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闇の帝国    作者: 大和 武
12/288

第 12 話。 遂に、誕生か、狼犬部隊。

 野盗隊と、第1番大隊、第2番大隊が農場を出発した、2日後の昼頃で有


る。


 「お~い、4番大隊の中隊が帰ってきたぞ~、将軍に知らせてくれ~。」


 「わかった、直ぐに。」


 城門下の兵士が、ロシュエの執務室に飛んで行く。


 「将軍。」


 「お~ぉ、何だ。」


 「はい、4番大隊の中隊が戻って着たと。」


 「わかった、君は、その足で、大食堂に行って、パンとスープの用意だ


と、伝えてくれよ。」


 「はい。」


 兵士は、またも、大食堂に向かって走って行く。


 「当番さんは居るか。」


 「はい、自分ですが.」


 「そうか、すまんがねぇ~、中隊長に、馬を休ませてくれと伝えて欲しい


んだ、勿論だが兵士達もだよ。」


 「はい。」


 当番兵は、城門に入ってきた、中隊長に伝え、兵士達は放牧場へ、馬車、


10台は、そのまま、大食堂に向かった。


 大食堂では、テレシアとイレノア達が場外で作業中の人達の昼食準備に大


忙しだ。


 「はいよ、わかったわよ、有難う、イレノア、パンは。」


 「はい、直ぐに焼き上がりますので、出来次第、追加を焼きに入りま


す。」


 「まぁ~、だけど、仕方ないわよねぇ~。」


 「そうですねぇ~、でも、テレシアさん、お肉が不足すると思います


が。」


 「そうねぇ~、兵隊さんに渡したからねぇ~、じゃ~、何か考えよう


か。」


 其処え、ロシュエが入ってきた。


 「テレシア、申し訳ない。」


 と、ロシュエは、手を合わせると。


 「将軍、本当にあんたって人は困った人だよ。」


 とは、言ってるのだが、顔は笑っている。


 其れは、何時もの事なので、テレシアは半ば諦めている。


 「あら、司令官は。」


 「うん、もう来ると思うよ。」


 何か、司令官に頼みごとでも有るのか、と、その時、司令官と中隊長が連


れて来た大工百人が来た。


 「まぁ~、中隊長、久し振りねぇ~。」


 「本当ですねぇ~、でも、また直ぐに戻りますので、ゆっくりとは出来な


いので。」


 「あんた、何、言ってのよ、将軍が命令すれば、隊長も、何も言わないわ


よねぇ~。」


 ロシュエは、何か有ると思い。


 「テレシア、何だ、何か有るのかよ~。」


 「うん、だけど、中隊長も、今、着いたばかりだし。」


 「テレシアさん、わかっていますよ、私が、行きましょうか。」


 「えっ、司令官が、だけど、本当にいいんですか。」


 「おい、おい、一体、何の話なんだよ~。」


 「閣下、お肉ですよ、お肉が多分不足しているんじゃ無いでしょうかねぇ


~、テレシアさん。」


 司令官は、テレシアの顔を見て、ニコットすると。


 「御免なさいね。」


 テレシアは、申し訳なさそうな顔だが。


 「そうか、あの時、大量に持って行かせたからなぁ~、済まん、許してく


れよ、オレは、何も考えずに。」


 「将軍、いいんだよ、だって、あれは、仕方の無い事だものねっ。」


 「司令官、其れでしたら、自分に行かせて下さいよ、狩りなんて久し振り


ですので、部下達の気分転換にも役に立つと思いますので。」


 「中隊長、行ってくれるか、済まんなぁ~。」


 「将軍、自分達も、何かでお役に立つ事も必要だと思います。」


 「テレシア、明日でもいいのか。」


 「うん、其れは、大丈夫だけど、兵隊さんも疲れていると思うのよ、で


も、本当にいいの。」


 「テレシアさん、たまには、何かをさせて下さいよ、だって。」


 「わかってるわよ~、じゃ~、明日、頼むねっ。」


 「わかりましたよ、任せて下さい。」


 側では、中隊に連れられ来た、新しい大工達は、パンとスープにまだ手を


つけて無かった。


 「あの~、将軍様、オレ達は、まだ、何も出来て無いのに、食事をいただ


いてもよろしいんですか。」


 「オイ、オイ、何を心配してるんだよ、あんた達はね、別なんだからよ


~、腹いっぱい食べていいんだからよ~。」


 「でも、今、話を聞きましたんで。」


 「あ~ぁ、肉の話か、其れはなぁ~、2日程前にだ、大部隊が出撃したん


だよ~、で、その時、大量になっ、持って行かせたんだ、まぁ~、食べ物な


んて、何れは無くなるんだから、その肉を調達するだけの話なんだからよ


~、あんた達は、何も考えずにだ、わかったかよ~。」


 「はい、有難う御座います、じゃ~、みんな、将軍様にお礼を言って食べ


ようか。」


 「オイ、オイ、その将軍様ってのはよ、止めて欲しいんだよ、オレは、様


って言われる様な男じゃないんだからよ~。」


 「はい、将軍様。」


 「こら、まぁ~、いいか、其れより、食べながら悪いんだがよ~、話は変


わるんだが、中隊長、この人達が出たのは、ウエス達は知って要るのか。」


 「いいえ、其れは、知らないと思いますよ、彼らを、5人、10人と、少


しづつ連れ出しましたので。」


 「じゃ~、大隊は、他の者達にも話はしたのか。」


 「はい、その話は全員に伝えましたので。」


 「そうか、じゃ~、奴らは、まだ、何も気付いていないんだなっ。」


 「はい、私は、その様に思っております。」


 「其れで、聞きたいんだがよ~、奴らの仕事なんだが。」


 「はい、連日、早朝から、日暮まで、大小の岩石を掘り出しと、土の掘り


出しで全員が疲労困憊で、自分達、4番隊の大木切り出し作業には、全くと


言っても良いほど、無関心の状態だと、隊長も言っておられました。」


 「だがよ、3番大隊と4番大隊の連絡方法は。」


 「一応、1日、1回、必ず、どちらかの隊が報告に行きますので。」


 「だがよ~、何れ、大木の加工が終わり、大池の現場に行く事になるんだ


ろう。」


 「はい、ですが、まだ、当分の間は行く必要も無いのですが、隊長は、技


師長の家と名目上でも、ウエスの家は必要になるだろうと、言われておりま


すので。」


 「そうだよなぁ~、奴らの家は、後々でも良いが、技師長の家は急ぐと思


うんだ。」


 「あの~、将軍様。」


 「うん、何だね。」


 「はい、オレ達が出る前なんですが、1日か2日の間に加工が終わるから


と聞いていますが。」


 「それじゃ~、今頃、丁度、技師長の家を建てているところだなぁ~。」


 その頃、大池の現場では、ロシュエの思ったとおり、技師長の家を建てて


いる最中だった、数台の荷車には、技師長が寝泊りする部屋と、仕事場の部


屋を作る材料が運び込まれている。


 「やぁ~、みんな、ご苦労さんですねぇ~。」


 フランド隊長は、材料を運んで来た、木こり達に労を労った。


 近くでは、ウエス達が、岩石の掘り出し作業の最中だったが。


 「おい、見たか、あの荷車、一体、なんて大きさなんだ。」


 「わぁ~、本当だ、だけど、あんな大きな荷車で、一体、何を運ぶん


だ。」


 「そりゃ~、此処の岩石じゃ~、無いのか。」


 偽者達も驚いている、それ程、荷車が巨大なのだ。


 「技師長、材料の置き場所は。」


 「其処で、いいですよ、でも、皆さん、本当にご苦労様です、で、之は、


私の。」


 「はい、技師長様のです。」


 「その技師長様は止めて下さいよ、お願いですから。」


 「でも。」


 「いいんですよ、だって。」


 その時、ウエスが来た。


 「技師長の家ですね。」


 「その様ですね、ウエス隊長の家を作る材料も、この後、運んで来るそう


ですよ。」


 「えっ、私のですか。」


 「はい、その様ですよ。」


 「でも、私は、一人の作業員ですので。」


 と、ウエスは言ったが、心の中では、自分にも必要だと思っている様だ


と、技師長は感じていた。


 「ウエス隊長は、この人達の指揮官ですので、必要だと、隊長からの申し


出が有りましたし、私も、その様に思っておりますよ。」


 ウエス自身も部屋があれば、その部屋で作戦を練る事が出来ると考えて要


る。


 「そうですか、隊長、本当に宜しいのですか、其れよりも、隊長のお部屋


が必要だと思いますが。」


 「いいえ、其れは、必要有りませんよ、今、木こりさん達が大木の切り出


し作業を行なわれていますが、高い木製の壁が完成すれば、私達は、農場に


戻る事になっておりますので。」


 「では、大木の切り出し作業が終わると、全員が戻られると言う事なので


しょうか。」


 「はい、私達は、将軍より、その様に命令を受けておりますので、大池の


完成前には戻る事になると思いますが。」


 フランド隊長は、ウエスの考え方が読めている。


 ウエスにすれば、別に大池が未完成でも兵隊は戻る、その後でも武器を取


り出しに行く事が出来ると考えて要るのだと、隊長の読みなのだ。


 やはり、ウエスも同じ様に考えていたが、顔に出す必要も無かった。


 「ですが、隊長、高い壁が完成しても、その中に狼の大群が残っていると


思いますが。」


 「そう言われれば、その可能性も有りますね、私も独断は出来ませんの


で、その前に、将軍の判断を仰ぎますので、其れで宜しいでしょうか。」


 「でも、少しは残していただいた方が、此処に残る者達の食料の肉も必要


かと思いますが。」


 やはり、ウエスは探りを入れてきたと、隊長は思い。


 「そうでしたねぇ~、私も、つい、うっかりしておりましたよ、じゃ~、


3個中隊を残す様に致しましょうか。」


 「はい、有難う、御座います。


 我々も、時には肉が食べたいと思いましたので、それと、残ったと思われ


る狼の退治も必要だと思いますので。」


 ウエスの考えは、隊長には読めた、其れは、残る、3個中隊ならば、全


員、簡単に殺せると思って要るのだ。


 「そうでしたねぇ~、残った狼の退治も必要でした。」


 「隊長、申し訳有りません、色々と、面倒な事をお願いしますが。」


 「いいえ、ウエス隊長の言われるのが、私は、正しいと思いますよ、此処


の大池が完成しても、次々と有りますからね、ウエス隊長も、此れからは、


何か要望が有れば、何なりと申し出ていただいても宜しいかと思います。


 将軍は、現地の事は、現地に任せると言われておりますので。」


 「本当に有り難い話です、私達も、此れから先、長い間、お世話に成りま


すので。」


 「わかりました。」


 「では、隊長、私は戻りますので。」


 ウエスは、仲間の元に戻って行く。


 「中隊長、今の話を、将軍に伝えて下さい。」


 「でも、ウエスって奴は、相当な悪人ですねぇ~。」


 「中隊長も、その様に思われましたか。」


 「はい、隊長が、兵士を引き上げると言われた時、ウエスの顔が一瞬です


が、少し変わった様に見えたのですが。」


 「ええ、私もわかりましたよ、でもね、奴は全員が引き上げると困るので


す。」


 「私も、立場が違えば同じですね、此処に残った兵士を殺せば、兵士の持


って要る武器を奪う事も出来ますから。」


 「その通りなんですよ、我々の持ってる、ホーガンの威力は、ウエスが一


番知ってますからねぇ~。」

 

