第 80 話。決戦だ、野盗も残党も全員抹殺せよ。
休みを終えた源三郎と吉田と二個中隊は二時半程で大岩に到着したが、やはり源三郎の思った通り四個小隊の小隊長は大岩で待っていた。
「総司令、お待ち致しておりました。」
「皆様方も大変ご苦労様ですねぇ~、では早速お話しを伺いたいのですが、上田と松川からはまだ来られておられないのですね。」
「では四個中隊が集まるのですか。」
「私は今回の一件もですが他にも有るのではと考えておりまして、まぁ~其れは別としてこちらの状況をお伺いしたいのです。」
「では自分から説明させて頂きます。」
と、日光隊の中村が最初の状況と最新の状況を説明した。
「左様ですか、では鉄砲が五十丁、弓が百、残りは槍と刀だけですか、其れで総勢が五百ですか、う~ん。」
と、源三郎は腕組みし作戦を考え始めた頃。
「小隊長、山賀方向から大勢が下りて来ます。」
「多分、上田と松川の二個中隊だと思いますねぇ~。」
これで源三郎が待っていた二個中隊が到着し、四個中隊が揃った。
「中村さん、申し訳有りませんが、夕食の準備をお願い出来るでしょうか。」
「先程から進めておりますので、今暫くの間お待ち願いたいのです。」
「吉田さん、兵隊さんを休ませて下さい。」
吉田も源三郎の事だ、兵士全員を休ませるだろうと思っており、直ぐ手配した。
「では今から作戦を練りたいと思いますので、中隊長と小隊長の全員集まって下さい。」
と、源三郎が言った時には全員が集まり、早速、源三郎の作戦を聞く事になり、源三郎は詳しい説明すると。
「総司令のご説明で有れば、我が中隊は参加させて頂けないのでは。」
と、護衛隊の中隊は何故戦闘に参加させて貰えないのだと不満で、吉田も敵軍は五百もおり、我が方として、何故一個中隊を除くのだと思って要る。
「総司令、私も同じで、何故に一個中隊を除かれるのですか。」
「まぁ~普通は吉田さんの申される通りだとは思いますが、今回の戦は吉田さんの指揮でお願いしたいと思っておりまして、私は他の所へ参りますので。」
源三郎は他の所へ行くと、其れを聞いた吉田は直ぐ分かった。
「総司令は上野参謀長の所へ参られるのですね。」
「やはり、お判りになられましたか、では何故護衛隊と上野さんの所へ行く必要が、其れも戦の最中にと思われでしょうが、説明しますのでね。」
源三郎はその後、何故今急に行く必要が有るかを説明した。
「左様でしたか、其れならば納得できます。
では私が作戦を申しますが、上田と松川の中隊は後方に、我が中隊は正面で待ち伏せます。」
と、吉田は五百の敵軍を待ち伏せする作戦を説明した。
「其れで中村さん、その付近に身を隠せる所は有るのでしょうか。」
「はい、丁度と申しますか、人間が一人伏せても敵軍からは見えない所が有ります。」
「其れではその場所に、其れと日光隊と月光隊は戦闘に加わらず林の向こう側と申しましょうか、今回は出来るだけ遠方まで探って頂きたいのです。」
「では我々も戦に参加させて頂けないので御座いますか。」
日光隊の中村も月光隊の伊藤も今や不満が爆発する寸前で有る。
「中村さんも伊藤さんもよ~く聞いて下さいね。」
吉田は中村と伊藤に何故今偵察が必要かを説明した。
「わかって頂けました、日光隊と月光隊にはその特技を今回は存分に生かして頂きたいのです。」
やはり吉田だけの事は有る、源三郎の話を聞き、日光隊と月光隊には目前の敵よりも後方に控えて要るかも知れない敵軍を探れと言うので有る。
「少佐殿、自分ももっと先を見なければならないと、今改めて感じ、申し訳有りません。」
