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マジョラブ!イケメン揚げ物達との恋!

作者: 玉之浦筋太郎

これが前書きか……

私はどこにでもいる普通の魔女見習いの真帆!

私立御料理魔法学園で立派な魔女になるため勉強中。


「おい、何ボーッとしてんだ遅刻するぞ」


「ごめん!今すぐ行くよー!」


今声をかけて来た奴は幼なじみのエビフライ

小さい頃は泣き虫だったのにここ数年で生意気になった。

きっと身長が伸びていじめられにくくなったからだろう。

昔はよく助けに行ってたんだよ!


「エビフライ!走りなよ!遅刻しちゃうよ!」


「俺は人間みたいに早く走れないんだよ!全く……誰のせいで遅刻しそうになったと思ってるんだ」


一生懸命油を切りながらぴょこぴょこと走るエビフライは案外いくつになっても可愛いな。

そんなことを考えながら通学路を急いだ。



「今日も寝坊したの?真帆さん」


「あっ!おはようカキフライ君!」


彼の名前はカキフライ、由緒正しい揚げ物一族オリーブ家の御曹司。

幼い衣と自信無さげな姿から弟にしたいソウルフードとしてファンクラブが出来るくらいの人気者!

真剣な表情をするとかなりイケメンだからギャップ萌で1日に5.6人をキュン死にさせているよ!


「夏祭りの日は寝坊しないでね」


「もちろん!楽しみにしてるからちゃんと目覚ましかけるよ!」


そう!もうすぐ夏祭り!なんとカキフライ君と一緒に回ることになったんだ!

カキフライ君は春に転校してきてから初めての夏祭りだからいっぱい楽しいこと教えてあげなくちゃ!

色々あってカキフライ君と仲良くなれたし、もしかしたら……デートって思ってくれてるかも!


「普段から目覚ましかけろよな……」


私は今機嫌がいいからエビフライのデリカシーの無い発言も許してやるのだ。


「感謝しろよ!エビフライ」


「何をだよ!」


私が許すと言うのに明らかな作り笑いをするエビフライは後でお仕置きしてやろう。



「どう!エビフライ、この浴衣可愛いでしょ!」


「ああ、そうだな」


「歯切れ悪いねエビフライ、似合ってない?」


今日はお祭り当日!一緒に回る予定の無いエビフライに私の浴衣姿を見せたのに、あんまり褒めてくれない。


「いや、似合ってるよ」


うーん?何でだろう。元気が無いみたい。


「お土産買ってくるからね!元気だして!」


「土産は要らねぇよ」


「何さ!エビフライのばーか!」


人が元気づけようとしてるのに嫌なやつ!

もう知らないもん!


「そろそろ約束の時間だろ。早く行けよ」


あっ!そうだった!カキフライ君を待たせちゃ悪いや。


「じゃあね、エビフライ!」


そう言ってエビフライの家を飛び出した。



「浴衣姿とても似合ってるね。落ち着いた紫がとっても綺麗だよ」


「ありがとう!カキフライ君の上品な塩も、とっても素敵!」


やっぱりカキフライ君はエビフライと違って褒め上手だ。

カキフライ君と祭り囃しの中を歩きながら話をする。


「エビフライに浴衣姿を見せたら適当に褒めるんだよ。酷いよね!」


「エビフライさんにも見せたんだ……。エビフライさんは見とれてただけだよ。」


「もう!お世辞で褒めてもわたあめしか出ないよ!」


そう言いながらブラブラしてると後ろから声をかけられる。


「やっぱり今日、俺も一緒に回っていいか?」


振り返ると、タルタルソースを纏ったエビフライが居た

いつもは適当な格好しかしないのに今日はとても格好良い。


「ごめんね、今日は真帆さんと2人で回りたいんだ」


私がエビフライの珍しい姿に驚いていると、代わりにカキフライ君が返事をした。


「そうか……悪いなデートの邪魔して」


そう言って尻尾を落とすとエビフライは帰っていく。


「そのタルタル似合ってるよ!」


なんだか私は胸が苦しくなって思わず大声を出していた。

エビフライはこちらを一瞥すると駆け出して行った。


暫く色んな出店を楽しみながらカキフライ君とお祭りを楽しんだ。


「そろそろ花火の時間だよ!花火を綺麗に見れる秘密の場所があるんだ!」


私はそう言ってカキフライ君の衣を掴み走り出す。


「それは楽しみだね!」


カキフライ君も持ってる唐揚げを落としそうになりながら着いてくる。



ひとけのない丘の上に辿り着いた。ここはエビフライと毎年花火を見てた秘密の場所だ。


「ここが私達の秘密の場所!いつもはエビフライと花火を見に来てたけど、今日はカキフライ君にも私の好きな場所を教えたくて!」


「そうなんだ、エビフライさんには悪いことしたね。」


「あいつはそんなこと気にしないよ!」


カキフライ君なんだか元気無くなっちゃった。

どうしてだろう。

そんなことを考えてると視界の端に花火が咲いた。


「綺麗だね!カキフライ君!」


カキフライ君もそうだねと返してくれる。

カキフライ君が何か思い付いたように私の名前を呼ぶ。


「唐揚げ冷めちゃうから早く食べよう。レモンかける?」


「私、揚げ物にレモンかける生物抹殺する派なんだ」


そう言うとカキフライ君はレモンを捨てた。


「そんなことよりカキフライ君も芝生に寝転がりなよ!気持ちいいよ!」


「僕は家が厳しくて千切りキャベツ以外に寝転がると怒られちゃうんだ」


そう言ってカキフライ君はしょんぼりする。


「今日は私しか居ないから大丈夫!ここは秘密の場所だしね!」


私の説得にカキフライ君も観念して芝生に転がる。


「ほんとだ気持ちいいね」


「そうでしょ!最高なんだ!」


そう言う私にカキフライ君が顔を向ける。いつに無く真剣な表情だ。


「もしも、僕とエビフライさんがレモンをかけられそうになった時、真帆さんはどちらを助ける?」


「私は……」


その時、一際大きな花火の音が鳴り響く。


「もう花火終わっちゃったね。帰ろうか。」


カキフライ君は答えを聞くことなく立ち上がって歩き始めた。


私はどうしてさっきの質問に答えられなかったのだろう。


カキフライ君の許嫁になった見習い魔女の真帆!

エビフライも巻き込んで誘拐されちゃった!

暗がりの中で抱きしめるエビフライの海老は思ってたよりプリプリで逞しくて……

次回、大ピンチ!ドキドキ救出作戦!

来週も皆でサクサク!

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