 「では、隊長は、3個中隊の残すのですか。」


 「まぁ~、その判断と言うよりも、将軍も、別の作戦を考えておられる


と、私は、思ってるんですよ、その作戦を聞く事と、今、話した内容を、貴


方が直接、将軍に伝えて欲しいのです。


 それと、フォルト隊長に話して下さいね、隊長も何かを考えられると思い


ますので。」


 「はい、わかりました、では、私から、フォルト隊長に伝え、その足で農


場に戻りますので。」


 「中隊長、ウエス達は、まだ、知られていないと思っていますからね。」


 「はい。」


 「中隊長殿、材料は、全部降ろしました。」


 「わかりました、では、隊長、私達は、これで、次の材料を運ぶ時には、


別の中隊が来ると思いますので。」


 「よろしく頼みましたよ。」


 ウエスは、まだ、近くに居る、だから、あえて、中隊長は、別の中隊が来


ると言ったのだ。


 話は少し戻り。


 「なぁ~、大工さんよ~、技師長が作った図面なんだが、大工さん達が見


て、この部分は改良した方がいいと思うならよ、勝手に改良してくれてもい


いんだよ。」


 「でも、将軍様、技師長様が書かれた図面が大事では無いのですか。」


 「そりゃ~よ、其れが、一番なんだが、この農場でもだが、現場で作って


いると、何度も改良したんだ、だって、オレなんか、何も知らないんだぜ、


だがよ~、今度は、あんた達専門の大工さんが作るんだ、専門家が、此処は


と思えば、図面なんてものよりも、大工さん達の目を信用するよ。」


 「将軍様、じゃ~、オレ達の好きな様にって事なんですか。」


 「うん、そうだよ、あんた達が頑丈に作って、敵軍を止める事が出来るん


だったら、其れの方がいいと、オレは思ってるんだ、あのおやっさんだっ


て、文句は言わないよ。」


 「将軍様、其処まで、オレ達の事を。」


 「まぁ~、明日から頑張ってくれよ、オレは、戻るから、司令官、さっ


き、言ってた狩りも話だがよ~、司令官が行くよりも、中隊長に任せてやろ


うぜ、なぁ~、中隊長さんよ~。」


 中隊長は、ニコリとして。


 「はい、私よりも、部下達が喜ぶと思いますので、ぜひ、私達に任せて下


さい。」


 司令官もわかったいたのだ、何時も、ウエス達の動きを監視して要る、3


番大隊、4番大隊の兵士達は、大変な神経を使っている。


 彼らも、何処かで、不満を爆発させる場所が必要なのだと。


 「では、中隊長、よろしく頼みましたよ。」


 「はい、では、司令官、新しい馬と馬車を連れてきますので。」


 中隊長は、ロシュエと司令官に敬礼を終えると、何か途端に元気が出てき


たのか、笑みをこぼしながら出て行った。


 「閣下、彼らも、相当不満を溜めている様ですね。」


 「そりゃ~、そうだろうよ、一日中、ウエス達の動きを監視するんだぜ、


まぁ~、オレだったらよ~、絶対に行かないよ。」


 ロシュエは舌をぺロット出すと。


 「閣下が、その様な事を申されますと。」


 司令官は言うのだが、ロシュエの本心は知って要る、ロシュエは、何時も


自分が先頭になって行きたいのだと、その2日後の昼過ぎの事で有る。


 「中隊長、大池の方角から小隊が戻って来ま~す。」


 「お~い、誰か、将軍に知れせろ。」


 「はい。」


 若い兵士が、ロシュエの執務室に走って行く。


 「中隊長、先頭は中隊長です。」


 「4番大隊から、将軍に。」


 「はい、将軍と司令官は、執務室に居られますので。」


 「有難う、小隊は、馬を放牧し、休みに入っていいですよ。」


 この農場では、上官からは殆ど命令口調では言わないのが普通なのだ、其


れは、将軍で有る、ロシュエが、殆ど命令口調では言わないためで有る。


 「将軍。」


 「お~、君か、如何したんだ、4番大隊で、何かあったのか。」


 ロシュエも司令官も、一瞬、同じ様に思ったのだが。


 「将軍、そうでは有りません、実は。」


 4番大隊の中隊長が、フランド隊長から、将軍に直接伝えてくれと言わ


れ、その報告に戻って着たのだ。


 「ふ~ん、やはり、ウエスの野郎、考えやがったなぁ~。」


 「はい、私も、側で聞いておりましたが、将軍が思われた通りだったの


で、私も、驚いています。」


 「だが、ウエス達は、武器が無くなっている事は知らないんだなぁ~。」


 「ええ、私も知りませんでしたが。」


 「えっ。」


 ロシュエはとぼけるのだが。


 「そうだったのか、君の隊長に頼んで、野盗隊に行かせたんだよ、すると


だぜ、やはり、大量の武器を見つけたんでよ~、今、鍛冶屋さんに、城壁に


使う釘を作ってもらってるんだ。」


 「では、フランド隊長は、まだ知られてないのですか。」


 「うん、そうなんだよ、其れにだ、先日、4番隊からよ多勢の大工さんが


着いて、今、城壁の扉と、その他、色々な物を作ってもらってるんだよ。」


 「私は、大工さん達が、こちらに向かうのは知っておりましたが、じゃ


~、ウエス達が隠した武器は全て。」


 「そりゃ~、勿論だよ、奴らに剣の一振りも残すなって、野盗隊に伝えて有るんだ。」


 「其れを、知らずに、ウエスは、頭の中で、計画の実行日を考えて要るの


ですか。」


 「まぁ~、そう言う事だなぁ~。」


 ロシュエはニヤリとするので有る。


 「中隊長、今、直ぐに戻る必要は無いが、3番大隊と4番大隊の隊長に伝


えてくれよ、数日前になるんだが、野盗隊と、1番大隊、2番大隊が、城の


周辺を偵察に行ったんだ。」


 「えっ、では、今は、5番大隊だけが、農場の護衛任務に就かれているの


ですか。」


 「いや~、5番大隊は、外で作業されている人達の護衛に就いてるん


だ。」


 「では、敵軍は。」


 「いや、其れは心配ないんだよ、だってよ~、中隊長も見たと思うんだ


が、城門の直ぐ前が今の現場なんだ、5番大隊も両方を見るので大変だと思


ってるんだが、偵察部隊が戻るまでは仕方が無いんだよ~。」


 「はい、私も、理解は出来ますが、万が一と言う事も有りますので、4番


大隊から、3個中隊を戻らせて如何でしょうか。」


 「中隊長の気持ちは、本当に有り難いんだが、今、ウエス達に知られる


と、それの方が、オレとしては困るんだよ、だってよ~、ウエス達がどんな


方法で知らせるのかわからないんだぜ。」


 「はい、其れは、私もわかっておりますが、でも、将軍に若しもの事があ


ればですよ、それこそ、ウエス達にとっては都合が良いのでは。」


 「だがよ~、ウエス達は何も知らないんだぜ、武器も無し、オレ達がウエ


スの計画を知ってる事も、だから、今は、何も騒ぐな、其れよりもだよ、


今、言った様にだ、偵察部隊が敵軍の位置と人数を調べに行ってるんだ、だ


からよ~、隊長には、その報告をしてくれよ。」


 「将軍、それとですが、フランド隊長がウエスとの話の中で、壁が完成すれば、兵士は引き上げると言われましたが。」


 「あ~あ、あれか、あの話は、ウエスの出方を見てるんだ、でだ、一応、


隊長の言った様に、3個中隊は残しても良いと、オレが承諾したと言ってく


れ、だがよ、3番大隊と、4番大隊が引き上げる時はだよ、ウエス達が壊滅


したと言う時になるんだ、今の話は、ウエスに知られると困るんで、奴の居


ない時になっ。」


 「では、3番大隊と、4番大隊は、当分の間は現状維持と言う事で宜しい


のですね。」


 「本当に済まないと思ってるんだ、オレは、どんな事があっても2大隊か


らは、犠牲者を出したくは無いんだ。」


 「将軍、我々は、何時でも覚悟は出来ておりますので。」


 ロシュエは、何としても、ウエス達を早く全滅させたいと思っている。


 「中隊長、オレが行くまではどんな事があっても、ウエス達と戦うんじゃ


ないぞ。」


 「えっ、将軍が、直接、来られるんですか、でも、其れは。」


 「閣下、申し訳有りませんが、閣下が、ウエスとの戦いに行かれるのは、


どの様な事があっても反対で御座います。


 今度は、私が、先頭に立ちますので。」


 「いや、司令官は、この農場を敵軍から守ってもらう事になるんだよ。」


 「ですが、この農場は、閣下が、苦労され、此処まで築き上げられたので


すから、閣下が、責任を持って守っていただけなければ。」


 「司令官、オレが死んだらよ~、司令官が、この農場を引き継いで欲しい


と思ってるんだぜ、オレが決めたんだから。」


 「いいえ、たとえ、閣下のご命令でも、私は、承諾出来ません。」


 「なんでだよ~、オレが行きたいんだからよ~、なっ、今度は、オレに行


かせてくれよ、頼むからよ~。」


 二人の話を聞いて要る中隊長は笑っている。


 「オイ、なんで笑うんだよ、オレは真剣なんだぜ。」


 「閣下、私も真剣で御座いますよ、ウエス退治は、私が参りますので、中


隊長、隊長には、私が行くと伝えて下さい。」


 「いや、駄目だって。」


 「将軍と、司令官のお話は、まるで、幼い子供の喧嘩を見ているようで、


本当に真剣な話をされているとは思いませんが。」


 と、中隊長は笑うので。


 「中隊長、そんなにオレ達の話ってよ~、子供の喧嘩なのかよ~。」


 「はい、でも、今の話は隊長達には出来ませんよ、だって、私が隊長の立


