求めていた答え
「よかったのかい?」
装置で眠る、ソレを見つめる影がある。
「俺には、まだわからない。」
人の数だけ考えがあって、それぞれの正義があるこの世界では。
何が正しいか、なんて決めつけられるだろうか。
それでも。
「後悔は、してないよ。」
救世主を信じて、少年は前に進むだけである。
「そういう先輩は、どうするの?」
「例の組織とは、どうやっていくんだい。」
「別に、今までと変わらないさ。俺にとっての正義をやっていくだけだ。」
眠れる機械を、見つめなおす。
「ただ、これからはもうちょっと探してみるよ。」
「探す?」
「お前の言ってた、理想の正義ってやつ。」
「見つかるといいな。」
「いや、見つかるとは思ってない。だが探し続けるまでだ。」
そうか、と彼女は微笑んで二人に向きなおる。
「じゃあ、私が戻ってきた時にでも答えわせをしてみようか。君たちの意見が楽しみだよ。」
涙を浮かべながら、彼は言う。
「その時は、あなたに告白をしてもいいですか?」
「私は、人間ではないと知っているだろう。」
彼は首をふって、彼女の手を取った。
「人じゃないとか、怪物だとか。そんなこと、もう知ったことではないんですよ。」
それは、彼らの正義がまた一つ重なった瞬間だった。
ーA 答えは人それぞれであり、場合によって変動する。
常に探し求める者だけが、もっとも正解に近い答えに辿り着く。