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闇の帝国    作者: 大和 武
10/288

第 10 話 農場の建設の開始は。

野営地を発った小隊は、途中、1番大隊と2番大隊に追い付いた。


 「隊長、後ろから数人の兵士が近づいてきます。」


 「うん、多分、3番大隊の小隊だろう。」


 小隊長は、オーレン隊長に。


 「隊長、自分達は、今から、将軍に報告に行きますが、何か、お伝えする


事は有りませんか。」


 「別に、無いが、やはり、ウエスは降伏したのか。」


 「はい、奴らの計画が将軍に知られて要ると聞かされ愕然としていまし


た。」


 「そうか、将軍に、秘密がばれないとでも思っていたのかねぇ~。」


 「自分でもわかりましたから。」


 「我々は、のんびりと行くと伝えてくれよ。」


 「はい、承知しました、でも、後、何日位で到着される予定なんです


か。」


 「うん、そうだなぁ~、まぁ~、2~3日ってところかなぁ~。」


 「では、2日後のお昼頃とでも伝えて置いても宜しいでしょうか。」


 「うん、其れで、いいですよ、君達も途中、狼には、十分気をつけて下さ


いよ。」


 「はい、有難う、御座います。


 では、お先に、全体、並足で進め。」


 小隊は、1番大隊と2番大隊に別れを告げ、農場へと向かうので有る。


 その頃、ロシュエは、大きな荷車が完成したと報告を受けた。


 「みんな、済まなかったなぁ~、お~、之は、頑丈そうな荷車だなぁ


~。」


 「将軍、之はねぇ~、今までに無い程頑丈に作ったんで、大きな岩石でも、大木でも、大丈夫ですよ。」


 と、大工部隊も誇らしい顔付きだ。


 「ほ~、之は、また、頑丈そうな、鉄の輪だなぁ~。」


 「はい、鍛冶屋さんが、自慢されていましたよ、この鉄の輪があれば、


少々の荒地でも大丈夫だって。」


 「うん、いや~、其れにしても大きいなぁ~。」


 ロシュエは、荷車の側に立つのだが、車輪は、ロシュエの身長ほども有


り、荷台も厚い板を張り、相当な重量に耐えるだろうと思っている。


 「本当に、みんな、有難うよ。」


 ロシュエは、大工部隊を誇らしく思うので有る。


 「将軍、荷車なんですが、一体、何台作ればいいんですか。」


 「う~ん、実は、オレは、何も知らないんだよ。」


 「えっ、だって、将軍が。」


 「うん、そうなんだが、フォルト隊長が大至急作ってくれって言ってきた


んだ。」


 「将軍らしいよ、だって、何も知らないんだからねぇ~。」


 大工部隊も鍛冶屋達も大笑いするので有る。


 「将軍、ウエス隊って。」


 「うん、確か、5千人だったよ、だけど、その中に、本当の農民が居るん


だよ。」


 「じゃ~、本物が千人居るとして、4千人だ、4千人が使うとなれば、え


っ。」


 大工部隊の思ったとおりだった。


 「うん、そうなんだよ、済まないなぁ~、後、百台は必要と思うんだ。」


 ロシュエは、大工部隊と鍛冶屋に手を合わせるのだ。


 「仕方無いか、将軍だって、辛いよなぁ~、じゃ~、みんな、少しづつ休


んでから、作るとしようか。」


 「そうだよなぁ~、将軍の頼みじゃなぁ~。」


 「みんな、有難うよ、これだけ、頑丈に作ってもらったんだ、奴らも覚悟


する事になると思うんだ。」


 この頃、ロシュエは、ウエス達が降伏したとは知らなかった。


 この様な、大きく、頑丈な荷車が百台もあれば、ウエス達も仕方無く諦め


るだろうと、ロシュエは、考えたのだ。


 「じゃ~、みんな、すまんが、残りの荷車も宜しく頼んだよ。」


 「あいよ、まぁ~、仕方ないから、みんな、休みを取って、始めるとしょ


うか。」


 大工部隊は、少しの休みを取る為に、テレシア達が居る、大食堂に向かっ


た。


 「お~い、誰か、リッキー隊長を呼んできてくれ。」


 「はい。」


 と、兵士は大急ぎで宿舎へ走って行く、暫くして。


 「将軍、リッキー隊長です。」


 「うん、有難うよ。」


 「将軍、お呼びで。」


 「うん、そうなんだ、実はなぁ~」


 と、ロシュエは、リッキー隊長に、大きな川のほとりの野営地まで大きな


荷車の輸送を命じた。


 「はい、では、直ぐにでも。」


 「いや~、その前に、5番大隊の兵士に昼食だ、それと、テレシアから、


食料を受け取ってくれ。」


 ロシュエは、朝の時点で、荷車の完成が近いと考え、テレシアに兵士達の


昼食と数日間の食料を準備させていた。


 「はい、承知しました。


 では、今から、大食堂に向かう様に指示しましょう、昼食が終わり次第、


出発します。」


 「すまんが、宜しく頼むよ。」


 「はい、了解しました。」


 リッキー隊長は、兵舎に向かい、兵士達に昼食に入る様に命令した。


 一方、テレシア達の大食堂に着いた、大工部隊は。


 「お~、之は、美味しそうだなぁ~。」


 「之はねぇ~、5番隊の兵士が食べるんだ、あんた達の分も直ぐに作るか


らねっ。」


 「えっ、5番隊って。」


 「うん、そうなだよ、朝、早く将軍が着てね、5番隊の昼食と数日分の食


料の用意をする様に言われたんだよ。」


 「じゃ~、やはり、将軍は、わかってたんだよ、あの荷車が完成するっ


て、でも、将軍らしいねぇ~。」


 大工部隊は感心すると。


 「じゃ~、オレ達は、また、後で来るよ。」


 「済まないねぇ~」


 「いや、いいんだ、オレ達よりも、兵隊さんの方が大変だからなぁ~。」


 大工部隊と鍛冶屋は、次の食事が出来るまで、外で待つことに。


 その様な時、あの親子が部屋から出てきた。


 「あの~、私も、手伝う事があれば。」


 「うん、助かるよ、じゃ~、お願いするよ、で、私、あんたの名前を聞く


のを忘れてたよ。」


 「はい、私は、サムで、娘はサミーと言います。」


 「サムとサミーね、じゃ~、頼むわよ。」


 「はい。」


 と、親子は、テレシア達の手伝いを始めた頃、5番大隊の兵士が入ってき


た。


 その時、親子は、一瞬、顔の表情が変わったので。


 「サム、何も心配しないでいいからね。」


 優しいテレシアの言葉だった。


 「はい。」


 「あんた達、もう少し静かにね。」


 と、テレシアの一喝で。


 「テレシアさん、申し訳ないです。」


 リッキー隊長は誤るの見た親子は少し驚いている。


 「みんな、静かにね、それと、全員前に届くまで待つんだ。」


 リッキー隊長も、静かに食事が運ばれるのを待って要る。


 「テレシアさん、可愛い女の子だね。」


 「うん、そうだろうよ、私の娘だからね。」


 「えっ、テレシアさん、確か、昨日まで、私は、独身だよって言ってまし


たよね。」


 「え~、そうだったかなぁ~、まぁ~、いいじゃ無いのよ。」


 「そうですよねぇ~、お嬢ちゃん、お名前は、なんて言うの。」


 女の子は、兵士を見る目が恐怖の目付きだ。


 「サミー、いいのよ、このおじさんはね、顔は怖いけど、とっても優しい


んだからね。」


 「テレシアさん、私の顔って、そんなに怖いですか。」


 「う~ん、そうだね、やっぱり、怖いよ。」


 と、テレシアは、大声で笑い、其れにつられて兵士達も大笑いすると。


 「ねぇ~、サミー、お昼の食事は食べたの。」


 サミーは首を振り。


 「じゃ~、おじさんと一緒に食べようか。」


 「隊長、そんなのずるいですよ、可愛いサミーを一人締めにするなん


て。」


 「ねっ、サミー、お兄さんがいいよね。」


 と、多くの兵士がサミーに声を掛けるので。


 「テレシアさん、此処の兵隊さんは、何時も。」


 「サム、此処じゃ~ねっ、之が普通なんだよ、兵隊も家族は居るけど、そ


れとは、別に、特に若い兵士は、子供達には優しいんだよ。」


 「えっ、でも、私には、理解が出来ませんが。」


 「サムと言われますか、我々、兵士は、この農場が最高の場所なんです


よ、この農場に居るだけで、何かわかりませんがね、気持ちが楽になるんで


すよ。」


 リッキー隊長は、にこやかな顔付きで言っただが、母親は、まだ、信じる


事が出来ないのか。


 「でも、テレシアさん、私は。」


 「いいんだよ、リッキー隊長さん、この人はね、あいつらに酷い目に遭っ


たんだ、だからなんだよ。」


 「そうですか、よくわかりました。


 でも、サム、信じて下さいね、我々は、この農場では一番弱い立場なんで


すよ。」


 「えっ、一番弱いって、じゃ~、一番は、将軍様ですか。」


 初めて、この農場に来た農民達は、必ず、ロシュエ将軍が、一番強いと思


っている。


 「サム、実はね、この農場で一番強い人はねっ、このテレシアさんなんで


すよ。」


 リッキー隊長は、笑みを浮かべたのだ。


 「えっ、テレシアさんですか、私は、将軍様だと。」


 「お母さん、いいですか、この農場で、テレシアさんや、他のおかみさん


達を怒らせるとね。」


 若い兵士も楽しそうに言うと。


 「う~、誰だ、今のは。」


 若い兵士は手を上げると。


 「あんたは、食事抜きだ。」


 と、テレシアも大笑いするので。


 「ねっ、言ったとおりでしょう、此処じゃ~ね、将軍も、我々も、おかみ


さん達には逆らえないんですよ。」


 「サム、あいつらの、言う事を信じちゃダメだよ、でもね、これだけは言


っとくね、将軍はね、農場の人達を一番大切にされる人なんだよ、それに


ね、兵隊さん達もね、普段は、今と同じで本当に優しいんだ、だけど、この


農場じゃ、農民も兵士も関係が無いんだよ。」


 その時、サミーがリッキー隊長の食事を運んできて。


 「おじさん。」


 と、サミーは、にこやかな顔になっている。


 「有難うねっ。」


 と、リッキー隊長は、サミーの頭を撫でると、サミーは、隊長の横にちょ


こんと座り。


 「ねぇ~、おじさん。」


 「うん、なんだい。」


 リッキー隊長も嬉しそうな顔で。


 「さぁ~、みんな、いいわよ、食べて。」


 「は~い、じゃ~、頂きま~す。」


 兵士達は、一斉に食事に入った時に、イレノア達が入ってきたので有る。


 「テレシアさん、私達も、お手伝いしますので。」


 「まぁ~、イレノア、別に良かったのに。」


「でも、今回は別だと思いましたので。」


 「じゃ~、5番隊の食材なんだけど、用意の方を。」


 「はい、じゃ~、私達が。」


 イレノアと、20人の女性、其れは、此処に着た時の全員だった。