場で、今の話を聞けば。」


 と、また笑うのだ。


 「何だよ~、言えよ。」


 ロシュエは、真剣な顔付きななるのだが。


 「二人の子供がどちらが先に行くのかでもめている様にしか見えないので


す。」


 「いいじゃないか、今まで、オレは、一度も行ってないんだぜ、だってよ


~、一回だけでもいいからよ行きたいじゃないか。」


 「将軍、其れが子供なんですよ、でも、私は、その様なお姿が大好きなん


ですよ、普通ならばですよ、部下の前ではその様な話はされないのが、将軍


と司令官の立場だと思いますが、でも、本当の姿を我々は知っておりますの


で、本当は嬉しいんです。」


 「中隊長、何が嬉しいんだよ、オレの親父からも、最高指揮官が先頭にな


って敵軍と戦うんだと、親父も祖父から同じ様の教えられたって言うんだ。


 中隊長、オレは、他の軍隊は知らないよ、だがよ~、オレは、之が指揮官


の務めだと思ってるんだ、其れにだよ~、敵軍も正か、最高指揮官が先頭に


成って攻撃に入るとは思うかよ、其れが、我が、ロシュエ家の教えなんだ、


ええ、文句でも有るのかよ~。」


 と、ロシュエは強くは言っているのだが、中隊長の話も本当だと思ってい


る。


 「将軍、其れがね、我が隊の若い兵士達が、此の頃、よく話をして要るん


ですよ。」


 「何を、話題にするんだ。」


 「それがね、自分達の隊長が、一番早い馬に乗ってるって言うんですよ、


其れを隊長が聞いたので、言ったそうです、隊長と言うのは、最初に敵軍に


突撃するんだから、早い馬が必要なんだって。」


 「ふ~ん、で、兵士はなんて言ったんだ。」


 「兵士は、其れじゃ~、何時も、隊長が先頭で、兵士は遅れて行くんです


かって。」


 「そりゃ~、そうだろうよ。」


 「でも、何時から、この様になったのですか。」


 「オレは、知らないよ、だってよ~、オレが生まれる前からなんでねぇ


~。」


 「其れでは、仕方有りませんねぇ~、でも、ウエス達に対する攻撃は、3


番大隊か4番大隊に任せて下さいよ、お願いしますから。」


 「な~んだ、そんな事かよ、だがよ~、これだけははっきりと言うが、そ


の決断はだ、偵察部隊が全員無事に戻ってきてからの話になるからなっ、司


令官もそのつもりでよ~頼むぜ。」


 「はい、閣下、私は、何時でも宜しいので。」


 「で、中隊長、さっきの話だが、隊長からは、ウエスには3個中隊を残す


って事になったとなっ。」


 「はい、了解致しました。」


 「じゃ~、明日にでも戻って話を頼むぜ。」


 「はい、では、私達は、明日の朝、出発しますので、これで、失礼しま


す。」


 中隊長は、ロシュエと司令官に敬礼し、兵舎に向かうので有る。


 中隊長は、部下に話をして要るのだろう、部下達の顔つきでわかったの


だ、その時、


 「中隊長、早く行きましょうよ、だって、獲物が。」


 「何を言ってるんだよ、その前に馬に鞍と、其れに、君達は何も持たずに


行くつもりなのか。」


 「あっ、そうでしたね。」


 兵士は笑っている。


 「わかったら、直ぐ、準備だ。」


 「は~い。」


 と、若い兵士は、子供の様に喜んでいる。


 「閣下、やはり、彼らも相当不満が溜まっていた様ですねぇ~。」


 「うん、オレも、今、わかったよ、じゃ~、此れから、順番にと言っては


何だが、兵士達に狩りにでも行かせるか。」


 「はい、私も大賛成です、でも、本当は、閣下が行きたいのでは。」


 「司令官もだなぁ~。」


 と、二人は大笑いするので有る。


 その後、5日が経ち、7日が経ち、10日が過ぎた昼前だった。


 「お~い、大変だ、あれは、野盗隊だ、物凄い勢いで飛ばして来るぞ


~。」


 「え~、何だと、直ぐ、将軍に知らせろ。」


 「はい。」


 若い兵士は、馬に乗り、大食堂に向かった、城門の上に上がった中隊長


は。


 「一体、何があったんだ、馬が数頭、裸だ、誰も乗っていないぞ。」


 中隊長は直ぐに降り。


 「将軍、大変です。」


 「何だ、何事だ。」


 ロシュエは、兵士の顔を見た、すると。


 「将軍、野盗隊が物凄い勢いで、此方に向かっています。」


 「わかった、司令官、行くぞ。」


 司令官も食事の最中だったが。


 「はい。」


 二人は馬に乗り、城門に向かった。


 丁度、その時、野盗隊が入り、馬に続いて、馬車が10台と続き。


 「あっ、お~い、大急ぎで、当番兵集まれ。」


馬車には、野盗隊、5人が血だらけの身体を横にして要る。


 ロシュエも駆けつけ。


「何があったんだ、若しや、敵の攻撃を受けたのか、オイ、このまま、直


ぐ、大食堂に行け。」


「はい。」


 御者は兵士に代わり、3台の馬車は、大食堂に向かって飛ばすが、馬に乗


って居る者達も負傷している。


「君達も、早く食堂に行くんだ。」


負傷した、10名ほども、馬に乗ったまま食堂に向かった。


「オイ、みんな、大丈夫かよ、で、一体、何があったんだ。」


「はい、オレ達は。」


「じゃ~、歩きながら話を聞こうか。」


 「はい、実は、昨日の事なんです。」


 「昨日って、じゃ~、其れまでは、何も無かったのか。」


 「はい、オレ達は、お城の裏側に行き、川まで殆ど調べてんですが、敵軍


らしき兵士も発見する事も有りませんでした。」


 「城から、川まで行ったのか。」


 「はい、裏側なんですが、川までは森で、人間が入った様子も有りません


でした。」


 「じゃ~、敵軍も、城の裏側には入ってないと言う事なんだ。」


 「はい、其れで、オレ達は、1番大隊が行かれるだろう言う事で、その日


は全員が集まり、食事の準備をして要る時でした。」


 「じゃ~、全員が、次の場所に向かう予定だったのか。」


 ロシュエの予想は外れた、ロシュエも司令官も、城ではなく、それと言っ


て、城の正面では発見される事を考えれば、裏側で待機しているだろうと考


えていた。


 「その森ってのは。」


 「はい、城の裏側は勿論ですが、城の手前から、川の方角は深い森で、人


間が入ると危険だと思います。」


 「司令官、知ってたのか。」


 「閣下、私も、川の方角には深い森が有る事は知っておりましたが、あの


当時、私達も危険を冒してまでは調べてはおりませんでした。」


 「じゃ~、その森にも狼の大群がいるって事なんだ。」


 「閣下、私の推測なので、申し訳御座いませんが、ウエス達は、城の裏側


には、狼の大群がいるので、その森には近づかない様にと、敵に報告した思


われますが。」


 「うん、オレも、今、同じ事を考えたよ、だから、城の裏側から、川まで


には敵軍がいなかったんだ、じゃ~、野盗隊は、その狼の大群に襲われたっ


て事なのか。」


 「はい、でも、其れまでは、数頭見かけましたが、我々に向かって来る事


も無かったので、安心していました。」


 「うん、そうだなぁ~、数頭じゃ~、狼だって、人間を襲う事もしなかっ


たと、それじゃ~、食事の準備中に、狼の大群が襲ってきたのか。」


 「はい、オレ達は、森で数頭の大鹿を仕留めたんで、今夜は、鹿の肉が食


べられるとみんなが喜んでいたんですが、突然、20数頭ほどの狼に襲われ


たんです。」


 「えっ、何、20頭もかよ。」


 「はい、オレ達も最初慌てましたよ、だって、偵察の時には数頭だったん


で、でも。」


 野盗隊も偵察任務に入っていたのだが、その数頭の狼も、実は、偵察の狼


だったのでは無いのかと、ロシュエも司令官の考えた。


 「だがよ~、狼も偵察に行く事も有るのか。」


 「閣下、狼は賢いですから、多分ですが、野盗隊が見たのは、狼の偵察部


隊だったと言う事に成りますね。」


 「う~ん、司令官の言う通りかも知れないぞ、で、それからどうなったん


だ。」


 「はい、オレ達は、何とか、20頭ほどの狼を殺したんですが、オレ達の


仲間も大変な傷を受けました。


 特に、ホーガンは、数頭の狼に襲われましたので。」


 「で、ホーガンは。」


 「はい、さっきの馬車に乗せて。」


 話の途中に大食堂に着いた。


 大食堂では、テーブルの上で、狼に襲われた野盗隊の者達がうめき声を上


げている。


 「こりゃ~、大変だぜ、イレノア、彼らの命は大丈夫なのか。」


 「はい、全員、命だけは、何とか、大丈夫ですが、只、数人の人達は特に


重傷で、足と、手を切り落とす必要が有ると、私は、思います。」


 「何だって、足と手を切り落とすって、本当なのか。」


 「はい、でも、私は、医者では無いので、詳しい事はわかりませんが、一


人は、足首が完全に砕けておりますし、それと、二人は、左の手首が完全に


砕けていますが、問題は、その傷口からばい菌が入って要るとすれば、一人


は足を、二人は手首を切り落とさなと、その人達は、数日間、大変な苦しみ


の後、命は無いと思います。」


 ロシュエも、初めて知ったのだ、イレノアは、傷口を見て判断したのだろ


うが、何故、その様に医術に詳しいんだ、だが、今は、彼らの命が掛かって


いる、一刻も早く処置しなければ、助かる命も助からないと言う事なのだ。

 

