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第39話 薔薇バラ赤白!

 ブチ切れアリスちゃんて!じゃぁつまり昨日の騒動はばっちり他の人にも伝わってるってことか!!? ノオーーーーーン!!駄目じゃん!『お城には居辛いなぁー・・・。』って思って引き篭もりなのにやる気を総動員して外出して意味ないじゃん!皆無じゃん!

 いろいろと打ちひしがれてる私の横で、真っ白い少女はニコニコと笑いながら言った。


「なぁんだー、あなたがアリスちゃんかー。よろしくね!会ってみたいって思ってたの!私は白薔薇!お城に住んでいるのよ!」


 ふふふ、とはにかむ様は非常に愛らしい。なんだかその笑顔にほんのちょっと癒されかけたけれど、次の瞬間メッタメタにされた。


「いやー、不思議の国史上初めてなのよぅ、あなたみたいなアリスちゃん。だってみんな愛されることに満足して怒ったりしなかったし!そりゃちょっとは不安がってたけど、みんないつの間にか愛されまくって嬉しくなってたのよぅ。だからこんなに短気なアリスちゃんは初めて!えへへ!楽しみ!」


 ・・・短気、短気とか言われちゃいましたよ。ショォック!!こんなに可愛くて小さい子に、あどけない表情で言われるとなんかすっごく傷つくわー…。

 背の丈はヤマネさんと同じくらいでとても小さい。でも服には白薔薇の刺繍があしらわれてるし、髪の毛はとっても長くて腰の辺りまでサラサラと伸びている。きらきらと光を反射する、綺麗な髪。ほっそりとした首元には赤い薔薇の首飾りがあって、とても似合っていた。


 っていうか彼女は白薔薇ってことは赤薔薇もいるのか?ゲッ!SM兄弟みたいな感じで双子?この白薔薇さんがこの性格だとすると……赤薔薇、どんなトンでもないひとなんだろう。


 そんなことを考えながら、はぁ、とため息をついたときだった。ふ、と私の足元に影が落ちる。快晴の空からは、さんさんと太陽の光が降っているのであって、影が落ちるというのはつまり、それを遮る物体があるってことだ。

 そこまで考えたときに、なんとなく嫌な予感がした。う、つまり上に何かあるってことは、まさか!!


 さっ、と私はその場から三歩ほどしりぞいた。ついでに不安になって、もう五歩退く・・・、と、その瞬間!!


どっすぅっ!!!!


 上から何かが猛烈な勢いで降ってきた!!うわぁぁぁぁぁ、予想通りーーーーッ!!

 上に何かあるってヤバくない?この変態的な国では何が起こるかわからないから、それってつまり何か落ちてくるフラグじゃない?と思った私大正解!!やっべ、マジやっべ!今更ながらなんて恐ろしいんだ…この国…。


 降ってきたものは、あんまりにすごい勢いで落下してきたので、もうもうと巻き上がる砂埃に包まれていた。そのせいでこっちの視界は霞むわ目が痛むわで全然その正体がつかめない。

 涙目になって咳き込んでいると、横で同じように咳き込んでいた白薔薇の幼女が声を上げた。


「けほっ、けほっ…もーう!赤薔薇ちゃん!!もう少し大人しい登場の仕方してよね!すっごい砂埃で私の髪もドレスも砂だらけ!どうしてくれるのよぅ!」


むむぅ、と頬を膨らませ、口を尖らせて、砂埃の中心にいる物体に向かっていっている。え!?ってことはつまりこの落ちてきたのが噂の赤薔薇氏!?う、ウギャーー!!ヤダ!こんな短期間で何人もの変態に遭いたくないぞ!エンカウント率が高すぎるだろ!

 っていうかこの国の赤薔薇は空から降ってくるのが普通なのか?くそ、やはり恐ろしい国だぜ、空飛ぶ植物がいるとはな・・・!!


