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転生先は三代目魔王さまです  作者: 神坂将人
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魔王としての第2~6歩

初投稿なので、誤字脱字、や。のつけ間違いが多いかもです。間違いを見つけたら、遠慮なく指摘してください。アドバイスは大歓迎、でもお手柔らかにお願いします。

 目が覚めたら俺は見知らぬ部屋にいて目の前には少女がいた。

 そう、少女だ。

 しかし、その少女はポカンと口を開いて困惑した顔でこちらを見ている。

 

 とりあえず平常心を保て、平常心だ、相手は少女だ、優しく声をかけろ男を見せろ中村 泉!声をかけた後は現状確認しよう。

 しばらく、少女の相手をしていたらこの娘の親も来てくれるだろうし、よし!


 「えっと、君どうした…の?」


  その時すぐに違和感に気付く声がおかしい。

 やけに高い声だった緊張から声が張り上げているのかと思っていたが違うことはすぐに気づいた。

 何故なら話しかけた少女が俺と同じ動きをしているからだ。


 「…え?」


 右手を上げる。

 少女は自分から見て左手を上げる。

 両手を合わせてみる。

 少女も両手を合わせる。


 「あー、あー」


 声を出す。

 少女は声を上げていないが同じ発音をしているように見えた。

 間違いない、これは鏡だ。


 つまり、目の前にいる少女は、俺だ。

 どこか、可愛らしい容姿と雪のように白い肌、緋色に光る宝石のような目、白銀の流れるような髪、これが今の俺、中村 泉21歳男だ。

 男…だった。


 「のああああああああああ!?」


 辺りに今の、女としての叫びが響き渡る。


 「な、なんでこんな…」


 疑問を口にする前にドンドンドンとドアが叩かれる。

 その直後にドアが勢いよくバンッと開かれ一人の女性が部屋に入ってくる


 「どうかしたのですか()()()!?」


 や、ヤバい!そうだよな、あれだけの大声、気づかない方がおかしいよな、ええと、何か言わないと不審者扱いされてでもこの姿なら優しくしてくれる?いや、子供嫌いの大人だっているだろうし、えっと…


 「あ、あの、すいません…どちら様…ですか?」


 って何を言ってるんだ俺は!あっちのセリフをなんで俺が言うんだよっ!ああ~もう取返しつかないよ。


 「あ、あぁ…」


 あれ?なんで涙が出て?涙腺が緩くなっているの?


 「ま…魔王…様…」


 「え?」


 魔王?今この人魔王って言ったのか?え?待ってこれってまさか…あれなの?ラノベでよく見た異世界転生ってやつ?


 「魔王様が…言葉を…魔王様が…う、うぅ…」


 待ってなんであんた泣いてるの?説明を説明プリーズ!


 「魔王様!これから、このわたくし、リネアが貴方様に絶対なる忠誠を誓いましょう」


 いきなり忠誠を誓う女性にちょっとした恐怖を感じつつ答える。


 「あ、あぁ、よろしく…お願いします?リ、リネア…さん?」


 「ま、魔王様からの呼びぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 そう叫んだ後二分程幸せな顔で気絶したリネアを見てとても苦労しそうな出来事に頭を抱えた。

 リネアさんが気絶から復活した後、この世界について説明してもらった。


 どうやらここが元々住んでいた日本どころか地球ですらない事は薄々思っていた通りらしい。

 一応のために英語や、ギリシャなどの単語に聞き覚えがないか聞いてみたが、全て同じ答えが返ってくる。


 「すみません、魔王様全く心当たりがございません」


 ふむ、ここが異世界である事が確定しただけでも良しとするか、さて問題が解決したとは言えないが、一歩進めたな。


 「あの、魔王様よろしいでしょうか」


 急にリネアが訪ねてきたその顔は少しの焦りが見えた。


 「どうしたの?」


 「魔王様が言葉を発し自我が芽生えた。我々魔人軍の中でそのことに気付いたのはわたくしだけです、なので、急遽、我が軍を集め新たな主が誕生…ではない、君臨した事を皆に知らせた方が良いかと」


 魔神軍、リネアがこの世界の説明する時に言っていた。

 この世界には大きく分けられている二つの種族、魔族と人族。

 これだけではファンタジーの世界の王道だと思うが魔族も人族も一枚岩ではないらしい。


 まずは、先代魔王が設立した魔神軍、それは魔族が人型の魔人のみで構成された魔族の中で最も秀でた集団、他の魔族より強い力を持ち人族より深い知識を持つ誰からも危険視されている。