 「おい、聞いたかよ、お前の足を切り落とすってよ。」


 「えっ、将軍、なんで、オレの足を切り落とすんですか、オレは、野盗隊


でも一番の。」


 「わかってるよ、だがよ、お前と、隣の二人も聞いてくれよ、お前達の足


と手を切り落とさないとだ、お前達の命がないんだよ、オレはよ~、お前達


に死んで欲しく無いんだよ~。」


 「私は、あの当時、ウエス達の城では、兵士達の治療もしていましたが、


その時、城の医者から、教えられました、足や手を切り落としても、命は助


かると。」


 「よし、わかったが、一体、誰が、彼らの足と手首を切り落とすんだよ、


イレノアか。」


 「はい、私が、切り落としますので、将軍と司令官の剣をお借りしたいの


です。」


 「えっ、この剣で切り落とすのか。」


 「はい。」


 イレノアは表情も変えず、其れが、当然だと言うので有る。


 「わかったよ、司令官もだぜ。」


 「はい、閣下、私の剣がお役に立つのであれば。」


 ロシュエと司令官は剣をイレノアに渡した。


 「あんた達は、熱湯を作って欲しいの。」


 「はい。」


 彼女達も直ぐに行動を起こした。


 「フランチェスカは、何時もと同じ方法で傷口をね。」


 「はい。」


 「何だ、フランチェスカも知ってるのかよ~。」


 「はい、この20人全員が出来ますので、あっ、そうだ、テレシアさん、


私達が作った煎じ薬を皆さんに飲ませて下さい。」


 「あいよ。」


 テレシアは、負傷した全員に飲ませて行く、すると。


 「テレシアさん、飲んだら、なんだか、頭が。」


 「えっ、何だって。」


 「いいんですよ、この薬の話は後でしますので、テレシアさん、私が切り


落としますので、直ぐに、あの薬草を傷口に当て、後は、綺麗な布を当て


て。」


 「いいよ。」


 「将軍と司令官、それと、野盗隊の数人で、この人を抑えて下さいね。」


 「お~、わかったよ、司令官もだ。」


 「はい。」


 ロシュエ達は、足を切断する男を押さえ込むと、フランチェスカと数人の女

性は足を引き。


 「では、行きますよ。」


 「待ってくれ、本当にオレの足を切り落とすのか。」


 「はい、で、無ければ、命の保証は。」


 「足を切り落とされたら、馬にも乗れないし、狩りに。」


 「私は、貴方の命が大事だと思いますよ。」


 「じゃ~。」


 「待って、くれ~。」


 その時、既に遅かった、イレノアは、頭上から真下に、其れは、一瞬の出


来事だった。


 「はい、終わりましたよ、テレシアさん、お願いします。」


 「なんで、オレの足を。」


 イレノアは、顔色も変えず、二人の男に、其れは、手首の少し上から切り


落とし。


 「はい、終わりましたよ、テレシアさん、お願いします。」


 イレノアは、一人は足を、二人は手首を切断した後、ホーガンの所に来た


ので有る。


 「イレノアさん、オレは、絶対にいやだからね。」


 「テレシアさん、ホーガンさんに煎じ薬は。」


 「うん、もう飲ませたよ。」


 「ホーガンさんが、一番重傷だと思いますので、針と糸を熱湯の中に。」


 彼女達の動きは早い、熱湯を次々と運んで来る。


 そして、その熱湯の中に数枚の布切れを入れて置き。


 「数人で、ホーガンさんを。」


 と、言うと、野盗隊の数人が、ホーガンを押さえ込むと。


 「イレノアさん、オレの足も切り落とすのか。」


 「いいえ、今は、出血を止める事が先ですので、少し熱いですが、我慢で


すよ。」


 「そんな事をしたら、オレ、火傷を。」


 と、言った瞬間に。


 「あっ。」


 ホーガンは大声を上げた。


 「何も熱くは無いと思いますよ、さっき、薬を飲んだでしょう。」


 「なんだか、オレに頭が。」


 イレノア達は、ホーガンの両手、両足から布を取ると、出血は止まってい


た。


 「後は、傷口を縫うだけですからね。」


 「えっ、何だって、オレの身体を針で刺すのか、そんな、痛いから止めて


くれ。」


 と、言ってる、だが、その時には、別の女性がホーガンの傷口を縫い始め


ていた。


 「後の人達の傷を見ますので、将軍も司令官も少し下がって下さい。」


 「お~、済まん。」


 と、ロシュエも司令官の後ろに下がり。


 その後、イレノア達は、残りの怪我人の治療を終えた。


 側では、テレシア達、農場の主婦達が感心している。


 「後は、私達がお世話しますので、テレシアさん、申し訳有りません


が。」


 「任せなって、だけど、イレノア、あんたって人は、大した度胸だね、私


には、とてもじゃ無いが、足や手を切り落とす事なんか出来ないよ。」


 「私達は、あの城で、医者から教えられたんです、足や手が無くなって


も、命は有る、だけど、その決断が遅いと、命を落とす事になるって。」


 「だって、そんなに簡単に決める必要が有るのかねぇ~。」


 「はい、ホーガンさん達は、今、狼の襲われたんじゃ~無いんですよ、昨


日なんです。


 其れに、傷口は汚れていましたし、ばい菌は、早くも体内に入って要る


と、でも、そのまま放置すると、数日以内には大変な苦しみの後、必ず、死


ぬ事になります。


 私も、足や手を切り落とすのは好きでは無いのですが、切り落とせば、命


だけは助かりますから。」


 「ふ~ん、そんなもんかね、だけど、将軍や司令官の剣が、こんな時に役


立つとはねぇ~、本当に。」


 「其れですが、将軍や司令官の持たれている剣は、特別な方法で作られて


要ると聞きましたので、私達は、あの城でも、数本の剣を医務室に置いてあ


ったので知っています。」


 「じゃ~、その剣ってのは、足や手を切り落とす時に使うのかい。」


 「はい、そのとおりです、お医者さんには、それだけは、認めておられた


思います。」


 「イレノア、話は変わるがよ、ホーガン達に飲ませた物なんだがよ~、あ


れは、一体、何なんだ。」


 「あの薬草ですか、あれは、私達がお城から持ってきた種を植えて置いた


んです。


 ホーガンさん達に飲まれた煎じ薬ですが、私は、あの煎じ薬を悪魔の薬っ


て呼んでいるんです。」


 「えっ、イレノア、悪魔の薬って、だがよ~、奴ら、あの煎じ薬を飲んだ


ら、叫び声もしなくなったんだぜ、其れが、なんで、悪魔の薬なんだよ


~。」


 「あの煎じ薬は、将軍の執務室の外に植えて有ります。」


 「あ~あ、知ってるよ、だがよ、あの薬って言うのかよ~、何処にだって


有る様に、オレは思ってたんだが。」


 「はい、でも、よ~く見るとわかるんですが。」


 「だがよ~、何だって、その悪魔の煎じ薬を飲ませたんだ。」


 「其れは、普通の傷口で有れば必要も無いのですが、あの人達は狼の咬ま


れたんです。


 狼が、どんなばい菌を持ってるのか、私も知りませんが、あれだけの傷口


ですので、痛みは普通じゃないと思います。」


 「ふ~ん、まぁ~、オレは、狼に咬まれた事が無いのでなぁ~。」


 「私達も有りませんが、でも、あの痛みを少しでも、取れれば、気持ちが


落ち着くと思ったんです。」


 「うん、其れは、わかったが、イレノア、なんで、煎じ薬が悪魔の薬なん


だよ~。」


 「ホーガンさんもですが、足や腕を落とした人達は、今は、大変、楽にな


っています。


 でも、あの煎じ薬は、3回が限界なんです。」


 「えっ、じゃ~よ、4回以上は駄目だって言うのかよ~。」


 「はい、私達も、あのお城で、何回も見てきましたので。」


 イレノア達は、一体、何を見たと言うのだ、それに、ホーガン達が飲んだ


煎じ薬が効いているのだろう、今は、静かになっている、それが、此れから


何日間は激痛が襲ってくるのだ、彼らが、痛みを取る煎じ薬なしで果たし


て、その激痛に耐える事が出来るのだろうか。


 「イレノア、詳しく話してくれよ。」


 司令官もテレシア達、其れに、野盗隊も真剣な顔付きになっている。


 「私達は、お城で、足を切断した兵隊さんですが、最初の1回、2回は良


く効きましたので、これで、煎じ薬は終わりだと思ったので、私達は、その


兵隊さんの側を離れ、他の兵隊さんの治療に行ったんです。」


 「うん、其れが当たり前だよ。」


 「ところが、その兵隊さんの隣の兵隊さんも同じ様に切り落としましたの


で、私達とは別の人が、その兵隊さんのお世話をされていたんですが、さっ


きの兵隊さんが痛みに耐えられないと言うので、それから、何度か飲ませた


そうなんです。」


 「イレノア、足を切り落とすって、本人は、大変な激痛の襲われるの


か。」


 「はい、私も、その様な人達を何人か見ましたが、足が無いのに、足が有


ると思い、その足が痛くて耐えられないと言うんです。」


 ロシュエも司令官も、今まで、足を切り落とすなどの経験をして無かっ


た。


 前の戦争でも、大きな怪我が元で戦死した兵士はいた。


 「で、さっきの兵士は、どうなったんだよ。」


 「はい、先の兵隊さんは、何度も、何度も、その薬を飲んだために、次第


に効き目が薄れてきました。


 私達が、気付いた時には、既に、薬の中毒になり、取り返しが効かない状


態に成っていました。」


 「何だって、その薬は中毒になるのかよ~。」


 「はい、私も知りませんでしたが、中毒になると、私達では何も出来ませ


ん。」


 ロシュエは、イレノアが言った、悪魔の薬と言うのは、中毒になると言う


事が解ったので有る。


 「で、その兵士は、一体、どうなったんだ。」


 「有る時、突然、大きな声で叫び出し、お城の上から飛び降りました。」


 「何、城から飛び降りたって、じゃ~、傷は。」


 「傷は回復していましたが。」


 「じゃ~よ、イレノアが言った、悪魔の薬ってのはよ~、飲み続けると人


間は。」


 「私の見たところでは、狂って死んだと思います。」


 「閣下、大変、恐ろしい薬ですねぇ~、ですが、何故、悪魔の薬が必要に


成るのでしょうか。」


 「司令官、私達、女性は子供を産む時には大変な苦痛を伴うのですが、女


性は、その苦痛に耐える事が出来るのです。


 でも、男性は、戦争で受けた傷でも耐える事が難しいと、私は、思ってい


るんです。


 私も、その女性の一人ですので、年中大量に出血を経験していますので、


少々の出血には驚く事は有りませんが、男性は、受けた傷よりも、出血で、


自身がどの様になるのか、其れは、この出血で死を考える思います。


 私達が、足や腕を切り落とした事に対し、何も知らない人達は、私達を非


難されると思いますが、たとえ、足や腕が無くなっても、その人達は生きて


行けると思います。」


 「イレノア、其れに、みんなも聞いてくれ、あんた達は、オレ達に取っち


ゃ~、天使だよ、イレノアが言う様に、悪魔の薬は必要だと思うがよ~、後


は、本人が何処まで耐える事が出来るかって事じゃないのか。」


 「イレノアさん、有難う、オレの傷は大した事は無いが、ホーガンは何と


か生かせて欲しいんだ、あいつは、オレをかばって、狼に襲われたんだ。」


 と、一人の野盗が言った、すると。


 「イレノアさん、オレ達に出来る事なら、何でも言ってくれよ。」


 「皆さん、有難う、でも、今は、悪魔の薬が効いていますが、何時まで続


くのか、私もわかりませんので、この人達は、私達が責任を持って、必ず、


皆さんの元に御返ししますので。」


 その後、イレノアは、彼らを特別室に運ぶ様に言った。


 野盗の人達も、ホーガンをはじめ、足と手首を切り落とした仲間を運んで


行く。


 「将軍、私も、フランチェスカも、この人達の看護に行きたいのです


が。」


 「お~、勿論だよ、オレや司令官の事なんかよ、気にしなくたっていいん


だぜ。」


 「イレノア、私達が居るから、何も心配無いわよ。」


 テレシアは、久し振りにロシュエや司令官の世話をする事になるのだと。


 イレノア達が特別室に入って間も無く、特別室から大きな叫び声が聞えて


くる、だが、ロシュエ達は何も出来ない、全て、イレノア達に任せる事にし


たのだ。


 「なぁ~、テレシア、頼みが有るんだが。」


 「えっ、何よ、何でも聞くから、早く言って。」


 「実はなぁ~、野盗隊の服なんだがよ~、今のままじゃ~、使い物になら


ないと思うんだよ~。」


 「そら、そうだよ、だって、みんな血だらけなんだもの、早く、別の服が


要るんだけれど、如何しようか。」


 ロシュエは、一体、何を考えて要るのか、テレシアには想像すらつかな


い。


 「それなんだ、オレはなぁ~、今の服を捨てて、新しい服を考えたんだ


が。」


 「えっ、新しい服だって、そんな物、一体、どこに有るのよ~。」


 「テレシア、其れで、相談なんだがよ~、狼の毛皮はどれ位有るんだ。」


 「えっ、閣下、狼の毛皮って申されましたが、野盗隊の全員に狼の毛皮を


ですか。」


 「うん、そうなんだ、オレはね、野盗隊って、今まではバラバラの服だっ


たからよ~、この最にだ、全員に狼の毛皮で作った服を着て貰おうと思った


んだが、どうだろう。」


 ロシュエの発想は、誰も考え着かない、正か、狼の毛皮で、野盗全員の服


を作るとは。


 「司令官、オレはなぁ~、野盗隊って名前も変えたいんだ。」


 そうだったのか、ロシュエは、野盗隊では無く、別の呼び名を作るため


に、新しい、それも、狼の毛皮を使って制服を着させる口実を作ったのだ。


 「閣下、では、野盗隊の呼び名を変えられ、新しい呼び名も考えておられ


るのですか。」


 「うん、そうなんだ、オレはね、狼よりも恐ろしい、狼部隊ってのを考え


たんだが。」


 「何よ、その狼部隊って、でも、何か変だよ、私だったら、狼犬部隊って


のはど~。」


 テレシアも呼び名の変更には賛成なのだろう。


 「お~、お、いいね、狼犬部隊かぁ~。」


 「将軍、オレ達も狼犬部隊の方がいいですよ、だって、怖い、部隊って言


う感じがしますんで。」


 「そうか、じゃ~、全員の服が出来次第、呼び名を狼犬部隊に変更だぁ


~。」


 その様な事になっているとは知らず、悪魔の薬が効いているのだろう、今


は、痛みも無く、ホーガン達は眠っている。


 「其れでだ、オレはなぁ~、少し気になる事が有るんだがよ~。」


 「将軍、多分ですよ、ホーガン矢の事じゃ~ないでしょうか。」


 「お~、そうだが、なんでわかるんだよ。」


 「だって、狼を殺った武器って、ホーガンしか持って無いんですから。」


 「そうだよ、城の裏側の森で、狼に襲われ、その狼を殺したのがよ、ホー


ガンなんだぜ、じゃ~、その周辺に矢が。」


 「将軍、実はですね、あの日の朝なんですが、ホーガンが鍛冶屋さんに行


ったんです。」


 「えっ、何の為にだよ~。」


 ロシュエは、ホーガンの取った行動を知らなかったので。


 「ええ、それなんですが、オレ達は、ウエス達の隠した武器の一部を貰い


に行ったんですよ。」


 「一部の武器って、一体、何だよ。」


 「将軍、ホーガンは、城の裏側にも狼がいるだろうと考えたんですよ。」


 「そりゃ~、狼もいるだろうよ。」


 ロシュエは、当然、この付近には狼がいると思っている。


 「で、将軍、オレ達、野盗部隊は奴らの偵察が目的なんですよねぇ~。」


 「お~、勿論だ、其れが、今回の目的なんだから、だがよ~、偵察とウエ


ス達の隠した武器と、どう言う関係が有るんだよ~。」


 「将軍、ホーガンは、敵を発見出来なかったとしても、狼は、必ず現れる


と考えたんですよ、其れでね、狼を殺る時にはホーガンを使ってですが、殺


した狼からホーガン矢を抜き、ウエス達が使った矢を刺して置くんです


よ。」


 「あ~あ、わかったぞ、じゃ~、敵軍が狼の死体を見つけても、我々の使


ってるホーガンの事は知られないと、そうだったのか、なるほどねぇ~。」


 ロシュエは、わかった、ホーガンは、この付近一帯には狼の大群がいる、


その内の数頭にでも、ウエス達の使った矢を刺して置けば、狼を発見されて


も、武器は、普通の弓だと思うだろうと考えたので有る。


 「だがよ~、持って行った矢の本数までは数えて無かったんだろう。」


 「其れがですね、ホーガンは、みんなに同じ本数だけを矢筒に入れろって


指示を出したんです。」


 「ほ~、なるほどなぁ~、其れで。」


 「其れでね、狼の身体から抜き取った本数と、木にも刺さっていましたん


でねっ、でも、木の中に刺さった矢じりは抜けなかったんで、根元で切り取


ったんです。


 其れで、各自が持ってきた本数とはバッチリですよ。」

 