 「テレシアさん、あの女性は、確か。」


 「そうだよ、将軍と、司令官の奥さんだよ。」


 「えっ、此処じゃ~、将軍様や司令官様の奥様も、同じ様に働かれるんで


すか。」


 「サム、さっきも言ったでしょう、この農場じゃ~、兵士も農民も関係が


無いのよ、みんなが助け合うのよ、其れが、この農場の決まりなんだって、


ねぇ~、隊長さん。」


 「そうですよ、我々だって、何時も、兵隊の服装では無いのですよ、我々


はね、自分達の休日は、何処に行っても良い事になっていますのでね。」


 「じゃ~、兵隊さんも、農場のお手伝いをされるのですか。」


 「そうですよ、だって、将軍の服装を見られましたでしょう、将軍は、何


時も、あの服装なんですから。」


 「じゃ~、将軍様も。」


 「う~ん、其れは、難しいですね、我々の将軍はね、農場の将軍なんです


よ、軍隊の将軍じゃ~無いんですよ、でも、今、こんな話をしても、貴女に


理解して欲しいと思うのが無理だと思いますねぇ~、まぁ~、その内に、少


しづつわかる様になりますよ。」


 「ねぇ~、テレシアさん、馬車なんですが、何台くらい用意すれば宜しい


んですか。」


 「隊長、どう、20台は必要だね。」


 「イレノアさん、20台は必要だと思いますね。」


 「じゃ~、私達が、一人で一台を。」


 「えっ、今、なんて言ったの。」


 「私達が運ぶんですが。」


 「其れは、ダメよ、だって、イレノアさんには将軍の。」


 「今は、将軍の妻で有りません、一人の農民ですよ、私達は、其れに、将


軍も司令官もわかっていただけると思いますよ。」


 「隊長さん、イレノアは、将軍以上に頑固な人だから、自分で決めたら、


まず、引かないよ。」


 「いや~、参ったなぁ~。」


 「隊長さんや、皆さんのご苦労を思えば、私達も出来る限りさせて頂きま


す。


 其れに、野営地での食事は、誰が、作るんですか、それにですよ、テレシ


アさん達は、この農場では、大切な人達なんですよ、私達は決めましたので


ねっ。」


 と、イレノアは、二コリとしたので。


 「わかりました、では、御者と、イレノアさん達の護衛を準備しますの


で。」


 「隊長さん、私達の護衛ではなく、食料の護衛をお願いしたいと思いま


す。」


 「隊長さん、イレノアの勝ちだよ、兵隊さんも聞いたわね、イレノアの言


う通りだよ、隊長は、イレノアの作戦に負けたんだよ。」


 と、テレシアは、大笑いする。


 「はい、はい、わかりましたよ、私の負けですよ、じゃ~、第一中隊をイ


レノアさん達の、いや、じゃ~無く、え~と、食料の護衛に就けますの


で。」


 と、リッキー隊長は少し、苦笑いをし、兵士達は大笑いするのだ。


 5番大隊が出発した数時間後の事で有る、城門では。


 「中隊長、確か、小隊だと思いますが。」


 「城門を開けろ。」


 其れは、3番隊の小隊だった。


 「将軍と司令官に伝令で~す。」


 小隊は、農場に入ってきた。


 「司令官は。」


 「今、将軍の執務室だと思うが、一体、何があったんだ。」


 「はい、フランド隊長よりの伝言が有りますので。」


 「よし、直ぐに行ってよいぞ。」


 「はい、では、失礼します。」


 小隊は、下馬し、執務室に走って行く。


 「失礼します、自分は、第3番大隊、大中隊の第一小隊の。」


 「お~ぉ、君か、入れ。」


 其れは、ロシュエだった。


 「将軍も居られますので、丁度、良かったです。」


 「まぁ~、みんな座ってから、ゆっくりと聞こうか。」


 「はい、では、失礼します。」


 「で、3番隊で、何があったんだ。」


 「はい、実は、先日、4番隊の指揮下で、大木の切り倒し作業中に大事故


が発生し。」


 「何、大事故だと。」


 ロシュエと司令官は、一瞬、驚いた、だが。


 「はい、でも、犠牲者は50人、その全員が偽者達で。」


 其れを聞いた、二人は一安心するのだ。


 「で、その事故とは。」


 「はい、大木が次々と倒れたんです。」


 と、その後、小隊長は、説明し、ロシュエは、事故は起こるべくして起き


たと思った、だが、話しには続きがあった。


 「じゃ~、4番隊が火葬して終わったんだなっ。」


 「はい、その煙を見たウエスの部下が騒ぎ出しまして。」


 「うん、其れで。」


 「はい、自分達の隊長が説明され、最後にウエスは降伏しました。」


 「何、じゃ~、オレ達がウエス達の計画を知ってたと、隊長が言ったの


か。」


 「はい、自分も側に居りましたが、話の成り行きで仕方無かったと思いま


す。」


 「うん、其れはわかったが、ウエスは完全に降伏したと言ったのか。」


 「はい、自分もその様に判断したのですが、隊長は、まだ、完全には信用


いないと言っておられます。」


 「じゃ~、何か、君は、ウエスが降伏したと思っているのか。」


 「はい、ウエスの言葉では、その様に取れましたので。」


 「だが、隊長は、まだ、完全には信用していないと。」


 「はい、自分は、その様に思いましたが、隊長は、見たとおりの事を伝え


る様にと言われましたので。」


 「よし、わかった、司令官は、どの様に思う。」


 「はい、閣下、私も、小隊長の意見も間違いでは無いと思います。


 ですが、隊長は、ウエスを完全に信用していないと言うのも間違いでは無


いと思いますが、私としましては、今の段階では、どちらとも言えないので


す。」


 ロシュエも、同じだった、小隊長は、ウエスの言葉を信用する言うのだ


が。


 「君達も大変、ご苦労だったなぁ~、まぁ~、ゆっくりとしても宜しいで


すよ。」


 ロシュエは、小隊を休ませ様と思うのだが。


 「将軍、その前にですが、昨日の昼頃、第1大隊と第2大隊が農民を連れ


て、此方に向かっておられます。」


 「そうか、ウエス達から開放したのか。」


 「はい、其れで、明日の昼頃には到着の予定だと、伝えて欲しいと言われ


ました。」


 「そうか、わかった、有難う、其れで、農民の人数は。」


 「はい、大隊長からは聞いておりませんが、千人くらいは居られたと思い


ます。」


 「そうか、では、ウエスの部下は4千人くらいだなぁ~、じゃ~、大木の


切り倒し部隊の人数は。」


 「はい、あちらも、4千人くらいだと聞いております。」


 「じゃ~、4千人として8千人か、これじゃ~、隊長が、まだ、完全に信


用できないと言うのも無理は無いか。」


 小隊長、何か、自信が無くなってきた様な顔つきになり。


 「将軍、申し訳有りません。


 自分の判断が間違っておりました。」


 「いや、いいんだよ、君は、ウエスの言葉を信用したんだ、オレだって、


君の立場で有れば、同じ判断をするよ。」


 「将軍、有難う、御座います。


 其れで、先程、5番大隊が大きな荷車を引き、運ばれているのを見ました


が。」


 「あれか、あれは、4番隊で使用するための荷車なんだが、何か有るの


か。」


 小隊長は、先程の判断が間違っていたと思っている、だが。


 「将軍、あの荷車を何台くらい作られるのでしょうか。」


 「うん。あれは、一応、百台の予定をして要るんだが、それが、何か。」


 「はい、将軍は、先程も言われましたが、両方合わせて8千人が、ウエス


の部下ですよねぇ~。」


 「そうだが。」


 「私も、先程、見たのですが、5番大隊の兵士は相当疲れるのでないかと


思います。」


 ロシュエは、小隊長が言いたい事がまだ、この時点ではわからなかったの


だ。


 「将軍、あの荷車を全部、我が軍が運ぶのですか、いえ、別に、自分は運


ぶ事に反対では有りませんが。」


 「君は、一体、何を言いたいんだよ。」


 「確かに、我が軍が運ぶのは良いと思いますが、あれ程の大きな荷車を現


地まで運ぶとなれば、兵士達は、大変な疲れで、到着した頃には、兵士達は


倒れるのではないかと思います。」


 小隊長の説明もはっきりとしないので。


 「うん、其れで。」


 「はい、兵士全員が疲れた状態で、到着すれば、ウエス達が反乱を起こせ


ば、簡単に我が軍は負けるのでは無いでしょうか。」


 「じゃ~、君に、何か対策でも有るのか。」


 と、言ったが、ロシュエも、小隊長の言い分も理が有ると考えた。


 「いえ、今は、考え付かないのですが。」


 「君が、ウエスの立場であれば、決起するか。」


 「はい、勿論です、武器は、別の兵士が持って要る武器で無くても良いと


思います。


 拳くらいの石でも、丸太でも、何でも有りますから、兵士は疲れから直ぐ


に戦闘には入る事は出来ませんので。」


 「う~ん、君の言う通りかも知れんなぁ~、司令官、彼の考えて要る事が


実際に起きる可能性も考えないと。」


 「はい、閣下、私も、今、小隊長が述べた事は可能性は有ると思います。


 私でも、立場が変われば、同じ方法を取りますから。」


 「オレが、今、考えられるのはだ、どんの方法で荷車を運ぶかと言う事な


んだ。」


 「将軍。」


 「なんだ、言ってみろ。」


 「はい、一つの方法として、荷車を奴らに運ばせると言うのは如何でしょ


うか。」


 「うん、今、オレも同じ事を考えたんだ、だけど、その度に、奴らの護衛


が必要になるんだぜ。」


 「はい、私も、同じですが、例えばですが、城外の少し離れた場所に完成


した荷車を置き、奴らには、その場所から現地に運ばせると言うのは。」


 「うん、その方法も、いいと思うんだよ、だけど、我が軍の交代は。」


 「はい、事前に交代の我が軍が、その場所で待機すると言うのは、如何で


しょうか、其れであれば、1番隊が奴らを送り、2番隊が引き継ぐ事も出来


ると思います。


 其れで有れば、1番隊は引継ぎで任務は終わりますから。」


 「そうか、よし、わかったよ、有難うよ、君も大したもんだよ、オレは、


其処までは考えて無かったなぁ~。」


 小隊長は、これで、さっきの判断ミスはなくなったと思った。


 「で、君は、3番大隊だったなぁ~。」


 「はい、その通りですが。」


 「じゃ~、此れから、君達に新しい任務を与える。


 君の言った、引継ぎを事前に知らせる専門の小隊長を命ずる。


 だが、今、急には出来ないので、此処で、少しの休みを取れ、その間に、


オレと司令官で、作戦を考えるからよ~、わかったか。」


 「はい、承知しました。


 将軍、有難う、御座います。」


 「よし、じゃ~、数日間の休みを取れ。」


 「はい、では、失礼します。」

 

