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才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
4章 無能者のディアナ王国武闘祭

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43:騎士団長カリストとの試合①

 闘技場に到着して、『花扇』と別れ、東門の協会騎士の一人に挨拶あいさつをする。

 話はしっかりと聞いているようで、顔を見ただけで、そのまま闘技場の中へと案内をされた。


「少しすると開催宣言かいさいせんげんが行われます。その後に係の者がうかがう事になっておりますので、それまではこちらでお待ち下さい。開催宣言を見たければ、そちらの窓から見えますので。他に何か質問はございますか?」


 おぉ……中々、いたれりくせりな対応だな。

 しかし、周りを見ても本選出場者が誰もいないのが気がかりだし、聞いてみるか。


「他の方々は? 俺以外に姿が見えませんが」


「こちらはエキシビション出場者のみとなります。騎士団長は開催の宣言時も表に出ておりますので、実質ノーマ様のみの控室ひかえしつとなります」


 そんな待遇たいぐうを受けちゃって良いのか?

 まぁ、エキシビションって協会騎士団長のカリストみたいに、ある程度は地位ちい名誉めいよを持つ人間が呼ばれる訳だしな……

 庶民感覚しょみんかんかくだと、だいぶ広い控室だが、気にしても仕方ないか。


「分かりました。何から何まで、ありがとうございます」


「いえ、我々はすべき事をしたまでです。それでは、何か御用があれば近くの我々、協会騎士に声をかけてください。では」


 協会騎士は部屋を出ていった。


 さて、開催を待ちますかね……


 暫く静かに座りながら目を閉じていると、拡声魔具によってだろうが、闘技場に声が響き渡る。


「ディアナ王国、女王のノワール・フルムーン・ディアナである。えある武闘祭を今年も開催する事ができ、喜ばしく思う。今年の武闘祭は――」


 おごそかな雰囲気ふんいきが辺りを包み、ざわめきは起きない。


 間に隣国のアマテア国女王が紹介されながら進行していく。


「それでは、ディアナ王国武闘祭の開催を宣言します。武をきわめ、知をみがいた者達よ。その勇姿ゆうしを武闘祭にきざみなさい」


 ディアナ女王の話が終わると歓声かんせいき起こる。

 そのしばらく後に控室の扉がノックされた。


 協会騎士の者が来たのだろうな。


 最後に軽く手足をぶらぶらさせ、扉を開く。


「ノーマ様、エキシビションの為に出場通路に案内を致します。そちらに到着後、エキシビション出場者の名前が呼ばれますので、舞台中央にいる進行係の手前まで歩いて行ってください。よろしいですか?」


 ふぅ……呼吸、精神は問題ないな。よし!


「分かりました。案内、よろしくお願いします」


 係の協会騎士に付いていき、部屋を後にする。


 少し歩けば、通路の先に明るく照らされた舞台が見えてきた。

 歓声はなおまないまま、地響じひびきのように感じる。

 その音を、振動しんどうを感じていると声をかけられた。


「ノーマ様、合図がありましたので進んでください。良き武闘祭を!」


「はい!」


 光のす方へ進み、光のもとに身を差し出す。

 その瞬間に、まだこれ以上大きな音が出せる、と言わんばかりに大歓声が上がる。


 耳鳴りがしてきそうな五月蠅うるささだな。それに混じって、俺への非難ひなんも、か。

 流石にエキシビションが始まれば静まってくれるはずだよな。


 舞台への階段を上がり、反対側から出てきたであろうカリストと目が合う。


 お互いに視線を外さないまま、舞台中央に向かう。


「ノーマ殿、緊張はしていないか? ノーマ殿への野次やじがどうにもひどいが」


「あぁ、野次も緊張も既に乗り越えてるよ。今はどうやって戦い、カリストを倒せるかを再確認してるくらいには、楽しみにしてるさ」


 俺の言葉にカリストは嬉しそうな笑顔を向ける。


「それは良かった。今回の試合は私のままで決まった物だからな。逸材いつざいそろう『百花繚乱ライオットオブカラー』。それをまとめるクラン長ノーマ殿。そして、アルテミス様の認識を変えさせ、興味を持たせた相手。我慢がまんは無理だったのだ」


 カリストはうずうずするかの様に両手をグッパグッパと開いては閉じる。


 やっぱり脳筋寄りだよな、カリストって。やられたらやり返さないと気が済まない、けどその後はケロッと仲直り、みたいな。

 本当、『開花うち』のガウルと仲良くなれそうだよ。今度、訓練場に誘ってやってみるのも良いかも知れない。


 彼女達はクラン以外で友人少ないからな……


「そうかい? こんな凡庸ぼんような男に随分ずいぶんと熱い口説くどきをするもんだな、カリスト。その期待に応えられるかは分からないが……ただではやられないからな。無能者とめてかってはくれるなよ? 油断した才能持ちの花、手折ってやるからな」


 徐々に顔に力を入れて行き、気持ちをカリストにぶつけて行く。


 俺をあなどる事は無いだろうが、余力を残す事など許さない。全力で来い。殺す気持ちをぶつけて来い。


「ふふ、ふはは! ノーマ殿、その顔、言葉。本当の殺し合いでもする勢いではないか! だが勿論もちろん、私の全力を持ってノーマ殿と戦うとちかおう! でなければ用意してもらった意味がない!」


 その言葉を聞き俺はうなずく。

 カリストも頷き返し、無言で進行係を見つめる。


「カリスト様、ノーマ様。挨拶あいさつも済んだという事でよろしいですね。私は舞台から少し離れた位置に控えます。御二人も引かれた線までお下がりください。立ち位置、準備が済んだと確認後、開始のかねが鳴りますので、そこから剣を交えてください。後、両者とも、死なないようにだけはお気を付けて……それでは、ご武運を!」


 そう声をかけて離れていく進行係。


 お互いに目線は外さぬまま、手を伸ばせば容易に届く至近距離しきんきょりから中距離――10メートル程度に引かれた線の開始位置に調整する。

 カリストは抜剣ばっけんし、構える。


 カリストの使用する武器は直刀型のサーベル。つばは広めに作られていた。

 俺はショートソードを使用する訳だから……意図せず軽量けいりょうな武器を使用する試合になったな。


 この場合、この中距離でも身体強化を全力で使用されれば容易よういに詰めにかかれる可能性もあるだろうが……カリストは初撃から無闇むやみに突っ込んでくるだろうか……?


 いや、ガウルと思考は似ているのだから、あり得る。

 警戒しておいて損はないだろう。


「ふぅ……」


 ショートソードを抜剣し、構える。


 お互いに構えたまま、その時を待った……

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― 新着の感想 ―
あらやだ奥さん、VIP待遇よ! VIP待遇! (´ε`) 試合までの臨場感がハンパないですね〜。 (*´ω`*) カリストは煽られるのに弱そうだし、上手く本気を引き出せるのかも知れない……。 …
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