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逃亡
私は終夜誰もいない街を、田崎を担いで走り回った。目的地は中々見つからなかった。月はいつの間にか沈んで、代わりに太陽が登っていた。東の空には清々しい朝焼けが広がっている。その時だった。遠くの方で、聞き慣れた類の音が聞こえた。地に響くような低い音、工場の音だった。なにか大きなもののエンジン音、何かがゆっくりと回転する音、誰かが誰かに指示をする声。近づくにつれそれは大きくなっていく。誰もいない筈のゴーストタウンで、生きている工場があったのだ。私は考えた。工場にはガスや水や電気は必要不可欠だ。だからついでに周りの建物にもそういうものが整備されている可能性があった。その予想は的中していた。工場の周りの家は軒並み綺麗に整備されていて、住んでいる人もなかなかに多かった。おそらく工場職員の家だろう。私はそこでどこが一番いいか探した。小さい家はダメだ。頑丈なのがいい。庭が広いのはダメだ。目立ちすぎる。数時間ほど探した後、ある部屋を見つけた。五階建ての団地の、一番上の端から二番目にそれはあった。そこで田崎がようやく目を覚ました。




