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闇の帝国    作者: 大和 武
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 第 74 話。 オレ達の国では造れないんだ。

「飯田様、後五里程で菊池に入りますのでこの先の河原で馬を休めましょう。」


「私は中隊長さんにお任せしますので。」


「其れと菊池では馬だけを換え、そのまま野洲まで行きたいのです。」


 菊池までは残りが五里だと言う所まで戻って来たが、中隊長は馬を休める事も大事で有ると、やはり馬番の役目をしていたのが今は良い経験となり馬も良い仲間だと思って要る。


「あの~私達は一体何処に連れて行かれるんですか。」


 女性達は連れて行かれると、やはりまだ安心していないのだろうか。


「私は何も貴女方を無理に連れて行こうとは思っておりませんが、ではお伺いしますが、何処かに知り合いの宛は有るのでしょうか。」


「いいえ、何処にも知り合いなんて居ないんですよ。」


「左様ですか、では我々の国で住まわれては如何でしょうか、我々の国では貴女方も含め全員を温かく迎えてくれますよ。」


「でもまだ怖いんですよ、あんな事が有ったんで。」


 女性達が思うのも無理は無い、宿場で突然起きた官軍兵による町民の虐殺、と、更に焼き討ちで今までの生活の全てを奪われ、一体誰を信じれば良いのだろうかと、いや今は誰も信じる事が出来ないので有る。


「私を信じて頂きたいのですよ、まぁ~最初は戸惑う事も有りますが、此処の人達は大変優しくて物凄く親切ですよ。」


「じゃ~そんなに言われるんだったら信じて行きますが、でもねぇ~。」


 と、女性達の顔には不安がいっぱいだと言って要る。


 その頃、馬車から離された馬は川に入れて貰い冷たい水に足を付け、水を飲み、何処か嬉しそうな表情で元気を取り戻したと言って要る様にも見え、半時程過ぎから兵士達が動き始めた。


「さぁ~~みんなもう直ぐ菊池ですよ、兵士は馬を繋いで、そうだ誰か菊池に行って欲しいんですがねぇ~。」


「中隊長、わしが行きますんです。」


「じゃ~オレも行きますんです。」


「えっ、何でだよ、オレが行きたかったのになぁ~。」


「こんなのって早いもの勝ちだよ~だ。」


 中隊長も他の兵士も笑っているが、兵士の気持ちは誰でも同じで、飯田や吾助達も笑って要る。


「まぁ~まぁ~、次の時には貴方にお願いしますからね、では二人にお願いしますが、飯田様、女性達は如何致しましょうか。」


「私が聞きますので、少し待って下さい、貴女方は如何されますか。」


「あの~私は皆さんと一緒の方がいいんですけど。」


「私もです、皆さんだったら信用出来ますのです。」


「母ちゃん、オレもその方がいいよ。」


「君も私達と一緒の方がいいんですか。」


「うん、だって兵隊さんもみんなも優しんだ。」


「皆さんはどうですか、我々の国は大歓迎しますが、其れよりも驚かないで下さいね。」


「何で驚くんですか。」


「まぁ~其れは着いてからの楽しみにしてですよ、菊池と言う国で馬を代え、野洲と言う国に行きますが、其れでも宜しいですか。」


 女性達はやはり飯田達と一緒に行きたいのだろう誰も反対はしない。


「中隊長さん、今聞かれた通りで皆さんとそのまま野洲まで一緒に参ります。」


「承知しました、では菊池にはそうですねぇ~一時半か、う~ん、二時程で着くと思いますが、其処で駐屯地には馬を代えますと、高野司令にも同じ様に伝えて下さい。」


「はい、承知しました。」


「其れで貴方には。」


「中隊長、オレは全部わかってますんで。」


「ではお伺いしますが、何をわかってられるのですか。」


「まず総司令長官殿に伝え、其れと技師長さんにもですね。」


「まぁ~その通りですが、他には。」


「えっ、まだ有るんですか。」


 やはり中隊長と一兵卒との違いだ、兵士は源三郎とげんただけで良いと思って要るが。


「では説明しますからね、総司令には二時程して着きますので食事と女性と子供の為に湯殿を、其れと大佐殿と少佐殿にも伝えて欲しいのですが、上田、松川と山賀にも伝令を出して下さいと。」


