生徒番長
キーンコーンカーンコーン
鐘が鳴った。
正直、緊張する。
「はーい! 転校生を紹介するよ〜!」
教室に入ってみると、全員の視線が私に。
「えっと、藤咲莉奈です。よろしくお願いします」
そう……。私の名前は藤咲莉奈。ここ、A中学校2年4組にやって来た。
この学校の噂は聞いている。この学校は、元男子校で5年前に男女共学になったばかりで、男女との仲が悪い。
そんな学校に入って、うまくいくかどうか分からないが、どうにかするしかない。
……と思って指定された席に座ろうとしたら、隣の席の人がいきなり、
「私、椿里緒菜。よろしくね! ……早速だけど、今日一緒に帰らない?」
とキラキラした目で私を見る。
「いいですけど……」
「やったー!!」
彼女は叫ぶと、いきなり私に抱きついた。
彼女が私に抱きついたときに、周りがざわめき出した。まさかとは思ったけど、きっと証拠がないから聞いても無駄かも。本人に聞いても黙り込んでしまうだろうし……。
とりあえず、今日一緒に帰りながら様子をみよう。
―――
放課後になった。
相変わらず彼女は元気100%だ。
そんなこんなで家に着くとお姉ちゃんと弟の秀哉が出迎えてくれた。
私たち3人の親はいろいろあって、今、いない。そのため、今はお母さんの親戚の家に泊めてもらっている。その人たちはとても優しくていい人たちだ。
正直、尊敬している。
お姉ちゃんは17歳。高校に通いながら、バイトをしている。今いる家族のために……。
―――
次の日。
私は目撃した。
正門の前で不良グループが彼女をボコボコにしているところを……。
私は思わず身体が前に出た。
そして、彼女を助けるために、殴って、殴って、殴り続けた。
不良グループの1人が彼女を人質にした。
「おい! この女がどうなってもいいのかな~?」
そう言った瞬間、先生達がやって来て、不良グループの周りを囲んだ。
不良達は先生に向かって叫んだ。
「おい、テメーら、何のつもりだ? クソ野郎!!」
「オマエらこそ何のつもりだ? 朝からこんなところで?」
「見りゃ分かるだろ? 殴ってんだよ。それがどうかしたか? エ!?」
ある先生が私に聞いた。
「君はなぜ殴っていたんだ?」
「私、椿さんが殴られているのを見て、絶えられなくて……」
「よく頑張ったな。保健室に行って来なさい。大丈夫。このことは口外しないよ」
私はそれを聞いて安心して椿さんを連れて保健室に行った。
―――
ケガの手当てを終えて、教室に着いた。
教室中が騒めいた。
「なんで、椿さんがいるの?」
「椿さんをボコボコにしてできれば、殺すって言ってたよね? ……[アイツ]が」
「シッ! [アイツ]に聞こえてたら、どーすんの? うちら、殺されるよ」
「……ていうか、なんで転校生が傷だらけなの?」
教室中から聞こえた[アイツ]って誰なんだろう?
椿さんのいじめと何か関わっているのか?
「[アイツ]に聞こえたら」って事はこのクラスの人なのか?
