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闇の帝国    作者: 大和 武
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第 64 話。げんたの爆弾発言。

「なぁ~あんちゃんは何でオレ達の秘密を話したんだ。」


「物事には話をしなければならない時も有るのですよ。」


「だけどなぁ~。」


「では聞きますが、げんたはどの様な方法で鉄の板を、其れにですよ基地建設に必要な鉄の板を調達するつもりなのですか。」


「そんな事オレだってわからないよ、だけどなぁ~潜水船は連合国以外の国に知られては困るって

何時もあんちゃんが言ってたんだぜ。」


「其れは今も同じですよ、ですが幾ら鍛冶屋さん腕が良いと言ってもですよ、畳一畳分の鉄の板を

作るのはとてもでは有りませんが不可能に近い早い話ですよ。」


「だけど若しもだよ、若しも官軍の軍艦が攻めて来たらオレ達は全員殺されてしまうのか。」


 げんたは源三郎が何時も言って要る様に連合国以外の国の人、特に官軍の将校には知られない様

にと、だが現実は官軍の海軍の参謀長に話した、其れがどの様な結果になるのか、下手をすれば松

川から菊池に有る海岸の洞窟は軍艦の一斉攻撃を受け徹底的に破壊されると思って要る。


「上野さんと言う人物はそれ程馬鹿では有りませんよ、其れと言うのも上野さんもですが中隊長に

しても、我々の事よりもロシアから日本国を守ると言う重大な責務を持っておられ、今はどんな事

が有っても軍港を完成させなければならないのです。」


「だったら何であの時は何も言わなかったんだ、オレは其れがわからないんだ。」


「其れはですねぇ~、その事が頭から離れず全く聞こえなかったのですよ。」


「なぁ~んだ、だったら最初から話せば良かったんだ、オレは余計な心配して損したのか、ふ~ん

成程なぁ~。」


 げんたはまだ少し不満だと、だが本当のところ源三郎が迷っていたのだろか、其れとも最新のロ

シアの情報を得たいと言うのが本当なのかも知れない。


「まぁ~何れにしてもこの様になったのですから今更引き下がる事は出来ませんので、我々も腹を

括って挑まなければならないでしょうねぇ~。」


「あんちゃんは本気だって事なのか。」


「その通りですよ、我々は今まで幕府や官軍が相手だとばかり思っておりましたが、どうやら世界

の動きは我々の想像以上に進んでおり、もう同じ国の中での戦では無く、言葉の通じない文化と全

く異次元の国家と戦に突入すると言う事ですよ。」


「あんちゃんはこれからの戦は同じ国の中では無くロシアの様な国と戦になるって言うのか。」


「その通りでして、日本国は最初の戦がロシアだと言う事でしてね、これからは私も全く知らない

国と戦になると思っても間違いは有りませんよ。」


「そんな事になったらオレ達は一体どんな事になるんだ。」


「其れだけは私も全くわからないですよ、我々は長きに渡り世界中からは全く通じる事も無く今ま

で生活を営んで来ましたが、明示と言う新しい時代になり其れからは突然にと言っても過言では有

りませんが、ロシアと言う欧州の強国が日本国を植民地にすると言う情報が入り、今はロシアとの

戦に突入する事は間違いは無く、我々連合国も含め明示政府もこの戦には絶対に勝たなければなら

ないのです。」


「じゃ~オレは今考えて要る新しい武器を完成させ様に頑張るぜ。」


「これからもげんたには相当大きな負担を掛けるとは思いますが、私はねぇ~げんたと同じ様な考

え方をする人物を探したいのです。」


「あんちゃんはオレだけでは無理だって言うのか。」


「げんたは何か勘違いしておりませんか、私はねぇ~げんたにこれ以上は無理をして欲しくは無い

のです。

 げんたが幾ら大天才だと申しても人間一人では限界も有るのです。

 私はねぇ~大天才のげんたを中心として四人から五人くらいの天才だと言われて要る集団が出来

れば良いと考えて要るのです。」


「あんちゃんはなぁ~何時も簡単に言うけど、子供は全部天才なんだ、特に遊ぶ事となったら誰で

も必死になるんだ、だけど遊びの事以外になったら普通に戻るんだ、そんなのって何処の子供でも

同じなんだぜ。」


 だがげんたは普通の子供では無かったと言うので有ろうか。


「若しもだよ、若しも山賀にそんな子供が居たとしてだよ、子供だけを此処に呼ぶのか、其れとも

家族も一緒に呼ぶのか、其れと子供の友達は一体どうするんだよ、あんちゃんは其処まで考えてる

のか。」


「う~ん其れは大変困りましたねぇ~、実を申しますと其処までは考えて無かったと言うのが正直なところでしてねぇ~。」


「やっぱりだ、オレの時は特別だったんだぜ、オレはなぁ~、同じ子供同士で遊ぶ事よりも毎日色

んな小物を作って、其れが全部売れる方が楽しかったんだ、其れにだよお客の無理な注文の品物を

