表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
8章 埋もれた真実、隠れた現実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/139

94:ディアナ王国女王との非公式な謁見と越権行為

 あれから室内でしばらく待機している。

 時間が過ぎれば心も落ち着くと思いきや……


 いつ来るのか、そもそも礼日作法など知らない、どこまで話が通っているのか。


 それすらも分からずに背中に汗が出続ける。


 表面上は顔に汗は出ていないだろう。だが、口の中はかわき、ひざを付きうつむいていると、吸い寄せられて倒れそうな気分になってきた。


「……はぁ、はぁ」


 隣を見れば、同じような姿勢のエリアベートがいる。その奥にはカスミ。

 だが、彼女達は俺と全く様子が異なり、緊張もしていない。

 俺だけが口から苦しい声を出している。


「ふっ……う、ふ……」


 俺をながめて笑うエリアベートだが、声は出さない。

 必死に声を出さないようにしながら、引きったように表情がころころ変わる。


「……ぐっ」


 なぜ声を出さないのか。

 すでに女王付きの者――恐らく使用人が部屋に居るからだ。


 そして、エリアベートを真似して今の姿勢で居るが……長い。


「まだ、か……」


 小さくれてしまう焦りの声。

 その声にエリアベートがついに笑い声を上げた。


「あっはは、ノーマ! アナタ、緊張きんちょうしすぎよっ! 女王との謁見えっけんだからと、そこまで……うふふ!」


 エリアベートが声を出すと立ち上がる。


 こ、声を出したらまずいんじゃないのか!?

 姿勢も普通に立ってるけど、良いのかっ!?


 ばっ、と使用人を見るが何も言わない。

 静かにそこにいるだけだ。


「ノ、ノーマ……? ふっ……ふふ! いつまでその姿勢をとっているの……? あははは」


「……どういう事だ、教えろ」


「あら? うふふ、知らなかったのかしら……? 非公式の謁見だから、今時点でかしこまる必要なんてないわよ? ぷふっ」


 こ、この姿勢、まだ意味ないのにやってたのか!!?

 あぁああ……やっぱりこいつの悪戯いたずらは、インフィオと違う……! インフィオは中でしかやらねぇってのにっ!!

 もう一度やられたら、本気で怒りに任せそうだ……!


「……はぁ」


 だが、ここは王城……落ち着け、流石にそんな姿を女王にお見せするのは明らかな失点になる。

 俺の武器は思考だろ……冷静になれっ……! 落ち着け……可愛い悪戯だ、と水に流せ……あぁ、くそっ……心がざわつく!


「ふふ、楽しんでもらえたようね。それで、今度こそいらっしゃるわよ。ほら、使用人が扉に手をかけたでしょう?」


「……あぁ」


「そこでひざを付き、こうべれ、女王に一言声をかけられてから名乗るのよ。もう落ち着いたわね?」


「……大丈夫だ。さっきの事に比べたら、何でもないように感じ始めた」


 もう大丈夫。緊張感に飲まれるな。

 エリアベートはわざとやりやがったのは嬉しくないが……俺の緊張をとる為に、そして少しばかりの悪戯を思いついたのだろう。


「なら良かったわ。流石に女王の前でも、アナタがおろおろする姿をみて笑わないなんて……こらええきれそうにないもの」


「……」


 言いたい放題言うな……近付けば近づくほどに、厄介やっかいさが増していくんだろうな、この女は……


 別に俺から近付いている訳じゃない……確かに尊敬している部分もあるし、かれる側面もある。事実だ。


 だが離れていこうとしても、俺よりも早い速度でグイグイ近付いて来てる。だから逃げられないだけだ……


 そして……ガチャッ、と扉が開かれた。


「お待たせしたわね、エリアベート。それにカスミも。それと先日頂いた紅茶も美味しかったわ」


 何も言わない。凄いさらっと言えば世間話をされているが、まだ声をかけられていない。


「それで……エリアベート? この部屋の中では格式かくしきばった行為はめて欲しいと、いつも言っているじゃないですか。それに彼を呼び出したのは私達でしょう? なぜ非公式の謁見えっけんひざまずいているのか教えてくれますか?」


 女王の言葉に本気で怒ろうと決意した。

 小声でうつむきながら、エリアベートに言う。


「……おい、エリアベート。俺はそろそろ本気で怒るからな。1日で許容きょようできる範囲を超えそうだ」


「ふふ、うふふ。ノーマ、アナタもそろそろ疑う事を覚えたようね? これも立派な進歩よね? あははははっ!」


 エリアベートは高笑いを始めた。ディアナ女王と思われる女性の前で。


 すっと立ち上がるエリアベート。だが、俺は立ち上がらない。


 どうせなら初対面だし、こうべれて正式に挨拶あいさつしておこうと思ったのと、立ち上がる気力がかなかったせいだ。


 どちらかと言うと気力が大きいだろうな……


「ノーマ、よく来てくださいましたね。エリアベートからの報告を受けて、アナタともお話をしたかったんです」


 女王は俺に声をかけてきた。

 エリアベートよりも幾らか世間話な声音をだっし、少しフランクな優しい声音といった感じだ。


 ここで、しっかりと挨拶を返そう。それから自分のペースに持っていけば良い……エリアベートに乱されすぎただけだ……!


「ディアナ女王、お初にお目にかかります。王都で冒険者として活動し、『百花繚乱』のクラン長を――」


「知っておりますから、はぶきましょうか。ほら、立ってイスに座ってください。ほらほら! 美味しい紅茶とお菓子もありますよ!」


 俺の挨拶は途中で割り込まれ、女王にさっさとイスに座るように促される。紅茶とお菓子付きで。


 ……えぇ~、なんか軽いんですけど。俺、初対面なのに……

 俺の緊張、返せよ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