と、小隊長と部下は部屋を出た。


「閣下、宜しゅう御座いましたねぇ~彼の評価も上がりますねぇ~。」


「うん、その様だなぁ~、なぁ~、司令官、あの小隊長と同じ様だよ、彼の


小隊だけじゃ~、大変だと思うんだよ。」


 「閣下、わかりましたよ、各大隊から、専門の小隊を出させるのです


ね。」


 「うん、今、その様に思ったんだよ、各小隊が、順次、伝令の役目をする


と思うんだ、どうだろうか。」


 「私も、賛成ですね。」


「その様にすれば、各大隊も動きが楽になると思うんだが。」


 「はい、承知しました。


 それとですが、私も、今、考え付いたのですが、今からでも、各隊の隊長


だけでも呼び、話をされては如何でしょうか。」


 「そうだ、その方法で行くか、じゃ~、さっきの小隊隊長には悪いが、明


日の朝、現地に行かせてくれ、途中で、5番隊にも会うだろうから、先に、


1番、2番、5番隊の隊長に説明するからよ~。」


 「はい、承知しました、今の所、中隊もおりますので、宜しいかと思いま


す。」


 「じゃ~、司令官、頼みますよ、オレは、少し考える事が有るから、宿舎


に居るよ、何かあれば、何時でもいいから呼んでくれ。」


 「はい、承知しました。


 閣下、少し相談が有るのですが、宜しいでしょうか。」


 「うん、いいよ。」


 「はい、実は、5番大隊に、大量の食料を持たせましたので、特に、肉が


不足。」


 「司令官、任せるよ。」


 「はい、有難う、御座います。」


 この時、司令官は久し振りに狩りに行くつもりだった。


 「では、閣下。」


 と、司令官は、何時に無く、嬉しそうな顔付きだった。


 司令官は、その足で城門に行き。


 「中隊長は。」


 「はい、此処に居りますが、司令官、何か御用でも。」


 「うん、実はなぁ~。」


 と、司令官は、城壁を警備中の中隊長に話をした。


 「司令官、よく、わかりました。


 では、3個小隊では如何でしょうか。」


 「中隊長、有難う、では、私も、直ぐ準備しますので、城門に集合させて


下さい。」


 「はい、承知しました。」


 司令官は、肉が大量に必要だと考えたのだ。


 1番大隊、2番大隊、と多勢の農民が農場に戻ってくるのだ、ウエス達に


も大量に持って行かせ、農場には肉が不足している。


 暫くして、3個小隊が集合し、森の中へと向かって行く。


 兵士達も久し振りの狩りで。


 「司令官、今日の獲物ですが。」


 「何でも、いいよ、まぁ~、出来る事なら鹿が最高ですがね、私は、猪で


も宜しいですよ。」


 「はい、では、みんなに知らせに行きますので。」


 この小隊長も、嬉しそうな顔だ。


 ロシュエが、宿舎に戻る途中に。


 「将軍。」


 と、子供の様な声が聞えたので振り返ると。


 「お~、君達か。」


 其れは、農場の子供達でお風呂部隊だった。」


 「あの~、さっき、小隊長さんが、1番大隊と2番大隊、それに、農民が


多勢戻ってくると言われたんですが。」


 「うん、そのとおりだよ、で、今から、君達のところに行こうと思ってた


んだよ。」


 子供達の目が一瞬で輝きだした。


 「じゃ~、僕達の出番ですね。」


 リーダー格の男の子は嬉しそうな顔で。


 ロシュエは、本当は何も考えて無かったのだ、だが、かえって良い結果に


なった。


 「勿論だよ、だって、1番大隊も2番大隊も長い間、君達のお風呂に入っ


て無いからねっ、それと、千人くらいの農民も居るんだよ。」


 「じゃ~、今から、準備に入りますので。」

 

 「そうか、済まないねぇ~、じゃ~、宜しく頼んだよ。」


 子供達は、何度も振り返り、手を振っている。


 この農場は、みんなの農場だ、何時までも、今のままで、行く事が出来れ


ば最高だと心の中で思う、ロシュエなのだ。


 それから、数時間が過ぎた頃、広場が、何やら騒がしいので表に出ると。


 「お~い、一体、何の騒ぎなんだよ~。」


 「将軍、申し訳有りません。


 実は、司令官と一緒に森に入り狩りをして要るんですが、雄鹿が百頭、猪


が50頭。」


 「おい、おい、まだ、有るのかよ~。」


「はい、狼が50頭も獲れたんで、其れを運ぶ馬車を取りに戻って着たんで


す。」


 「だが、なんで、そんなに獲れたんだよ~。」


 「はい、私も、理由はわかりませんが、司令官は、狼を5頭も仕留められ


まして。」


 「へ~、司令官がねぇ~、そりゃ~、大したもんだねぇ~、まぁ~、いい


や、早く行きなさいよ。」


 「はい、では。」


 と、20台の馬車を持って行くが、二度か三度は往復するだろうと、ロシ


ュエは思ったのだ。


 一方、ウエス達が進めて要る城壁造りでは、まず、大池を造る場所から大


小の岩石を掘り出し始めた。


 此処にも、数十台の馬車が持ち込まれている、岩を掘り出す部隊と、土を


掘り出す部隊がお互いの連絡で場所を変えながらの作業が続いている。


 其処には、技師長が直接指揮を執って要る。


 「そうだ、その目印が当面の中心になるんだ、池の深さは20ヒロ以上に


成るからね、それと、突然、大きな岩石が崩れ落ちる事も有るから、気を付


けて下さいよ。」


 そして、近くの森では、農民達の偽者が大木の切り方を教わっている。


 「皆さん、よ~く、聞いた下さいね、大木に生るほど、切り方が難しいん


ですよ、どの位置に倒すかによって、斧の入れ方が変わるんです。


 先日の様に何も考えずに大木に斧を入れると、大変、危険なんです。」


 偽者達は、大木の下敷きとなった時の事を思い出しているのか、全員が真


剣に聞いて要る。


 「では、どの様に斧を入れて行くか、今から、説明しますが、我々の仲間


が説明をしますので、適当な人数に散らばって下さい。」


 農民は、穏やかに話し始めた、農民達も、数百本の大木付近に散らばり、


偽者達も同じ様に数十人が組みとなり、説明を聞く。


 農民達も、今まで、散々な目に遭っているのか、本来ならば、この場で復


讐したいと思う、だが、隊長から、何れ、この場所以外の農地を与えられ、


何れの軍隊からも襲われる事は無いと聞かされているので、此れから先の生


活の為に、今は辛抱している。


 この森には、数十万本の大木が有る、その大木で家を建て、新しい生活を


始めるのだと言う気持ちが、彼ら、農民達を穏やかにさせているのだろう。


 一方で、偽者達は、先日起きた事故の恐怖を忘れる事も出来ないまま、大


木を伐採しなければならず、かと言って、この場から逃げ出す事も出来な


い。


 その様な状況下でも、農民達の説明は続き、説明は数時間にも及んだ。


 「では、今から、大木の切り倒し作業を開始して下さい。」


 と、フォルト隊長の号令が掛かった。


 偽者達は、斧を持ち、各班で決められた大木に斧を入れ始め、数百人が斧


を持って要るために、4番隊の兵士達も監視を強化する。


 あちこちで、大木に斧を入れる音がする、農民達も偽者達の側で、静かに


見守って要る、それでも、時々、大きな声が飛ぶ。


 「そんなやり方じゃ~、危険だ、確実に、確実に、そうだ、その通り。」


 と、声掛けをするのだ。


 暫くすると、農民から、声が掛かった、其れは、最初に倒れる大木があっ


た。


 「お~い、付近の者は、退避してくれ、今から、倒すぞ~。」


 と、合図が有り、農民の掛け声の後、大木はきしむ音をさせながら、最初


はゆっくりと、だが、次第に大きく傾くと、最後には、大音響とともに倒れ


た。


 大木が倒れると辺り一面に枝が飛散し、其れが、非常に危険だと、後で農


民達が説明し、偽者達も大木の伐採とは、どれほど危険な作業か改めて知っ


たので有る。


 それからの偽者達も真剣な顔つきで作業を行い、その日の夕方には、50


本もの大木が切り倒された。


 「では、本日の作業は、これで、一応終わりとする、明日は、大木の枝を


切り出す作業に入る、以上。」


 フォルト隊長の指示で作業は終わった。


 その頃、ロシュエは考え事をしていた。


 其れは、あの小隊長の言った話しが、どうも気になっている様子で。


 「将軍、自分は、荷車を運ぶ事に反対はしておりません。


 でも、あれ程大きな荷車を、我々、兵士が現場まで運ぶと言う事は、大変


な疲れが残ると思います。


 その様な時、奴らの反撃に合うと、我々の殆どは抵抗も出来ず、ウエス達


に殺される可能性が有ると思います。」


 と、之は、今まで無い、大問題になるのは間違いは無いと、其れから、ロ


シュエは、暫く考え。


 「お~い、誰か居るか。」


 「はい、ご用事でしょうか。」


 「うん、大急ぎで、さっきの小隊を呼んでくれ、大至急にだ、それとだ、


中隊長に言って、丈夫な馬を用意させるんだ、馬で行け。」


 「はい、了解です、では。」


 と、当番兵は、大食堂に馬を走らせた。


 この農場では、余程の事が無い限り、馬に乗る事は禁止されているが、広


場で遊んで要る子供達に気を付け、当番兵は大食堂に向かった。


 当番兵は、小隊に将軍が大至急、来る様にとの伝言を伝える、小隊は馬


で、ロシュエの待つ、執務室に向かい、当番兵は、そのまま、城壁へと急


ぐ。


 「将軍。」


 「お~ぉ、疲れているのにすまんがよ~、君の言った話が気に成ってるん


だ。」


 「えっ、私の言った事で。」


 「うん、それでだ、君達の小隊に重要な任務が有るんだ。」


 「はい、将軍、お待ちしておりました。」


 小隊長は、何かを期待したのだろうか。


 「それでだ、明日の早朝に、まず、5番大隊の野営地を知って要るな


っ。」


 「はい、あの状態では、第一野営地だと思います。」


 「よし、それでだよ、リッキー隊長には、任務終了と言ってくれ。」


 小隊長も、ロシュエの考えがわかったのか。


 「では、やはり、奴らにですか。」


 「そのとおりだ、5番隊の兵士も相当疲れていると思うが、リッキー隊長


と各中隊長には、大至急戻れと伝えて欲しいんだ。」


 「はい、では、残りの兵士達は。」


 「別に急ぐ必要も無いので、疲れているだろうから、暫く休みを取ってか


ら戻れと。」


 「はい。」


 「其れでだよ、之からが本題になるんだ、だから、よ~く聞いてくれ


よ。」


 小隊長は頷き、真剣な顔付きになって聞く。


 「その足で、3番大隊に行くんだ、だが、一人では出来ない事も有るん


だ、別の者に、4番大隊に行かせ、偽者達の中から、体の頑丈そうな奴らを


だ千人選ぶ様に伝えるんだ、で、聞くが、千人を運ぶとなればだ、馬車は何


台必要だと思う。」


 「はい、1台十人として、百台もあれば十分ですね。」


 「うん、其れでだよ、百台の馬車を4番大隊に届け、4番第隊が千人を


だ。」


 「将軍、わかりました、その千人で、大きな荷車を運ばせるんですね。」


 「お~ぉ、その通りだよ、御者と監視の為に1個中隊が必要だ。」


 「はい、了解しました。


 其れで、将軍は、明日の早朝と言われましたが、まだ、日暮には時間があ


ります。


 今から出れば、5番大隊の野営地には、早く着く事が出来ますので、自分


達は、今からでも出発したいと思いますが。」


 ロシュエの、思ったとおりだ、この小隊長は、早く行きたいのだと、ロシ


ュエも、今、出発すれば十分,間に合うと考えていた。


 「そうか、行ってくれるか、君達も疲れているだろうが、君が提案してく


れたお陰だよ、礼を言うよ、有難う。」


 ロシュエは、小隊の全員に頭を下げた。


 「将軍、頭を上げて下さい、お願いします。」


 小隊長は、嬉しかった、それと言うのも、自分が言った話を重要だと、将


軍が認めてくれたのだから。


 「じゃ~、すまんが、急いでくれ、表に馬を用意はして有るからよ~。」


 「はい、では、今から出発します。


 みんな、将軍から、我々、小隊に対し、特別の命令だ、出発する。」


 小隊長と数人の兵士は、ロシュエに敬礼し、直ぐ、5番大隊の野営地に向


かって馬を飛ばすので有る。

 

