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3_ノースウッドからローデシアの話_6

「かかって来いゾンビ共! このグレイ様が相手だ!」


 グレイは常人とは思えないほどの剣速でアンデッド共を切り捨てる。


「おらよっ! こんなもんかよ! この雑魚が!」


 流石、クッコロ先輩直伝の強化魔法。

 どんな凡夫であれ、英雄に変える。

 そんな魔法だ。



 しかし、ちょいと不安もある。


 グレイは周囲に対する警戒を怠っているようだ。

 それは前方の敵にのみ意識が向いており、()の方向への注意が(おろそ)かに見える。

 

 あれでは、死角から襲い掛かられた時に回避する事も(まま)ならないだろう。



 俺はそこらに落ちている(つぶて)を拾う。

 そうして、グレイの背後から襲い掛からんとするアンデッドに投げつける。


 掴み掛かろうとすれば、その腕に。


 噛みつこうとすれば、その顔に。


 此方に近づこうとする奴がいれば、その足に。


 礫がアンデッドにぶつかる度に、四方に肉片が飛び散る。



「ヨイドレ! 見てるか!? 俺様の凄さを!」

「グレイさま! さいきょうです! かっこよすぎます!」


「俺の勇姿、しっかりティナ様にも伝えろよ!」

「勿論です! グレイさま! 恐らくリッチも居ます! あまり前に出過ぎると危ないかも知れません!」


「無能は黙ってろっ! 今の俺ならリッチなんて楽勝だぜ!」



 ......おいおい、マジかよ。

 力を持つと、人間こんなに横暴になるのか。


 

 そんな時、魔素の歪な流れを感じた。

 それは暗闇の先。


「オタ先輩、グレイの目の前に箱!」



 何かがぼわっと光ったかと思えば、それはすぐさま放たれる。

 それはアンデッド共を巻き添えにしてグレイに直撃した。


 その瞬間、空気が一瞬にして振動し、地面は激しく揺れ、爆炎と共に巨大な火柱が天を貫くように上がる。

それは轟音を立てながら、周囲に熱と光、そしてアンデッドの肉片をまき散らす。



「な、なんだこれ。これも、俺の力か?」



 グレイは無事だ。

 何者かの攻撃は、オタ先輩の箱にぶつかったようだ。


「グレイさん! 下がって! 多分リッチ!」

「あ!? 俺のブレイブシールドがあれば問題ねえ!」

 

 ブレイブシールドって何だよ。

 そして、お前のじゃあねえよ。馬鹿野郎。


 また、先ほどと同じ様に魔素の流れを感じる。

 直後、爆炎の魔法が透明な箱にぶつかり、大きな音を響かす。


「俺の中に眠る力......! (じゃ)(はら)う力を俺にッ!」


 むりむりむりむり。


 アンデッドを祓う力よこせって話だろ。

 デッブか、ティナさんが居なくてはどうにもならない。


 グレイに何て言って諦めさせよう。


 そんなことを考える刹那、腐臭が強くなる。

 それと共に、どす黒い(もや)がグレイの側面に広がる。

 


 黒い影が現れた。 

 それは2m程の何か、黒いローブを纏う。


 リッチ......?

 

 そいつはすぐさまロッドを振りかぶり、グレイ目掛けて振り落とす。



 しかし、グレイには当たらず透明な箱にぶつかる。

 その瞬間、撃鉄(げきてつ)のように、火を散らす。

 それは大きな爆発音を鳴らしながら。


 

 オタ先輩、最高かよ。

 いいサポートだ。


 グレイはそれに気が付いた様子で、リッチの方を見てちょいと下がる。

 すると直ぐに、グレイの背後にどす黒い靄が広がる。


 その瞬間に、リッチは消え、グレイの背後に姿を現す。

 すぐさまロッドを振りかぶり、グレイ目掛けて振り落とす。


 しかし、グレイには当たらず透明な箱にぶつかる。


「俺のブレイブシールドは自動で俺を守るんだよ! お前の攻撃はあたらねえ!」


 手動だ馬鹿野郎。

 俺の隣でオタ先輩がやってくれてんだよ。


 にしても、オタ先輩はマジで凄い。

 先輩は魔素が見えないはずだ。

 にもかかわらず、リッチが出た瞬間に箱を作りグレイを守る。

 

 その反射神経たるや常人のそれじゃあない。

 


 ♦♦♦♦♦♢♦♦♦♦♦



 もう何度、リッチの攻撃を防いだろうか。

 

 リッチの攻撃を防ぐ毎、それに応じてグレイの奴は調子を良くする。

 それはこんな感じに。



「俺とお前とでは実力に差がありすぎるんだよ!」


「雑魚過ぎだろお前、目を(つむ)ってても勝てるぜ!」


「ブレイブシールドが無くたって勝てるぜ!」

 


 そんな様子を暫くオタ先輩と一緒に見ていると、オタ先輩が話しかけてきた。


「あの人間、ちょっとむかつくお」


 まあ、まあ。

 確かにやばい奴だ。


 俺に対しても、最初から良い印象は無いけれど。

 手を貸してからというもの、傲慢さが目につく。


「まあ。ああは、なりたく無いですね」

「あと、どれくらい時間を稼げばいいんだお?」


「うーん。あのリッチ、転移みたいな魔法...... バグを使ってますよね」


 どす黒い(もや)が広がる所にリッチが移動する。

 恐らく、普通のリッチでは無いのだろう。


「サイトまで戻ったとしても、陣から逃げてしまうと思うんです」


 つまりは、リッチが転移出来ない位に消耗させたい。


 幸い。ロッドに、燃えるような魔素を付与する攻撃は既に使えないみたいだ。

 リッチにも技、もしくは魔法の限界はある。


「オタ先輩が箱を出す時って、回数制限とかありますか?」

「あるお。今は1万回は出せるけど、昔は4回以上は出せなかったお」


「同時に出せるのが8個ですよね?」

「そうだお」


「それなら、リッチにもバグの回数制限はあると仮定しましょう」


 リッチを見ると、どす黒い魔素が現れてから姿を現すまでのタイミングが、若干遅くなっている。


「まだ暫く、様子見ですね。俺のバグ使って止めても良いんですけど、それは最終手段です」


 オタ先輩は気落ちしたような声を出す。


「おいら、めんどくなってきたお」

「ええ? もう暫くお願いしますよ」


「大体、ほら。あの人間だって、あんな事言ってるお?」



 オタ先輩の視線の先にはグレイが居る。



 今もまた、リッチの攻撃は透明な箱に阻まれる。


「一回、おまえの攻撃でも喰らって見てえもんだな!?」


 そう話すグレイの正面。

 リッチがロッドを振り下ろす。


 それはグレイに直撃し、俺達の方へと吹き飛んできた。


 

 うん? 俺の見間違えかな。


 

 グレイはそのまま俺達の頭上を越える。

 過ぎて直ぐに、後ろの方から鈍い音がした。


「わざとじゃないお」

「なんてこった」

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