「いいえ、別に宜しいんですよ、私も先程総司令からお話しを伺い其れで考え付いたのですから、まぁ~私も大した事は無いと言う事ですよ。」
と、吉田は笑うが、やはり源三郎の説明が有っての話で有ると、その後暫くして夕食も出来上がり、日光隊と月光隊の兵士は食事交代に向かうが、源三郎は尚も何かを考えて要る。
「高野司令、野営ですが、この場は大変危険だと考えますが如何でしょうか。」
中隊長はこの場での野営は危険だと言うが、野盗が夜に移動するとでも言うのだろうか。
「中隊長は危険だと申されますが、野盗は我々の存在に気付いて要るのでしょうか。」
「そうでは御座いません、今のところ風向きも大丈夫ですが夜になると狼の行動範囲が変わる事も有りますので、今の内に浅瀬を探し向こう側で野営するのが最適だと思うのですが。」
中隊長は野盗の動きよりも、この場では狼の攻撃に対応出来ないと言うので有る。
「やはり中隊長も狼の動きがわからないのですね。」
「野盗の動きは朝霧隊が監視されており直ぐに対応出来ますが、やはり相手が狼ともなれば全く予想出来ないと言うのが現実だと考えております。」
「承知致しました、全て中隊長にお任せしますが、朝霧隊にも知らせて頂きたいのです。」
中隊長の動きは早く、中隊の全員が川向うで野営する設営が完了するまで一時で完了した。
「司令、此処ならば野盗の動きもですが、狼の攻撃をも防ぐ事が出来ると思います。」
高野も中隊長の話を聞きながら周囲を見ると、野盗が要ると思われる林の中が丸見えで、しかも移動すれば直ぐわかる。
「いや~さすがに中隊長ですねぇ~、私はもっと学ばなければならないですねぇ~。」
「高野司令はお侍で、私は官軍で訓練と実戦も多く経験しておりまして、私は何も高野司令がどうのとは思っておりません。」
「中隊長からその様に申して頂き少し安堵致しました。」
さすがに高野だが、其れは何も高野だけでは無く、連合国の家臣達が今回の様な時に果たして適切な対応が出来る者が一体何人要る。
源三郎が特別な存在では無く、やはり幼き頃より江戸の高橋道場に預けられ武術は勿論の事、軍事から日常生活に至るまで徹底的に教育され、其れが為に殆どの物事に関して対応出来、高野が幾ら背伸びしたところで源三郎を超えるのは無理で有る。
「小隊長、奴ら全然動きませんねぇ~。」
「やはりこの場で野営すると思いますよ。」
「じゃ~今夜は此処で見張るんですか。」
「私が今から高野司令と中隊長殿と相談に入りますので、私が戻るまで待って頂けますか。」
朝霧隊の小隊長は高野達が待機中でも有る野営地へと向かった。
「小隊長、多分ですが朝霧隊をこの近くまで戻って頂くなるやも知れませんので食事が出来る様にして置いて下さい。」
「分隊長、奴らですが何であんなに大勢集まったんでしょうか、もう幕府も崩壊したんだじゃ無かったんですか。」
「私も分かりませんが、まだあれ程の元幕府の侍と申しますか、浪人達を集めた理由を知りたいんですよ。」
十人や二十人、いや五十人程の幕府の残党が集まり、官軍を襲う、いや野盗となり農村や漁村、更に各地に有る宿場を襲う事ならば理解出来るが、今林の中で野営して要る集団が五百人、いや其れ以上かも知れないが集まっており、一体何処に向かい、何処を襲うのか其れが全く予想出来ないので有る。
「分隊長、ですが奴らが若しもですよ、あの駐屯地を襲っとたらどうなるんですか、あそこには勿論兵隊も居りますよ、でも半分、いや殆どが職人さん達なんですよ、下手したら物凄い人数の職人さん達が殺されるかも知れないんですよ。」
「勿論、私も其れが一番気になってるんですがね、総司令が来られたのですから何か策を考えて頂けると思ってるんですよ。」