 「よ~し、これで、終わった。」


 ロシュエは、少しだが、安心すると、それから、数時間後に、第1番大隊


と2番大隊が多勢の農民を連れ、農場近くまで帰ってきた。


 「中隊長、1番大隊と2番大隊が、それと、多勢の農民を連れ戻って来ら


れました。」


 と、城壁上の監視兵が大声で叫んだ。


 「わかった、で、農民は何人位だ。」


 「はい、千人くらいだと思いますが。」


 「よし、城門を開け、1番大隊と2番大隊が戻って着たからなぁ~。」


 中隊長も合図で大きな城門が開く。


 「誰か、将軍に伝えに行ってくれ。」


 「はい、自分が行きます。」


 「将軍には、千人くらいの農民も一緒だと伝えるんだ。」


 「はい。」


 兵士は大急ぎで、ロシュエの宿舎に走って行き。


 「将軍、只今、1番大隊と2番大隊、それと、千人ほどの農民も一緒に戻


って来られました。」


 「お~、そうか、有難うよ、じゃ~、行くか。」


 ロシュエは、宿舎を出て、迎えに行く。


 「やぁ~、みんな、ご苦労だったなぁ~。」

 

 「将軍、只今、戻りました。」


 と、1番大隊と2番大隊の隊長が敬礼した。


 「よ~、大変だったろうよ。」


 「いいえ、別に、其れよりも、何かあったのでしょうか、確か、あれは、


3番隊の。」


 「うん、その通りだが、まぁ~、その前にだ、農民と兵士達を休ませる事


だ、今日は、全員、風呂に入ってだ、それから、食事を取らせてくれよ、隊


長と中隊長には、大変、申し訳が無いが、オレの話しが終わってからと言う


事で。」


 「はい、勿論です、何か、大変、重要な、お話しだと思いますので。」


 「うん、だがよ、済まんなぁ~。」


 「はい、では、第1小隊の隊長に告ぐ、農民達をお風呂に入らせて、それ


から、食事だ、君達も入ればいいんだよ、だが、農民が先だと、全員に伝え


てくれ。」


 「はい、隊長、では、直ぐに、その前に、隊長、馬を放牧させますの


で。」


 「そうだった、忘れていたよ、残った者は、馬を放牧し、馬車を格納して


からだよ。」


 「は~い、隊長、わかりました。」


 兵士達は、二コ二コとしている、兵士達は、何かを話て要るが、其れより


も、農場にに戻って着たのが一番の喜びなのかも知れないのだ。


 第1小隊は、風呂と食事を取る様に農民達に告げて行く。


 「じゃ~、済まんが、執務室に。」


 「はい、承知しました。」


 第1番大隊と第2番大隊、更に、農民の全員が風呂場と大食堂に分かれて


向かう。


 その時。


 「将軍、リッキー隊長と、中隊長達が馬を飛ばして来られま~す。」


 「よし、わかった。」


 ロシュエの返事が終わったと、ほぼ、同じ時に、リッキー隊長と中隊長達


が飛び込んできた。


 「お~ぉ、済まんなぁ~、疲れている時に。」


 「いいえ、其れよりも、大変な事が起きたと、3番隊の小隊長から伝言を


受け、大急ぎで戻って着たのですが。」


 「うん、その話を、今から、するからよ、執務室に。」


 「はい、では。」


 と、1番、2番、5番の隊長と中隊長達は、ロシュエの執務室に向かう。


 ロシュエの執務室の隣には大きな会議室が有り、重要な会議は、この場所


で行なわれて要る。


 「まぁ~、みんな、座ってくれよ、今日は、イレノアが居ないんで、何も


出来ないが。」

 

