35 女の子はアンドロイド(1)転校生
ある日学校の校門を少し入った所に、口髭を生やし頭はポマードでべったりとなでつけてある黒いスーツの男が女の子と一緒に立っていた。
女の子はこの学校の制服を着ていて、髪は耳から下あたりで切りそろえてあり、ボブになっているが、地毛はやや茶色がかっている。
黒いスーツの男は女の子に何かを繰り返し言い含めていて、女の子はそれに深く頷いていた。学校は始まっている時間なので、どうも転校生らしい。
男と女の子は学校へ入っていくと必要な手続きを済ませ、男は帰った。いや、正確に言うと校門を出たところで近くの喫茶店に入ると、ノートパソコンを机上に置いて何かを始めた。
一方女の子は担任の先生に教室に連れていかれ、教室に入ると自己紹介をするように言われた。教壇の前に立つと、
「私の名前は堀田百合です。よろしくお願いします」
クラスの生徒たちは拍手で迎えた。堀田は指示された席に座ると、それとなく周囲を見渡した。女子校なので当たり前だが女子ばかりだ。
そのことを確認すると、堀田は一瞬ニヤリと笑い、その瞬間両眼が光ったように思われた。
さっそく友達になりたいと何人かの女子が話しかけてきたが、堀田は屁理屈を言って取り合わず、なぜか友達を作ろうとかクラスに馴染もうという気持ちは皆無という感じだった。
誰とも話をしないという点を除いては、特に目立たない普通の女子に見えた。それが見方によっては、極力目立たないようにしているというか、自分の存在を無の状態にしようとしているかのようにも見えるのだった。
プリンセスは隣のクラスだったが、転校生が来たという噂を聞いても特に意に介さず、いつも通り楽しく学校生活を送っていた。そんなある日、廊下を歩いていると何か違和感を感じた。
他の生徒からは感じられない何かが。ふと見るとそこには堀田がいた。違和感を感じたとは言っても、堀田とはクラスも違えば接点もないのでそのまま通り過ぎた。
「さっきの違和感は何だったのかしら。他の生徒たちとは明らかに何か違ったものを感じたわ。でも転校してきたばかりで緊張しているから他の生徒とは違う感じがするのかな。どう見ても普通の女子高生だもの。考えすぎね」