作る、其れがオレに取っては一番の遊びなんだ。」


 げんたは幼い頃より城下で母親が営む小間物屋を手伝っていたが、父親の作り残した小物が売り

切れると親子が食べて行けなくなる。


 げんたは手伝うと言うよりも小物を作り始め、其れが何時しか城下で評判になり、源三郎の耳に入った、其れが源三郎とげんたの出会いで有る。


「オレはなぁ~、客の無理な注文を聞き作る、其れが一番の楽しみで、だけどあんちゃんの注文は

客の無理どころじゃなかったんだぜ、だけどあの時は絶対に作ってこのお侍を負かしてやろうと、

其れで必死で考え作ったんだ、だけどオレ見たいな子供は多分いないと思うんだ。」


 げんた自身は特別だと思っていないが、侍の注文した品物を作れば今よりももっと多く稼ぐ事が

出来母親との生活も少しは楽になれると考え、だが源三郎の注文は簡単な様で簡単に作れる物では

無く、其れが完成しなければ一文も入って来ない。


 普通ならば稼いだ金子で親子は食べて行ける、だが源三郎の計らいで大川屋から食べ物が届けら

れ、其れがげんたの心に火が付き、潜水具と言う誰もが考える事の出来ない品物を作り、其れが後

の潜水船を考案する原点となった。


 源三郎は静かにげんたの話を聞いており、工藤も源三郎とげんたの出会いを知り、やはりげんた

の様に特別な頭脳を持つ子供は簡単に見付けるのは無理だと思って要る。


「私は何時もげんたに無理を申しており、其れで少しでも負担を減らしたいと、ただ其れだけの事

なですよ。」


「オレはなぁ~、あんちゃんが思ってる程辛いとは思って無いんだぜ、今のオレは誰も考えない物

を作りたいと、たったそれだけなんだ、あんちゃんはオレの楽しみを奪うつもりなのか。」


「正か、私がその様な事は考えてはおりませんよ。」


「だけどあんちゃんは物凄いと思うんだ、何時もオレ達領民の事ばっかり考えて、オレよりももっ

と疲れてる思うんだ、さっきも言ったけど今のオレは毎日がめちゃめちゃ楽しんだぜ、あんちゃん

はオレの事よりもねぇ~ちゃんや子供の事をもっと大事にした方がいいと思うんだ。


 まぁ~ねぇ~ちゃんの事だから絶対に辛いとは言わないけど、だけどなぁ~子供は別なんだぜ、

ねぇ~ちゃんの事だから心配は要らないと思うけど、あんちゃんは時々でもいいから子供達の事を

考えた方がいいと思うんだけどなぁ~。」


 源三郎はげんたに一番恐ろしい事を付かれ何も反論出来ず、やはりげんたは並の人間としてでは

無く、自分よりも遥かに多くのものを見て要ると。


「あんちゃんは何時もみんなに言ってるんだぜ、絶対に無理は駄目ですよって、だけど一番無理を

してるのはあんちゃんなんだぜ、あんちゃんの事だから全部自分でやらないと駄目だと思ってるけ

どなぁ~、菊池には高野さん、上田には阿波野さんに松川には斉藤さん、そして、山賀には吉永さ

んって言うあんちゃんの片腕と言う人物が居るけど、オレの考えでは吉永さんを戻してもいいと思うんだ。」


 吉永は源三郎の命を受け山賀の筆頭家老として行ったが、松之介と言う若様が来て以来、吉永の

能力が発揮されていないと思って要る。


「何故、吉永様を戻すのですか、吉永様は山賀の司令官として。」


「だからあんちゃんは何もわかっていないって言うんだ、若様の行動力と決断力はあんちゃんが、

いやそれ以上かも知れないんだ、其れに正太さんって言う、今は若様の片腕と言ってもいいと思う

んだけど、正太さんは若様の言わんとする事もわかってるんだぜ、オレはなぁ~、吉永さんの力が

発揮されて無いって思うんだ、吉永さんが戻って、高野さんに阿波野さん、そして、斉藤さん、こ

れに若様か正太さんが入ればあんちゃんはみんなからの意見を聞くだけで何もする必要は無いんだ、

だけど今度見たいな時にはあんちゃんが出向く、これだけでもあんちゃんの存在感は誰もが認める

と思うんだ、そして、軍隊の事は工藤さんに任せ、あんちゃんは此処で工藤さんから話を聞くだけ

で十分だと思うんだ。」


 正かげんたがそれ程まで考えて要るとはさすがの源三郎でも思わなかった。


「オレはなぁ~、軍隊の事、特に陸軍に付いては今度また橘さんって言う人と、小川さんが中心と

なって、其れとこれから造る潜水船の秘密基地には吉田さんに海軍潜水船部隊の司令官として就いて貰い、乗組員と言うのか兵隊さんはあの時潜水船の兵隊さんを募った時にくじに外れた全員に就いて貰うんだ、そして、訓練は松川から菊池まで有る全ての潜水船を使い実戦訓練に入って貰えば鉄の潜水船が一隻でも完成した時、兵隊さんは新しい潜水船の操縦は全員が出来るから余計な日数を掛ける事も無いと、其れと吉永さんはあんちゃんに代わりにって言うと怒られるかも知れないけど、工藤さんには連合国軍の司令長官になって貰い、普段の問題は吉永さんと工藤さんに任せ、此処一番と言う時にあんちゃんが出向く、オレは其れだけで十分だと思うんだけど、工藤さんはどう思いますか。」