 「将軍、其れよりも、一体、何があったんですか、小隊長からは、詳しい


話は将軍からだと聞きましたので。」


 「うん、じゃ~、話に入る前に、隊長、あの荷車だが、相当苦労したと思


うんだが。」


 「はい、其れは、我々が思ってた以上に大変でした。」


 「何が、大変なんだ。」


 「はい、荷車は、相当、頑丈に作られた見え、最初、動かすのに、百人が


必要でした。」


 「えっ、そんなに重いのか。」


 「はい、車輪は、1ヒロ以上も有り、私の背丈よりも大きいです。」


 「うん、其れは、オレも知ってるが、それ程、重いとは、考えもしなかっ


たんだ。」


 「将軍、あの荷車は、一体、何に使用されるのですか。」


 リッキー隊長も知らなかった。


 「うん、実は、オレも、余り、詳しい事は知らないんだ、大池造りに入る


前に、狼からの攻撃に備える為の高い壁を作るらしいんだよ、その為には、


大木が必要なんだが、その大木を運ぶ為に荷車だそうなんだ。」 


 「では、何台作られるんですか。」


 「うん、今後の為にも百台は必要なんだ、それでだ、話と言うのはだ。」


 と、ロシュエは、3番隊の小隊長の話から入り、全ての説明が終わったの


は数時間後だった。


 「将軍、では、奴らに、残りの荷車を運ばせるんですね。」


 「うん、その通りなんだ、其れでだよ、詳細に付いては、君達に任せるか


らよ。」


 「はい、承知しました。」


 と、ロレンツ隊長が言うと、2番、5番の隊長と中隊長達も頷いた。


 「だがよ~、オレは、あの小隊長に感謝をしてるんだよ、彼が、何も言わ


ずにいたと思うとだ、この荷車を運んでいる最中に、奴らの反撃にあってい


たかも知れないんだ。」


 「私は、その様な事も考えずに運んでおりましたから、今、思えば、大変


な事態になっていた可能性があったと思います。


 自分達は、ウエス達を信用する以前に、我々の事も考える必要があった


と、今は、反省しております。」


 「だがよ、あの時は、そんな事も考えもしなかったんだ、あの小隊長は、


別の考え方をしていたと思うんだ、」


 だが、当の本人は、其処までを果たして深刻に考えていたのだろうか。


 「でも、将軍、あの事故の後、死者を火葬にされたんで、ウエスの顔が引


きつってたのを思い出しますよ。」


 「へぇ~、そんなに奴は引きつってたのか。」


 「はい、ウエスの部下達は現場に行こうとしてたんですが、ウエスは、何


を考えていたのか知りませんが、止める事もしませんでしたから。」


 「じゃ~、やはり、ウエスは、時期を待っていたのか。」


 「ええ、私は、その様に思いましたね。」


 「其れで、今は、どんな状態だと思う。」


 「そうですね、一応は諦めたと思いますが、でも、まだまだ、油断は禁物


だと思いますよ。」


 「将軍、私も、同じ意見ですね、荷車を奴らに運ばせれば、奴らも疲れ果


て、反撃する気力を削ぐ事が可能だと思います。」


 「いや~、オレも大変な間違いを犯すところだったよ、其れでだ、想像な


んだがよ~、奴らには、あの城に到着するまでは、完成した農場には一歩も


入れさせたく無いんだが、何か、方法は無いか。」


 「私は、今のままで良いと思います。


 先程、到着しました農民の中には、多分ですが、大工仕事も出来そうな人


達も混じっていると思うんです。」


 「じゃ~、奴らに家も建てさせるのか。」


 「はい、切り出した大木ですが、将軍のお考えは。」


 「うん、それなんだよ、オレ達の時は、みんなが必死だったんでよ~、何


も考えずに大工の仕事に入ってもらったんだがよ~、でも、今日、到着した


彼らの中に、果たして、何人が手を上げるかなんだよ~。」


 「じゃ~、少し落ち着いた時に、私が、話をしてみます。」


 「お~ぉ、済まんなぁ~、だがよ、家を建てるって言ったがよ、ちゃ、ち


ゃってな話じゃ~無いぜ、この農場とは別なんだからよ、1万、いや、3


万、う~ん、わからないんだが、少なくとも、2万から3万は建てる事にな


ると思うんだ、其れによ、鍛冶屋だって、多勢必要に成るんだぜ。」


 「はい、勿論、承知しております。


 その為にも多くの人材が必要だと言う事です。」


 「よし、わかったよ、、じゃ~、君に任せるよ。」


 その頃、あの小隊は馬を飛ばし、夕方までには森に着いた。


 そして、フォルト隊長にロシュエからの伝言を伝え、3番隊の野営地に向


かった。


到着後、フランド隊長にも説明し、馬車百台を集め、そのまま、4番隊の森


に向かった。


 馬車百台を届けた兵士達が戻って着たのは夜だったが、フォルト隊長の判


断で今日中と言う事になったのだ。


 明くる朝、フォルト隊長と中隊長は、各小隊に命令し、4番隊が出発する


森へと向った、だが、既に、4番隊は森へと向かった後だったので大急ぎで


4番隊を追うのだ。


 4番大隊では、千人の偽者達が馬車に乗っているが、どの顔にも不安そう


で、馬車の御者と名目上の護衛は4番大隊の第1中隊だ、フォルト隊長は、


中隊長に後の事は任せ急ぎ、農場へと向かった。


 一方、残った5番大隊は、イレノア達の馬車から大量の食料を簡単な作り


の小屋に運び入れ、ゆっくりとした足取りで農場へと向かった。


 「ねぇ~、イレノア、一体、何があったんでしょう。」


 「私も、わからいの、だって、小隊の説明で隊長と中隊長は馬を飛ばして


行ったんだもの。」


 「そうよねぇ~、兵隊さんも、訳がわからないって言ってたもの、農場


で、何か、大きな事があったのかしら。」


 「でも、何かあれば、兵隊さんだって、大急ぎで戻るはずよ。」


 「ねぇ~、みんな、農場で何が起こっていても、私達は何時もの様に、微


笑みを絶やさないでね。」


 イレノアは、何も心配する事は無い、農場には、まだ、多勢の兵隊が残っ


ているから大丈夫だと、自分に言い聞かせるので有る。


 早朝に出発したフランド隊長とフォルト隊長、中隊長達は馬を飛ばしたの


で、途中でイレノア達に追い着いたが、そのまま、馬を飛ばし、昼頃には農


場に着いた。


「中隊長、3番隊と4番隊の隊長と中隊長達が馬を飛ばして着ます。」


 「お~い、門を開けろ、下の兵士は、隊長達の馬の世話を。」


 「はい、了解です。」


 若い兵士、数人が待ち構えているところに入ってきた。


 「大変、ご苦労様です、自分達が馬の世話を。」


 「有難う、で、将軍は。」


 「はい、執務室に。」


 「わかった、では、行きましょうか。」


 フォルト隊長とフランド隊長と中隊長達は、揃って、ロシュエの執務室に


入って行く。


 「お~、みんな、忙しいのによ、済まんよ~、まぁ~座ってくれ。」


 隊長達と中隊長は座り。


 「将軍、大切なお話が有ると、伺いましたが。」


 「うん、そうなんだよ、その前にだ、少し聞かせて欲しいんだが。」


 「はい。」


 と、フランド隊長は答えたのだが。


 「実はなぁ~、大木の切り出し作業中に大きな事故で50人が死亡したっ


て聞いたんだがよ~。」


 「はい、その報告もと思っていましたので。」


 この後、フォルト隊長は事故の経緯を説明するのだ。


 「うん、うん。」


 と、ロシュエは、真剣な顔で聞いている。


 「わかったよ、では、今は。」


 「はい、千人ほどの農民が、と、言っても、あの人達は、多分ですが、木


こりのようですねぇ~。」


 「そうか、やはりなぁ~、うん、其れで。」


 「はい、今では、普通の農民ばかりでしたが、やはり、彼らは、専門の人


達ですよ、偽者達に数時間掛けて説明し、その後は、順調に伐採は進んでお


ります。」


 「そうか、そりゃ~、良かった、で、ウエス達は。」


 「はい、あの事故の後、私が、ウエス達に、将軍や、農場の事に関して説


明を行なったので、ウエスも納得したと言いますか、降伏したと言います


か、観念した様で、此れからは、よろしくお願いしますと。」


 「そうか、其れでだよ、実はだ、君のところの小隊長だが、重要な発言を


したんだよ。」

 

 「えっ、奴が、何か、将軍に失礼な事でも。」


 「いや、其れが違うんだよ。」


 と、ロシュエは、3番隊の小隊長の発言を説明を交えながら話すと。」


 「では、まだ、完全には信用出来ないと。」


 「うん、其れでだよ、オレも、彼の言った話を真剣に考えたんだが、君達


だったら、一体、どうする。」


 「えっ、どうするって。」


 「時期を見て、反撃に入るかって言う話だよ。」


 「私でも、同じ事を考えますねぇ~、兵士達は、荷車を運ぶので大変な疲


れが残ると思いますから。」


 「やはり、同じか、其れでだ、君達の前に、1番、2番、5番隊の隊長達


には説明したんだがよ~、其れについてだ、後は、君達に任せるよ。」


 「では、私達が最後と言うのですね。」


 「うん、その通りだよ、其れによ~、あの事故で、50人が死亡したの


が、余程、ウエス達には、ショックだったと思うんだよ、ロレンツ隊長も言


ってたが、荷車を奴らに運ばせる事で、奴らの反撃しようとする気持ちを抑


え込むって話なんだよ。」


 「はい、私は、大賛成ですね、途中で見ましたが、あれほど、大きいとは


考えもしなかったですから、私達以上に奴らは大変な驚きになると思います


ねぇ~。」


 「うん、そうだろうよ、リッキー隊長も言ってたんだ、ありゃ~、簡単に


運べる荷車じゃ~、無いってよ~。」


 「其れで、将軍、我々で決めて宜しいのですか。」


 「うん、オレは、何も出来ないんでよ、今回の任務の割り振りは、隊長と


中隊長とで決めて欲しいんだ。」


 「はい、では、その様に致します。」


 「じゃ~、みんな、済まないが宜しく頼んだよ。」


 「はい、では、私達は。」


 フランド隊長とフォルト隊長は執務室を出、他の隊長達の所へと向かい。


 そして、数時間後。


 「お~い、5番隊が戻って着たぞ~、それに、イレノアさん達も一緒だぁ


~、門を開けてくれよ~。」


 「わかった。」


 と、下の兵士達数人が、大きな門を開けると、5番隊と、それに同行した


イレノア達が入ってきた。


 ロシュエも、出迎えに行き。


 「やぁ~、みんな、ご苦労だったなぁ~、大食堂に食事も用意して有るか


らよ~。」


 「はい、将軍、有難う、御座います。」


 兵士は言っているが、顔の表情からは、彼らは、相当疲れていると思われ


た。


 「みんな、大変だったなぁ~、済まんよ~。」


 ロシュエは、兵士達を労いのだ、ロシュエは、一人の兵士から話を聞く事


にした。


 「なぁ~、少し聞かせて欲しいんだがよ、あの荷車を運ぶって、そんなに


大変なのか。」


 「将軍、自分達も体力に自信が有りましたが、あの荷車は、簡単に運べる


もんじゃ~無いですよ。」


 「へぇ~、そんなに大変なのか。」


 「はい、でも、自分達は、まだ良かったと思います。」


 「其れは、何か有ると言うのか。」


 「はい、あの野営地までは、少しですが、下りなんですが、野営地から先


は、大変だと思いますよ、だって、あの森に入る道が無いですから。」


 「そうか、じゃ~、奴らは、何も知らないから大変な重労働になるって事


だ。」


 「はい、自分はその様に思います。」

 

