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才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
4章 無能者のディアナ王国武闘祭

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36:ガウルとの訓練#

 武闘祭のエキシビション参加決定を当日中に皆に伝えるとおめでとうの言葉をもらった。

 俺自身も大いに喜びながら、明日からの訓練についてをクラン団員やランドルに説明していった。


 殆ど終わったとはいえ、まだ四隅よすみや細かい部分は終わっていないのだが、急遽きゅうきょの参加だ。

 ランドルには無理を言って訓練場を使用させてもらい、俺がぶっ倒れたら作業再開の流れと変更してもらった。


 その分の作業日数が伸びる分の料金は申請してもらう形になっている。


 そして、翌日の今日。

 俺は新品のアダマンタイトの訓練場にいた。


 今日の俺の相手は……


「ノーマ! 久しぶりだな! 本気出して良いのか!?」


「間違っても切るんじゃないぞ! お前が切ったら、俺が死ぬと思えよ!」


 一度だけなら特製魔具の力で軽減できるだろうが、ガウルの実力的に結界紛いを貫通してきてもおかしくない。


「えぇー!? むかしみたいに切りあおうぜ! な!」


 ガウルはこれから始まる訓練が楽しみなようだけどな……?

 ガウルの全力、見えねぇんだよ……気付いたら体が切れちゃってそうなんだ。怖いんだよ。


「ノーマさん、ワタシや花扇の術師も見物しておりますから平気ですよ。死にはしません」


「そうそう、ボク等のパーティーでも回復かけてあげるから平気だって」


「はっ! アタイらが見てる前だろ! 男見せてみな!」


 イリア、ウィンリィ、ヒルダが発破をかけるように言う。


「私は流石にノーマが真っ二つとかは見たくないかなぁ……」


 アイシャの気持ち、良く分かるよ。俺も自分の真っ二つとか想像したくないからな。


「が、頑張れー!」


「ばれー!」


 今日はアルメリアやフリュウ等、訓練生も見物したい者は来ているようだ。

 というかほぼ全員じゃねぇか。暇人どもめ!! そんなに俺の情けない姿が見たいってか!?


 あんまり、俺の戦闘はまじまじと見せたくねぇんだが、今日だけは特別に見してやるか……

 才能持ちと無能者の戦いの違いってのは大きいからな。今日だけだ。今日だけは俺の強さを……情けない戦い方を見せてやるよ!


「ちくしょう! やってやらぁ!! こいや、ガウル!!」


 俺の言葉にガウルは上唇をなめると静かになる。


 瞬間の切り替え方をガウルに仕込んだのは俺自身だったが、これを今から受けるのか……

 こえぇ……


「いいぞー! ノーマ君! がんばれー!」


 アリア、お前は明後日、覚えてろよ!! 明後日の訓練で目にもの見せてやる!


 イリアが俺とガウルの横に来ると腕をあげる。


「それでは、合図致します。始め――!」


 掛け声と共に腕が振り下ろされた――!


 瞬間、左横に飛ぶ!


「うがあぁあああ!!」


 ガウルが吠え、瞬間に間合いを詰めての先手必勝の横なぎが振るわれた。

 飛んでいなければ体に浅い切り傷どころの騒ぎではなかっただろう。


 魔力量が少ないから、瞬間での小出しを意識し、ガウルの動きを目で追う。


「素早くなったなぁあ!!! ガウル!! だが、アリアよりもおせぇ!」


「うううう!! があああ!!」


 戦闘中の語彙ごいが乏しくなるのどうにかならねぇかな!! こええんだよ!


 ガウルが更にサイドにステップを踏みながら飛び込んでくる。


 初撃と違って逃げれねぇ! 受け流すしかねぇ!!?

 ガウルの癖は右から、だろうが!!


 瞬間的に目を強化して、剣筋を追う。

 そして振られる剣に自身の剣をわせるようにして当てた。


 振っている時なら少しの身体強化でもブレるだろうが!!

 ざまぁみ――!?

 ブレてねぇ! 無理だ!


 情けなく無理やり体勢を変えて、足で床を蹴り上げると左へ飛んだ。


 ほぼ床にダイブするようにした俺にアリアが声をかける。


「やれやれー! ノーマ君! 腹ががら空きだぞー!」


 えぇい! アリア! お前にとってはがら空きでも、俺にとっては死にか――!?


 あっぶねぇええ! 頭を下げて助かった!

 がら空きなんていう言葉で頭上げてアリア見た瞬間、気がれて追撃が来るのかよ!


「Bランク冒険者が、必死じゃねぇか!! おらぁ!」


 うつ伏せから仰向あおむけに転がる。

 起き上がりから即座に行動を始め、急ぎガウルの振り切った剣に突き刺すようにぶつけ、立て直しの時間を作る。


 キンッと軽く剣の腹にぶつけるだけ! それだけで良い!

 これで体制を整える!


「ううぅ!! ぐがぁああ!!」


 ガウルは剣をはじかれた瞬間に、左手を伸ばして掴もうとしてくる。


 ひっ!? こいつ、凄い剣幕で片手でくみし抱こうとするじゃん!

 もう剣技関係ねぇ!!


 なんなんだよ!? くそっ!!?

 下手すりゃ真っ二つだったのが、これじゃなぶり殺しってか!?


 だが、諦めきれねぇ! 俺の成長はずっと前に止まった! 単純な力量でもDランク行くかどうか! それでも、クラン長なんてやって批評レビューして! 裏方でしがみついてきてんだ!


 才能持ちはうらやましい! だが、うらやんでいるだけじゃ前に進めねぇ! 今の俺の、足搔あがきを見せてやらなけりゃ! 武闘祭で、俺の意地ってもんを目にもの見せてやらなけりゃ!


 納得できねぇだろうが!


「うらぁあああ!!」


 結果、魔力切れまで戦い続け、俺はぶっ倒れた。


 いやぁ、ガウルは俺が育てた……たくましい花になった、なぁ……あふん……

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― 新着の感想 ―
追加料金発生は、妙にリアルですな。 支払いが遅れると延滞金も請求されそう……。 (´;ω;`) ガウルはスピードタイプの戦士なのかと思いました。 それぞれに咲いた花のカラータイプが今後明かされるのが…
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