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スタイルなんて気にしろよ

「久しぶりだね〜律子」

「久しぶりじゃないでしょ。一昨日に会ったばっかり。で、この子がそうなの?」


母がと律子と呼んだこの人は、僕が通うことになる学園の理事長。母さん、いくら友達といっても一応お世話になる人なんで、馴れ馴れし過ぎるとどうかな?と思うんですけど。


「そ、私の娘よ。可愛いーでしょー」

「息子です」

「確かに可愛い女の子だわ。どう、うちの息子の婚約者になってみない?顔良し、性格良し、成績良しのお買い得よ」

「ものすごく遠慮しておきます。ていうか僕、普通に男なんですけど」

「大丈夫よ。あの子ゲイだから」

「・・・・・・・・・」

「冗談よ」


やっぱり母さんの友達だ。なんか独特のペースを持ってる人だな〜。


「こんなに可愛いのに男だなんて、もはや詐欺よ詐欺っ」


生みの親のあんたが言うなよ。


「そうね、これはもう美少女の範囲だわ。輝ちゃん、もう男なんて捨てて女の子になりなさい」


もうそれ以上同意しないで。なんか男としてのプライドやらが崩れていって自分自身を恨んでしまいそうだからっ。

ホントにお婿にいけなくなる。


「こらこら、男の子がそんなに簡単に泣かないの」


泣いてないよっ。

ていうか、こんな時だけ男扱いなんて都合良くない?


その後、母さんは律子さんに「娘をよろしく頼んだわよー」と最後まで僕を女の子扱いして帰っていった。








「へー、結構大きいんですね」


学校の正門にあたる西門を出ると舗装された道があり、そこから約一キロ先に寮としては立派過ぎる建物があった。


「早くついていらっしゃい。こっちが女子寮よ」


思い出しちゃったよ。

この格好に慣れてしまってさっきまで忘れてたよ。


僕はちょっと泣きそうになりながら律子さんについていく。


寮に入り管理人に挨拶をした後、部屋を案内してくれていた律子さんが、いきなり核爆弾を落としてきた。


「あっそうそう。輝ちゃんは相部屋だから」


思わず、へ〜としか思えなかった自分を許してほしい。

数秒後にそれがどういう事か理解しました。

僕は女の子って事になっていて、ここは女子寮で、ルームメイトもきっと女の子で、僕は男で、いろいろ大変で、きっとなんか危ない予感がする。


「何それ!?どういう事?律子さんその年で痴呆症?」

「・・・・・・・・・」

「無言にならないで!すごく恐ろしいからっ。ていうか何で相部屋?」

「ここよ」


無視!無視ですか!!

律子さんは僕の抗議にまったく耳を貸さず、コンコンとノックをした後、「ちょっと待って!」部屋のドアを開けた。

中から待てと言う声が聞こえたような気がするけど、それも無視ですか。


「あ」


思わず間抜けな声が出てしまった。

「中の人」が制止をかけたのは着替え中だったから。

なら、その途中を見てしまうというシチュエーションは、男にとって理想郷。

でも、そんな嬉しさも半減以下。

なぜなら・・・。


「それ、ブラしてる意味あんの?」

「黙れ」

「グハ!」


貧乳を指摘しただけなのに、高速で飛来してきた何かが額に直撃。

目覚まし時計が床に転がる。

ぽたぽたと血がたれる。

血が出ちゃったよ、と思いながら額をさすったが別になんとも無い。

実は鼻血でした。

あははー、あの幼児体系に興奮したわけじゃないよ。ホントだよ。


「亜美。いきなり物を投げるように躾けた覚えは無くてよ」

「うわっ!オカン!いつからそこにおったん!?」

「最初からよ。ごめんね輝ちゃん。馬鹿な娘が可愛い顔に傷をつけるような真似して」

「いや、大丈夫ですよ、これくらい」

「いきなり入ってきたそっちが悪いんや。しかも初対面にもかかわらず、いきなり侮蔑を吐いたんやから罰と思おとき」


女の子はいつの間にか服を着ていた。

僕は額を押さえながら立ち上がる。

もちろん鼻もつまんで。


「で、誰なんですかこのエセ関西人?」

「それはこっちの台詞や。あんた誰やねん」


双方の疑問。


「紹介するわ輝君。この子は吉居亜美よしいあみで私の娘、あなたのルームメイトよ」


律子さんの娘だったのか。確かに顔のつくりが似てるような気がする。


「オカン、ルームメイトなんて聞いてへんでっ!」


彼女は抗議する。


「亜美。ちょっと来なさい」

「ちょ、オカンどこ行くねん」


律子さんは彼女の腕を引っ張って奥の部屋に消えた。

中から「なんやそれ!?どういうこっちゃねん!?」と言う声が聞こえるが、無視しておこう。

いや、無視できない!!律子さんいったい何言ってんの!?

あっ、出てきた。

そのまま亜美と呼ばれた女の子がこっちに向かってきて・・・・・・。


「とりあえず」


・・・・・・・・・。


「死ね」

「ぐぎゃーーーーーーっ!折れる折れる折れるーーーーーっ!!」

「亜美!やめなさいっ!」


腕をありえない方向に曲げられそうになったが、間一髪で律子さんが止めてくれた。


「落ち着きなさい」

「落ち着いていられへんわ!!こいつ男なんやろ!さっきの着替えも見たんやろ。ウチもうお嫁に行けへんっ!!」

「そんなに怒るほど大きくなかっうそですうそです。ごめんなぐわーーーーーーっ!僕の腕はそんな方向に曲がらないから!」

「あんな姿を男の前に晒したからには、ウチはもう死ぬしかないんや」

「じゃあ、勝手に死んでよ!!」

「死にたくないからあんたを死なすんや!」

「そんなむちゃくちゃのおおおおおおおおおおお!」


もうだめ。ギブ。









<次話予告>


亜美:「もうだめや、恥ずかしすぎて死んでしまうわ」


輝:「別に見られて困るようなスタイルじゃなグバッ」


亜美:「今ここで死なしたろか?」


???:「おいおい止めておけ。お前の腕力はシャレにならんからな。それにしても変な奴ばかりだな。女装する変態男に貧乳暴力女。やれやれだ」


輝:「僕は変態じゃない!!」


亜美:「誰が貧乳や!!」


???:「む、俺の正体か?俺はまあ、おいおいな。次回、<保健室には唯ではいけない>だ」


亜美:「ちょいまち。あんたもいっぺん死なしたるわ」


???:「ふ、遠慮しておこう」


亜美:「こらっ、逃げなや!」





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