 それが、今、自分が置かれている種族だ。


 そのトップは今まで、不在のためリネアが代理としてまとめていたが、全てをまとめる事が出来なかったらしい。

 それもそうだ、魔神軍は総勢千人、数だけ聞くと少なく感じるが実際とても大規模だ。

 それのトップが由緒正しい者でないと示しがつかない。

 だが、そんな重要な事を俺が、魔王としてしかも少女の姿でやるなんて。


 「みんなに納得して受け止めてもらえるかな?」


 正直なところ不安しかない。

 少女の姿で魔王だと言っても舐められるか馬鹿にされる未来しか見えない。


 「ご心配なさらないでください、魔王様」


 そういいながら、笑いかけるリネアまるで母親みたいだ。


 「あれ?ところでリネア、さっきからどこに連れて行く気?」


 現状を理解するのに集中して説明が終わった後、流されるままに廊下を歩いていた。


 「とりあえず、軍の皆を集めて魔王様の姿をお見せするために放送室で招集を呼びかけ玉座の間でそれぞれの将軍格の者達の顔合わせ、その他多くの行事予定があります」


 ええっ…そんなこといつ決めたんだよ。


 「しかし、それをやるには、まずは形からと思いますのでまずはここで」


 そういいながら、開けた扉の中には、部屋を埋め尽くすほどの服、服、服。

 山のように積み上げられているように見えるがギリギリのスペースを保ち全てがハンガーなどにかけられている。

 その様子に呆気に取られている間にリネアが部屋の奥から一着の服を持ってきた。


 「こちらをお召しになってください。」


 手渡されたのは、今までに見たことがゲームでしか見たことしかない服、黒くスーツのような生地に火炎の模様が入って所々穴のような明らかにわざと開けた傷が所々に見られる。

 そして当たり前のように出されたものは…


 「これ、穿かなきゃダメ?」


 リネアの手にあるのはスカートだ。

 同じようなイメージで黒一色なのだがどちらもド派手な装飾が施されて地味さを吹き飛ばす服だ。


 「当然です!魔王様でもちゃんとした幼…少女です!かっこかわいい服を選ばずにして威厳を保つことなどできませんよ!」


 今、幼女と言いかけた事に多少の寒気を感じながら渋々その服を着ようとする。


 「わっとと…」


 身体が思うように動かない。

 少女の肉体だからか思うように服が脱げない。


 「おっと、気をつけてください、ほら、肩に掴まってくださいね」


 「あ、ありがとう、リネア」


 「いえいえ、お安い御用ですよ。それに魔王様に掴んでもらえるなんて栄誉の極みでございます」


 栄誉…そんなにすごいことなのかな?イマイチこの姿で一度もすごいと思ったこともないし、もし、思えるような恰好…こんな中二病をこじらせたような服じゃなくてもっと、リネアみたいな大人でミステリアスなクールさがあったら正に魔王だって雰囲気が出せそうなんだけど、後は…胸かなぁ。

 言っておきながら寂しくなったなぁ、ロリコンってわけでもないし、だからって大きいのも後々面倒になりそうで…っとと脱線しそうになった。

 とにかく、見る分にはいいと思うけど、そこはそれぞれ、かな。


 「よし…これでいいかな」


 胸に若干の悲しみを感じながらも服を着た。

 穴の空いた所から強調されている肌が空気に触れて少しくすぐったい。


 「ああっとてもお似合いです、魔王様」


 「そ、そう?ありがとう」


 こう面と向かって似合ってると言われると少し嬉しい。

 今まで服には無頓着だったから慣れない言葉だな。


 「それでは、これから放送室で招集をかけますが、魔王様どんなことを言うか考えてますか?」


 招集して魔族のみんなにどんなことを言うか、ね。

 まぁ、そんなに緊張しなくていいかな。


 魔王ならまずは名前を高らかに言い自分の理想の世界を築き尚且つ皆をまとめ引っ張っていくカリスマを持って…あれ、意外と難易度高くね?

 そもそも、今のこの身体での名前ってなんだ?


 「ねぇ、リネア、私の名前って分かる?」


 直球な疑問をぶつけたせいかリネアはキョトンとした顔を浮かべたが直ぐに真顔を作って


 「フルネームで言う事は当たり前だと思いますよ。だから、カイン・ノイシュヴァンルーデ・レンと言えば良いのではないですか?」


 え、何その無駄に長ったらしい名前って色々混ぜすぎじゃない?

 異世界だよね、お城の名前はともかく、ここ旧約聖書でもあるの?

 と、ともかく名前は覚えないとな…


 「それでは、呼びかける前に魔王様は玉座の間で待っててください…って場所が分かりませんよね。ご一緒します」


 「う、うん、ありがとう、リネアごめんね」


 「いえいえ、先代様や二代目の王妃様に三代目を支えてくれと言われたので」


 二代目か、あれ?そういえば、なんで最初にあの部屋に来たのがリネアだったんだろう?