「わぁ~大変だ、オレはそんなにも有るって思って無かったんで。」


「でもまだ有るんですよ。」


「えっ、まだ有るんですか。」


 兵士は正かと思ったが、今までと違い今回は色々と伝え集まって貰われなければならないと中隊長は考えて要る。


「では先程の貴方にも一緒に行って頂けますか、其れならば心配は無いと思いますので。」


 と、中隊長は先程の兵士を手招きした。


「ではもう一度詳しく説明しますのでね、二人で分けて伝えて下さい。」


 中隊長は二人の兵士に詳しく説明した。


「ではお願いしますが、まだ先も長いですから余り馬は飛ばさない様にして下さいね、全力で行きますと菊池に入る前に馬が倒れますからね。」


「じゃ~小走りよりも少し早い程度でいいんですか。」


「その通りで、ではお願いします。」


 三人の兵士が菊池へと向かった。


「では他の兵士は馬を繋いで下さい。」


 兵士は馬車に馬を繋ぎ、吾助達は鉄管や他の荷物の点検と縄の張り具合を見て要る。


「中隊長、点検も終わりました。」


「では菊池に向け出発します。」


 馬車に繋がれた馬も元気を取り戻したかの様で何故か馬の方が早く帰りたいと言ってる様で「小走りになってますが、いいんですか。」兵士は馬の動きに任せて要る。


 その頃、三人の伝令は中隊長の言い付けを守り、其れでも一時程して二又付近に来ると、やはり気持ちが勝ったのか自然と早くなった。


「お~い、お~い。」


「小隊長、馬に乗った三人が飛ばして来ます。」


「若しかして向こう側に行った中隊の。」


「そうですよ、自分は駐屯地と高野司令に知らせに行きます。」


 と、言った兵士は馬に飛び乗り隧道の中を駆け抜けて行く。


「お~い、オレ達は。」


「小隊長、やはり間違い有りません。」


「このまま行きますので。」


 三人の兵士は隧道へと消えて行く。


「伝令が帰って来ると言う事は、後半時か、遅くても一時もすれば馬車部隊が戻って来ますよ、直ぐ準備に掛かって下さい。」


 兵士達は手分けし隧道内の松明を点けて行く。


「伝令で~す、馬車部隊は一時半程すれば到着しますので馬の準備をお願いします。」


「分かりました、では直ぐに掛かって下さい。」


 菊地の駐屯地では代わりの馬を集め始めた。


「自分はお城へ向かいます。」


 と、兵士は高野の執務室へ、二人の兵士は馬を乗り換え野洲へと飛ばして行く。


 その頃、馬車部隊も後少しで二又付近に差し掛かり自然と早くなり。


「もう直ぐ二又ですが馬の為少し緩めて下さい。」


 此処に来て馬がへばっては今までの苦労が水の泡になると中隊長はゆっくりと行けと指示を出し、馬車部隊は焦る気持ちを抑えながら菊地を目指して行く。


「高野司令、一時程すれば馬車部隊が戻って来られますが、中隊長は馬を換えそのまま野洲へ参りますとの伝言です。」


「左様ですか、其れで皆さんは。」


「はい、全員が無事でして、其れと。」


 伝令兵は女性達の話をすると。


「では全員が野洲に参られるのですね。」