私が考えて出た答えはなかった。
そのうちに時間が過ぎて、とうとう学校が終わってしまった。
―――
私は椿さんと、とりあえず帰った。
朝のことがあったせいか、椿さんは全然話して来ない。
そりゃそうだ。
朝、いきなり不良グループにからまれ、殴られ蹴られで、いきなり私が駆け込んで、殴り返し蹴り返しで、何が何だか分からなくなってるのは当然だよ。
彼女と別れるときの分かれ道のところで、彼女が急にソワソワし始めて、「あっ……、朝はありがとう ! あと、変な事に巻き込んで、そのっ、ごめんなさい!!」といって、急に頭を下げてきた。
「いいよ、いいよ!? そんな気にしてないし……。それに、あんな光景見たら、助けるのが当然でしょう!?」
慌てて答えたら、彼女は泣き出した。しかも、号泣。
「……えっ!? 私、泣くような 事、言った!?」
「ちっ、違うの。あたし、友達にそんな事、言われた事ないから、つい……」
……恵まれてないのかな……
一瞬、そう思った。
―――
次の日。
私は、あの後、家に招待してみようと思った。
学校に着いて、教室で椿さんに会った。
「おはよう!」と声をかけてみると、
「おはよー!!!!」とテンションマックスで返してきた。
元気そうで良かった。
これなら、誘えられる。
「どうしたの?」
「いやっ、あまりにハイテンションだったから、ビックリしただけ」
「あっ、……ごめん」
「冗談に決まってるじゃん! そんなに落ち込まなくていいよ!?」
「…………」
「ホントに冗談だって! あと、話変えていい?」
「…………?」
「今度、私の家に来ない?」
「……えっ?」
「あっ、親にも許可取ったから、大丈夫だよ! 心配しないで」
「そっ、そうじゃなくて、誘われたことがないから……」
…………
この人、今まで、どうやって生きて来たんだ……?
―――
「ていうか、ホントに友達の家で遊んだことないの?」
「うん。……ほら、あたしって、ただほかの人たちと話してるってだけで、決して友達ではないから、誘われたことがないの」
「……それに……」
「それに?」
「……ううん。何でもない」
……やっぱり、そうなのかな?
聞いてみようと思ったけど、ここじゃ気まずいし、それに、彼女が動揺するだけだし……。
「……何かあったら、相談していいよ!」
とりあえず、それだけ言っておいた。
今日、一緒に帰ったけど、あまり話さなかった。
「とりあえず、朝の話、考えといて!」
……と言って、別れた。
―――
次の日。
返事が来た。
「OK!!」だった。
「どうする? いつ遊ぶ? 予定が明日と明後日しかないんだけど……」
「じゃあ、明日にしよう。それで帰りにそのまま家に行くっていうのはどう?」
「……わかった。言っておく」
―――
ということで、次の日の放課後。
「おじゃまします!」
相変わらずの元気過ぎる挨拶にみんなビックリした。
当然、私も。
「椿里緒菜です!! よろしくお願いします!!」
「よ……よろしく」
あぁ〜あ〜、やっちゃったよ、椿さん。
あまりのハイテンションにみんな、引き気味だよ……。
「ただいま〜……って、え? 何? みんなどうしたの?」
あぁ〜あ〜、変なタイミングで姉さん帰って来ちゃったよ……。
「椿です。よろしくです」
「……あぁ! あなたが椿さんね! 話は莉奈から聞いてるわ。よろしくね!」
姉さん……オバサン臭い……。
「誰? この人?」
と、細い目をして小声で聞く椿さん。
「……うちの姉さん」
私がそう答えたとたんに、姉さんが、
「あっ、どうぞ、あがって」
「……あっ、すみません! じゃあ、おじゃまします!」
そのあとは、いつも通りの椿さんに戻った。
みんな、椿さんの話を聞いて、楽しんでいた。
呼んでよかった。
正直、そう思った。
―――
次の日。
教室に入ったあとに、椿さんが
「おはよう‼ 藤咲さん、昨日は、ありがとう! 楽しかったよ!」
朝からこのテンション……。
「おはよう! こちらこそ、来てくれてありがとう! みんな、楽しかったって言ってたよ! また、来てくれって!!」
「ホント!? 嬉しい!!」
……テンション高い……。
高すぎるよ……。
「じゃあ、今度は、あたしの家に来ない?」
……へ?
「いいよ!? そんなに気を遣わないで……」
「いいじゃん!! これで5分5分だよ!」
……て言われても……。
「……いいの?」
「いいよ、いいよ!! 今日、帰ったら、親に聞いてみる」
マジか!?
―――
次の日。
メールでその次の日に行くことになった。
―――
次の日。
彼女の家の前に着いた。
……デカイ。
スッゴく豪華。
お城みたいなデカさ。
その大きさと豪華さに驚かされて、私は思わず口を無意識に開けて屋根を見上げる。
「デカイね……。 ……すごく豪華だね」
「……そう? 普通だと思うんだけど……」
……これで普通!?
