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才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
9章 機械の花を花と呼べるか、咲けるのか?

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101:無機物が生きている様に感じる矛盾

 冒険者ギルド、ギルド長室で頭をかかえそうになりながら、必死に考える。


 理事会との対立は好ましくない。

 上位冒険者のランク昇格に口出しできる存在と、こんな事でめるのは浅はかだ。


 だが……


 ちらっと、右横を見る。静かに座り、フードで顔も見えず、何も言わない『機構の探求』の面々。

 この場において、なぜ何も言わないのだろうか。


「……ビッグスさん。俺に任せる、と言う事は俺の事を彼らは知っているんですよね? 流石に」


 ビッグスは俺が全てを言わずとも、何を言いたいか理解したはずだ。

 この国で無能者の冒険者である俺が面倒を見る。それがどういう事であるのかを……


 ビッグスはうなずき、口を開く。


「あぁ、そこは気にしないで良い。アマテア皇国では無開花者の冒険者もいる。そして……『機構の探求』、伝えても構わないよな?」


 ビッグスは話を区切り、『機構の探求』に顔を向けて告げる。


 『機構の探求』のメンバーは互いに顔を向けうなずきあうと、受付で聞いた声の女性――俺の隣に座る冒険者が声を出す。


「えぇ、構いません。皆、フードを取り、見せましょう」


 バサッとフードがまくられ顔が見える。そして、ローブのような物をぐ。


 そこから見えた姿は……


「……魔具? いや、だが……こんな事が出来るのか……?」


 顔を見せた冒険者たち。さらされた腕、足、目、耳、喉。


 うつむき、与えられた情報を元に考える。


 魔術的な機能によって動く、体……?

 そんなものが、あるのか? いや、あって良いのか……? これは、人体の魔力を素に、半永続的に動かす魔術――魔法と似た……


 そこまで思考し、バッ、と『機構の探求』を見る。


あわてないでください、ノーマさん。ディアナ王国では問題になるかも知れません。ですが、アマテア皇国は元々魔具の探求著いちじるしい国柄くにがらです」


 つらつらと話し出す、目の前の女性冒険者。

 若い声質。だが、見た目は成人。俺と同年代に見える。


 その声は、若いよりも……幼い。改めて聞くと、そう感じた。


「そして『機構の探求わたしたち』は、冒険中に失った体へ魔義体まぎたいの使用が特例とくれいで許可されました。これは『奇跡協会』も認めてくださっている事です」


 ……魔義体まぎたい……


 魔具――機械のはずなのに……無機物とは感じず、生きているように見える。

 関節の動きに合わせて、筋のような機構がうごめき、熱を持っているようにも感じられた。


 金属のような皮膚ひふが、まるでヒトの皮膚のように、腕の動きに合わせて形を変え、はずみ、ゆるみ、たわむ。そんな魔具モノ、今まで見た事がない。


 それがこの、魔法もどきの正体なのか……なぜ、これを『奇跡協会』は特例で許可した? 魔法との区別は厳密げんみつに行う組織が……


 思考は散り散りになりかけるが、声を出す。


「その魔義体っていうのは、魔法とどう違うんだ。俺には魔義体それが、半永久的に動く、魔法にしか思えないが……」


「私達に聞かれましても……困ってしまいますよ……はは……」


 そう言ってほおをかく、女性冒険者。


 それもそうだ、と思った時に、そう言えば名前を聞いていなかった事を思い出す。


「すまない、自己紹介をまずはしよう……俺は『百花繚乱』クラン長のノーマだ。君たちは……」


「私はナギです。剣士の才能を持っています。しばらくの間、よろしくお願いします、ノーマさん」


 柔らかく微笑ほほえみ、そう言う右腕と右目、喉が魔義体の女性――ナギ。右目の上下には、切り傷の跡があった。


 その後ろから男冒険者が顔を見せ、ニカッと笑顔にする。


「俺はコウキ! 盗賊の才能持ちで……まぁ、見ての通り、左の腕、足、耳が魔義体さ! 少し見慣れないだろうけど、よろしくなっ! それとこっちの――」


 ニコニコしながら自己紹介していたと思えば、さっと後ろを向く、左腕、足、耳が魔義体の男性――コウキ。左耳の付け根に同じような切り傷の跡。


 コウキは後ろを振り返ったと思えば、グイっと向きを変え――


「わっ、とと……コ、コウキ! すみません、コウキが騒がしくして。僕は魔術師の才能持ちで、ヒロと言います。よろしくお願いします」


 なかば無理矢理に前に出された、両腕が魔義体の男性――ヒロ。

 少し照れ笑いをし、頬をかきながら挨拶される。


「そして、この子が――」


 ナギがそう言って一番後ろの冒険者の手を引っ張って抱き寄せる。


「うわぁ!? いきなりっ!? よ、よろしくお願いします、ノーマさん! わたしはミオと言います。ま、魔具士やってます!」


 ナギに思いっきり引っ張られて前に出てきた、左腕と両目が魔義体の女性――ミオ。


「よろしく頼む。それで……なぜ、俺になったんだ?」


 俺は改めてビッグスに向くと、バツの悪そうに、「あ~……」と呟き、ひたいに手を当てる。


「実はなぁ……アマテア皇国では結構普通らしいんだが――」


「わ、わたしが無能者だからです! ノーマさん!」


 ビッグスをさえぎり、手を挙げて声高に発言するミオ。


「……は?」


 なんだって? 無能者だから? だが、さっき魔具士って言ってなかったか?


 いや、待て……

 ミオは”魔具士をやってる”とは言ったが、ナギたちと違って”才能持ち”とは一言も言ってない……


「またそれは……どうしてディアナ王国に……ここはアマテア皇国ほど、無能者に優しくないぞ……」


 俺のつぶやきは、聞こえているだろうに誰も拾わなかった。


「それに関しては、『機構の探求』としては言えません。ですが、承知の上でディアナ王国に来ているので、安心してください」


 ナギの代表して言った言葉に、ミオも同意するように強く、何度も首を縦に振る。


 はぁ……つい、この間はヒトが、英雄が、吸血鬼が、『毒蜘蛛』が、とやって……もう何もないと思ってたのにな……


 中々に大変な御守おもりの依頼だなぁ……


 そう思いながら天井を見上げていると……

 そう言えば、入団前にアルメリアとフリュウから御守りを依頼された事があったな~、と逃避とうひしてしまうのであった。

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