 普通なら母親が来たりさっきリネアが言った先代、つまり祖父が来てもおかしくないような気が…聞いてみようかな?


 「ね、ねぇ、リネア」


 「ここです、魔王様。では招集をかけるのでしばしお待ちを」


 「あっ」

 聞く前に言ってしまった。

 とりあえずこれから演説みたいなことを言うのか…うーん、とりあえず、中二病だった頃を思い出せばいいのか?

 痛いことしか言った記憶しかないけどあんな黒歴史もう一回やる羽目になるなんて。

 

 「はああ…」


 まだ始まってすらいないのに溜息が出てしまう。

 リンゴーン、リンゴーンと重い鐘の音が鳴る。

 除夜の鐘が混じったような少し耳障りな音が響くだけど、意外と嫌な感じはしない。


 『緊急招集です。今日、遂に魔王様の自我が芽生え我々の新たな主として目覚めました、これより玉座の間で魔王様のありがたい演説を言ってもらいます。現在、魔王城にいる全ての者は至急玉座の間まで、お越しください。繰り返します———』


 こういうところは本当に優秀な人だと感心するな。

 現代で言うなら秘書みたいなタイプかな、計画性がある所を見ると今まで代理をしていたと言うのも適任かな。


 っと少しずつ集まってきたかなこの玉座の間は玉座の前にがあるわけではなく下の階、つまり、吹き抜けたフロアに魔族が集まり玉座を見上げる形になっているのだまた、対面にも魔族が何百人も集まれるようなスペースがあるのであそこにも来るのだろう。


 当然のように玉座よりは低い位置にある。


 「戻りました」


 リネアが玉座の隣に立つ、その顔は笑顔を、無理矢理作っているようで少し汗をかいているし、顔が引きつっている。


 「お疲れ様、汗かいてるよ」


 「大丈夫です、魔王様の輝かしい晴れ舞台、こういう時だからこそ引き締めないといけませんので。」


 そういいながら、乱雑に汗を拭う。


 「そう、でも無理はしないでね」


 「お心遣い感謝します」


 それからしばらくして多くの魔族が集まる。

 それぞれ、片腕が黒かったり、目が獣のような眼光を放っていたりで少し威圧感を感じる。


 「魔王様、揃いました。」


 「ありがとう」


 さて、いよいよ、俺の出番だ。

 集まるまでに頭の中で何回も台本を読み返した。

 よし、行くぞ!

 「皆の者!!心して聞くがよい!!我は三代目魔王、カイン・ノイシュヴァンルーデ・レンである!!」


 『うおおおおおおおおお!!!!』


 「我には理想がある、先代や二代目を超える力をつけ万物が我に従い、この世の全てが等しく、全てが美しき世界それこそが我の理想だ!!」


 「魔王様ー!」


 「うおおーついていきますーっ!!」


 歓声に交じりそれぞれの思いが伝わってくる。


 「その為には我一人の力では到底足りぬ、その為、其方等の力が必要だ。」


 「我が理想のために其方等の命を力を魂を全てを込めて、この世界に歴代最大の革命を起こそうぞっ!!」


 『わあああああああああっ!!!!』


 「さあ、我を望め、我を崇め、我に従え、さすれば其方等の夢も希望も願い全てを我が叶えてやろうぞ!!」


 『魔王様万歳!!レン様万歳!!』


 いい気分だ。

 歓声を受けるのは実は初めてだ。

 今まで自分は自信を持つなんてゲームの中でしかなかった。

 それが今はこの異世界で胸躍らせてこの全員の中心として皆に認めてもらえる。


 「我が覇道でこの世の全てを照らし理想郷を我らで共に創造しようじゃないか!!」


 『わあああああああああっ!!!!』


 それから三十分後


 「お疲れさまでした、魔王様」


 「うんー、疲れたー本当にー」

 はぁ…調子に乗ったとはいえやり過ぎた。

 あーんなに歓声を受けたとは言え直ぐに血気盛んな部族が張り切って鍛錬に励んでるらしいし、他の部族も魔王様のために、魔王様のためにって、狂ってるようになってる。


 「はぁ~」


 「まぁ、今日はお疲れでしょうし、もう、夜の十時も回っておりますし、そろそろ眠っては如何ですか?本当は時間があったら先程言った通り将軍格を集めようと思いましたが、それは、明日に持ち越しましょう」


 「うん…そういえば眠くなってきたかも…」


 「では、私がおぶりますので、どうぞ、お休みください」


 言われるがままにリネアにおんぶしてもらうそれから程なくしてゆっくりと瞼を閉じた。

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