「いや~私も誠驚きましたよ、正か技師長が其処まで考えておられるとは、私は降参するしか御座

いませんよ、私も技師長が申されます様に総司令の負担が余りにも多く、何れはお身体を壊される

やも知れないと危惧しておりまして、ですが今まで総司令にお話しする機会が無かったのです。」 

 やはりだ、工藤も源三郎は余りにも仕事が多いと考えていた。


「ですが私自身は。」


「其れがあんちゃんの悪いところなんだ、機械や大きな道具を考えるのはオレと吉川さんと石川さ

んに任せ、軍隊の事は工藤さんに、そして、高野さん達と工藤さんの話は吉永さんに任せ、あん

ちゃんは本当の意味で全体の事を考える、オレはねぇ~潜水船を建造する時には吉川さんと石川さ

ん、其れに工藤さん達軍隊の人達から応援して貰わないと出来ないと思ってるんだ、だけどその前

に今の兵隊さんと城下の人達の中で鍛冶屋の仕事が出来る人を探したいんだ。」


「何故に鍛冶の仕事が必要なのですか。」


「じゃ~あんちゃんに聞くけど、オレが考えた鉄兜と胴巻き、そして、鉄の潜水船を造る時に今の

鍛冶屋さんの人数で足りるとでも思ってたのか。」


 もうげんたは潜水艦建造には多くの鍛冶屋が必要だと考えており、今から鍛冶屋の仕事を覚える

必要が有ると、更に兵士の命を守る為の鉄兜と胴巻きを作るにもしても大勢の鍛冶屋が必要だ、だ

が現実とみると菊池から山賀の鍛冶屋も人手不足が最大の問題で有る。


「あんちゃんは一人分の鉄兜と胴巻きを作り上げるのに一体何日掛かると思ってるんだ、其れに今

連合国軍の兵隊さんは何人居ると思ってるんだ、オレは多分だけど九千人以上は居ると思うんだ、

其れを数人の鍛冶屋さんで作るとなれば一体何年掛かると思うんだ、其れにロシア軍だって何時攻

めて来るかも知れないんだぜ、オレはなぁ~、此処の兵隊さんの命だけは守りたいんだ、其れが出

来れば城下の人達は助かるって思ってるんだ。」


 本来ならば源三郎が考える事なのかも知れず、だがげんたは源三郎がどれ程神経と身体を酷使し

て要るかを知っており、傍で聞いて要る鈴木や上田、そして、工藤にも知って欲しかったのかも知

れないので有る。


「総司令、今回だけは技師長の申される通りだと思います。」


「母ちゃんは何時も言ってるんだ、源三郎様の身体が心配だって、オレはなぁ~、あんちゃんの仕

事を奪うなんて考えて無いんだ、オレもあんちゃんも工藤さんだって何れは死ぬんだ、オレ達の代

わりは作る事は出来る、だけどあんちゃんの代わりは誰にでも出来るとは思わないん、オレは今か

らでもいいからあんちゃんの代わりになる人物を育てて欲しんだ、で、オレの考えは輝之進が一番

最適って思うんだ。」



 遂にげんたの爆弾発言が飛び出した、源三郎も正かと思う話で、げんたは輝之進に源三郎の二代

目を務めさせようと言うので有る。


「輝之進に私の代わりになる為の教育をするのですか、ですが輝之進はまだ幼いのですよ。」


「オレもそんなのはわかってるよ、あんちゃんも言ってたと思うんだ、鉄は熱いうちに打てって、

だったら輝之進に教え込んでも遅くは無いと思うんだ。」


 げんたの話を聞き一番驚いて要るのは源三郎でも無く、鈴木と上田で、勿論、二人も源三郎は酷

使して要ると思って要るのだろうか、だがげんたの爆弾発言は全く次元が違う。


「技師長、ですが輝之進様に今から教え込むと言うのは大変だと思いますが。」