 「有難うよ、じゃ~、ゆっくりと休んでくれよ。」


 「はい、では、失礼します。」


 兵士は、重い足取りで、大食堂に歩いて行く。


 5番隊の兵士達は、5台の荷車を運ぶだけで、それも、半日の距離だった


が、普通の疲れ方では無い。


 その頃、4番隊より、千人の偽者達は何も知らず馬車に乗って荷車の有る


所へ移動の最中だ、森からの道だが、今までは、多くの道を利用した者はい


なかったので、馬車の車輪と馬の肥爪の跡が有るだけで、道路とは言えず、


土は柔らかく、此処を、大きく重い荷車が行くとなれば、相当苦労する事に


間違いは無い。


 森を早朝に出発した馬車、百台に千人の偽者達と護衛の中隊は、夕方近く


になって到着した。


 だが、偽者達に林の中に作られた野営地を入らせる事は出来ない、中隊長


は部下、数十人に命じ、林の中から、イレノア達が残してくれた食料を取り


に行かせた。


 「わぁ~、なんだ、こんな大きな荷車を初めて見るぞ~。」


 「隊長さん、我々が、この荷車を運ぶんですか。」


 と、この隊の隊長と言う男で有る。


 「そうですよ、手の空いている者は枯れ木を集めて下さいね、今夜は、此


処で野営をしますので、皆さんは、馬車の中で眠って下さいね、我々は、付


近の警戒に当たりますので、それと、明日の朝は早いですのでね。」


 「隊長さん、この大きな荷車を運ぶんですか。」


 「その通りですよ、此処には、5台となっていますが、荷車は、前と後ろ


で1体と成りますが、皆さんは、前と後ろを別にして運んで頂きますの


で。」


 偽者達は、荷車の大きさに驚いている、まだ、重さを知らない、それに、


此処から、森に行くまでは急では無いが、殆どが上り坂に成っているので、


百人が引いても果たして簡単に動くのか、まだ、わからない。


 「じゃ~、皆さん、宜しく頼みましたよ。」


 中隊長は、少し離れた所、その場所は、偽者達には見えない場所なのだ、


林の中に、そして、明くる朝、偽者達は、朝食を済ませ、中隊長の到着を待


って要る。


 中隊長が到着し。


 「では、最初は2百人で引いて下さいね、動き出すと、徐々に、人数減ら


して行き、最終的には、百人で森まで引いて行きますので、では、皆さん、


引いて下さい。」


 中隊長は言うが、車輪が荷車の重みで土の中に食い込んでいる。


 「隊長さん、びくともしませんから、人数を増やして行きます。」


 50人が追加で、後ろから押す者、ロープを引く者が何時でも行ける体制


に入った。


 「じゃ~、1、2の、3で行きますからね、1、2の、3、引け~。」


 と、中隊長は大きな声を上げ、偽者達は一斉に引き、押し、すると、車輪


は土の中から出、荷車は動き出した。


 其れからは、徐々に動き、だが、偽者達は必死に形相でロープを引いてい


る。


 今の調子が何時まで維持出来るのか、だが、中隊長はわかっていた、引く


者達を次々と交代させる必要が有ると、だが、何時、その交代をさせるのか


だ、最初の荷車が動き出して百ヒロで交代を開始した。


 交代は、荷車を停止させる事無く行なうのだが、早くも、偽者達の息が上


がっている。


 「皆さん、如何されましたか。」


 「隊長さん、この荷車なんですが、重いので、簡単には動かないんです


が。」


 「じゃ~、引き手と押手の人数を増やして下さいね。」


 「じゃ~、後、50人で。」


 「いいでしょう、でもね、この様な荷車が、まだ95台も有るんですよ、


其れにね、荷車には、まだ、大木も載せておりませんのでねぇ~、まぁ、仕


方有りませんが、一度、停まると、次が大変だと思いますよ。」


 今の状態では、森に着くまでには偽者達全員が疲れきってしまう事になる


が、先頭の荷車は苦労しているが、其れは、土が軟らかく、めり込む為で、


2台目からは百人で動いている、中隊長は、次回からは、千人では少ないと


考え、二千人の偽者を手配する事を考えた。


 森で切り倒された大木は、長さが10ヒロ以上も有るのだ、其れに太さは


人間の身体、二人分も有る様な大木もあり、この大木を大池造りの周辺に建


てると言うのは、言葉で言うよりも大変な作業となる。


 だが、それでも、造る必要が有る、一応、名目上は、狼からの攻撃を避け


るためなのだが、本当は、ウエス達が画策している攻撃から自分達を守る為


にで有る。


 一方、ウエス達は、馬車の半分近くを持って行かれ、小石や、人間の頭ほ


どの石の全ては自分達が運ぶ事になり、此方でも、偽者達は、疲労困憊の状


態だ。


 其れに、数十回も大きな石を運ぶ為に、偽者達の手の平の皮はむけ、血が


出ている、それでも、偽者達は、何も言わず、石運びを行っている、その様


な姿が余計不審だと思われているのだ。


 「中隊長さん、お願いが有るのですが。」


 「えっ、何か、問題でも有るのですか。」


 中隊長は、わかっていた、其れは、数台でも良いから、馬車を増やして欲


しいと言ってくると思っている。


 「中隊長さんも知っておられる思いますが、馬車が不足し、岩を運ぶ作業


が遅れていると思いますが。」


 「勿論、ウエス隊長の言われれ事はわかっております。


 私も、十分、承知しておりますので、私からも、お願いしてみますが、当


面は、今の台数で我慢して下さいね。」


 「はい、承知致しました。


 中隊長さん、其れで、お聞きしたい事が有るのですが、宜しいでしょう


か。」


 「はい、私が、答える事で有れば。」


 「実はですね、この大きな川ですが、数年に一度ですが、大洪水を起こす


のですが、ご存知でしょうか。」


 「えっ、今、何と、数年に一度、大洪水を起こすと言われたのですか。」


 「はい、その大洪水で、この付近一帯は、大量の水で、数十日間は水が引


かないのでですよ。」


 其れは、初めて聞く話で。


 「其れで、ウエス隊長は、何か、良い方法でも有るのでしょうか。」


 「はい、私も、狼の攻撃を防ぐ城壁は必要だと思いますが、それとは別


に、川に沿って高い堤防を造っては思うのですが。」


 「わかりました、今の話は、大変、重要だと思いますので、私からも、隊


長に提言して見ますので、暫くの時間を下さい。」


 「宜しく、お願いします。」


 ウエスの提言は、農場造りには、重要な問題だった、数年に一度の大洪水


で、この付近一帯が川の水で水没するのだと、その様な事態になれば、農民


達が大切に育ててきた作物が一瞬で無くなってしまう事になる。


 だが、隊長達は、今、重要な問題で、会議の最中だろうろと中隊長は思っ


た。


 だが、何れにしても早急に伝える必要が有ると。


 隊長達だが、作戦会議が長引き、2日、3日、いや、5日が過ぎて要約答


えが出た。


 5人の隊長は、ロシュエに報告に行くと。


 「みんな、有難うよ、オレには、報告は入らないから、任せるからよ、頼んだぜ。」


 と、報告は必要無いと言うのだ。


 其れは、5人の隊長を信頼し、全てを任せる事の方が、隊長達もやりやす


いだろうと、ロシュエは、考えた結果なのだ。


 「将軍、では、自分達に、全てを任せていただけるのですね。」


 「勿論だ、君達の思い通りにやってくれ。」


 「はい、有難う、御座います。


 では、我々は、隊に戻りますので。」


 「うん、宜しくなっ。」


 5人の隊長は自分達で決めた方法で作戦を実行するのだ。


 そして、数日後、フランド隊長とフォルト隊長と中隊長達は現場に戻って


着た。


 ウエスの話を聞いた、3番隊の中隊長は、この数日間が長く感じていた。


 「隊長、お帰りなさい、で、お話は如何でしたか。」


 「うん、その話を今からするが。」


 「隊長、その前に、ウエスから、重要な話を聞きましたので、その話を先


に。」


 「えっ、ウエスからだと、一体、どんな話なんだ。」


 「はい、実は、ウエスの話だと、この近くを流れる大きな川ですが、数年


に一度ですが、大暴れをするそうです。」


 「大暴れするって、この一帯が、水没するって話なのか。」


 「はい、その通りで、私も、初めて聞きましたので、驚いたんです。


 ウエスの話しでは、高い堤防を造らなければ、農場は水没し、作物は全て


ダメになると言うのです。」


 「えっ、其れは、大変だよ、今から、技師長の所に行くから、君は、ウエ


スを呼んでくれ。」


 「はい、承知しました。」


 フランド隊長も、初めて聞く話で、技師長と相談する必要が有ると思っ


た。


 フランド隊長は、急ぎ、技師長の事務所に行くが、技師長も知らないだろ


う、ウエスの話が本当ならば、城壁を造る前に堤防を造らなければならな


い。


 「技師長。」


 「やぁ~、隊長。」


 「技師長、今、大変な話を聞いたんですがね、大きな川が、数年に一度、


大増水し、この付近、一帯が水没するって。」

 

