表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

ある日 森の中

 サムは、森林ギルドに所属する木こりである。

 年齢は25歳。木こり歴は10年ほどになる。


 その日、サムは、朝から森に入り、作業場所で仕事を始めていた。

 木の倒れる方向を確認してから、斧を振り降ろす。

 ザクっと、小気味良い音と共に、木の根元に口の形のような切込みを入れていく。

 切り口を入れ終わったら、今度は、逆側に切れ目を入れていく。

 よし、もう少しだと、サムが作業をしていると…。

 

「うぎゃぎゃ!」

 突然、奇妙な鳴き声がした。サムが声の方を振り返ると、緑色の肌をした人型の生き物がいた。


 サムは見たこともない生き物の姿を見て、びっくり仰天した。

 見た目は人間に近い。背の高さは2メートルほどで、全身が筋肉モリモリのマッチョマンである。

 一瞬、顔色の悪い人間かと思ったが、頭から角が2本伸びているし、肌の色が緑色になる病気なんて聞いたこともない。


 サムは、相手が人間ではなく、得体のしれないモンスターだと認識した。そして、以前、ハンターギルドに所属する友人がしていた話を思い出した。人里離れた森や洞窟を住みかとする緑色の肌に2本角のモンスターがいることを…。


(名前は確か…。ゴブリン!)

 サムは冷や汗を垂らしながら、こちらに歩み寄ってくるゴブリンを見る。

 相手との距離は、10メートルほどに迫って来ている。

 友人の話では、ゴブリンは人間に敵対的で、問答無用で襲い掛かってくるらしい。

 迫りくるゴブリンの右手には、ぶっとい棍棒が握られており、友好的な雰囲気は微塵もない。


(逃げるか?)

 サムは、モンスターと戦ったこともないし、戦うための訓練もしたことがない。

 逃げるのが一番良い手段の様に思えた。

 しかし、サムは走るのが得意ではない。相手のゴブリンの立派なふとももを見るに、どう考えても追いつかれてしまうだろう。


 背中を見せて逃げるよりも、戦った方が良いかも知れない。

 幸い丸腰ではない。手に持つ斧を握りしめ、感触を確かめる。

 動物に振り降ろしたことはないが、当たりさえすればかなりのダメージを与えられそうだ。


 サムが覚悟を決めて一歩踏み出そうとした時だった。

「グオオオオオオオォ!!」

 ゴブリンが凄まじい雄叫びを上げ、棍棒を天に掲げて、こちらを睨みつけたきた。

 そのあまりの迫力に、サムの覚悟は一瞬で崩れ去った。


 素人があんなのと正面から戦うなんてできるわけがない。

 サムは、恐怖から後ずさりするのだった…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