「オレは誰でもいいと思うんだ、例えば鈴木さんの子供でも、オレは幼い頃から店に来る客の無理

な注文を受け全部作ったんだ、其れはなぁ~、客はオレが子供だと思って作れそうにも無い様な注

文をする、だけどオレは子供として受けて無いんだ、オレは一人の職人として客の無理な注文を受

けたんだ、大工の親方も鍛冶のあんちゃんも職人としての誇りが有り、鍛冶のあんちゃんはオレの

無理を受けた、其れが職人なんだ、オレはねぇ~鈴木さんの子供では出来ないとは思って無いんだ、

だけどあんちゃんの仕事は誰にでも出来る様な仕事じゃ無いんだ、あんちゃんも子供の頃から江戸

の高橋道場で剣術とは別に特別な事を教えて貰ったと思うんだ、だってあんちゃんは野洲の筆頭家

老の息子なんだぜ、将来は野洲の筆頭家老としての仕事に就くその為には剣術よりも他の事を学ん

だと思うんだ、其れが今のあんちゃんを作ったとオレは勝手に思ってるんだ。」


「確かに私も幼き頃より高橋先生からは領民の為に何が出来るか、何をすれば領民は豊かな暮らし

が出来るのか、其れはもう徹底的に教え込まれたのも事実ですよ。」


「オレはねぇ~、何も輝之進を徹底的に学ばせろっては言って無いんだ、オレはあんちゃんの時よ

りも輝之進が大人になる頃にはもっと大変かも知れないんだ、その時になって慌てる人物だったら

其れも仕方無いとは思うんだ、オレはなぁ~、これから先の事を考えると余りにも問題が大き過ぎ

ると思うんだ、だけどこの問題を避けて通る事は出来ないし、この問題に対応出来る人間を今から

でも養成しなければならないんだ、其れで最も適任なのが輝之進だと思うんだ、あんちゃんはオレ

の事を心配するよりも連合国の領民が生き残る為には何が必要かを考え、吉永さんや工藤さんと話

し合って欲しいんだ、だからあんまりオレの事は考えない方がいいと思うんだ。」


「私は余りにも自分が情けないと思います。

 技師長がそれ程まで深く考えておられるとは今の今まで考えた事が有りませんでした。」


「私もですよ、私も今まで出来るならばと色々と考えたいと思いましたが、私が考え付くのは問題

が発生した時だけでして、将来をどの様にすれば生き残れるか考えた事も無かったのです。」


 鈴木と上田は相当落ち込んで要るようにも見える。


「其れは何もお二人が悪いのでは有りませんよ、私も実を申しますと今技師長に言われるまでは考

えもしなかったのです。」


「総司令、私は今まで何と楽な仕事と申しましょうか、任務と申しましょうか、ただ安寧としてい

たと思うのです。


 これからは今まで以上に考えなくてはならないと、其れだけ重要な任務かも知れません。」


 工藤も後頭部をガツンと殴られた様な衝撃を受けたので有る。


 源三郎の考え方は連合国では一歩も二歩も先を行き、その為指示を受けた者は遂行するのがやっ

とだ、だがげんたは源三郎よりも遥か先を考えており、其れの代表格が潜水船で源三郎でさえも理

解するにも日数が掛かり、そのげんたの爆弾発言で源三郎は反論さえ出来ない程にもやられたと思

うので有る。


 げんたの爆弾発言は今後も落とされるだろうか、其れとも潜水船の様に静かに近づき相手が気付

いた時には既に手遅れとなる、其れがげんたの爆弾発言でこの先何時落ちるかも知れないので有る。

 


       

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