 ホーガンは、用意周到に準備をしていたので有る。


 だからといって、矢が不足する事は無いのだ、馬車には、若しも、敵軍と


の交戦になった時のためにと、何時もより、多く用意していた。


 「じゃ~、何頭かの狼の死体は残して有るのか。」


 「そりゃ~、将軍、勿論ですよ、だって、敵が来ないとは思ってませんか


らね。」


 「そうか、そうか、だが、まぁ~、よくも、全員が帰って来られたもんだ


なぁ~、無理な偵察を頼んでよ~。」


 「将軍、オレ達は必死で帰ってきたんですよ、ホーガンもですが、あれだ


けの人数が狼にやられたんですから。」


 「本当に済まなかったよ~。」


「いや、オレ達も初めてだったんで、何もわからずに帰って着ました。」


「いや~、大きな成果はあったんだ、敵軍は居なかったというだけでもよ、


大収穫なんだからなぁ~。」


 司令官も頷いている、野盗隊が言った様に、城の裏側には、狼の大軍がい


る。


 その為、敵軍も、その場所までは来れないと言うだけでも、大収穫なので


有る。


 だが、別の野盗は、全く違う見方をしていた。


 「将軍、オレは、さっきから考えてたんですが。」


 「ほ~、何だよ~、言ってくれ、あんた達だけが知ってるんだから、此れ


から先、何かの役に立つと思うんだだったら、何でもいいんだ。」


 「将軍、オレは、元木こりだったんですがね、あの森には、物凄い大木が


多いんです。」


 「閣下、私も、少し思い出しました。


 城の裏側に、人間が簡単に入れないほどの大木が多く有るのです。」


 司令官も、森が有るのは知っていた、だが、木こりが言う様に、大木がど


れ程有るのかまでは知らなかった。


 「じゃ~、オレ達も入れないが、敵軍も簡単には入れないと言う事なの


か。」


 「はい、将軍、その通りなんですが、さっき、オレが考えた事なんです


が、あの大木をですね、バラバラで切り倒せば、人間が簡単に乗り越える事


は出来ないと思ったんですがねぇ~。」


 彼は、元木こりだったので、大木を切り倒して置けば、敵軍も、我が軍


も、森の中には簡単に入れないと言うので有る。


 「だがよ~、狼の大群がいるんだろう、その狼の大群が最大の問題だと思


うんだが。」


 「将軍、オレもわかってますよ、ですがね、オレ達が行く前にですよ、敵


が先に大木を倒していたら、一体、どうなりますか、あの森には隠れる所は


幾らでも有りますよ、オレ達が先にやれば、敵は近づく事も出来ないと思う


んですが。」


 彼は、その大木を利用したいと考えたのだ。


 「言ってる事は良くわかるんだ、だがよ~、森の大木を切り倒すには、多


勢の木こりがいるんだぜ。」


 ロシュエは、その時、閃いたのだ。


 「そうか、木こりさんが多勢いれば、早く出来るって事だなぁ~。」


 「閣下、何やら、頭の中に浮かんできた様で。」


 「うん、そうなんだよ~、有難うよ、オレも、少し考えるから、少し待っ


てくれないかよ~。」


 「いえ、オレが変な事を言ったんで。」


 「いや~、今の話を聞いて、オレの考えも変わったぜ。」


 ロシュエは、考え方が変わったと言うのだが、一体、何が変わったと言う


のだ、野盗隊が偵察に行ったところには、当分の間、誰も、行けないはずな


のに。


 「閣下、正か、その森へ木こりを送って。」


 「司令官、いや、違うんだよ、オレは、うん、其れよりもだ、先日、フォ


ルト隊長が連れて着た、木こりの話じゃ~よ~、半分が木こりで、半分が大


工だって。」


 司令官も、聞いてはいたのだが、正か、ロシュエは、その木こり達の半分


を。


 「閣下、その話は聞いておりますが、その木こり達をどの様にされるので


すか。」


 「司令官、また、オレの思い付きで済まんがよ~、ウエス達の封じ込めを


考えたんだ。」


 「えっ、閣下、ウエス達を封じ込めって。」


 「あっ、そうか、オレの勘違いだ、ウエス達と敵軍を分断するんだよ。」


 「閣下、ですが、敵軍が、今、何処にいるのかも判明しておりません


が。」


 「司令官、オレ達の頭の中にだ、敵軍が城の付近にいるんだとばかり考え


ていたんだ。」


 「はい、私は、今もその様に思っておりますが。」


 「だがよ、1番大隊からも、2番大隊からも、今だに、何も言って来ない


と言う事は。」


 「閣下、若しか、若しかですよ、あの大きな川の向こうに。」


 司令官も驚いた、だが、ロシュエも司令官も、正か、川の対岸に敵軍が待


機しているなどとは、最初は考えもしなかった。


 「閣下、そう言えば、私が、対岸の農民から聞いた覚えが有りますね、定


期的に軍隊が着て、作った作物を奪って行くと。」


 「司令官、それなんだ、ウエス達は、対岸を知って要るんだ、だがよ~、


対岸の一部の筈だよ知って要るのは、司令官と行った兵士達だけなんだ。」


 「閣下、対岸にも林が有りますので、その林の影から、此方を見ても、


我々は全く気付かないって事に。」


 「司令官、オレは、ウエスがどの様な方法で敵軍に知らせるかを考えてい


たんだが、敵軍は、此方を監視出来るんだ、だから、別に、ウエス達が知ら


せる必要は無いと言う事だよ。」


 ロシュエも、司令官も、野盗隊の話を聞くまでは、敵軍は、城の方面に来


るだろうと考えていた。


 其れが、野盗隊は、狼の襲撃にあった事で、城の周辺と言うよりも、川の


対岸に待機していると結論を出したので有る。


 「閣下、ですが、先程、ウエスと敵軍を分断とすると申されましたが、ウ


エス達は、今も分断されているのと同じでは。」


 ロシュエは、またも、変えるのだろうか。


 「司令官、オレはよ~、もう、ウエス達の事を考えたくは無いんだ。」


 「はい、勿論、私も同じで御座います。


 確かに、今は、ウエス達が大池を造るための作業に就いておりますが。」


 司令官も、何やら思うところが有るのだ、と、ロシュエは思った。


 「司令官、4番大隊に伝令だ。」


 ロシュエは、珍しく、伝令を出す様に言った。


 「4番大隊と木こり、大工さん達の仕事を変更する、今、大木の伐採を行


なっているが、大池付近には使わず、此処の城壁に使用するので、切り倒し


た大木は、全部、此方側に移動させよ。」


 「はい、では、直ぐに。」


 司令官の予想したとおりだった、其れは、城壁を最優先にすると言う事に


なった。


 司令官は、当番兵に命じ、ロシュエ将軍の命令だと、直ぐに馬を走らせ


た。


 「司令官、オレは、判断を誤ったよ。」


 「閣下、この私もで御座います、申し訳御座いません。」


 「司令官、今、偵察任務に入って要る、1番大隊と2番大隊にも伝令を頼


みたいんだ。」


 「はい、閣下、承知致しております。」


 「だがよ、1番大隊も2番大隊も急いで戻る必要は無いと、戻る途中に、


城の中も調べる様にと伝えて欲しいんだ。」


 「はい、有難う御座います、では、直ぐに。」


 司令官は、当番兵を1番と2番大隊が偵察任務に入って要る場所へと向か


わせた。


 その数日後、4番大隊のフランド隊長と数人の兵士、1番大隊のロレンツ


隊長と2番大隊のオーレン隊長が数人の兵士と伴い、相次いで戻って着た。


 城門の中隊長は、将軍と司令官は執務室に居られると伝え、3人の隊長は


ロシュエの執務室へと向かった。


 「将軍、1番、2番、4番大隊の隊長が着かれました。」


 「お~、そうか、直ぐに。」


 3人の隊長が執務室に入ると。


 「まぁ~、座ってくれよ。」


 「はい、将軍、で。」


 4番大隊のフランド隊長は、何故、変更になったのか、早く聞きたいの


だ。


 「まぁ~、まぁ~、フランド隊長、何も変わっていないんだよ、だがよ、


その前に野盗隊が。」


 ロシュエは、野盗隊が狼に襲われた話をすると、隊長達も驚きの表情だ。


だが、全員が生きていると知り、一安心するので有る。


 だが、本題が変わり、何故、ロシュエは、作戦の変更をする様になったの


かを説明し始めると、隊長達も表情が一変した。


 「フランド隊長、まぁ~、そう言う訳なんだよ、フランド隊長の意見を聞


かせて欲しいんだが。」


 「将軍、実は、先日、フォルト隊長も、何か様子が可笑しいと言われてお


りました。


 でも、確信が無いので、将軍には、まだ、知らせない方が良いと、私も、


フォルト隊長に言ったところだったんです。」


 やはり、現場の隊長も様子が変わったと思っていた。

 

