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罪状:人権停止処分  作者: あいますく
8/9

最終日 未来 後編

俺の前にあるもの、俺の見たままに書き表す。


あの少女が、血を流して倒れていた。

俺を守るようにテレビ局の奴が周りを取り囲む。

少女の手当をする人もいる。

白衣の男は気が抜けたように座り込んでいる。

そいつに向かって、ディレクターが責め立てている。

「これは!政府があなた方と秘密裏に繋がっている証拠だ!」

「そんなもの…嘘っぱちだ…でたらめなんだ…」

「…確かに、犯罪者がこんなものを持ってきたら普通信用なんてしない。」

「なら…」

「でもなぁ!この女の子は!おまえのいないときにこっそり話してくれたんだよ!無意味な殺人をやってたってな!」

「それも…実験なんだ…」

「なんだ!人が死ななくなる実験か!?そんなこと言うなら実験記録を出してみろ!」

「人権がない奴らを…どうしようが勝手だろ…」

「だからと言って罪もない人間に罪を擦り付けるのはいかがなものでしょう。」

キャスターが話に入ってきた。

「これには罪もない人をあたかも犯罪者のようにする手順が書いてありました。」

「くっ…」


そこで、サイレンがなった。

「極道寺芥を射殺した。繰り返す、極道寺芥を射殺した。全員、元の配置に戻れ。」


「極道寺芥。彼もまた、罪のない人間でした。全てはこの、人権喪失者保護センターと、政府の陰謀だったのです!」


キャスターが仰々しく語ると同時に、パトカーのサイレンが鳴り響いた。

「とりあえず、俺が話をつけてくる。言峰、その子とその男を頼んだ。」

ディレクターはファイルを持って、正面玄関へ向かった。

俺とすれ違ったディレクターは俺に向かって、「良くやってくれた。」と親指を立てた。


俺は未だ痛む足を引きずり、少女の元へ向かった。

「大丈夫か!?」

あの時、少女は俺に覆いかぶさるように庇った。その時、腕に当たったらしい。

「はい…大丈夫です。」

「すまない…いや、ありがとう…命を助けてくれて…」

「いえ、感謝するべきは私です…」

「な、なんでだ…?」

「だって…初めて私を…人間として見てくれましたから…」

「そんなの…俺は君を騙してたんだぞ?」

「あなたは…いい人です。きっと。」

「…そんな…」

少女と話していると、研究員が走ってこちらへ向かってきた。

その中に見慣れたスーツもいた。

「高鷺さん!何をやってるんですか!?」

「永川…答える前に一つだけ聞かせてくれ。」

「…何ですか?」

「ここの不正をどのくらい知っていた?」

「…不正…ああ、そういう事ですか…」

「答えてくれ。」

「正直に話します。看守の一部は真っ当な、正規の会社員として登録されています。その人たちはおそらく知らないでしょう。ですが、私たちのような裏の人間はその事を知っています。申し訳ありません。」

「じゃあ俺達が冤罪だと知ってて、やってたんだな?」

「…」

「その沈黙は肯定と捉えてよろしいでしょうか?」

キャスターが口を挟む。

「…ありがとう。」

永川は俺に感謝を告げた。

「なにがだ?」

「私たちを、悪魔から救ってくれて…」

そう言うと永川は、カメラに向かった。

「どうも、人権喪失者保護センターの施設長の永川です。我々の、政府の行ってきたこれまでの残虐な仕打ちの数々を、世間に公開します。」

俺は施設を出た。

テレビは放送枠を延長して、この報道を続けるらしい。

救急車に少女が乗せられる。

「高鷺さんも乗ってください。」

救急隊員に言われた。が、

「…芥、極道寺芥は?」

「…頭と心臓と足に1発ずつ弾丸が打ち込まれていました。即死だと思われます。」

「…そうか…」

俺はそれ以上言わず、救急車に乗り込んだ。


これで、長いような、短いような俺の人権のない時間が終わった。


願うならば、このような事が、二度と起こりませんように。

fin…?

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