……ていうか、あんたの「普通」という基準って、どこからどこまで!?
……そうなったら私の家を見てどう思ったの!?
「どうぞ〜!」
「おじゃましま〜……」
「いらっしゃいませ! ようこそ、椿家へ!」
メイドの人たちの声で、私の声が消された。
私は小声で、「すごいね」と声をかけると、
「そう? ……そういえば、今日、メイドは二人休んでるんだよね……」
この人、どこまで把握しているんだ!?
……ていうか、私のイメージは、私の家より少しボロで、泥まみれの姿って感じだったんだけど……。
全く逆だった……。
―――
いろいろな話をした。
椿さん、意外と結構習い事とかしてるみたい。
私は、全くやったこともないけど……。
―――
そんなこんなで、楽しかった。
水泳やったり、テニスやったり、いろいろしたなぁ。
家に帰ったら、お姉ちゃんがいた。
「お姉ちゃん、早いね。今日、徹夜じゃ、なかったの?」
「……ちょっと、いろいろあってね……」
お姉ちゃんが頬をかいた。
何かあったか、それか嘘をついてるサインだ。
「……あっ! 夕飯、何がいい? そういえば、今日、どうだった?」
「お姉ちゃん、何かあったの?」
「……へ? 何もないよ?」
また、頬をかいた。
姉さん、どうしたんだろう……。
―――
夕食が済んだ後に姉さんに呼ばれた。
「実は……その……、リストラ……――」
「リストラ!?」
ビックリして、思わず叫んでしまった。
「お姉ちゃん、リストラされたの!?」
「……うん……」
しばらく、静かになった。
「……店長さんに反抗したからかなっ」
お姉ちゃんは笑顔を見せる。
「なんで……? どうして……?」
動揺した。
今、住んでいるところは、親戚の家。
しかも、その家の主はもうお年寄り。
年金だけでは、生きていけないし、他人の金を使う訳にもいかない。
……どうすればいいの?
それに、
「私たち、これからどうなるの?」
そう言って、泣いた。
自然と涙が溢れてきた。
その夜、私は不安で眠れなかった。
―――
次の日の朝。
朝ご飯を食べているときに、お姉ちゃんが「重要な話がある」とみんなの前で言った。
昨日の話かな……?
「あたし、高校辞める!!」
でっかい声で言ったので、ビックリした。
当然、みんなは反対した。
私もしようと思ったけど、できなかった。
「ほら、莉奈姉も言ってよ〜」
そう秀哉に言われても、出る言葉がない。
当然だ。
昨日の話から、お姉ちゃんが考えに考えた結果だ。
反論できないし、する余地もない。
結局、その事に関して、答えは一切出なかった。
―――
学校では、その事については一切口に出さず、考えないようにした。
……学校での私の悩みといえば、やはり、椿さんのことだ。
昨日のことで、椿さんがいじめられている理由がなんとなくわかった気がする。
今日は、教室でみんなが言っていた[アイツ]に関して、調べてみよう!