「じゃ~よ、フランド隊長としてだ、敵軍が攻撃に入るとすれば、やはり、


此方側だと思うのか。」


 「はい、私も、先程、野盗隊が狼に襲われたと、言う話を聞きまして、私


が敵軍の指揮官ならば、此方側から攻める方法を考えます。」


 「じゃ~、別の考え方としてだよ、川沿いに進むと言うのは大変危険だと


思うのか。」


 「はい、私は、その様に思っております。


 私達の現場で有る森にも狼の大群がいると思わなければ成りませんの


で。」


 「じゃ~よ、フランド隊長は、直ぐに変更出来るのか。」


 「はい、私もその方が良いと思います。


 木こりさんや大工さん達は、狼の遠吠えに何時もビクビクとしています


し、少しでも、此方に近いとわかれば、気持ちも変わると思いますので。」


 「じゃ~よ、早い方がいいと思うんだが。」


 「はい、私は、各中隊へは指示を出しておりますので。」


 「そうか、済まなかったよ~。」


 ロシュエが変更する事は良く有る事なので、各隊長達はわかっている。


 だが、今回は、今までとは全く状況が変わってきた。


 司令官も、ロレンツ隊長、オーレン隊長も納得出来るので有る。


 「それと、あの城はどうなった。」


 「はい、では、私が。」


 ロレンツ隊長が説明を始め、城の中は、思った以上、大きな被害も無く、


少しの手直を行なえば済むと言うのだ。


 「其れでだ、みんなに相談が有るんだがよ~。」


 ロシュエは、変更した事で、3番大隊と4番大隊の兵士達以外は戻って着


たので、その兵士達を今度は、別の任務と言うのか、仕事を考えたのだ。


 「閣下、若しか、兵士達を城壁造りにでは御座いませんか。」


 やはり、司令官も同じ事を考えていたので有る。


 「司令官もわかったのか、実は、その通りなんだ、オレはね、野盗隊が狼


の襲撃に有ってだよ、敵軍は近くには居ないと判断したんだ、オレはね、早


く城壁を完成させれば、農場の人達がだよ、被害に会う事もなくなると考え


たんだ。」


 「閣下、ですが、今だ、敵軍の位置が判明しておりませんので。」


 「司令官、オレの判断に間違いは無いよ、司令官の居た城の付近を捜し


た、だが、居なかった、それでいいんだ、其れは、ウエスの報告を聞いた敵


の指揮官が対岸で待機している、之が、結論だ。」


 「はい、承知しました。」


 「司令官に聞くがよ~、あの川の上流に、大軍が移動出来る様な道が有る


のか。」


 ロシュエは、川上で対岸に移動したと判断したのだ、だが、一体、どの場


所から移動したのか、その場所がわかれば、対岸に居るであろう、敵軍の移


動日数もわかると考えたので有る。


 「閣下、私の知るところでは、城近くの上流に、その様な場所は御座いま


せん。


 あの川ですが、城の上流を半日のところから大きく曲がっております。」


 「うん、其れは聞いた、じゃ~、司令官、上流、何日の所で、細くなって


るのかがわかるのか。」


 「はい、城の上流ですと、約10日は掛かると思われますが、私は、其処


までの上流は調べておりませんので、申し訳御座いません。」


 「いや、いいんだよ、するとだ、今、対岸に居る敵軍がだ、例えば、移動


するしてだ、大きく曲がったところまでの日数を。」


 「将軍、私の考えなのですが、宜しいでしょうか。」


 ロレンツ隊長は、何やら考えが有ると言うのだ。


 「うん、いいよ、何か考えが有るんだろうからよ。」


 「はい、有難う御座います。


 私は、城から数日間、川に沿って行きましたが、見渡す限り、大軍が渡れ


る様な狭い川幅のところは有りませんでした。」


 「数日間と言ったがよ、其れは、大隊の目から見たんだろう、其れより


も、偵察に行った兵士の報告はどうだったんだ。」


 「はい、兵士の報告でも同じでした、私が見ました川ですが、流れはゆっ


くりとしておりました。」


 「じゃ~、その川が深いのか浅いのかは調べたのか。」


 「はい、勿論です、城からの上流では川は深いと判断致しました。」


 「そうか、城から数日間の所まででも渡る事は出来ないと判断するとだ、


やはり、対岸かから、川を渡る場所までは10日以上、いや、大軍だとすれ


ば、15日から20日は掛かるとと思うんだよ。」


 「将軍、宜しいでしょうか。」


 「ああ、いいよ。」


 「将軍、我々の大隊では、全員が馬に乗っておりますが、敵軍の大半は歩


兵では無いでしょうか。」


 「あっ、そうか、オレは、全員が馬に乗っていると。」


 「はい、我々の軍では其れが普通なんですが、数万頭の馬を敵軍が準備し


ているとは思えませんので、私は、其れよりも、日数が掛かると思いま


す。」


 「そうだったよ、オレは、我が軍が普通だと思ってたんだ、そうだったな


ぁ~。」


 ロシュエの勘違いだ、何時の時代でも、必ず、歩兵隊は居るのだ、歩兵が


多ければ、移動日数も多く掛かるのだ。


 「じゃ~よ、対岸からは30日は掛かると考えてだよ。」


 ロシュエは、改めて、日数を計算するのだが。


 「将軍、それと、歩兵ですので、川を渡ると、軍服が水に濡れ、軍服を乾


かす時間も必要です、其れに。」


 「わかってるよ、歩兵を休ませる時間もだろうよ。」


 「はい、でも、私は、もう少し掛かると思うんです。


 歩兵が全員、川を渡る時間ですね、どんなに早くても、一日では無理では


と。」


 「う~ん、そうだなぁ~、馬も休ませる必要も有るだろうし。」


 「じゃ~、敵軍が完全に渡り、再び行軍に入るには少なく考えても、5日


から7日は掛かると。」


 「閣下、私達の考えるよりも多く日数が掛かると思いますが。」


 「うん、そうだなぁ~、食料の調達も必要だろうからなぁ~。」


 「はい、私の甘い考えでは御座いますが。」


 「いや、オレの方が間違ってたんだよ、みんな、済まんなぁ~。」


 「将軍、私達も城壁造りに参加を希望します。」


 「えっ、本当にいいのかよ~。」


 「はい、私も考えましたが、此れからの時期ですが、農場の人達は農作物


の収穫時期で大変忙しい時期に入ると思います。


 農場の人達に城壁造りに入って頂くと、収穫作業が遅れるのでは無いかと


思います。」


 「うん、うん、有難うよ、オレはね、農場の人達が時間を割いて城壁造り


に入ってくれてると思ってるんだ、オレ達、兵隊は農場の人達の為に命を捧


げていると、今でも思ってるんだ、だから、オレは、兵士達に無理を頼んで


るんだ。」


 「閣下、とんでも御座いません。


 私達の兵士全員が農場の人達に感謝を致しておりますので。」


 隊長達もわかっているのでうなずくので有る。


 「だがよ~、この城壁造りは大変だぞ。」


 「はい、勿論、全員が承知して要ると、私は思っております。


 一刻でも早く城壁を完成させる事が出来れば、我々以上に農場の人達も安


心するかと思われます。」


 「司令官も、隊長達もありがとうよ、オレの無理を聞いてくれてよ~、じ


ゃ~、隊長は、中隊長達に説明してくれ、だが、中隊長もだが全員が納得し


て欲しいんだ、だって。」


 「将軍もお気持ちは、私達よりも、中隊長、いや、小隊長達も、それ以上


に兵士達、全員が理解しておりますので、何もご心配は有りません。」


 オーレン隊長が言った、隊長達は、普段から兵士達の話を聞いて要るの


だ、其れは、兵士達が、任務の無い時には、農場に行き農作業の手伝いや子


供達を遊んでいる。


 其れは、誰の命令でもなく、自らの意思で行なっているというのを知って


要る。


 兵士達は、農民の為に、農民は兵士達のためにと、お互いが良き関係を持


って要る。


 「でだよ、全員が納得してから城壁造りに入るので、よろしく頼むよ。」


 「はい、閣下、では、私も。」


 「いや、司令官は残ってくれ。」


 「はい。」


 「将軍、私達は今から説明に行きますので。」


 「じゃ~、頼みましたよ。」


 3人の隊長は執務室を出、隊長達は広場で、各隊に別れて説明を行ってい


る。


 説明する隊長も、受ける中隊長達も真剣な顔付きで有る。


 数時間が過ぎ、今度は、小隊長達を呼んで説明を行なっている、だが、説


明を聞いているのは、小隊長だけでは無かった、兵士達の殆どが周りを取り


囲んで、中隊長の説明を聞いて要る、そばでは、隊長達も入り込んで聞いて


要る。


 説明の最中に場外で作業を終えた、農場の人達が多勢戻って着た。


 空も薄暗くなると、農場の人達が、あちら、此方が篝火を灯してくれた、


其れからも、説明は続く、だが、其れは突然だった、中隊長の説明は小隊長


を中心とした事もあり。


 「中隊長殿、我々に説明は。」


 「まだ、時間が掛かるので、先になると、其れが、何か。」


 「いや、いいんです、お~い、行くぞ。」


 一人の若い兵士が声を掛けた、すると、其れは、第2大隊、第1中隊の全


員が大食堂の裏側へと走りだしたので、中隊長は、一体、何事が起きたのか


わからず。


 「えっ、なんで行くんだ。」


「はい、自分達が、お風呂部隊の交代に行きます。」


 彼ら、兵士達の思いは、中隊長も隊長達も知らなかった。


 「中隊長殿、自分達は兵士ですから、たいていの我慢は出来ます。


 ですが、農場の子供達はですよ、あの小さな子供達は、親と一緒の時間が


ないんです。」


 「其れは、当然だろう、今、一番大事な時なんだから。」


 「はい、其れは、あの子達もわかってるんです。


 わかっているから、じっと、我慢してるんです。」


 彼ら兵士も幼い頃、我慢する時期があった、それがどれだけ寂しい事なの


か、一番よく知って要るのだ。


 「だがなぁ~、今は、全員が我慢をして要るんだぞ。」


 「勿論、わかっています、でも、中隊長殿、あの子達は、我々もですが、


場外で敵軍を防ぐ為の作業が終わって帰ると、お風呂に入れるんですよ、そ


のお風呂の準備を、あの子達は、お昼、いや、自分達が外に出て間も無く入


