表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
5章 気まぐれな花は見る者を翻弄する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/139

58:MK5(マジで固まる5秒前)②#

「さぁ、行動の時だ! 行くぞ、アルメリア、フリュウ!」


 俺の威勢の良い声で二人を鼓舞こぶしろ。

 ここから先は、生きるか死ぬかデッドオアアライブだ!


「うん!」


「は、はい! ノーマさん! せり上がり隆起しろ、土壁! 透き通る氷膜、氷壁!」


 メデューサの周囲に土壁と氷壁が徐々に産まれ、八角形を形成していく。

 それに合わせて俺達は動く。


 動きながら考えるのは、Aランク相当の魔物との遭遇そうぐうという、碌でもない中の、不幸中の幸いについて。


 アルメリアとフリュウだけなら石化していただろうし、俺だけでも石化していた不運をまぬがれた。


 そして、幸運はメデューサの頑丈がんじょうさがCランク相当だと言う事だ。

 これなら問題なく二人の攻撃は通るし、俺も部分的になら通せる。


 メデューサの目線は、遂に貴賓席きひんせき側から外れる。

 それでも氷壁には向けられておらず、氷壁の隙間すきまをぐるぐると見ているようだ。


 氷壁には意図的に焦点を合わせていないようだな……流石に、自分を映すモノは避けるか。


 それが分かっただけでもおんの字だっ……!


「アァアアアッ!!!」


 メデューサの悲鳴のような声が響く。

 パリンッ、と割れる音が続いて鳴る。


 メデューサの呻き声で石化付与魔術が行使され、次々と氷壁がくずされる。

 そのまま、後ろの土壁はおおうように徐々に石に変えられ、髪の蛇も辺りを視認しながらせわしなく動き続けている。


 割れる度にフリュウも氷壁を産み出し、メデューサの意識を俺達かららしてくれる。


「フリュウ、頼むぞ……アルメリア、まだか……」


 思わず焦りそうになり、口からこぼれる。


 だが、二人は十分によくやっている……

 氷壁に気を取られている内に、俺が移動する方が早いか。


 彼女の位置と反対になるように動いていく。


 アルメリアとフリュウ、そして俺の位置を合わせ、メデューサを三角トライアングルの中心になるようにする。


 後は、タイミングだ……


 口の中に魔力回復剤を多めに含み、準備をする。


 即効性そっこうせいはなくても、微々(びび)たるものでも……魔力回復剤を行う価値はある。


 氷壁を狙ったタイミングで意識が外れれば……


 何度もフリュウに負担をかけているが、焦らずにその時を待った。

 メデューサが、新たに産み出された氷壁を狙って魔術を放つ。


 蛇も俺とアルメリア以外に向いたっ!!

 今だっ!!


 身体強化を全力でほどこし、そのまま一気に土壁の後ろから飛び出て行く。

 凍った剣の腹を反射するであろう位置でかかげて、走り続ける。


 己を捨て駒として。


「アルメリアあぁあああっ!!! フリュウうぅうううっ!!! 行けえぇえええっ!!!」


 二人に、メデューサに、声を出して飛び出る。メデューサは俺を見ている。


 見られているだけで重みを感じる。

 コカトリスなんて比にならない様な魔力の質だ。メデューサに石化される経験なんて、中々味わえないぞ?


 魔力量の差が効果がでる時間なら、俺の制限時間タイムリミットは少ない。

 ははは、無事に生存出来たら、俺の武勇伝ぶゆうでんに加わるな。


 足が重くなる。

 手が重くなる。

 体の末端から、重く……なる……


 それでも今だけ! 今だけ動けば良い!

 魔力を流せ! 無理にでも、流せ!!


 体の石化で負荷がかかり、魔力欠乏まりょくけつぼうになりそうになるところで、魔力回復剤をかみくだき飲み込む。

 薬剤の乱用オーバードーズはその後に副作用が出る可能性が高い。


 だがっ!! 内部が石化する前に――


とどけぇええええっ!!!」


 更に一歩。その先に、至るために。


 生き残る事を、夢を――諦めたくねぇんだっ!


 剣に魔力を乗せ、先に進む。

 フリュウがメデューサの足を凍結とうけつさせる。


 メデューサの目に、剣を伸ばす。


「アァアアアア!!?」


 メデューサの声で飛ばされた魔術によって、傷をいながら、石化していく。


 ひじの先まで石化し始め、固定化された。

 だが、もう突き立てるだけだ。


 ひざが石化し始め、固定化された。

 だが、もう勢いに任せ、倒れこむように、メデューサの目に突き刺すだけだ。


 身体強化に回した魔力を剣先――刺突しとつに乗せる。


 石化した手と腕には感触が伝わらないながらも、メデューサの目から血が流れる。

 悲鳴を上げ、痛がる素振そぶりを見せ、髪――蛇を振り乱す。


 『窮鼠きゅうそ猫をむ』って言葉、知ってるかぁ!?

 知る訳ねぇよなぁ!? 魔物だからなぁ!

 今みてぇな状況だ!


 視線が外れ、石化の進行は止まる。

 だが俺の体は動かせなくなり、音も聞こえなくなった。

 体の中心部までは石化しなかったが、進行しすぎた様だ。


 これは……治癒術師ちゆじゅつしが来てくれるか、運んでもらわないと、いけないな……

 出来なきゃ、石が定着して、手足の内部が戻らなくなる。


 そんな中でも、目からの情報で思考し続けていると、遂に二の剣――アルメリアが勢い良く近付き、メデューサの首に斬りかかった。


 そして……

 メデューサの首は、綺麗に狩り取られ、頭が宙を舞った。


 身体強化し続けていた目で、頭を追っていく。

 メデューサの顔が鮮明に見え、改めてAランク相当の討伐を成し遂げた事を実感する。


 『石化の魔眼』には、二度と会いたくねぇな。

 こんな速度で石化しちまったら、トラウマ物だぜ……まったく……

 ん……? 今、何か……見間違いか?


 宙を飛ぶメデューサの頭の先――貴賓席近くに何かが見えた気がした。

 そう見えただけのようにも感じる、小さな違和感。

 だが、もう一度確認しても何もありはしなかった。


 はぁ、魔力の使い過ぎと石化による疲労感か……?

 手足はもろに石化してるし、仕方ねぇか……

 もう俺の魔力もすっからかん、強化も切れる……


 そうごちながら、改めて地面へ落ちていく討伐の証を確認し終え、俺は石化と魔力欠乏による疲れと辛さで目を閉じる。


 二人には少しばかりの罪悪感を覚えながらも、音もしない暗い底へと俺は沈んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
もっと長引くかと思っていたら、案外早く終わりましたね。 誰か一人が犠牲になる前提なら、それなりに低ランク帯でも倒せそう。ま、犠牲になる人で揉めるでしょうし、普段は机上の空論でしょうけどw 石化してい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