「そうでしたねぇ~、自分は総司令が来られたのを忘れてましたよ、まぁ~総司令の事ですから何とかしてくれますよねぇ~。」
「多分今頃行動を開始されておられると思うんですよ、我々は奴らの動きを監視し、不審な動きが有れば直ぐ報告する事が大事だと思っておりますので、皆さんも其れだけは忘れないで下さいね。」
日光隊の分隊は幕府の残党と思われる大きな集団の動きを監視し、少しの動きでも有れば小隊長に報告するんだと、だが今は監視を続けなければならないと改めて気を引き締めて要る。
「中隊長、明日ですが中隊の全員で野営地に向かいますので全員に知らせて置いて下さい。」
源三郎は何の為に駐屯地へ向かうと言うのだろうか、其れから時も経つが小さい集団も大きな集団でも動きは無く、夜が明けて来ると、どちらの集団も少しの変化が見えて来た。
「分隊長、奴らですが何処かに向かうようですよ。」
「君は今から高野司令に知らせて下さい。」
兵士はまだ夜の明ける前の土手を高野に知らせるべく大急ぎで行く。
その頃、日光隊の分隊が監視する林の方へ、吉田の指示を受けた松川、上田の中隊は集団の後方へ、そして、吉田が率いる中隊は林を抜けた窪みに身を伏せ、集団が動き出すのを待って要る。
「中隊は先程も言った様に先陣で来るで有ろう鉄砲隊が撃つまで待つように。」
吉田は集団の先陣が来るで有ろうと鉄砲隊が撃つまで待てと、更に上田と松川の中隊は大きく広がり集団を囲むような配置に就き静かに待って要る。
「高野司令、奴らが動き始めました。」
「左様ですか、承知致しました。
私も直ぐに参りますので。」
と、高野は馬に乗り朝霧隊の分隊が監視中の場所へと菊池の中隊と共に向かった。
その頃、吉田から指示を受けた日光隊と月光隊は指示通りの偵察へと向かった。
「中隊長、我々もそろそろ参りましょうか。」
と、源三郎と馬車部隊を護衛任務に就いていた中隊と一緒に駐屯地へ向かった。
「おい、お前の言った女だけの城下って一体何処に有るんだ。」
「ああ、あれだったら向こう側に見える山を越えたところだ。」
「へぇ~そんなにも女が多いのか。」
「ああ、オレが有る宿場で聞いた話なんだ、其処には女ばかりだって。」
「じゃ~男は居ないのか。」
「いや~多少は居ると思うんだ、だけどオレも詳しくは知らないんだが女が多いと言うのは本当だぜ。」
「よ~し決まった、みんなあの山を登るぞ、久し振りに楽しめるぞ。」
「よ~し、そうと決まったら早く行こうぜ。」
やはりだ、何処かで聞いたのだろうか、山を越せば女ばかりの国が有ると、その国を目指せと野盗と思われる二~三十人の集団が林の中で準備を進めて要る。
「分隊長、奴らですが、高い山を越え我が連合国に向かいます。」
「よし伝令だ、今の話を司令に伝えてくれ、我が分隊は下がるぞ。」
分隊は高野が向かって来る川の土手へと向かった。
「高野司令、奴らですが、連合国に向かうようです。」
「分かりました、中隊は攻撃準備に入り、土手を越えたならば一斉攻撃し、全員を抹殺して下さい。」
「お~い、早く行こうぜ、オレはもう我慢が出来ないんだよ。」
「オレもだよ、行くぞ。」
と、野盗の集団が土手を登った時で有る。
「よ~し一斉射撃開始、全員を抹殺せよ、一人たりとも生かすな。」
と、中隊長の命令が早いのか、中隊の一斉攻撃が開始された。
「パン、パン、パン。」
と、連続射撃で野盗は土手に倒れて行く、だが野盗も必死で反撃を開始するが、所詮相手にはならず、菊池の中隊は準備万全で、そして、野盗は当然かも知れないが菊池の中隊の攻撃を受けバタバタと倒れ、四半時程で全滅するので有る。