「中隊長はその様に申されておられます。」


「左様ですか、其れで貴方は。」


「自分は馬車部隊と一緒に野洲へ参りますので出口で待たせて頂きます。」


「左様ですか、では私は殿に報告し、出口に向かいます。」


「お~い、お~い。」


「誰か大声で叫んでるぞ。」


「あれは向こう側に行った兵隊さんだ。」


「総司令に伝令です。」


「そのままどうぞ。」


 大手門を潜り執務室に入ると。


「総司令、伝令です、馬車部隊は後一時半程で菊池に着き、馬を換え野洲に向かわれます。」


「左様ですか、ご苦労様でした、其れで皆さんは無事でしょうか。」


「はい、全員が無事でして、其れと。」


 と、兵士は中隊長から聞かされた内容を報告して要る最中に工藤と吉田が飛び込んで来た。


「工藤さん、吉田さん、全員が無事に戻って来られますよ。」


「大佐殿、中隊長殿が上田、松川、山賀に伝令をお願いしますと。」


「分かりました、直ぐ手配しましょう。」


 と、言った時には吉田は部屋を飛び出して行った。


「湯殿と雑炊の手配をお願いします。」


 野洲のお城は急に慌ただしくなり、賄い処も戦争に入った。


「源三郎、一体どうしたのじゃ、皆が急に。」


「殿、馬車部隊が無事に戻って来られます。」


「其れが誠ならば何と吉報じゃ、権三、今宵は美味い酒が飲めそうじゃの~。」


 殿様は一人大喜びして要る様で、だが殿様だけで無く、其れは瞬く間に城下の領民達が知る事になったのも間違いは無い。


「えっ、本当か、でも良かったなぁ~、其れで荷馬車には何を積んでるんだ。」


「そんな事オレが知るか。」


 やはりだ、野洲の城下では早くも荷馬車の荷物が気になるらしく、町民達はあちらこちらで話に夢中で有る。


 そして、一時半が近付いて来ると隧道の入口には兵士達が集まり、馬車部隊が近付くのを待っており、高野も出口で待ち、交代用の馬も待機して要る。


 そして、一時半近くになった。


「中隊長、馬車部隊が見えて来ました。」


「監視所から見て付近は大丈夫ですか。」


「此処から見える範囲内には怪しい者は確認出来ません。」


「ではもう少しですが、馬車部隊が全て入るまで監視を続けて下さい。」


「飯田様、隧道に入ります。」


「やっと帰って来たか、もう安心だなぁ~。」


「わぁ~なんてところに入って行くんだ。」


 兵士が乗る馬に乗った子供達はもう大変な驚き様で、子供達にすれば山には峠が有るものだと思っており、其れが隧道に入ったのだから仕方がないのだろう。


「ねぇ~兵隊さん、此処の山には峠は無いの。」


「そうなんだ、この山には一本も道が無いんだよ、此処の山にはなぁ~狼の大群が住んでるんだ、だからこの国の人達は絶対に山には入らないんだ、勿論、我々兵隊もだよ。」


「だったら向こう側から官軍も来ないんだね。」


「まぁ~絶対に無いとは言えないんだけど、今まで何度も官軍や野盗に幕府の残党が向こう側から登って来たんだけれど、全部って言ってもいいと思うんだけど狼に食べられたんだ。」


