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罪状:人権停止処分  作者: あいますく
5/9

3日目 喪失 前編

少しグロい

朝。

食堂で永川が待っていた。

「今日は明日の分も実験を行うとの事です。」

「はぁ。」

「畑の水やりは1時間で終わるでしょうし、9時にはここに来てくださいね。終わってなかったら、ご連絡ください。」

「わかった。」

「時間ぴったりですね。」

「まあな。」

「それではこれを。」

俺は例のゴーグルを着けた。

そして昨日のように腕を引っ張られる。


こうしている間にも芥は不正の証拠を探しているのか…?

俺はこんな所にいていいのか?

たった2年我慢すれば、俺は再び人権が戻ってくる。

芥も2年と半年耐え抜けば、人権を返してもらえるんだ。

でも、芥はきっと俺達の後に来る、罪もない受刑者のためにやっているんだ。

芥の思いを、無駄にはできない。


「着きましたー。…高鷺さん?」

「ああ。行ってくる。」

昨日行った診察室へ向かおうとすると、永川が呼び止めた。

「ああ、今日は違うんですよ。こっちです。」

「そうなのか?」

俺は鑑賞室永川の後を追った。


「ここです。」

「ここまであれをしなくて良かったのか?」

「規則にはありませんね。」

「はあ。そんなもんなのか。」

目の前にはいくつものベッド。その上に倒れている数人の男女。

「とりあえず私はここまでなので。頑張ってください!」

「ああ。」


俺は空いている端のベッドへ向かった。

そこには白衣の男が数人いた。

「高鷺雨竜か?」

「ああ。」

「じゃあお前はこっちだ。」


ついて行くと、さっきの入口の一つ下の部屋だった。

そこからはさっきのベッドが端から端まで全部見えた。

全部で10のベッドだ。

「この椅子に座れ。」

その椅子はテレビで見るような電気椅子のような形をしていた。

「はぁ。」

仕方なく座る。手足に枷を嵌められる。

「しばらく待っていろ。」

そう言うと、白衣の男達は去っていった。


数十分後、左端のベッドにも人が入った。よく見ると、昨日のあの少女であった。

「くっ…」

背後の扉が開く音がした。

「それでは、実験を開始する。」


右端の人間に白衣の人間が近づいていく。

その手には刃物のようなものが握られていた。


何が起こるか、容易に察することが出来た。


俺は思わず目を閉じた。

「目を開けろ。右端を見るんだ。」

後ろにいた奴が無理やりそちらを向かせた。


右端の人間の首が切られた


血が舞い、あいつの白衣が赤く染まった。

隣の奴は、泣き叫んでいるようだったが、口を塞がれている。

次に白衣の奴は、拳銃を持ってきた。

頭に2発撃ち込んだ。


白衣の奴はなんの躊躇いもなく、次々に、ゆっくりと人を殺していった。


俺はおかしくなりそうだった。何度か叫んだ気もする。

その間、後ろの奴らは、

「バイタルに急激な変化がありました。」

「続けろ。」

などと言っていた気がする。


白衣の奴が五人殺したあと、後ろの奴が俺に注射をした。

すると、何も感じなくなった。

いや、感じてはいるのかもしれない。

目は見えるし、音も聞こえる。

しかし、俺から感情の一切が失われた気がした。


六人目が殺された。

後ろから「バイタルの変化がありません。」と聞こえた。

七人目が殺された。

八人目が殺された。

九人目が殺された。


そして、昨日の少女の前に、もはや白いところを失くした白衣の奴が立った。

手には刃物が握られていた。

少女は、泣いていた。


すると、突然停電になった。

後ろから口々に

「なんだ?停電か?」

「データが吹っ飛んだかもしれない!」

「実験は中止だ!」

などと聞こえ、俺は枷を外され、投げ出されるように入口に帰された。

その時、少女も枷を外されたのが見えた。

その時、失ったはずの感情が一つ帰ってきた。


俺は少女が助かって安心した。


入口に永川はおらず、暫くすると、永川が慌てた様子で駆けつけてきた。

「すみません!配電盤のトラブルのようです。古くなっていたパーツでもあったんですかね?」

「ああ、そうなのか。」

「とりあえず帰りましょう。」

少女の名前は 射矢える イルヤエル

永川の本名は 永川優 ナガカワマサル

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