 「えっ、何ですって、その話、本当なんですか。」


 「いや~、私もね、さっき、聞いたばかりで、ウエスが話したそうなんで


すが。」


 「其れが、事実だとすれば、大変な事に成りますよ~。」


 「ええ、其れで、今、ウエスを呼びに行かせましたので。」


 その時、ウエスが着た。


 「ウエスです。」


 「どうぞ、入って下さい。」


 「ウエス隊長、さっき聞きましたが。」


 「はい、実は、私も、ついさっき、思い出したんです。


 大きな川が、数年に一度、大洪水を起こし、この付近一帯が水没するんで


す。」


 「ですが、川を見ていますと、大変、穏やかな流れで、とても、大洪水を


起こすとは思えませんが。」


 「隊長、私は、隊長もご存知に通り、あの国の司令官を務めておりました


が、確か、司令官が居られました、お城からは、この大きな川は離れており


ますので、司令官もご存知無いと思います。


 其れで、私は、司令官時代に、この地には何度も来たのですが、数年に一


度は、大洪水になり、一帯は、水没しているのを見た事が有るのです。」


 「其れですが、私もね、この土地が柔らかいとは思っていましたが、其れ


が、原因だと言われると。」


 「はい、私も、早く気が付けばよかったのですが。」


 と、ウエスは、頭を下げたので有る。


 「何も、ウエス隊長が、誤る必要は有りませんよ、其れよりもですねぇ


~、川に堤防を築き上げる事の方が大事じゃないでしょうか。」


 「う~ん、之は、大変ですよ、だって、堤防と言いましたが、土だけじ


ゃ、水の勢いで、全てを流されてますので、此処から、掘り出される岩石と


池を造るために出る土を利用して築き上げる方法を考え無ければなりません


ねぇ~。」


 技師長は、腕組みをする。


 「技師長、堤防の高さも考える必要が有る様に思えるのですが。」


 「うん、私も、其れはわかりますが、でも、堤防を築き上げるのが先決で


すねぇ~、隊長。」


 「技師長、ウエス隊長も言われた様に、農場が完成し、作物を育て、収穫


する頃にですよ、大洪水に見舞われたら、それこそ、全ての作物が駄目にな


りますよ、私も、堤防が先決だと思います。」


 隊長は、ロシュエには、後日、報告する積もりなのだ。


 「じゃ~、明日からでも、堤防の構築に掛かりましょう、堤防さえ完成す


れば、後は何とかなると思いますよ。」


 技師長も、堤防の構築を専決したのだ、しかし。


 「隊長、技師長、この堤防を築き上げる為には、人数を増やす必要が有る


と思います。」


 ウエスは、人員が不足すると言うのだが、隊長は、別の事を考えたのだ、


人員が不足すると言うのは口実かも知れない、ウエスの隊と、大木の切り出


し作業に就いている仲間を合わせると、一万人ほどにも成る。


 だが、堤防を築く為には、人員を増やす必要が有る、少しでも、早く堤防


を築き上げれば、他の仕事は順調に行くだろうと、考えた。


 「わかりましたよ、私から、4番隊のフォルト隊長に相談しますから。」


 「フランド隊長、有難う、御座います。


 私は、今から、仲間に伝えますので、失礼します。」


 ウエスは、二人に敬礼し、戻って行く。


 「隊長、之は、大問題ですよ、私は、明日からの工程を考えますので、先


に、お話しをされた方が良いと思いますが。」


 「わかりました、では、今から、4番隊に向かいますが、そのまま、私


は、将軍にも報告しますので、技師長、後の事は、宜しく、お願いしま


す。」


 「隊長、わかりましたよ、各中隊長にも、私から説明をしておきますの


で。」


 「では、私は、行きますので。」


 フランド隊長は、その足で、急ぎ、フォルト隊長の元へと向かい、4番隊


からは、千人を残し、残りを堤防構築に向かわせる事を決定したのだ。


 フランド隊長は、その足で、農場のロシュエの元に向かって行く。


 その頃、ロシュエは、別の事を考えていた、だが、その考えた作業は、フ


ランド隊の説明を聞くまでは、優先しようと考えた。


 フランド隊長を馬を飛ばし、その日の夕方には到着した。


 「将軍、実は。」


 「お~ぉ、フランド隊長、一体、如何したんだよ、大事件でも起きたのか


よ。」


 「はい、実は、ウエスが。」


 「何、ウエスが問題でも起こしたのか。」


 ロシュエの早合点なのだ。


 「いえ、将軍、ウエスが、大変な問題を提言したんです。」


 「一体、何が、有ったんだよ。」


 「はい、ウエスの話によりますと、数年に一度なんですが、あの川が大暴


れし、あの付近一帯を水没させると言うんですよ。」


 「何だって、オレは、そんな話は聞いた事が無いぞ。」


 「はい、私も、初めて聞いたんですが、其れに、技師長も、この付近の土


地は柔らかいと言われてまして、私は、技師長と相談して、城壁造りより


も、堤防の構築が先決だと判断致しました。」


 「だがよ~、司令官からは、何も聞いて無かったぞ~。」


 「はい、ウエスの話ですと、司令官が居られました城は川から少し離れて


おりますので、司令官もご存知無かったのでは。」


 「うん、わかった、其れで。」


 「はい、私も、技師長も堤防構築が先決だと判断しましたが、ウエス


が。」


 「ウエスが、如何したんだよ~。」


 「はい、今の人員では不足すると。」


 「じゃ~、何か、大木の切り出し作業を中断してでも、堤防の構築がと言


うのか。」


 「私も、ウエスが、裏で、何かを考えて要ると思いますが、でも、将軍、


洪水は、何時、来るかわかりません。


 其れに、たとえ、農場が完成し、作物を育て、収穫の時に大洪水にでもな


れば、今まで、大切に育ててきた作物は、一瞬で駄目になると。」


 ロシュエは、駐屯地の時を思い出していた、駐屯地では、川が洪水になっ


ても、大丈夫な様に、全て、山の中腹で作物を育てていたが、ロシュエは、


洪水の恐ろしさは十分認識して要る。


 「よし、わかったよ、其れで。」


 「はい、フォルト隊長も、私と同じ考えでした。


 ウエスが、裏で、何かを考えて要ると。」


 「そりゃ~、オレだって、同じ様に考えるぞ、だが、技師長も堤防が専決


だと言ったんだなっ。」


 「はい、其れで、4番隊は千人を残し、全員を堤防構築へと行かせる


と。」


 「じゃ~、何も問題は無いじゃないかよ~。」


 「ですが、先日、我々が協議した事が、後回しになると思いましたので、


其れに、この問題は重要だと。」


 ロシュエも話を聞くと、城壁造りよりも、堤防の構築が最優先だと答えを


出した。


 「よし、わかった、全て、君達に任せるからよ、宜しく、頼むぜ、だが


よ~、まだ、気を抜くんじゃ無いぜ。」


 「はい、将軍、ウエスの動きですね。」


 「うん、そうだよ、堤防の構築を急ぐってのは、何かの口実かも知れない


からよ。」


 「はい、勿論です。」


 「じゃ~よ、なんだったら、5番大隊も追加するか。」


 「そうですね、何か、事が起きた時には間に合いませんから。」


 「そうだろうよ、ウエスには、また、適当に狼でも向かっているとで言え


ば信用するだろうからよ。」


 「将軍、宜しく、お願いします、では、私は、戻りますので。」


 「おい、おい、今からじゃ~、夜中、いや、明け方のなるぜ、明日、早く


出れば言いんだからよ~。」


 「そうですね、じゃ~、今夜は。」


 「うん、其れで、いいんだ、じゃ~、今から、リッキー隊長に話しに行く


か。」


 「はい、出来れば、早い事に越した事は有りませんので。」


 「話の都合によっては、5番隊も一緒に行くかもよ。」


 「私と、しましても、大変嬉しいです。」


 「じゃ~、行こう。」


 二人は、リッキー隊長の宿舎に向かった。


 「お~い、隊長は居るかよ~。」


 「はい、将軍、えっ、なんで、お前が居るんだよ。」


 「うん、其れがなぁ~、大きな問題が発生したんだよ、で、お前にも行っ


てもらいたいと、将軍と一緒に来たんだよ。」


 その後、ロシュエは、リッキー隊長に説明し、説明は簡単に終わり。


 「当番兵は。」


 「はい、此処に。」


 「中隊長達を呼んでくれよ、大切な話しが有ると。」


 「はい、直ぐに。」


 当番兵は、中隊長達を呼びに行く。


 「でも、将軍、あのウエスって、奴なんですが、何処までが本心なんでし


ょうか。」


 「うん、オレも、わからないん、話だけを聞くと、我々に対し、完全に降


伏した様に思えるんだがよ、ウエスの話に、どこか、わからんが、何かが、


引っ掛かるんだ。」


 「将軍、自分もですよ、ウエスが本心で話をして要るとは思えないんで


す。」


 「だがよ、今回の問題は、技師長もわかったんだから、まぁ~、仕方ない


かって思うんだよ。」


 「その様ですね、じゃ~、私達、5番隊は常にウエスの動きを。」


 「うん、それも大切だが、その堤防ってのを、何処まで構築するのか、其


れによっては、1番か2番のどちらかを追加する事も考えないと思ったんだ


が。」


 「将軍、多分、追加の必要は無いと思います。


 ウエスもバカじゃ無いですから、我々、2個大隊が監視すれば、何も出来


ないと思いますよ。」


 「よし、わかった、何れにしてもだ、君達が最前線に居るんだ、だがよ、


何かの時には直ぐに知らせるんだぞ。」


 「はい、承知しました。」


 「じゃ~、オレは、これで、戻るよ。」


 ロシュエは、宿舎に戻り、暫く考える事にした。


 あの小隊長の提言で、奴らに荷車を運ばせる事にした途端に、今回の問題


が出てきた。


 フォルト隊長も千人を残すと言う事は、森の大木を伐採する事を中止にし


た訳では無いのだ、それどころか、伐採し、運ぶ事になれば、今まで以上に


困難な作業になるだろう、それでも、ウエス達を休ませる訳には行かないの


で有る。


 今回、ウエスの提案で堤防の構築と言ったが、城壁造りも大事だと言うの


に、之は、単に一つの農場の問題では無い。


 今、農場造りが成功しなければ、将来の、いや、数年先には、大変な食料


危機になる事は間違い無い、ロシュエは、余りも問題が多く頭を悩ますので


有る。


 「閣下。」


 「お~ぉ、司令官、一体、何があったんだよ、オレは、本当に心配してた


んだぞ~。」


 ロシュエは、思わず、涙が出そうになった。


 「はい、閣下、誠に申し訳、御座いません。


 私の不注意で、熱を出しまして。」


 「何、司令官が熱を出したって、だがよ、フランチェスカは、何も言って


無かったぞ。」


 「はい、私が、止めたのです。


 日頃から、閣下は、多くの問題を抱えて、お疲れなのに、私が、熱を出しましたとは、とても、言えませんでしたので。」


 「オイ、司令官、何を言ってるんだよ、オレにとっちゃ~、司令官は、一番、大切な人物なんだぞ、その一番、大事な人物が熱を出した事も知らないで、どんな面してよ~、将軍って、言えるんだ、司令官のバカ野郎が。」


 司令官は、それ程までに、ロシュエに信頼されているのだ、例え、ロシュエが居なくても、この農場には、頑固な司令官が居る。


その司令官が、数日間もロシュエの側に居なかった事は過去には無かった。


 「閣下、私の不注意で御座いました。」


 司令官は頭を下げるが。


 「おい、司令官、此れからは、何かがあった時には、必ず、必ずだぞ、このオレに言う、其れが、どんな些細な事でもだぞ。」


 ロシュエは、言葉で言ってるが、顔は安心したのか、少し笑みを浮かべている。


 「はい、此れからは、その様に致します。」


 「うん、其れで、いいんだ。」


 ロシュエも頷いた。


 「閣下、ところで、この数日間、大変な騒ぎで。」


 「うん、そうなんだよ。」


 ロシュエは、数日間の動きを司令官に話し。


 「閣下、では、今は、何も問題は無いのでしょうか。」


 司令官は、ロシュエの顔を見たのだ、やはり、何か、他に有ると感じたのだ。


 「司令官、実はなぁ~、ウエスが言った話なんだがよ、オレはなっ、別の意味で考えたんだよ。」


 「えっ、別の意味と申されますと。」


 「うん、其れがだよ、正か、オレの考えて要る事がウエスに知られたって事なのかと思ったんだよ。」


 「閣下、私には、わかりませんが。」


 「ウエスは、洪水対策だと言ったんだ、まぁ~、其れはいいとしてだよ、オレはね、洪水の事も考えずにだ、この農場から、あの城まで、大木の見張り台と城壁を兼用した物を考えてたんだよ。」


 「えっ、閣下、今の話であれば、狼対策と思ったんですが。」


 「いや、司令官、そうじゃないんだ、オレは、狼も恐ろしいだがよ、オレ達が造った農場の事は、周辺の国では知られて要ると思うんだよ、ウエス達の軍隊だって、農場が欲しいから、攻撃してきたと思ってんだよ。」


 やはり、ロシュエは、感じていたのだ、ウエスが、洪水対策が必要だと言ってきたが、其れだけでは無いと。


 「では、閣下は、他国からも、何時、攻撃を受けるかも知れないと申されるのでしょうか。」


 「うん、オレは、ウエスの発言で、その様に思ったんだよ。」


「では、閣下の申される、見張り台と城壁を兼用したもの建造する必要が有ると。」


 「だがよ~、其れが思うほど、簡単じゃないんだ。」


 「閣下、其れは、何故で御座いますか、大きな川に堤防を、此方側には高い城壁を造るのですか、私は、何も問題は無いと思うのですが。」


 「うん、話は簡単だがよ~、だけど、其れを完成させるのに、一体、何年掛かると思うんだ。」


 「閣下、突然、何年と申されましても、私も、今、初めてお話を聞きましたので。」


 司令官の言うのも無理は無かった、堤防は急ぐ、堤防を造ってから、城壁に取り掛かるとなれば、5年、いや、10年は掛かるだろう、だが、城壁が完成するまで、他国からの攻撃は無いとは、誰も、確信が無いのだ。


 司令官も、余りに問題の大きさに、何から考えて良いのか、其れすらも、わからない。


 「閣下、如何でしょうか、この問題は、我々が、この農場に生活する全員の問題だと思うのです。


 この数日の間に、閣下が、全員にお話しをされては如何でしょうか。」


 ロシュエも同じ様な事を考えていた、だが、その前に、技師長を呼び戻し、大至急、図面を作らせる必要が有るのだと。


 「司令官も、やはり、同じ事を考えだなぁ~、よし、わかった、この数日の間に全員に話をするよ、でだ、ウエスの提案した堤防なんだがよ、技師長は、何処までの高さを考えて要るのか知らないんだ、それで、大至急、技師長を戻して欲しいんだよ。」


 「はい、閣下、承知致しました。」


 司令官は、当番兵を呼び、大至急、技師長を帰って来る様にと伝言した。


 「其れで、閣下のお考えは。」


 早くも、司令官は次の事を考えて要ると、ロシュエは思った。


 「うん、オレはなぁ~、堤防の高さなんだが、ウエスの、いや、技師長の考えた高さの倍は欲しいんだ。」


 「えっ、高さを倍にですか、でも、技師長が、一体、どれ程の高さを考えて要るのかがわかりません、ですが。」


 「うん、オレは、其れはわかってるんだ、だからの話なんだよ、例えば、技師長がだ、2ヒロだとすれば、その倍で、4ヒロの高さだ。」


 「でも、其れは、大変な工事に成りますねぇ~。」


 「司令官、オレは、其れで、良いと思っているんだよ、だがよ、問題は、こちら側なんだ。」


 ロシュエの考えた城壁の高さは、今の農場の城壁と同じなのだが、ウエス達にはどの様な事をしても造り上げて貰う必要が有る。


 敵は、必ず、正面からだけの攻撃とは限らない、裏には大きな川があり、舟を利用する事も考え無ければならない。


 「閣下、こちら側と申されますと。」


 「うん、大木だけの城壁じゃ、ダメなんだよ~、オレなぁ~、大木の外側には、頑丈な造りの、其れが、岩石の城壁なんだがよ~、果たしてだ、一体、誰が、この作業にだ入ってくれるのか、其れが、心配なんだよ~。」


 ロシュエは、ウエス達は川で堤防を造らせるが、農場と城を結ぶ城壁を、正面とは言えるが、城壁造りの方が大変な作業に成ると考えた。


 「閣下は、我々、兵士達にも城壁造りに就かせようとのお考えでは無いのでしょうか。」


 だが、ロシュエは、それでも、人員不足になると考えて要る。


 「司令官、兵士全員を参加させる事は出来ないんだ、オレはね、農場の人達にも頼みたいんだよ。」


 「閣下、私からも、みんなに話をさせて下さい。」


 「うん、有難うよ~、だってだ、例えば、ウエス達の国とは、別の国がだよ、一体、どれだけの数が有るんだよ~、たとえ、数カ国からの攻撃に対してだよ、この防備じゃ、全滅すると思うんだ、オレはいいんだ、兵士だから、だがよ~、あの多勢の農民達は、一体、どうなると思う、ウエスから逃れた、親子の話を聞くとだよ、奴らは、人間の皮を被った狼なんだよ、いや、狼以上に悪辣な野郎達なんだよ。」