「中隊長、まだ安心は出来ませんので近くまで行き少しでも動くので有れば殺して下さい。」
中隊長は何時もの高野を知っており、殆ど死体に近い野盗が少しでも動けば止めをさせと、だが高野にすれば一人で生きて居るならば何れ誰かに話すで有ろうと、其れを阻止しなければならない。
そして、半時程で全員死亡だと確認した中隊長は。
「高野司令、全員の死亡を確認しました。」
「分かりました、では移動を開始しますので。」
中隊の兵士が一斉に馬に乗り大岩方向へと移動開始し、朝霧隊と夕霧隊は再び偵察へと向かった。
「お~いお主達は一体何処に向かうんだ。」
と、突然、吉田が大集団の前で仁王立ちで言うと。
「何だと、我々は幕府軍だ、お前が一人で我々に立ち向かうとでも言うのか、う~ん何と小癪な奴だ。」
「お主達は完全に包囲されており無駄な抵抗は止めろ。」
「何だと、一体何処に居るんだ、奴一人だ鉄砲で撃ち殺せ。」
と、言った時火縄銃を持った数十人が吉田に向け撃うとした瞬間、吉田は地面に伏せ、その時。
「パン、パン、パン。」
と、火縄銃が一斉に火を吹いた、だがその時には吉田の姿は無く。
「よ~し一斉攻撃開始。」
「全員、撃ち殺せ、全員抹殺せよ。」
吉田の命令と同時に後方から上田と松川から来た中隊の一斉攻撃が開始され大集団の半分近くがバタバタと倒れて行く。
「お~い、一体何処から撃って来るんだ、奴らは官軍なのか。」
幕府軍だと名乗る大集団は連合国軍の一斉攻撃で半分が倒れ、だが倒れた仲間の死体を盾にし、弓を引き矢を放つが、連合国軍の姿は見えず、矢は遥か遠くへ飛んで行く。
「全員狙いを定め確実に仕留める様に、一人たりとも生かしてはならん。」
吉田は大声で叫び、兵士達も心得ており、じっくりと構え、確実に殺して行く。
「総司令、攻撃が開始されましたが。」
「その様ですねぇ~、ですが私が一番危惧しておりますのが無ければ良いのですが。」
源三郎が危惧して要るのは一体なんだ。
「私も先程のお話しを伺うまでは考えておりませんでしたが、やはり私の考え方を改め無ければと考えております。」
目前の敵を撃滅させる事は大事だ、だが目前の敵が本隊で有ると言う確信は無く、若しも後方に大軍が控えて要るならば大変な事態を招く事は間違い無く、源三郎と中隊は一時程馬を走らせた。
「間も無く駐屯地ですが総司令はこのまま参られますか。」
「ええ、別に何も考える事も有りませんので。」
「誰か参謀長殿と中隊長殿に知らせれくれ、司令長官殿が直々に参られましたと。」
駐屯地の門前で歩哨に立つ兵士は大変な驚き様で正かと表情で有る。
「兵隊さん、上野様は居られますか。」
「はい、そのままでどうぞ。」
と、兵士は何故か身体が震えており、源三郎と中隊の兵士は駐屯地へと入って行く。
「参謀長殿、司令長官殿が参られました。」
「えっ、正か司令長官殿が直々取りに来られたのか。」
「いいえ、馬車部隊は来ておりませんが、中隊の兵士は前回と同じで中隊長殿も同じ人物で御座います。」
「そうか、中隊長と、いや兵士を。」
と、言った時に中隊長が飛び込んで来た。
「参謀長殿、司令長官殿が直々来られたと伺いましたが。」
「直ぐ兵に整列を。」
と、言ったが、その時に。
「上野様、突然に申し訳御座いません。」
源三郎と中隊長が入って来た。
「一体如何されたのでしょうか、総司令が直々参られると言うのは、我々に何か問題でも有ったのでしょうか。」
上野にすれば司令本部から武官が調査に来た事を源三郎に知られたと勘違いしたので有る。
「其れがですねぇ~、この駐屯地から南東に五里程の所に幕府の残党らしき集団を発見しましてね。」
