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才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
5章 気まぐれな花は見る者を翻弄する

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50:合同依頼の打ち合わせと目的②

 その時は割とすぐに訪れた。

 ガチャっと扉が開く。


 姿を見せるはこれまた大男――ビッグス。


 一気に部屋の温度が熱くなるな……いや、ビッグスが悪い訳じゃないんだが、こう大男二人が揃うと会議室が狭苦しく感じるわ。


 なんでこう、むさ苦しく、暑苦しいメンツが揃ってんだよ……!

 後ろから付いてきたエリアベートが本当に癒しのような気分になるわ!


 普段、ビッグスと話す時はこんな事は思わないのになぁ……グリズリー効果のせいかもしれない。


「おぉ、ビッグス! 久々に顔を見たな! がははっ! 一線を退いた割にまだまだ戦えそうじゃねぇか!」


「うるせぇ、グリズリー! お前だってクラン作ってからは似たようなもんだろうが! ノーマもいるな。それじゃ、もう始めちまうか。エリアベート、説明を頼む」


 そう言うとビッグスも席に着く。


「まず今回の招集に応じてもらった事、感謝しますわ。グリズリーさん、ノーマ」


「ははは! じょうちゃんに感謝されるほどじゃねぇ。こっちにも利があるからってだけだ!」


 エリアベートの言葉にグリズリーが言葉を挟んだが……


 グリズリー、嬢ちゃん呼びは止めとけよ……エリアベートの顔から一瞬笑顔が消えたぞ……

 Aランク冒険者同士の喧嘩けんかとか見たくねぇから、もうちょっと表現を抑えてくれ。


「……事前に調べの付いているかもしれませんが、今回は合同でのダンジョン踏破依頼ですわ。Cランクダンジョンの『古びた石壁』。こちらを踏破したいと思っております。いつまでもCランク程度を未踏破のままにして、かざっておく必要もないでしょう?」


 エリアベートは不敵ふてきに、そして少し挑発ちょうはつするように俺たちに微笑みかけて言う。


 『古びた石壁』……確か、石系の魔物に、石化系の能力を持つ魔物が多いはずだ。王都から北東の位置にあって、素材は王国の石材利用にも用いられていたな。


 ダンジョン内部も洞窟のような自然的な構造ではなく、石材によって理路整然りろせいぜんと敷き詰められた迷路状めいろじょうだったはず……


 だが、ある程度の冒険者なら直接目を見ても石化までは耐性による猶予があるから踏破困難とは言えない……なぜ招集をかけた?


「ノーマはなぜこの程度で招集をかけたのか気になっていそうね。その理由は、若い子、いえ……ランクの低い子たちの育成の為に利用しようと思ったからよ」


 ……育成?

 なぜ、そんな事を……


 いや、待て。

 ここ2、3年で王都の冒険者がCランク以上に昇格したのは少なかったはずだ。


 そしてBランク昇格で言えば、俺たちのクランが最多と言える……


 それが問題になっているのか? だが、元々C級以上は昇格に――


「あら、気付くのが早いわね。グリズリーさんは気付いていないようなので、教えて差し上げます。開花者――冒険者の質がかたよってきているのよ。ここ数年、目覚ましく若手が成長したのはどこ? 『百花繚乱』くらいでしょう? 明らかに私たちのような者は少なく、そしてビッグスさん達の世代よりも練度れんどが下がってきているわ。才能に甘んじて、努力が足りていないわ」


 エリアベートはそこまで言うと、ビッグスに顔を向けた。


「あぁ、エリアベートの言う事は事実だ。いくらCランク冒険者が総合評価での昇格になるとはいえ、実力や練度のみで考えても、Cランク相当以上が少なくなってきている。今は緊急時に俺やグリズリー、エリアベート、それに理事会の猛者もさも救援に駆け付けられても、その先は分からない。協会騎士が出向くような事態を未然に防ぐのも、俺たちの役目だと思っている。だからこそ質を維持する必要がある」


 真面目な声音で言い切ると、少しばかり深刻しんこくさを軽くするように顔を柔らかくして続けて言う。


「だが、今日明日きょうあした来年再来年らいねんさらいねんにどうにかなるって訳でもねぇ。だが、対策は今の内にやっておかねぇとな」


 ビッグスはにかっと笑う。


「そんじゃぁ、今回は嬢ちゃんや俺の出番はなしって事か? 多少苦労はしてもAランクが出張でばれば踏破なんざ出来ちまうしな」


「えぇ、そのつもりよ。今回は合同でダンジョン踏破の依頼だけど、実態としては安全に見守って訓練させましょう、って事なの。C~Dランク冒険者をきたえてあげましょう?」


「俺はある程度動ける奴らを簡単に指揮すんのは良いが、そうじゃない奴らはなぁ……元々、大勢を面倒見るってのは多くなかったからな。自由にさせてきてんだ」


 困り顔で言うグリズリーに、エリアベートがピシャリと言う。


「それだと変わらないままよ。だからこその、ノーマがいるんでしょう? 彼のやり方を見て、目覚ましい成長を遂げている『百花繚乱』を見習いましょう。ねぇ、良いでしょう、ノーマ?」


 美人の頼みに男は弱い……か。

 面倒ではあるが、変な思惑ではなく、真っ当な理由だ。


 仕方ねぇか。これは王都、ひいては王国全土の冒険者に関わる事だ。エリアベートだけでなく、グリズリーやビッグスにも恩は売れるだろう。


 それに、俺としても協会騎士が出向く事態――スタンピードには思う所がある。

 冒険者の質を高めるのには賛成だ。


「あぁ、大変だろうが仕方がない。だが、一つ断っておくが、俺は『百花繚乱』に集まった者を育成する。それ以外は当然、見るつもりないからな。見た所でまともに俺の指示を聞くとも思えないしな」


「そうでしょうね。幾ら私たちクラン長から言ったところで、内心では認められない者も多いでしょうし。それについては仕方ないわ。だから、見せてもらえるだけで結構よ」


「そんじゃ、お前――ノーマのお手並みを見せてもらうとするか。んで? 人数は? 出発はいつだ? 費用の支払いは?」


 矢継やつぎ早にグリズリーが告げるとビッグスが言葉を返す。


「人数は2パーティー相当。出発は3日後。費用は冒険者ギルドが出す。今回、発起人はエリアベートだが、今後のギルド運営にかかわることだからな」


「はっ、気前が良いねぇ! しかし、なんだ。希望召集って割には、ほぼ強制招集だったな! そんじゃ、3日後に」


 グリズリーはそう言うと席を立ち、部屋を出て行った。


「ノーマ、巻き込んじまったようで悪いな。まぁ、お前なら育成に向いているしな。頼んだ」


「ふふ……ノーマ、よろしくね?」


 今回は後進の育成か……

 まぁ、アルメリアとフリュウの成長を確認もできるし、ちょうど良いか?

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― 新着の感想 ―
思っていたより普通の内容で肩透かしな気分……。 何かやらかされる気がしたんだけどなぁ……。 (。ŏ﹏ŏ) 予想が外れました(苦笑) (´ε`)
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