 「で、閣下、奴らに対する方法は。」


 「うん、オレは、明日からでも、正面から城壁造りに入りたいと思ってるんだ。」


 「閣下、幾ら、何でも、明日から入れとは言えないのでは有りませんか、私も、出来るだけ早く、作業に入る方が良いとは思いますが。」


 「司令官、オレもわかってるんだ、今のは、話だけなんだがよ~、だが、一刻も早く取り掛かる必要が有ると思うんだがよ~。」


 「閣下、では、今から、大工部隊と農場の代表を呼びますので。」


 「うん、済まんよ。」


 「当番兵は。」


 「はい、自分です。」


 「君は、大至急、大工部隊と、農場の代表を呼びに行ってくれ、君は、隊長達と、え~と、そうだ、鍛冶屋さんもだ、大至急にだ、馬で行け。」

 「はい、司令官。」


 当番兵達は、残っている大隊長達や、大工部隊などを呼びに行く。


 「やはり、司令官だ、オレは、其処までは考えて無かったよ。」


 「いえ、私は、当然だと思っておりましたので。」


 それから、暫くすると。


 「将軍、如何したんですか、兵隊隊さんが来て、将軍が、大至急来る様にと。」


 「お~ぉ、済まないねぇ~、やっと、休みが取れたのによ~。」


 「いや、其れは、別に宜しいんですが、一体、何があったんですか。」


 「まぁ~、その話は、みんなが集まってからすからよ、少し、待ってくれよ。」


 「わかりましたよ。」


 大工部隊の一人が、ロシュエの顔付きが、今までに無い程、恐ろしい顔付きをしていると感じた。


 「当番兵は。」


 「はい、此処に。」


 「済まんが、誰か、早馬で技師長を呼びに行く様に。」


 「はい、大至急行きます。」


 当番兵が行こうとすると。


 「オイ、君は、今の話を聞いていたんだね。」


 「はい、申し訳有りません。」


 「いや、いいんだよ、だったらよ、技師長には話はするなよ、オレが、大


至急、まぁ~、何でもいいからよ~、行ってくれるか。」


 「はい、将軍、喜んで。」


 「そうか、じゃ~、君に頼むよ、オレの命令だと言って、馬を代えて行け


よ。」


 「はっ、では。」


 当番兵は、喜んでいる様に思ったのだ。


 「将軍。」


 と、隊長達は、駆けつけ、その後、農民の代表も鍛冶屋も集まり。


 「みんな、忙しい時に済まんが、オレの話を聞いて欲しいんだ、あっ、済


まん、まぁ~、座ってくれ。」


 「将軍、一体、何が起きたんですか。」


 農民の代表も訳がわからないので。


 「わかっらよ、じゃ~よ、今から、話すが、あくまでも、オレの推測なん


でよ~、何の証拠も無いんだ。」


 「将軍、何の話なんですか。」


 鍛冶屋も、訳がわからない。


 「うん、じゃ~、話すよ、実はよ~、3番大隊のフランド隊長の話でよ


~、オレは、その後、考えてたんだ、みんな、よ~く、聞いてくれよ、みん


なは、ウエス達の軍隊を退散させた、之は、みんなの勝利なんだ。」


 出席した、全員が頷いている、其れは、誰もが認める勝利だった。


 「だがよ~、あのウエスはよ~、直ぐにと言って良いくらいに、この農場


に来たんだ、だがよ~、幾ら、早いと言ってもだぜ、あれだけの多勢の人間


が、何も食べないで、何日間も生きれると思うんだ、それによ~、ウエス


は、農民にだ、兵士の服を着せ、兵士達にはよ~、農民の姿に、だがよ、一


体、あの農民達は何処の人達なんだ。」


 全員が、お互いの顔を見合わせている。


 「それにだよ、なんで、この農場にわざわざ戻って来る必要が有るんだ、


オレはだ、ウエス達が、他の国に行って、オレ達の農場の事を話したと思っ


てるんだ。」


 「将軍、聞いてもいいですか。」


 「うん、いいよ。」


 「将軍は、ウエスが、多くの農民を何処かで集めたとでも言うんです


か。」


 「うん、其れよりもだよ、みんなは、この農場造りに初めから参加したん


だ、じゃ~、みんなに聞くが、今、ウエス達が居る大きな川が洪水を起こし


たって聞いた事が有るかよ~。」


 「将軍は、一体、何を言ってるんだよ、あの大きな川だって、司令官達が


行くまでは知らなかったんですよ、其れに、洪水を起こしたって言います


が、どんな洪水なんです。」


 彼らは、ロシュエと、ともに最初からこの地に到着し、此処まで開拓した


のだ。


 その彼らでも、大きな川の存在は知らなかったのも当然、洪水などを知る


事も無かったのだ。


 「うん、問題は、それなんだ、ウエスは、川が数年に一度、大洪水を起こ


すってよ~、今、堤防造りに入ってるんだよ。」


 「でも、その話、何か、可笑しいよ、だって、じゃ~、その洪水は、何


時、起きたんですか。」


 「うん、そうなんだ、みんなも可笑しいと思うだろうよ~、オレはね、こ


の何日間も考えたんだ、ウエスが、言ったので、高い堤防造りに入ったがよ


~、今、洪水が起きればだ、一番先に被害を受けるのは誰だ。」


 「そんなの簡単な話、子供だってわかりますよ、ウエス達ですよ、あ


っ。」


 と、農民の代表は声を上げたのだ。


 「少し、わかってきたようだなぁ~、誰が、考えたって、一番、先に死ぬ


のは、奴らだよ、オレはなぁ~、ウエスの大嘘だって、わかったんだよ、あ


のウエスが簡単に降伏した、これも、何か有るとは思ってたんだが。」


 「将軍、じゃ~、ウエスは、他の国と、手を結び、この農場を襲うって言


うのですか。」


 「うん、オレは、そう考えたんだよ、高い堤防が完成すればだ、後は、何


時、攻撃に入るかなんだ、だがよ~、ウエスは、オレ達が、全て知っている


と思ってるんだよ。」


 「でも、なんで、わかるんですか。」


 「まぁ~、その話は、何時でも出来るがよ~、問題はだ、ウエス達に知ら


れない様にだ、この農場から、あの城まで城壁を築けるかって話なんだ。」


 「将軍、農場から城までは、5日も掛かるんですよ、そんな、長いくて、


大きな城壁を何時まで造るんですか。」


 「其れが、わからないからよ~、みんなに集まってもらって相談したいん


だよ~。」


 「だって、将軍は、本気なんでしょう。」


 「当たり前じゃ~無いかよ、オレは、兵士だからよ、みんなのために、何


時、死んでもいいと思ってるんだ。」


 側では、司令官も隊長達も頷いている。


 「じゃ~、将軍は、また、戦争を考えてるんですか。」


 「皆さん、聞いて下さい。


 閣下は、皆さんの為なら、喜んで死ねると言われていますが、今度の戦争


は、ウエスが相手では無いのです。」


 「えっ、司令官、ウエス達が相手じゃ無いと言う事は、他の国なんです


か。」


 司令官は首を振り。


 「そうでは、有りませんよ、今度の相手は時間なんですよ。」


 「えっ、時間って、なんで、時間なんですか。」


 「オレが話すよ、ウエス達が、川に高い堤防を完成させるまでの時間なん


だ。」


 「でも、ウエスは、将軍が、何も知らないと思ってるんでしょう。」


 「うん、今は、そうだが、何れ、知る事になると思うんだよ~、オレは


ね、其れまでには、少しでも、城壁を造り、農民達を助けたいんだ。」


 「でも、将軍、城壁って言うけど、この農場の時もだけど大変だった事を


覚えているでしょう、あの時は、何も考えず、まぁ~、狼から、みんなを守


る為に城壁を造ったんだよ、それなのに、今度は、オレ達を守るために造れ


ってかよ~、冗談じゃ、無いぜ、将軍はよ~、何時も、オレ達の為にどんな


苦労でもするし、オレ達の為に、ウエスの軍隊とも戦争して、だけどねぇ


~、将軍、今回はねぇ~、オレは、将軍の為にやるよ、何が、将軍の命令だ


よ、今度はね、オレ様が、みんなに命令するよ、みんな、将軍の為に勝つぞ


って。」


 「おい、おい、戦争は、オレの仕事なんだからよ~。」


 ロシュエは、嬉しさの余り、涙が出そうになった。


 「えっ、何が、オレの仕事だよ~、オレ達、大工部隊も全員参加する


ぜ。」


 農民の代表も大工部隊も城壁造りに参加すると言うのだ。


 「だがよ~、技師長がまだなんだよ。」


 「将軍、技師長が居ないからって、オレ達にだって出来る事は有るんだよ


~、じゃ~、聞くが、将軍、城壁の高さは。」


 「う~ん、5ヒロと考えてるんだが。」


 「じゃ~、この農場と同じじゃないかよ~。」


 「そうなんだ、だがよ、少し違う所が有るんだ。」


 「何が、違うんだ、え~、一体、何なんだよ~。」


 「簡単に言えばだ、最初に5ヒロの長い大木で、内部の。」


 「えっ、何だって、内部のって、城壁の中に、人を入れるのか。」


 「うん、そうなんだ、中からも攻撃が出来る様にと。」


 「な~んだ、簡単な話じゃないか、この農場にも有る部屋だろう。」


 「うん、まぁ~、そんなところだなぁ~。」


 「で、技師長は、何時帰ってくるんですか。」


 「う~ん、早くて、3日後かなぁ~。」


 「それから、図面を書くんですか。」


 「いや、其れがだ、技師長は、何も知らないんだ。」


 「えっ、でも。」


 「いや~、済まんなぁ~、この話をするのも、今が初めてなんだ。」


 「えっ。」


 「まぁ~、将軍、オレ達に任せなって。」


 「有難うよ、じゃ~、明日、みんなに話をするからよ~、頼んだぜ。」


 「うん、わかったが、何故、ウエスが、其処までにして、この農場を欲し


がるんです。」


 「簡単な話だよ、オレは、兵士だから、何時でも、戦に行くよ、だけど、


食べ物は、一体、如何するんだ、オレはよ~、何時もみんなに感謝してるん


だ、その食料を奴らは、狙ってるんだよ、それにだよ、この農場に居れば、


狼の攻撃も無いと知ってるんだ。」


 「じゃ~、オレ達、農民は、一体。」


 「奴らの事だ、最初は、見せ付けの為に数人は殺されるだろうよ、だが、


言う事を聞いて、食料さえ出せば殺さないって、だが、そんな話を信用する


となっ、後はなっ、之が、奴らの正体って話なんだ、全員を殺すんだよ、女


も子供もなっ。」


 「将軍、わかったよ、じゃ~、明日、みんなに話をしてくれよ。」


 「お~、すまんなぁ~、明日なっ。」


 農民達と大工部隊や鍛冶屋も戻って行く。


 「閣下、宜しかったですねぇ~。」


 「うん、司令官のお陰だよ。」

 

 「いいえ、私は、何も出来ませんので。」


 「ところで、隊長達は、どうなんだ。」


 「はい、私も、さっきの農民が言った様に、今度は、将軍の為に、是非参


加させて下さい。」


 「嬉しいねぇ~、なぁ~、司令官よ~。」


 「はい、私は、閣下がダメだと申されてもやりますので。」


 「えっ、じゃ~、司令官が城壁造りかよ。」


 「司令官、自分達も。」


 体長達は、何か、うれしそうな顔で言うので。


 だが、その直ぐ後から、森の方から大木を切る音がするのだ。


 「司令官、あれは。」


 「はい、多分、大工部隊が、早くも始めたのでは。」


 「えっ、あいつら、明日の話じゃ、無かったのかよ~。」


 「森で、木を切り倒す音を聞いたのは、ロシュエ達だけでは無かったので


有る。


 「なぁ~、司令官。」


 と、言った時には、農場から次々と農民達が、森へと向かって行く。


 「一体、どうなってるんだよ。」


 農民に聞くと。


 「な~に、オレ達が、将軍を助けるんだよ、なっ、将軍。」


 どの農民達も顔は二コ二コとしている。


 その様な時、兵舎からも兵士達が、次々と、城門を出て、直ぐ横の農場予


定地に入って行く。


 「閣下、私は、何も。」


 隊長達も首を横に振っているが、顔は嬉しそうなのだ。


 「お~い、みんな、オレ達の将軍を助けるんだ、行くぞ~。」


 「お~。」


 と、あちこちで気勢が上がる。


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