「其れは誠で、では中隊を。」
「いいえ、もう必要有りませんよ、我が軍が全て排除しておりますので、何も心配される事は有りませんよ。」
「では総司令が自ら指揮を執られたのですか。」
「いいえ、私は何も出来ませんので全て吉田さんにお任せしておりましてね、私達も途中で鉄砲の音を聞きまして、まぁ~今頃は他の作戦に入って要ると思いますよ。」
上野や中隊長は幕府の残党を全滅させたので有れば、全てが終わって要るはずだと、だが其れは源三郎が上野の駐屯地に被害を及ぼさない為なのだが、中隊長には全く理解出来ない。
「司令長官殿は何故別の作戦に入って要るとわかるのでしょうか、自分には全く理解出来ないので御座いますが。」
「中隊長は官軍が日本全国を把握して要ると思われますか。」
「ではやはりまだ多くの幕府の残党が残って要るのでしょうか。」
武家社会が八百年以上続けば先祖が残した莫大な財産を我が身の代で全てを放棄する事などは有り得ない話で誰でも必死に守り抜こうとするのは間違い無い。
其れが明示新政府が成立して数年経つが今だ全国には多数おり、その者達に取っては今一度幕府を再建し栄耀栄華の時代へと戻らせたいとただそれだけなのかも知れず、その為、今でも多くの集団が官軍を襲い武器を奪い先程の集団もその一部なのかも知れないので有る。
「中隊長も元は侍の出だと思いますが、幕府の時代の華やかな、いや侍に取っては甘いと言うより美味しい時代を知って要る者達が今一度昔の華やかなと申しましょうか、侍に取っては良い時代に戻したいと思い、今だに多くの集団が官軍を襲い軍備を整えて要るのです。」
「では自分達は官軍が勝利したので何も心配する事は無いと思い世の中の動きを知らな過ぎたで御座いますか。」
「私はねぇ~、何も中隊長が悪いと申して要るのでは有りませんよ、明示新政府が落ち着きを取り戻すまでまだ五年や十年は掛かると思っておりますから、これからは十分に注意して頂きたいと思うのです。」
「司令長官殿、誠に有難きお言葉、自分は今後十分に注意致します。」
中隊長は改めて源三郎が何故か他国の司令長官だとは感じる事が出来ず、この先も源三郎から世の中の動きと言うものを教えて欲しいと思うのだが、やはり今は無理なのだ。
「ところで司令長官殿が直々資材を取りに来られたので御座いますか。」
「いいえ、飛んでも有りませんよ、私がその様な事をすれば、其れこそ吾助さん達には物凄く怒られますよ。」
と、言って源三郎は大笑いするが、上野や中隊長にすれば笑い事では無い。
「上野様、先程も申しましたが、幕府の残党と思われる大集団が出没し本来ならば吾助さん達が来られる予定だったのですが、吾助さん達には一度戻って頂きまして、その時技師長から上野様にこれだけの資材をお願いして欲しいと目録を預けられまして、ですがその様な訳で来れませんので、私と中隊長が預かりお持ちしたので御座います。」
と、源三郎は懐からげんたが書き上げた不足の資材の一覧表を差し出した。
「司令長官殿が直々お持ち頂き、私は何としても全てを揃えたいと考えております。」
「上野様には大変申し訳無く存じますが、何卒宜しくお願い致します。
では私は戻りまして数日後には吾助さん達が参られると思いますので、其れとこちらの中隊長も一緒に参らせて頂きます。」
源三郎と中隊長が挨拶だけで終わり戻って行くが、一時程経ち。
「あっ大変な事を忘れていた。」
と、上野が駐屯地の外まで行ったがもうその頃には源三郎達は遥か遠くに行っており、今からではとても追い付く事は出来ないと頭を抱え込んで要る。