―――
放課後。
[アイツ]が誰なのか、すぐにわかった。
クラスに口があんなに軽い人がいたなんて……。
まぁ、二日三日かからなくてよかった。
その結果を椿さんに言ってみよう……と思った。
たとえ、私たちの関係が崩れるきっかけになったとしても……。
―――
「藤咲さん、どうしたの? いきなり、呼び出して……」
「いきなり、呼び出してごめんね。実は、椿さんのこと、調べてみたんだ」
「……へ? あたしのこと?」
「うん。椿さんの家、大企業を経営してるんだね」
「うん」
「で、その事に関して、いじめられている……」
「…………」
「で、一週間前、殴りかかってきた人たちは私たちのクラスの[アイツ]の部下」
「…………」
「そして、その[アイツ]って言うのは、奥山麟太郎。あなたの親の大企業のライバル会社の息子よ」
「……」
「なぜ、奥山はあなたを襲ったか……。理由は簡単」
「……あたしが……」
「そう。もう、親が経営してるんじゃない。 あなたが継いだの!!」
「…………」
「だから奥山はあなたを襲ったの」
「…………。……いつ……調べたの?」
「技術の時間に調べたの」
「そういう……こと……か。
……あなたはあたしを裏切る……の……?」
「…………。裏切るつもりはなかったんだ。だけど、なぜあなたがいじめられているか、知りたくて……」
「……何で直接きかなかったの?」
「だって、嫌でしょう!? そんな事きかれたら」
「うん……」
「だから、あなたにとっては、少しでも気が楽な方を……って思ったの」
「…………。裏切るの?」
「裏切らないよ。……ただ、私は、これが事実か確認しただけ。裏切るか裏切らないかは、あなた自身が考えて」
「…………」
「じゃあね」
こうして、私にとっての長い一日が終わった……と思った。
学校をあとにしたとき、家のことを即座に思い出した。
お姉ちゃんは、大丈夫かな……。
―――
家に着いた。
「ただいまー!」
と言って、ドアを開けると、お姉ちゃんが立っていた。
「おかえり」
すっごく優しい笑顔で私を迎えた。
それを見て、少し安心した。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「……大丈夫!! なんか、振り切っちゃった!! 高校も続けるし、新しいバイトも見つけたから……」
「そっか……。よかったね」
……って、ハァ!!!???
昨日、リストラされて、今日またバイトが見つかる訳ないじゃん!!!!!
と、心の中で驚いてました。
で、嘘か本当かを確かめるために、お姉ちゃんの仕草を観察したけど、何の変化も無かったので、本当と認めてイイみたい。
ここまで帰って来るまで、お姉ちゃんがどうなっているかって、ホントに心配だったし、玄関のドアを開ける前なんか、もうめちゃくちゃ緊張したよ。
とりあえず、一安心。
―――
次の日。
……ハァ。
昨日の事で頭がいっぱいだ。
そう思ったとき、誰かがすっごい大きな足音で私の前に来た。
「つ……、椿さん!?」
ビックリした。
「おはよう!!」と、いつものハイテンションで私に話かけてきた。
「……おはよう……。……その……、昨日は……ごめん……」
「……あぁ、いいよ。昨日は、藤咲さんがあたしにただ事実を言っただけだし、何の問題もないよ」
「……へ?」
よかった。
正直、そう思った。
―――
学校に着いて、奥山に話しかけてみようと思った。
そう思って、自分の靴箱を開けると、手紙があった。
中身を教室で読んだ。
―――
放課後、屋上に行った。
「おーい、約束通り、来たよー」
と、大声で叫んでみると、
「へー、ホントに来たよ。……コイツが先陣部隊を一人でやったってヤツか」
「先陣部隊……? 何、ソレ?」
「一週間前くらいにやって来た不良。アンタ、あの女を調べたらしいし、もう隠す必要ないから言うが……」
「……?」
「アイツらは、オレの手下だ」
……どうやら、声の主は奥山らしい。
たしか、あの手紙には……
―――
転校生へ
はじめまして。
今日は、放課後に話があるので、来てください。
では、また放課後に会いましょう。
奥山
―――
とあった。
「……で? 話って何?」
「オレの手下になって欲しい」
「……ハァ!!!???」
ビックリした。
「アンタの事、調べさせてもらった。アンタ、あの出来事を知られたくないみたいだな」
「…………!!」
あの出来事って、まさか……。
「あの出来事を漏らされて欲しくなければ、手下になるんだな」
「…………」
「アンタに選択する権利はない」
「…………」
「そうだ。今、手下になるためのテストをしよう。
コイツらを全員倒すんだ。そしたら、入れてやる」
「…………」
バン!!!!
いきなりドアが開いた。
「つ……、椿さん!!??」
ビックリした。
「藤咲さん、もう大丈夫だよ! 奥山!! 藤咲さんは、あたしがもらうからね!!!」
えっ……、えぇ〜!?
……私、どうなっちゃうの〜!?
