し、大岩に居る日光隊と月光隊に知らせるべく大急ぎで向かった。


 分隊の兵士は必死で走って要るが発見した所が菊池に近く、本来ならば菊池に向かうべきところやはり混乱していたのだろう。


「小川さん、官軍でしょうか。」


「私もはっきりとは申せませんが、多分、官軍に間違いは無いと思うのですが、其れと人数ですねぇ~。」


「私は向こう側から来た侍に詳しく話を聞きたいのです。」


 若様も小川隊長も詳しい情報を得られず一刻でも早く知りたいと思い、侍達が居る山へと急いだ。


「ご貴殿が見られたのは官軍なのですか。」


「私が見たところでは間違い無く官軍だと思いますが。」


「では確信が無いのですか。」


「私の知る官軍は指揮官は元侍で兵士の殆どが町民だと思うのです。

 と、申しますのは一番に言葉使いですが、あの者達の言葉使いですが農民や町民の言葉使いでは無く、我が藩にも居りましたが、やくざ者と浪人達が多く居る様にも思うのです。」


 侍の話では農民や町民では無く、やくざ者と浪人達で有ると、其れが事実ならば山賀で滅ぼされた兵士が言ってた他にも特攻隊は存在すると、やはり話は本当なのか、だが事実だとすれば大変な事になる、一刻でも早く全滅させなければならないので有る。


 若様と小川が率いる中隊は一時半程して侍達が居る所に着いた。


「若様、隊長、こちらの方々が官軍の大軍から逃げて来られたので御座います。」


「左様ですか、其れでは少しお伺いしたいのですが、何故官軍から逃げなければならないのですか。」


「実は我が藩では幕府から上納金を大幅に増やすと言う通知が有り、藩主もですが家中の全員と、更に城下の領民にも説明したのですが全く納得して頂けず、その後、何度と無く幕府に減額を願い出たのですが、全て却下され、我々の藩は幕府に反抗する事になりまして。」


 侍達はその後も詳しく話、其れでは官軍側に立つ事では無いのか、其れが何故官軍兵の追撃を受けるのか、其れがわからないので有る。


「では何故に官軍兵の追撃を受けるのですか、お互いの敵は幕府だと思うのですがねぇ~。」


「其れは勿論で御座いますが、私達が有る城下に入った時の事でした。」


 侍達は城下での出来事を話すと、官軍兵は城下に入ると突然領民達の虐殺を始め、男達を全員殺すと、次は女性達に狙いを定め次から次へと犯し始め、其れが終わると今度は家の中に閉じ込め火を点け皆殺しにしたと言う、その現場を見た途端恐ろしくなったのか現場からこっそりと逃げ出したと言うので有る。


「其れにしてもご家中の人数が少ないと思うのですが。」


「我が藩では五十人程が居りましたが、奴らに次々と殺されたのです。」


 やはりだ、官軍兵の虐殺が世間に知られる事にでもなれば司令本部はどの部隊の犯行なのか調査し、部隊が確定したならば相当重い刑罰に、いや極刑を言い渡される其れを阻止する為には目撃者を抹殺しなければならない。


「では殆ど、いや貴殿達以外は全員抹殺されたのですか。」


「左様でして、私達も何時殺されるかも知れず、今までは何とか逃げる事が出来たのです。」


「小川さん、奴らをこのまま放置する事は出来ないですねぇ~。」


「私もその様に思いますが、其れで官軍兵の人数と武器を知りたいのですが。」


「私達は逃げる事に必死でして正確には分かりませぬが五百か六百人は居ると思われます。

 其れと武器ですが殆ど新式の鉄砲を持っております。」


「鉄砲と言うのは今我々が持って要る連発銃と同じですか。」


「私も目の前で確認してはおりませんですが、ただ連続して撃つのだけはわかっております。」


 官軍兵ならば連発銃を使って要るのは当然だ、だが一体どの様な作戦を用いれば全滅させる事が出来るのだ。


「六百人の官軍兵が、これは大変だ、何としても阻止しなければ、我が連合国も大変な事になりますよ。」


 若様は六百人の官軍兵と聞き何としても阻止しなければ連合国は大変な事になると言うが、では一体どの様な作戦を立てれば良いのか、其れはこの戦では連合国軍からも相当数の犠牲者が出ると覚悟しなければならない。


「若様、この様な大事ならば私ではとてもでは御座いませんがどの様な策をも考え付く事が出来ないのです。

 ですが総司令ならばきっと最高の策を考えて頂けると思うのです御座います。」


 さすがの小川隊長でも策を考え付く事が出来ないと、やはり一刻でも早く源三郎に到着して欲しいのだと。


「小川さんには大変な思いをさせ、私は何も浮かばず誠に残念で御座います。」


 若様も全く策が浮かばないと言う、その後、数時が過ぎ


「小川さん、もうそろそろ義兄上が到着する頃では有りませんか。」


「左様ですねぇ~、では若様だけお戻り下さい。

 私はこの場に留まりますので。」


「其れはなりませんよ、この様な時には私よりも小川隊長の方が重要ですので私が残ります。」


 若様も小川も自分が残ると言うが。


「若様も隊長も一度戻って頂きまして、総司令から作戦の指示が有ると思いますので、其れに今からでは多分動く様な事は無いと考えておりますので、自分達にお任せ頂きたいのです。」


 中隊長は若様も小川にも一度戻り、源三郎の指示を受け作戦行動に入っても十分だと、更に陽が西の山に掛かり、今からでは山に登ると言う無謀な行動は取らないと考えて要る。


「分かりました、では中隊長と小隊長、後はお任せしますので、皆さんも気を付けて下さい。

 私と小川隊長は一度戻りますので宜しくお願いします。」


 若様も戻ると言い、小川も納得した様子で、その後山を下り源三郎が到着して要るで有ろうお城へ向かった。

 

「あの侍達は逃げたと言うよりも奴らの虐殺を目前で見て官軍とは一体何の為に幕府を倒すんだと、私は侍の立場で考えれば逃げるなどと言う卑怯な事はしないと思うんです。」


「私も同じでして、ですが彼らは生き延び世間には官軍とは幕府から民衆を助ける為の軍隊では無く、強気を挫き、弱気を助けるのでは無く、弱気を葬り去ると、今の官軍は全ての民衆には敵だと言う事を世間に知らせなければと考え、今は少しでも官軍兵から逃げる方法を取られたと思うので御座います。」


 若様も小川も今の官軍の全てでは無いが、例え一部で有ったとしても全国に存在する国の殆どが小国で有り、その小国を、いや小国だけでは無い、宿場でも殺人集団となった特攻隊と名乗る官軍兵が襲い、略奪と暴行、そして、殺人と人間が思い付く限りの悪行を行い、今正に連合国を襲うかも知れず、連合国軍を総動員しなければ侵入を阻止出来ないと考えて要るが、その為にも源三郎には一刻でも早く会わなければならず、自然と下りが早まるのを感じて要る。



        

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