「じゃ~今通ってる所はみんな知ってるの。」


「いや、其れは無いよ、この隧道は連合国の人達だけが知ってるんだ。」


 兵士と子供の話は続いて要るが。


「中隊長、大変ご苦労様でした、皆様方が無事戻られ、私もこれで一安心です。」


 先頭の中隊長と一個小隊の兵士の後ろから馬車も隧道を抜け菊池に入って来た。


「中隊は馬を代えて下さい。」


「高野様も一緒に参って頂きたいので御座いますが、宜しいでしょうか。」


「承知しました、では私と後二人分の馬をお願いします。」


 駐屯地の兵士達の動きは早く、馬車の馬も次々と代えられ四半時程で完了した。


「飯田様、では参りますよ、さぁ~野洲へ行きましょうか。」


 馬車部隊は野洲へと、その前に伝令兵が各国へと飛ばして行き、馬車部隊は小走りでやがて野洲へと近付くと。


「お母さん、もう直ぐ野洲に着きますからね。」


「えっ、そんなにも近いんですか。」


「お~い、まだ見えないのか。」


「うん、其れがまだなんだ、あっ、伝令だ、じゃ~もう直ぐだ。」


「伝令、伝令で~す。」


 と伝令兵は大声を上げ一人は野洲へ、他の伝令兵はそのまま上田の方へと飛ばして行く。


「総司令に伝令で、もう間も無く着かれます。」


「左様ですか、ご苦労様でした。」


 兵士は駐屯地へと向かったがげんたは先程から大手門で待っており、源三郎も向かった。


「あっ、見えたぞ、馬車部隊だ。」


 野洲の大手門前には源三郎にげんた、工藤や吉田も、更に駐屯地からも続々と兵士が出迎えだと大勢が、だが其れよりも城下の人達が大勢集まって来た。


「源三郎様、今度は一体何を持って帰って来たんですか。」


 領民達は何時もの様に聞いて要るが。


「其れはねぇ~、陸蒸気を造る為の資材なんですよ。」


「何ですか、その陸蒸気って。」


 城下の人達も初めて聞く陸蒸気とは一体どんなものなのか、だが源三郎も本物の陸蒸気は見た事が無い。


「実は私もねぇ~、陸蒸気を見た事が無いんですよ。」


「なぁ~んだ、源三郎様も見た事が無いのか、じゃ~誰も知らないんだ、やっぱりねぇ~。」


 城下の人達は何時もの事だと思って要るが其れよりも。


「わぁ~なんであんなに大勢の人が要るんだ。」


 と、子供は驚き、女性達は啞然として要る。


「源三郎様、只今、全員が無事に戻って参りました。」


「飯田様、上田様、森田様、誠にご苦労様でした。

 ですが物凄い量ですが、これで全てで御座いますか。」


「いいえ、其れがまだ残っておりまして、数日後には向かう様に考えております。」


 だが源三郎は其れよりも女性達と子供達を見ており。


「飯田様、其れよりもそちらの女性達と子供達のお話しは伺っておりますので、先に湯殿に入って頂きましょうか。」


「あの~私達はどうなるんですか。」


「今はねぇ~、その様な事は考えず子供さん達も湯殿にね。」


「でもこんなにも汚れてるんですから。」


「ですから湯に入って頂き、まぁ~今までの事は忘れ、これからの事を考えて頂きたいのです。

 さぁ~皆さんを案内して下さいね。」


 お城の腰元達がにこやかな表情で湯殿へと案内して行く。


「吾助さん達もお疲れでしょうから、さぁ~先に湯殿へ。」


「ですがその前に荷を降ろしたいのですが。」


「其れならば明日からでも宜しいと思いますよ、中隊長、申し訳有りませんが馬車を一度駐屯地で預かって頂きたいのです。」


「承知致しました、中隊は馬車を駐屯地に入れ、馬を離して下さい。」


「源三郎、あの黒い大きな物は一体何じゃ。」


 お殿様もご家老様も興味津々だと言う顔で見て要る。


「お殿様、あれは巨釜と申しまして、中には数十本もの鉄の管が通り、その中を水が通り、石炭を燃やしますと鉄の管の中の水は蒸気となり、その蒸気を利用し陸蒸気が動くので御座います。」


「では其れだけで陸蒸気は動くのか。」


「いいえ、其れだけでは動きませんので他にも色々な物が必要でして、鉄の道も造らなけれなりませんので。」


 吾助の説明でお殿様は理解出来のだろうか。


「源三郎は陸蒸気を造るのか。」


「其れが技師長はこの様な陸蒸気は造らぬと申しておりまして。」


「なんじゃと、技師長は造らぬと申しておるのか。」


「殿様、オレは陸蒸気よりも機織り機を動かす動力源が必要なんだ、オレはそっちの方が先に要るって思ってるんだ。」


 げんたは機織り機の動力源を作る方が優先すると言う。


「では陸蒸気は動力源が造り終えてから造ると申すのか。」


「そんなのってまだわからないよ、オレは今初めて物を見たんだぜ、だけどこの陸蒸気は造れないんだ。」


 げんたは造らないと聞こえる、だが本当は造れないと言った。


「何故じゃ、何故に技師長程の者が陸蒸気は造れないと申すのじゃ、余には意味が分からぬのじゃ。」」


「お殿様は何にも知らないのか、わかって無いのか一体どっちなんだ、お殿様やご家老様は連合国でこんなにもでかい鉄の塊が作れると思ってるんだったら、其れは大間違いなんだ、山賀で作れるのは一番大きい塊でも一尺程なんだぜ。」


「なんじゃと、では陸蒸気を作る為には数十倍もの塊が必要だと申すのか。」


「そんなんじゃまだ無理なんだ、今目の前に有る巨釜だけでもどれだけの塊が要ると、いやそんな簡単な話じゃ無いんだ。」


「ではあの馬車くらいの塊が必要だと申すのか。」


「だからオレは造れないって言ってるんだ、オレも吾助さん達の話を聞いた時に陸蒸気が造れたらどんなに便利になるかって思ったんだ、だけど今の連合国では不可能なんだ、オレは物凄く悔しいんだ、これだけはどんなに考えても不可能なんだ。」