「……指図するのも何だけど……、アイツの手下とあたしの手下を全員、藤咲さん一人で倒して!!」
えぇ〜〜〜!?
……とりあえず、やっつけないと、もっと面倒な事になりそうだし……、とりあえず、やるか……。
―――
次の日。
あの後、全員をやっつけて、逃げた。
もう頭が混乱していて、どうしていいか分からなくなった。
「おはよー!!」
いきなり、後ろから椿さんがやって来た。
ビックリした。
「……昨日は、変な事に巻き込んで、ごめんね……」
「…………」
「あと、昨日、あたしが言ったことは、嘘だから」
「……へ?」
私は耳を疑った。
「ホントだって!! 後さ、一つ気になったんだけど、昨日、奥山が言ってたあの出来事って何?」
「…………」
……言えない……
言えるわけがない。
……あんな事……。
「……じゃあ、いいよ。言える時が来たら、聞かせて。……じゃあ、またね!!」
―――
教室に着くと、やっぱり椿さんの陰口ばかりだ。
……椿さん、いい人なのに……
付け足しておくと、私の陰口も結構多い。
まぁ、いっか。
慣れっこだし……。
―――
先生が来て、静かになった。
珍しく、授業が変更になった。
午前中の教科が全てLHR。
……何かあったのか……?
―――
午前中の授業で、いじめについての説教が永遠と語られた。
一時間終わるたびに、大声で、「チクったのは誰だー!!」と言って、私と椿さんをじろじろ見る人や、そのことも踏まえて愚痴を言い続ける人の二手別れた。
まぁ、私が言える事といえば、私は言っていない。
それだけ。
午前中の最後の二時間は、なぜか私と椿さんだけ、別室に呼ばれ、先生に「自習していなさい」と言われた。
―――
昼休み、朝と変わらない空気の中、奥山が教卓で、
バン!!!!
という大きな音をたてた。
「…………」
「どうしたんだよ!!」
ある男子が聞くと、
「お前ら……。もうこんな事、辞めようぜ……?」
「ハァ!!!???」
全員が騒ぎだし、
「発案したのは、お前だぞ!? それが何で……?」
「今日、藤咲に聞いたんだ。……なぜ、椿のホントのことを知っても、友達のままなのか……」
「…………」
クラス全員が静まった。
「そしたら、大企業のお嬢様でも、また違う大企業のお坊っちゃんでも、他の事情がある人でも、そこにいる一人の人間であって、また唯一無二の存在であって、もっと言えば、お前らと同じ普通の中学生だから、いじめる理由なんてないって……言ってた」
「…………」
一同が静まった。
「椿さん、ごめん!!! ホントに悪いことして……」
みんなで一斉に頭を下げた。
またこっちも……、
「藤咲さんもごめん!!! 何も悪いことしてないのに……」
「いいよ。別に気にしてないし」
でも、よかった!
これで、解決だ!!!
―――
それから九ヶ月後。
あの椿さんのいじめが解決されたことは、なぜか学校中に広まった。
解決に導いた奥山の行動や私がなにをしたかも……。
それからいろいろあって、生徒会の会長に立候補した。
九ヶ月前のことが影響したのか、もう一人の立候補者より三倍以上、票が多かった。
結果は、
会長 藤咲 莉奈(二年)
副会長 奥山 麟太郎(二年)
椿 里緒菜(二年)
書記 國井 建一(二年)
会計 田所 由香(一年)
となったが、その後、なぜか私だけ、番長と呼ばれるようになった。
―――
私は、演説したとき、こう言った。
「私は、この学校に転校してから、この学校にあるいじめや、男女の仲の悪さを知って、こういうのは、いけないっと思いました。このことを踏まえて、私は、会長に就任したら、男女が仲良く、また、恋をしても良し、遊ぶのも良し、競い合うのも良しとする学校にしたいと思います」
―――
転校してから九ヶ月。
私は、前の学校では学べなかったことをたくさん学べた。
ここに来て、よかったと思う。
―――
放課後、生徒会のメンバーで帰った。
その時に見た夕日は、美しく、とてもきれいに輝いていた。