ってるんですよ。」


 今まで、この農場に大浴場が出来るまでは、疲れた身体を休めるのは眠る


事だけで、汚れた身体は、少しのお湯で拭く事だけで温まる事さえ出来なか


ったので有る。


 「あの子達は、慣れない手付きで、お湯を作り、我々の身体が少しでも休


まる様にと、一生懸命にやってるんです。


 大きな木を切り、薪木を作り、川の冷たい水から、お湯を作ってくれてい


るんです。」


 「其れは、私も知って要る、あの子供達には、私も、感謝してるんだ。」


 「中隊長殿、今度の城壁造りに、何ヶ月、いや、何年掛かるんですか。」


 「いや、其れは、私もわからないんだ、敵軍を防ぐ為の大規模な工事だか


らなぁ~。」


 「では、その数年間、あの子達にずっと我慢しなさいと、中隊長は言えま


すか。」


 「う~ん、其れは。」


 中隊長も、城壁造りには、数年間は掛かるだろう考えて要る。


 「中隊長殿、あの子達と父親や母親と、一緒にお風呂だけでも入らせてや


りたいんですよ、自分達も疲れてはいますが、火の番と、薪木を作って、少


しでも、あの小さな子供達の負担を。」


 「では、毎日、あの子供達を入れさせるのか。」


 「はい、先程、中隊長のお話を聞いていますと、我々、全員が作業に就く


のでは無く、何個中隊は、警戒の任務に就くと思ってます。」


 「其れは、隊長も、我々、中隊長達も意見が一致しているところだ。」


 「自分達は、以前から何回も話し合いをしてきたんです。


 警戒任務の兵士以外が、其れは、休みの兵士がお風呂の番と薪木作りは出


来ないだろうかって、すると、全員が賛成してくれたんです。」


「そんな、話し合いは、何時出来たんだ。」


 「はい、以前からしていました。」


 中隊長も知らなかったのだ、兵士達は、休みの時間を利用して話し合いを


続けていた。


 「はい、休みの時間を利用しておりました。」


 「では、聞くが、君達は、どの様な仕事なのか知って要るのか。」


 「はい、勿論、城壁造りです。」


 「えっ、何故、わかるんだ。」


 「はい、自分達も農場で手伝いをさせて頂いています。


 此れからは、作物の収穫時期に入り、農場の人達は大変な忙しさに成りま


す。


 そんな時に、城壁造りと農作物の収穫の両方を行なうのは無理だと。」


 この農場では、兵士達の殆どが、農作業の手伝いを自主的に行なっていた


ので、農作物の収穫時期も知っていた。


 「では、君達もわかっていたのか。」


 「はい、大体の想像は付いていました。」


 「だが、場外作業が終わっても、警戒任務は続くんだぞ。」


 「はい、その事も我々は十分知っています。」


 「よし、わかった、少し待ってくれよ。」


 中隊長は、数人の兵士を待たせ。


 「全中隊長にお話しが有りますので、少しの時間ですが、集まって頂きた


いのです。」


 隊長と中隊長達が集まり、この中隊長の話を聞くと。


 「まぁ~、それだけ、我が軍の兵士達は子供達の事を考えて要ると言う事


ですね。」


 ロレンツ隊長が嬉しかった。


 「如何でしょうか、兵士達に任せても良いと思いますが。」


 オーレン隊長も許可と言うより、兵士達に任せると。


 「では、運用方法を少し考え、兵士に任せると言う事で。」


 リッキー隊長も納得したので。


 「はい、有難う御座います、では、彼らに伝えますので。」


 中隊長は戻り。


 「では、全員に告げる、君達が考えた、お風呂部隊の交代任務と言うの


か、仕事と言うのかわからないが、3人の隊長と、私を含む、中隊長全員が


賛成された、運用方法は任せるが、決して強要しない事、それと、本来の任


務も忘れずにと、隊長のお言葉です。


 兵士諸君、よろしく頼みますよ。」


 この時、兵士達からは大きな歓声が上がったのは言うまでも無い。


 「全員、聞く様に、この交代任務を提案した者は。」


 「はい、自分ですが。」


 「じゃ~、君は残って下さいね、運用方法の相談が有りますので。」


 兵士は、一瞬驚いたが。


 「はい、本当に有難う御座います。


 では、最初に行くメンバーですが。」


 「勿論、行って下さいよ。」


 「みんな、聞いてくれましたか、では、最初のメンバーから行って下さ


い。


 お願いしますね。」


 兵士の掛け声で。


 「お~、行くぞ。」


 兵士達の顔は生き生きとした表情だ、彼らは、大急ぎで風呂場の裏側に走


って行く。


 その時、歩哨の兵士が。


 「中隊長、誰かわかりませんが、此方に向かってきます。」


 辺りは薄暗くなり、最初、フォルト隊長とは見分けが付かないのだ。


 「中隊長、3番大隊のフォルト隊長と数人の兵士です。」


 城門は、既に閉められており。


 「大急ぎで開門しろ。」


 重く大きな城門が開くと、フォルト隊長と兵士達が飛び込んできた。


 「将軍は。」


 「はい、只今、大食堂に居られると思いますが。」


 「よし、わかった、この馬で行くぞ。」


 「はい、どうぞ。」


 フォルト隊長と兵士達は大食堂に向かった、だが、フォルト隊長は大食堂


の手前で急に馬を止めたので有る。


 「えっ、之は、一体、何事だ。」


 と、つぶやき、大食堂に入ったので有る。


 「将軍。」


 「お~、フォルト隊長、済まなかった、忙しいのによ~。」


 「将軍、表の篝火は、やはり敵軍が迫っているのでしょうか。」


 フォルト隊長が思うのも無理は無かった、篝火に映し出された兵士達の表


情はいかにも、戦闘前の顔だった。


 「いや~、別に何も無いんだよ、ただなっ、少し事情があって、兵士達が


盛り上がっているんだ。」


 「将軍、何があったのかは知りませんが、伝令が大至急戻れと言って着ま


したので、之は、大変な事態に成ったと判断したのです。」


 「其れは、済まなかったよ~、その前に君達、食事はまだだろう。」


 「はい、でも、お話しが先だと。」


 「君はいいが、兵士達は、別だよ、お~い、テレシア、隊長に食事を、君


達兵士は大食堂の前で盛り上がってる仲間のところで。」


 「はい、将軍。」


 数人の兵士は出た。


 「はい、お待ちどう様です。」


 テレシアは、隊長の前に食事を置き戻った。


 「まぁ~、隊長、食べながらで聞いてくれよ、実なぁ~。」


ロシュエは、話を始めた。


 「えっ、本当なんですか。」


 「うん、オレは、その様に思ってるんだよ。」


 「将軍の言われる話が事実だと思います、ウエスは。」


 フォルト隊長は、ウエスの報告をすると。


 「司令官よ~、やはり、オレ達の思ったとおりだったなぁ~。」


 司令官は頷くだけで。


 「其れでだ、オレは、少し変更する事に決めたんだ、其れで。」


 ロシュエは変更内容を説明し、やがて、説明は終わり。


 「将軍、わかりました。


 私も戻り次第、ウエスの動きを監視しまし。」


 その時、ロレンツと、オーレン、リッキーの隊長も入ってきた。


 「どうだった、兵士達は。」


 「はい、大変、喜んでおります、他の隊長も兵士達に任せてはと、決めた


と賛成して頂きましたので。」


 「うん、其れでいいんだ、そうだ、リッキー隊長、あの巨大な荷車なんだ


がよ、一台を何人で運んだんだ。」


 「はい、あの時は、確か、百人だと思いますが。」


 「そうか、じゃ~、荷台の大木を積むと、その倍の2百人は必要だなぁ


~。」


 「将軍、少し待って下さい、私は、まだ、その巨大な荷車を見た事が有り


ませんが。」


 「ロレンツ隊長、この荷車は本当に大きいですよ、5番大隊の兵士達も、


荷物が無いから良かったと言ってましたから。」


 リッキー隊長は言うのだが。


 「でも、大木の大きさも知りませんので、本当に何人が必要なのかがわか


りませんが。」


 「ロレンツ隊長、大木も本当に大きいですよ、長さが10ヒロで、太さ


は、そうですねぇ~、我々の胴回り以上は有りますよ。」


 フランド隊長は、大木の大きさは知って要る。


 「では、百人では無理ですね、一台に付き、2百人は必要です。」


 「うん、オレも同じだよ、問題はだ、ウエス達から何人出させるかだ。」


 「将軍、今は、5千人居りますので、半分を移送に持って行けば良いと思


います。」


 「よし、じゃ~、半分だ、其れでだ、運用は隊長に任せるよ、残った奴ら


は大池、いや、堤防造りに入らせてくれ、其れでだ。」


 またも、ロシュエは説明を始めると。


 「では、将軍は、奴らを休ませる必要は無いと。」


 「当たり前だよ、オレはね、奴らにだ、本当のオレを見せる積もりなん


だ。」


 「例えばですが、此方に、夕方若しくは、夜に着いたとします、食事もで


すが、松明が大量に必要だと思いますが。」


 「其れでだよ、ロレンツ隊長、オーレン隊長、リッキー隊長に頼みが有る


んだ、明日中に、何本の松明が作れるか考えてるんだが、オレは、隊長達に


任せるからよ~。」


 「私達にですか。」


 「そうだよ、現場で決めてくれればいいんだ、オレは、少し考え事が有る


んで済まんがよ~。」


 ロシュエは、何を考えるんだ、今は、木造の城壁を早く完成させ、後は、


岩石を積み上げる方が大事では無いのか。


 「閣下、少しお疲れでは。」


 「うん、それも有るんだが、オレは、今、何かが足りないと考えてるんだ


が、其れがわからないんだ、だから、隊長達で決めてくれれば、オレは、何


も言わないからよ~。」


 ロシュエは、確かに疲れている、偵察に行った野盗隊は、狼の襲撃を受


け、足や腕の切断が3人、ホーガンは頭以外の身体中を咬まれ、瀕死の重傷


だが、幸いにも死者は出なかった、だが、手足を切断した者達は、野盗隊の


中でも、1、2を争うホーガンの使い手なのだ、彼らは、これで戦力外と成


るのは当然だ。


 「イレノア、彼らはどうだ。」


 ロシュエは、大食堂の裏側に有る特別室に入った。

 