 げんたが言う、今の連合国では何故陸蒸気を造る事が出来ないのか簡単に話すと、お殿様もご家老様もだが、周りに居る家臣達は絶句の状態で何も言う事が出来ない。


「だけど、オレは吾助さん達や飯田さん達が物凄く苦労して持って帰った来た機織り機を動かす方がどれだけ大事か、其れをわかって欲しいんだ、ねっ、そうでしょう吾助さん。」


 吾助もだが飯田もげんたの話に納得して要るのか頷いて要る。


「あんちゃんもお殿様も、まぁ~あんまり心配するなって、オレが又違う方法を考えるからなぁ~、オレはげんただ、げんた様は大天才なんだぜ、だから心配するなって。」


 と、げんたは大笑いし、げんたは心配するなと、やはりげんたに言われると源三郎もお殿様も何も言えない。


「社長様、げんたさんって技師長さんですが機織り機を動かすって言われましたが、本当に造れるんでしょうか。」


「いや~私は何とも申し上げる事が出来ないのです。」


 飯田はげんたが潜水船を考案したとは知らない。


「ですが、一体どんな方法で動力源を造るのでしょうか、私は全くわからないんですがねぇ~。」


 上田も陸蒸気を造るものだと思っていたが。


「吾助さんにお願いが有るんだけど、陸蒸気の絵を描いて書いて欲しいんだ、オレは仕組みがわからないんで。」


「仕組みって言われましたが、私は巨釜の中は知らないんですけど。」


「オレの説明が悪かったんだ、オレが造りたいのはこの巨釜の外側がどんな造りになってるのかが知りたいんで、吾助さん、いや飯田さん達も同じなんだ。」


 げんたは仕組みを知りたいと言うのでは無く外観が知りたいと言う。


「オレは絵が下手とかは関係無いんだ、オレだって巨釜だけで陸蒸気は動かないと分かってるけど、でも外側が一体どうなってるのか、其れが知りたいんで、みんなも思い出しながらでいいんだ。」


 陸蒸気を知って要るのは飯田達三名と吾助達元の店の人達だけで、げんたはその人達の協力が無ければ何も進まないと考えて要る。


「技師長は急いでいるのですか。」


「オレは何も急いでないんだ、でも陸蒸気を知ってるのは飯田さん達や吾助さん達だけなんだ、オレも正直言ってもっと簡単に考えてたんだ、物が届けば造れるって、だけど今陸蒸気の巨釜を見て、オレの考えが甘かったって、みんなはどう思ってるのか知らないけど、吾助さん達が命懸けで機織り機を運んで来たんだ、だからオレはみんなが協力して機織り機を動かせたら其れでいいんだけど、其れにオレはこれと同じ陸蒸気は造れないと思うんだ、だけどその内に何か別の方法も考え付くと思ってるんだ。」


「技師長さんがそんなにも私達の事を思ってたなんて知りませんでしたよ、なぁ~みんな、私達だけが陸蒸気を知ってるんだ、みんなで何とか思い出して絵を描きたいんで協力してくれますか。」


 吾助は店の人達に頭を下げ。


「私も必死で思い出しますよ、だって機織り機が動いて洋服が作れるんだか、こなに嬉しい話が有るもんですか。」


「そうだよ、技師長さんだけが考えるよりも、オレ達にも出来る事が有ると思うんだ、技師長さん、出来るだけ早く見て貰える様にしますので。」


「別にゆっくりでもいいんだ、みんなでやってくれたら、オレは其れでいいと思うんだ。」


「殿、私の考えが甘かったとしか思えないないのです。」


「何も源三郎だけの責任では無いのじゃ、余もげんたに言われて、やっと気付いたのじゃからの~、だが今度はどの様にして動力源を造るのか、其れが楽しみになるのじゃ、其れが今は一番の楽しみになって要るのじゃ、の~権三。」


 ご家老様も頷いて要るが、其れは何もご家老様だけでは無く、源三郎もで、だがげんたは既に頭が回転しているかの様にも見えるが、果たして本当に造れるのか、今のげんたすらわからず、今更後戻りも出来ないのはわかって要る。


        


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