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才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
2章 蕾と花の指揮の違い

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12:新規ダンジョンの発覚

 訓練生としてアルメリアとフリュウが参加してから数日が経過。


 そろそろ彼女達のランク上げに向かう為の場所をまとめるか、とクラン長室で考えていた時に、調査部門長のインフィオが音もなく後ろに立っていた。


「うぉおお!? おま!!? いつの間に入ってるんだよ! ノックは!? そもそも、ここから俺の後ろまでどうやって入ってきた!?」


「気を抜きすぎじゃない? 普通にノックして歩いて来たのにスルーされたから、いつ気が付くかなぁって(しばら)(なが)めてたんだよ?」


 流石にノックに気付かなかったのは悪いけど、だからと言ってインフィオの歩き方は静かなんだから、声くらいかけてくれよ。

 心臓飛び出ちゃうからさ……

 俺の心臓、無能者の割に(きた)えられてるけど、才能持ちと違ってそこまで能力値上がってないはずだからさぁ……頼むよ。


「悪かったよ……でも、せめて声はかけてくれよな? それで、俺に直接話を持ってくるって事は重要な話なんだろ? なんだ?」


「うん。この間のオークの件だけど、新規ダンジョン出来てるっぽいよ。初心者の森の奥の洞窟(どうくつ)だったけど、誰も入らなかったからか、見つかってなかったからか……()れ出てるんだよね」


 この間のオーク(さわ)ぎの話か。

 しかし、新たにダンジョンとは恐れ入ったなぁ。可能性として低いだろうと考えを捨てたけど、まさかドンピシャだったとはね……


 そうするとオーク系のダンジョンとして、今後有益か判断されるかだなぁ。オークは魔石に加えて肉が食えるんだけど、残す価値あるかなぁ。うーむ……王都にも初心者の森にも近い……


 って、そんな事よりも、今のインフィオの言葉、聞き捨てならない言葉があっただろ!!?


「漏れ出てる!? お前、それはスタンピ」


 俺の言葉を遮って、やれやれ、とでも言った感じに特に焦った様子もなく、インフィオが告げる。


「スタンピードではなく、ただただ漏れ出てる感じなんだよね。オークに洞窟生活は合わなかったのかな?」


「そのダンジョンから漏れ出てたらスタンピードじゃないのか? ノインの元居た村みたいに」


「ん~、どうなんだろう。スタンピードの特徴(とくちょう)である、大軍を(ひき)いての行動はないんだよね。実際に見たけど、なんか普通に歩いてたんだよ。それこそ散歩する感じで、のそのそとさ。だから人が普段入り込まないから、警戒(けいかい)しないで出てきちゃったのかなって」


 オ、オークって洞窟生活が肌に合わないってあるのか……?

 魔物の行動としてはある程度は理解しているつもりだけど、ダンジョン産まれのオークにもある程度引き継がれているのだろうか……?

 もしかしたら外で闊歩(かっぽ)している魔物も、ダンジョン産がまぎれてるって事もあり得るのか? 結局は構成する魔力が依代(よりしろ)に定着していれば可能な気もするし。


 いや、でもひとまずはスタンピードの兆候(ちょうこう)はないらしいし、魔物がどっち由来であるかを考えるのはやめるか。


「そういう意味で漏れて、ねぇ……しかし、オークが散歩を楽しむとはな……いや、王都にも近いし、初心者の集まる森にも近いから良くはないか。本当にこれからスタンピードが起きても困るしな。これは踏破されたら王国とギルドからの依頼で『奇跡協会』によるダンジョン封鎖(ふうさ)もあり得るか?」


 ダンジョン封鎖。

 有益なダンジョンや高難度ダンジョンは封鎖が困難だが、どうしても邪魔(じゃま)な場合は踏破完了後、発生源に魔法――依代(よりしろ)を永続的に起動させる事でダンジョン封鎖が可能となる。

 その際は各国のどこにも所属しない、魔術と魔法の管理組織『奇跡協会』が派遣(はけん)され、封鎖を行っている。


 依代を壊されたりすると再び解放される事になるため、封鎖時には同時に結界魔法も()かれて、以降は許可を受けた者以外は立ち入りすらできなくなる。


 魔術と違い、魔法は依代にどうやってか霧散(むさん)しない魔力を固定化し、効力を植え付けた奇跡とも言える代物(しろもの)

 人類にとって毒にも薬にもなる永続効果の為に、『奇跡協会』のみが現在では唯一(ゆいいつ)知り、門外不出(もんがいふしゅつ)の神の御業(みわざ)となっている。


 王国やギルドが重く受け止め、あの組織が出張(でば)ってくるとしたら、比較的早くにダンジョン壊しになるかもしれない。

 それなら先にこちらからギルドに斡旋(あっせん)してもらって、『風運ぶ音色』とアルメリアとフリュウが入っても良いだろう?


 「インフィオ、新規ダンジョンのランクは幾つだ?」


 俺の言葉ににこりと笑い、意図(いと)を理解するインフィオ。


「Dランク相当だね。伝えてこようか?」


「頼んだ。良いね、流れが来てるぞ」


 俺は依頼斡旋・獲得部門長のリクエスにこの件を伝えるようにインフィオに頼み、一人ほくそえんだ。


 インフィオと会話した後に、恐らくいるであろう訓練場に向かう。


 いつもここは誰かが訓練をしているが、ここ最近は活気が出ている。

 多分、俺が名前を覚えたアルメリアとフリュウが影響しているだろう。

 Eランク冒険者で、久しぶりに俺が見つけ出した――2つの(つぼみ)


 扉を開きながら考える。


 今、彼女たちは何の訓練をやってるか……な!!?


 盛大にゲボってる!!?

 なんでこう、お()らしとかゲボッてる時ばかり、お前らとは出会うんだよ!

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― 新着の感想 ―
なるほど〜。ここでは魔術と魔法の明確な違いがあるんですね。 永続効果ということは、法律を打ち立てるようなイメージ? そういや二人とは既に3時間ポッキリパックでお漏らしプレイまで経験済みでしたね〜。 あ…
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