「はい、今は、少し落ち着いていますが、ホーガンさんが一番心配で。」


 「そうか、やはり、一番悪い状態なのか。


 「一応、危険は去ったと思いますが、それでも、安心は出来ません。」


 「わかった、有難う、で、他の者達は。」


 「はい、足と腕を切断した人達は、今、あの薬が効いていますので。」


 「じゃ~、大丈夫なのか。」


 「はい、先程も傷口を見ましたが、あの薬草が効いた様で、化膿もせず、


出血も収まっていますので。」


 「じゃ~、頼むぞ、他の彼女達にも、オレからだと言って、礼を言ってく


れ。」


 「はい、承知致しました。」


 ロシュエは、特別室を出て、風呂場の裏側に向かった。


 すると、風呂場からは、子供達のはしゃぐ大きな声が聞こえてくるではな


いか。


 あの兵士が言った様に、小さな子供達は、親と風呂に入るのが一番だと、


ロシュエは思ったのだ。


 「お~、みんな、ご苦労だなぁ~。」


 「はい、将軍、私達は、これで良かったと思います。


 あの大きな声を聞くだけでも気持ちが楽に成りますから。」


 其れは、彼だけでは無かった、薪木を割る兵士、出来たお湯を入口から入


れる兵士達の顔が生き生きとしているのだ。


 「其れに、将軍、自分達はあの子供達の泣き声だけは聞きたくは無いっ


て、仲間のみんなが言ってるんです。」


 やはり、彼らも同じ気持ちだった。


 ロシュエは、どんな方法でウエス達に農民の恨みを晴らそうかと考えて要


る。


 「じゃ~、みんな、よろしく頼むぜ。」


 ロシュエは、風呂場から戻って行く。


 そして、その2日後の夜だった。


 「将軍、私は、明日、早朝に出発します。」


 「そうか、其れで、ウエス達には何と言うんだ。」


 「私は、はっきりと伝えます、木造の城壁を造る為だと。」


 「うん、其れで。」


 「私は、此処に大木は運んできた者達から報告を聞くだろうと思います。


 ですから、その前に伝える事にしています。」


 「まぁ~、心配は無いと思うがよ~、それでも、十分、奴らには注意する


んだぜ。」


 「はい、承知しました。」


 フォルト隊長が言った後、フランド隊長も。


 「将軍、私も同行致します。


 途中で、フォルト隊長には大きな荷車を見て頂く事も考えておりますの


で。」


 「そうか、で、大工さん達は。」


 「はい、私が、到着後、よく日の朝、2個連隊と共に、此方の方に帰す様


に考えているのですが。」


 「そうか、大工さん達もだが、木こりさん達にも、よ~く、説明だけは頼


むぜ。」


 明くる日の早朝、3番隊と4番隊は馬車、数台に松明を満載し、大池の造


成と大木の切り出し、両方の現場へと向かって行った。


 「閣下、今回、急な変更で御座いましたので、さぞ、ウエス達は驚くでし


ょうねぇ~。」


 「そりゃ~、そうだろうよ、正か、正かだ、自分達が大木をだ、それも、


敵の攻撃から守る為の城壁造りに借り出されるとは夢にも思わなかっただろ


うからよ~。」


 「でも、ウエスが現場を見て、どの様な反応をするか、私は、楽しみにし


て要るのですがねぇ~。」


 「オイ、オイ、司令官もかよ~、実はなぁ~、オレはね、胸の奥で叫んで


いるんだよ。」


 ウエスは、自分達の計画が、ロシュエ達に知られていないと思っているの


だろうか、それとも、ウエスは、ロシュエに対し、本当に降伏しているの


か、今は、まだ、はっきりとわからない。


 だが、例え、ウエス達が降伏したとしても、農民達は、ウエス達を許す事


は出来ないだろうと、ロシュエも司令官も考えて要る。


 「閣下、ところで、仮にですが、ウエス達が本当に降伏したと考えてです


が。」


 「司令官、オレはなぁ~、ウエスが本気で降伏したとは考えて無いんだ、


その証拠にだよ、奴は、大木の切り出し現場の見張りをしてたんだぜ。」


 「では、やはり、ウエス達を。」


 「仮にだよ、オレや司令官がだよ、許したとしてもだよ、奴らから、逃げ


た農場の人達や、其れに、木こりや大工達は、絶対に許さないと、オレは思


ってるんだよ、特に、あの母娘や、木こりと大工さん達はね。」


 「わかりました、其れで、閣下は、どの様な処分を考えておられるのでし


ょうか。」


 司令官は、ロシュエも許さないだろう、そして、ロシュエは、どんな方法


で、ウエス達に罰を受けさせる積もりなのだろうかと考えて要る。


 「司令官、オレは、まだ、はっきりとは決めていないんだ。」


 だが、この時、ロシュエは、既に決めていた。


 だが、この方法は、例え、司令官と言えども話す気持ちは無かったのだ。


 「さようで御座いますね、何も、今、直ぐにと言う訳では有りませんの


で。」


 「もう、そろそろ、兵士達が集合する頃だよなぁ~。」


 ロシュエは話をそらした。


 「その様ですね。」


 「お~、出てきたぞ、今日から本格的に始まるんだなぁ~。」


 「はい、では、私は、一度、彼らの元に行ってきますので。」


 「司令官、みんなによろしく言ってくれよ。」


 「はい。」


 司令官は、兵士達が集まり出したので、見送るつもりで向かった。


 「将軍。」


 農場の代表達と他に数人がやってきた。


 「お~、こんなに早く、一体、如何したんだよ~、あんた達はもう少


し。」


 「いいえ、将軍、私達もと思ってるんですよ。」


 「済まんなぁ~、オレもなっ、此れから農場では収穫作業が有るだろうと


思ってよ、其れに、他にも、色々とと有ってなぁ~、此れから、暫くは兵士


達に頑張ってもらう事にしたんだよ~。」


 「ですが、将軍、収穫と言っても、まだ、少し先の話になるんですが。」


 「まぁ~、いいじゃ~無いか、あんた達もだ、身体が資本なんだぜ、ここ


らで、少しのんびりとする事も大事なんだ、だってよ~、オレは、兵隊なん


だ、兵隊がだよ、農業の事を全部出来る訳が無いんだ、それにだよ、此れか


ら先の事なんだがよ~、まぁ~、いいじゃ無いかよ、其れよりも、暫くのん


びりとしてだ。」


 「では、将軍、オレ達に、松明を作らせて欲しいんですよ。」


 「えっ、何だって、なんで、そんな事を。」


 「はい、数人の兵隊さんが言ってましたよ、此れからは当分、大量の松明


が必要だと。」


 「えっ、そんな事を言ったのか。」


 「いいえ、私が、松明を作っておられたんで聞いたんですよ、将軍、オレ


達は農作業で年中休み無く働いていますんで、暫く、のんびりと休めと言わ


れても、本当は困るんですよ。」


 「だってよ~、あの仕事は、農作業じゃ無いんだぜ。」


 「でも、オレ達は年中働いてないと死にますんで。」


 「何、じゃ~よ、あんた達を殺すにはだ、仕事を取り上げるといいんだな


ぁ~。」


 ロシュエは、大笑いをするが。


 「済まんなぁ~、冗談だからよ~、じゃ~よ、あんた達が松明を作るって


のか。」


 「はい、その通りなんですよ、それと、お風呂の焚き木も作って置こうと


思いまして。」


 「だがよ、お風呂の焚き木は兵士達が作るって言ったんだぜ。」


 「いや、其れは、オレ達が。」


 「そうじゃないんだよ、兵士達が先にだよ、それも、自分達で勝手に決め


たんだよ、オレはよ~、何も言ってないんだから、まぁ~、兵士達の好きな


様にさせてくれよ。」


 「将軍、それじゃ~、オレ達は、何をすれば。」


 「うん、だがらよ~、さっきも言った様にだ、暫くはのんびりとしてだ


よ、収穫作業の為に身体を休めて欲しいんだ。


 収穫作業が終われば、また、頼む事になるんだからよ~。」


 「将軍、わかりましたよ、では、私達は松明を作って置きますので。」


 「うん、有難うよ、じゃ~、頼んだぜ。」


 農民達は戻って行く。


 その頃、フォルト隊長とフランド隊長は松明を満載した数台の馬車は急ぐ


事も無く、大木の伐採が行なわれている現場へと向かうのだ。


 「隊長、将軍は、何故、急に変更されたんでしょうか。」


 「うん、其れはですよ、野盗隊が狼の大群に襲われ、10数人が大怪我を


したと、それも、有るのだろうと、私は、思いますよ。」


 「でも、野盗隊の人達って、あの人達が、何故、狼の大群に襲われたんで


しょうか。」


 「其れは、私にもわかりませんがね、将軍の話によると、野盗隊が向かっ


た先に敵軍がいなかった、其処には、狼の大群がいるので、それも、ウエス


は知っていたから、川の対岸をしきりに気にして要るんですよ、私もね、あ


の対岸に敵軍が潜んでいると考えておりますので。」


 「では、隊長はウエス達を。」


 「将軍のお考えに、私も、同感ですよ、この最、ウエス達を徹底的に利用


しようと、考えられておられると思いますよ、で、無ければ、大木を巨大な


荷車で運ばせる必要も有りませんからねぇ~、ですから、私も、ウエス達を


徹底的に利用しますよ。」


 「其れで、大量の松明が必要なんですね、奴らを休ませる必要は無い


と。」


 「将軍はね、奴らを休ませる必要は無いと、勿論、我々、3番大隊も休み


は取れませんが、別に問題は有りませんから。」


 「でも、隊長、4番大隊に有る、巨大な荷車に大木を載せて、一体、何人


がかり行かれるのですか。」


 「まぁ~、其れは、明日の朝、一番にわかりますからね、其れに、大木も


どれだけ大きいのか、私も、想像出来ませんので、この目で確かめから、ウ


エス達に伝えるようしますからね。」


 この後も、隊長と兵士達の会話は続き、夕方近くの頃、隠し野営地に着い


た。


 3番隊と4番隊は、この隠し野営地で泊まり、明朝、大木の伐採地へと向


かい、3番隊は、大池の現場へと向かうので有る。


 よく日の昼頃、大木の伐採地に到着した3番隊のフォルト隊長は驚いた。


 其れは、フランド隊長から聞いたよりも巨大な荷車だった、其れに、大木


も想像以上に大きく、荷車に大木を載せて、一体、何人で運ぶ事が出来るの


だろうかと考えるのだ。


 「隊長、荷車もですが、大木は、一体、何本有るのでしょうか。」


 二人の隊長は話をするのだが。


 「あの~、隊長様、印の付いた大木が後百本有りますが、今の大木を早く


運ばないと、この場所が使えなくなるんですが、別の場所でも宜しいでしょ


うか。」


 何と、今、この場所には百本以上の大木が並べられている。


 其れに、まだ、百本も切り出すと言うのだ。


 「では、私は、早急に大木を運ぶ連中を連れて来ますが、隊長、何台の予


定なんでしょうか。」


 「はい、私は、一台に二本として、二台が限度だと思います。」


 「では、一応、全員を連れて行きます。


 其れで、一台に何人で引く事が出来るのか、わかれば、次の段階に進めて


行きたいと思います。」


 「わかりました、お待ちしておりますので、よろしくお願いします。」


 フォルト隊長と数人の兵士は松明を運んだ馬車を置き、ウエス達の元に向


かった。


 ウエス達は、まだ、何も知らないと見えて、堤防造りを行っている。


 「ウエス隊長、お話が有ります。」


 「はい、どの様なご用件でしょうか。」


 「之は、将軍の命令ですので、直ぐ、私と、大木の切り出し作業現場に来


て下さい。」


 「はい、わかりました。」


 「それと、数人を連れて行きますので。」


 フォルト隊長は、ウエスと数人の部下を大木の切り出し現場に向かった。


 「隊長、将軍のご命令とは。」


 「今、大木を切り出していますが、その大木、2百本を農場まで運ぶ仕事


です。」


 だが、ウエスは、まだ、簡単な作業だと考えていた、だが。


 「えっ、隊長、この大きな荷車は。」


 「この荷車に、大木、二本を積んで運ぶんですよ。」

 

 「では、馬の用意も必要ですね。」


 ウエスは、荷車を馬で引かせるものだと思ったのだろうが。


 「いいえ、全て人間で運ぶんです。


 其れで、この荷車を引き手を、ウエス隊長の部下に行なって頂きます。」


 「えっ、この荷車をですか、でも、何人が必要かと言われましても。」


 「じゃ~、わかりました、直ぐに2百人を呼んで下さい。


 それでも、動かなければ、人数を増やして行きますので、直ぐに手配して


下さい。


 それと、荷車には、まだ、大木を積んでいませんので、その人数の必要で


すから、最低でも、5百人は必要ですので。」


 「でも、隊長、何故、我々が、運ぶ事になったんですか。」


 「私は、将軍から、何も聞かされておりません。


 ただ、荷車に大木を積んで、農場近くの現場に運ぶ様にと、命令を受けた


だけです。


 今から、作業を開始し、積み込みが終わり次第出発しますので、大至急、


手配して下さいね。」


 「はい。」


 ウエスは、仕方無く返事をした、だが、ウエスは全く、予想外の仕事、そ


れも、大木を農場に運ぶ、一体、何に使うのだ、大木ならば、農場の前に大


きな森があり、其処には、大木が数千本は有るはずだと考えるのだが。


 「オイ、今、隊長から言われた通りだ、直ぐに、5百、いや、千人を連れ


て来い。」


 「はい。」


 ウエスの部下は大急ぎで堤防造りの現場に走って行く。


 それでも、確か、この大木は、大池造りで、狼の襲撃を防ぐ高い木製の柵


を作る予定だったははずで、其れが、何の理由があって、急に変更になった


のだと考えて要る最中に千人のウエスの部下が走ってきた。


 「よし、全員、よく聞く様に、今、隊長からのお話で、この大木を二本、


あの大きな荷車に載せ、農場近くに運べと、将軍からの命令で有る。


 道具は、揃って要るので、直ぐ、作業に掛かれ。」


 ウエスの号令で、数十人が大木を引き上げる作業に入ったのだが、ウエス


の部下達も、余りの大きな荷車と、大木の大きさには驚きながらも、大木を


引き上げにも数十人掛かりで行っている。


 フォルト隊長は何も言わず、ただ、じっと進み具合を見ている。


 ウエスの部下は、大木の引き上げにも苦労している様で、ロープを引く人


数も5人、10人と増え、50人以上が引くと、大木はゆっくりと引き上げ


られた。


 「よ~し、荷車を、大木の下に入れろ。」


 ウエスの指示で、数人が荷車を動かせようと引いたのだ、だが、荷車はび


くともしないので有る。


 「お~い、手伝ってやれ。」


 またも、ウエスの号令で、今度は、数十人が入り、荷車のロープを引く


が、全く動かない。

 

 「百人で行け。」


 それでも、動く気配は全く無いので有る。


 「一度、大木を下ろせ、後、2百人でロープを引いて見る。」


 すると、荷車は、少し動き出した。


 「よし、この場所まで移動だ。」


 其れからは、ウエスが連続して、指示を出すのだ。


 「では、出発する。」


 「えっ、隊長、明日の朝では駄目なんでしょうか。」


 「私は、最初に言った、積み込み次第出発すると、聞いて無かったとは言


わせない。」


 「じゃ~、少しだけ休ませて下さい。」


 「ウエス隊長も兵士なら、よく知って要るはず、上官の命令は絶対で有る


と、私も、将軍から命令を受けた、その命令を実行するだけで有る。」


 「ですが、将軍は、この現場を知らないのでは。」


 「ウエス、今、この部隊の中に、我々の部下では無い、兵士が数名居る、


私の権限で彼らに口止めなどする事は出来ないのだ。」


 「じゃ~、隊長、人数を増やしても宜しいでしょうか。」


 「勿論だ、農場に着くまでは、停まる事は出来ないので、交代要員を増や


して出発する。」


 最初は、一台で出発の予定だったのだ、其れが、何かの間違いで、二台の


荷車に積み込みを終わったので、フォルト隊長は、全員を入れる事を許可し


た。


 「隊長、私は、此れから、将軍に伝えに行きますが。」


 「いや、少し待って下さいよ、一人では大変危険ですので、夜明けまでは


同行して、夜が明ければ、将軍に伝えに行って下さい。」


 「はい、承知しました。」


 だが、兵士は、第4大隊の兵士だったので、ウエスは、顔を知らなかった


のだ。


 ウエスは、全員を連れて農場へと出発する事になった。


 辺りが薄暗くなってきた頃、次々と松明に灯が付けられ、巨大な荷車二台


に大木を二本づつ載せて農場へと出発したので有る。


 「では、出発。」


 一台に、5百人以上がロープを引き、荷車はゆっくりと動き出した。


 この荷車に積み込んだ大木で、一体、何を作るんだと、ウエスは考える


が、ウエスの部下達は、荷車を引き農場までの距離を想像を絶するほどの仕


事になるとは、この時は、まだ、知る事も無かったので有る。

 







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