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才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
6章 実を付けぬ金樹(ざまぁ)

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68:クランに咲く花を眺める

 先日、冒険者ギルドをうかがってから、正式に活動休止の通達が届いた。


「ノーマ、活動休止だって~? その間はどうするの~?」


 インフィオが当たり前のように、クラン長室のソファにゆったりと座りながら、話しかけてくる。


「元々、ここ最近はバタバタしてたしな。そろそろ、まとまった休みでも取ろうかな、って考えてたんだよ」


「へ~……クランはどうするのさ~?」


 ごろん、とソファに横になりながら、顔だけこちらに向けてきた。


 くつろいでんなぁ……


「クランはローズやインフィオ、部門長に任せるよ。まぁ、本格的に休みを入れる日はまだ決めてないから、この後に報告する予定だったけどな」


「ふ~ん……そっかぁ……クラン創設から3年間、まとまった休みを取った事なかったもんねぇ~」


 興味を失ったような感じで言うと、ソファから顔を出すのを止めて、本格的にごろごろしているようだ。


「まぁ、たまには休んだってばちは当たらんさ」


「そうかもね~……でもさ~……」


「ん?」


「いつもいるノーマが居なくなるのか~……つまんないな~」


 俺は別にいつもいる訳じゃ……居た、かもしれないなぁ……

 基本居るなぁ……


 やる事と言ったら、自己鍛錬、クラン長室で仕事、訓練場で批評、短期の遠征に付き添い、くらいだったし……

 ほぼ毎日、居た気がする……


 クラン員から仕事中毒ワーカホリックとか思われてそうだ。


「つまらないって言われても困るが、暇な時間はクラン団員と話でもしてな」


「ノーマほど反応が面白くないんだもんな~……」


 俺の役目って……インフィオの中でどうなってんだよ……


 珍しくインフィオとのんびりした会話をしたのであった。


 しばらくして定時報告の時間となったので、部屋を出て部門長区画に声を掛ける。


「ローズ、皆、おはよう」


 ローズ、フーディー、アーミン、リクエスに挨拶をする。

 インフィオは後ろに引っ付いている。


「ノーマさん、おはようございます。ギルドから届いた活動休止の件ですよね?」


「あぁ、その事なんだけど。まとまった休み貰えないかな?」


「「「え……?」」」


 ローズ以外、一言で固まった。


 おいおい……俺だって、いつもいつも仕事していたい訳じゃないんだぞ……?


「分かりました。いつからお休みされますか?」


「決まってないよ。『開花』とそうだんして決めるからさ、もう少し待ってくれないかな。その内に来るだろうし」


「承知しました。ほら、みんな、なにを固まってるの。定例報告会議を始めるわよ?」


 そこからは各部門の報告を聞いていく。


 最近はまともに朝は参加できていなかったが、特に問題もなさそうだ。

 世は全て、事もなし。

 良い事じゃないか……


「あ、ノーマに報告忘れてた。ちょっと前に、大通りでいざこざがあったって報告してたよね」


「ん? あぁ~……あったような気がする……それがどうした?」


「その相手は『金の樹』リーダーのCランク冒険者、ジェイドって言うんだけど、確かに合同依頼で参加してたよ。まぁ、それは良くて……彼等はメンバー二人を故意に、ダンジョンへ置き去り――おとりにして、逃げたらしいよ。囮にされた二人が、王都にボロボロで戻ってきて発覚したんだって。ひどい話だよね~」


 インフィオは酷い話と言いながら、別に悲しそうではない。むしろ笑っていそうだ。


 まぁ、俺自身も別に、へぇ~、位にしか思わない。時々あるしな、こういう話。上位ランクでは、そこそこ珍しいかも知れないが。


「Bランクダンジョン『さえぎ緑陽りょくよう』に無謀むぼうに挑んで、メンバーを見捨て、依頼失敗で違約金。複数の酒場で聞いたら、元々ノーマを目のかたきにしてたらしいけど……何かやったの?」


 そんなにワクワクした目で聞くんじゃありません。

 面白い話なんてないんだから……全く、こいつは。


「何もしてない。と言うより、記憶に残ってないからなぁ……俺からは何もしてないはずだ……」


「そっか~。じゃぁ、酒場で聞いた通りかな? メデューサ討伐のうわさ嫉妬しっとして上位ダンジョンに挑み失敗。逆恨みだね」


 それはそれで、楽しそうに言うのを止めなさい、インフィオさんや……

 ほぼ『金の樹』との記憶が消えてるから、相当面倒に感じたんだろうな。


つまんで聞いたら、もっとろくでもなかったな……」


 部門長達も俺の発言に頷きながら、「うんうん」と言っている。


「その件で『金の樹』は即刻の活動休止だってさ。違約金の件も、正式に所属クラン『雄々しき月光』のグリズリーに送られたみたいだよ。この後どうするかは、クラン長の沙汰次第さたしだいだろうね」


 グリズリーも大変だな……

 まぁ、『百花繚乱うち』の事じゃないから、手伝わないけど。


「そうか。Cランク冒険者でありながら、俺の記憶に残らなかったって事は、『徒花あだばな』だろう。その上、持ち上げられて良い気になっただけの、『枯れ尾花かれおばな』、とはな」


 才能開花した者にありがちな、傲慢ごうまんな思考のまま上位ランクに上がるなんて、不運だな。

 自分も、仲間も、誰も良い結果にはならない。


 まさにそれが、証明された良い例となったな。

 『百花繚乱』はそんな事は起きないだろう。


 俺の花園は、そんな徒花ではないのだから。


 インフィオの報告も終わり、引き続き定例会議を続けていく。


 今日も、『百花繚乱』は何も問題なさそうだ。

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