「仕方ないでしょ。お前とアリスを見つけたのだから。もっともお前やそこのビルのように、鈍くてトロい馬鹿には一目でアリスだなんて見破れなかっただろうけど、ね。アタシには一発で分かったよ。」


 もうもうと立つ煙の中。ハスキーな低い声でそういって一人の人影がスラリ、と立ち上がった。もう大分埃や塵も落ち着き、私の視界を曇らせる涙も引いている。目の端に残る涙をぐいっと拭って、その人物を見る。

 す、とその人、つまり赤薔薇さんもこちらを見つめた。白薔薇と対照的な姿に、私はびっくりする。てっきり私は白薔薇と同じ女の子だろう、と思っていたのに、彼は怜悧な美貌を宿す少年だった。


 白薔薇の丸くて大きな瞳に対して、彼は切れ長で冷たい瞳をしていた。髪も目も、当然色は赤。あんまりの鮮やかな赤さに、こちらの目が痛くなりそうだった。赤い髪の毛は後ろで一つに結ばれていて、背中の中ほどまでたれている。首元には白い薔薇の首飾り。ほっそりとした体は小柄な白薔薇に対すると長身で、白いシャツと赤いベスト、ズボンに包まれていた。


「あ、紹介するね!アリス、こっちは私のお姉さんの赤薔薇ちゃん!すっごい格好いい男の子に見えるけど、女の子なんだよぅ!!」


 え、マジで。ごめん、全然気がつかなかった。あ、そうか!これがこんなに格好いい子が男の子なわけない!ってやつか!いや、違うだろ!!まぁいいか…ジャックさんみたいに、いろいろとミスマッチ☆なわけでもないしね。私も自己紹介するために、まずは名乗る。


「あの、はじめまして!私は有素るりと申します。ええと、そこの白薔薇さんとは先ほど仲良く?なってですね、」


 何を言ったらいいのかよく分からん。そもそも私名前以外に紹介することなんてあるのかなぁ。ふぅむ、自分で『アリス』って名乗るのも癪だしねぇ…、と、私が悩んでいると、


「あら、そうなの、やっぱりあなたがアリス!よろしくね!」


 底抜けに明るく可愛らしい声で、赤薔薇さんが返事をしてくれた。え、ちょ、今あなた声のトーン、三オクターブくらい上がらなかった?気のせい?私の気のせい?さっきのハスキーな声はどうしたよ。

 あんまりにびびって、そうっと赤薔薇さんの顔を窺った。するとまたもやびびるはめになる。


「あん!そんなにビクビクしなくても良いのよ!アタシにその可愛い顔をもっと見せて頂戴な!あああ、見せてくれないのね!俯いた姿も可愛いけれども、酷いわぁ!このイ・ケ・ズさん☆」


ひ、ひぃぃぃぃぃっ!!なにこの人怖い!さっきまであんなにクールだったのに、今はなんかくねくねしながら話してる!怜悧な美しさの切れ長の瞳は、でれっとしていてついでに言えば鼻の下が伸びてるよ!私リアルに鼻の下を伸ばしてる人ってはじめて見たぞ・・・!!

 ぞわっと鳥肌を立てた私をみてとり、白薔薇ちゃんが近づいてきた。可憐な白い眉間にシワをよせて、苦笑しつつ私の耳元に口をよせ、教えてくれた。


「ごめんねぇ、赤薔薇ちゃんは、いつもは超クールで氷の女王様って感じなんだけど、アリスちゃんを相手にするとデレデレになっちゃうのよね。」


 あはは、とお気楽そうに横で笑っているけれど、私に笑う余裕はない。ひぃぃぃ!!無理無理!なんだ、このほかのキチガイどもとはまた違った恐ろしさは!!


「あ、あぅ、あの、サヨナラ!!」


 そう叫んで私は一目散に逃げ出した。くるっと踵を返して。ワンピースを翻し。


「あー!!アリス、また会いましょうねぇー!!今度はゆぅーっくり!オ・ハ・ナ・シ、しましょ!!」


いや、ごめん無理!ご遠慮願いたいですぅ!!


「あー、アリス様待ってほしいっすー!!」


あ、ごめんよビルさん、君のこと本当にマジで忘れてた・・・。

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