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才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
5章 気まぐれな花は見る者を翻弄する

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59:石像になりかけた男を眺める者たち

アルメリアは可愛らしい少女の声を雄々しく上げながら、メデューサの首へ斬りかかろうと前へ進み続ける。


「やぁああああっ!!」


 メデューサは片目をノーマの剣で突き刺され、悲鳴の声を上げている為にアルメリアへ意識が向いていない。


 そして、フリュウの凍結によって、その場から動いて逃げる事も出来なかった。


「はぁあああああっ!!!」


 メデューサの首へ向けて、アルメリアの剣が動いていく。

 その剣に渾身の魔力量を乗せて、ぎ払う。


 シャンッ、と音が響く。

 切れ味の増した剣がメデューサの首を抵抗なく通り過ぎたため、澄んだような音を出した。


「はぁ、はぁ……」


 アルメリアは荒い呼吸を吐き出しながら、己で放った斬撃に放心するように、剣を振り終えた姿勢で立ち尽くす。


 メデューサの首が支えを失い落ちていく。

 遅れて首から下も力を失い、膝から崩れ落ちていく。


 その様子を見て、ようやく体の緊張が解けたのか、アルメリアは剣をさやに戻し、ノーマに声をかけようとした。


「ノーマ! やったよ! ……ノー、マ?」


 アルメリアは喜んではしゃいだ声から一転、ノーマの姿を見て不安そうに言葉が途切れる。


「え……ノーマ? ねぇ!? ノーマ!!?」


「ア、アルメリアちゃん! 落ち着いて!」


「なんで!? フリュウ!? 氷で! どうして!?」


 気が動転どうてんしているために、言葉が上手く出てこないアルメリアにフリュウが静かに告げる。


「も、元からノーマさんは理解して……メデューサの注意を引き付けてたと思う……多分、剣に氷をまとわせたのも気休め程度だったはず……」


「なんで止めてくれなかったの!?」


「わ、私達が二人で生き残る方法が他になかったからだよ! 私だって! 石化していくノーマさんを横から見たくなんてなかった!! でも……私達を無傷で送り出すにはって……ノーマさんは死ぬかもしれない可能性に無謀むぼうでもけたの!」


 アルメリアの無神経に聞こえる声に、フリュウも耐え切れず、泣き出すようにして声を荒げる。


 その様を見て、アルメリアは口から更に出そうになっていた言葉が止まる。

 言葉を失い、口を開いたまま固まったアルメリアへフリュウが告げる。


「こ、このまま、ここに居たらダメだよ……先に進んで、『百花繚乱みんな』に合流するか、他クランに助けを求めないと……」


 石化が大分進行したままのノーマを置いていく決断を迫られ、言葉が出せないアルメリアにフリュウが更に告げる。


「アルメリアちゃん! このままじゃノーマさん、本当に死んじゃうの! 早く行かないとダメ! 私達も助からない可能性が高くなっちゃう!」


 フリュウは考え続けていた。


(『踏みしめる大地ステップグラウンド』と『陽光注ぐ草原サニーグラス』は罠にはまった事を知っているが、他クランは知らない……急がないと、もしかするとダンジョンを出ちゃうかも! 治癒術師ちゆじゅつしが他クランに居るかは分からないけど、少なくともノーマさんを運ぶ手助けはしてもらえる、はず……)


「アルメリアちゃん! ノーマさんは置いていくよ! 今は一刻いっこくを争うの!」


 そう言って歩き出したフリュウ。

 アルメリアはもう一度、手足が石化し目を閉じたノーマへ振り返り、悲痛な顔でフリュウの後ろを付いていった。


………………


 石化したノーマ以外、誰も居なくなった闘技場で上から見下ろす3人の女性。


 フード姿の女性――ゲツエイがノーマの姿を見ながら、エリアベートに話しかける。


「よろしいのですか?」


「ん~? なにが?」


 ノーマの半分石像紛まがいの姿をながめながら、楽しそうに言うエリアベート。


「あのまま放置しておいて、と言う事です」


「えぇ、平気よ。だって彼のクラン員は、もうすぐここに来るわ。可愛い女の子が治癒術師だから、助かるわよ」


「そうですか。それなら彼にはそのまま石化していてもらいましょう」


 ゲツエイが頷きながら言った後に、頭巾で目から下を覆った女性――サクヤも声を出す。


「しかし、エリアベート様も悪い御人。分岐路でノーマさんが直進以外、どちらを選んでものぞき見できるようにするなんて。事前に上位ランク団員で、隅々まで踏破・・していたダンジョンを選んだ理由は、この為ですか」


「ふふっ、だって折角の合同ノーマのいる迷宮探索よ? 楽しまなきゃ勿体ないじゃない。ノーマが参加しなかったら、本当に未踏破ダンジョンとして選ぶつもりだった訳だもの? そうなっても『月下の乙女ナイトメイデン』の訓練になるし、損はしないし」


 そう言った後にエリアベートは少し前の事を思い出し笑い出す。


「うふふっ、彼ったら私の顔色を見て、グリズリーに道を変えさせたのよ? まさか、この為に直進したかったなんて知ったら、怒りだしそうね。あはははは」


 エリアベートの笑い声が貴賓席きひんせきに響く。

 だが、その笑い声は闘技場には届かない。


「でも良かったのですか? 『月下の乙女』で秘匿ひとくしていた裏ダンジョンが露呈ろていしてしまいますけれど」


「えぇ、もう十分にここで訓練させてもらったでしょう? それに、これ以上の秘匿はどうせ厳しかったわ。Cランクダンジョンの割に、冒険者の未帰還者が多かったもの。ギルドもそろそろ気付いたでしょうね」


 3人がほがらかに話し合っていると、闘技場に複数の声が聞こえ始める。

 『百花繚乱』のクラン員達がノーマの下に駆け寄っていく姿だった。


 「さぁ、私達も撤収の時間のようね。ゆっくり、のんびりと帰りましょうか」


 そういうと3人は貴賓席から立つと、薄暗い通路へ歩いていき、消えていった。


………………

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エリアベート……恐ろしい娘! (╹▽╹) ストーンゴーレムノーマになっちゃった。 しかし、メデューサ討伐もアルメリアとフリューの功績になって、ドンドンとゲロインズのシンデレラストーリーが進みますね〜…
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