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第29話 騎士隊長とその部下

「それでは、リル様。私はあちらのテーブルで食べてきますので。」

「あ、はい。じゃメアリさん。さよなら。」


食堂につき、メアリさんと別れる。相変わらずここは賑やかで、和気あいあいとした和やかな空気が流れている。


がたり、椅子を引き、座る。私の席。

 座ってしばらく待ってると、ご飯が運ばれてきた。


「お待たせ致しました。」

「あ、有難う御座います。」


今日も超豪華メニュー。セレブっぽいなぁ。

・・・こんな良い物ばっかり食べてたら、太ったりしないかな。私。


ちょっと怖くなって、エプロンドレスの上からお腹をつまんでみる。

・・・うん、まだ大丈夫。…だよ、ね?


 とりあえず食べよう。こんな超豪華なご飯を残すなんて、勿体無い。取り敢えず私のJAPAN魂が許さない!


銀色の上品なスプーンを持ち、暖かなスープを飲む。美味しい。

 こういう所だとテーブルマナーとかちゃんとしてないといけない感じがして緊張するよなぁ。はぁ。


さて、次は色とりどりな野菜のサラダでも…、


「アリスちゃーんッ!!!!!!」

「ぐえええええっ!!?」


野菜サラダを食べようとした私の首が、誰かの逞しい腕によって締め上げられた。

 っていうかコレ、デジャ・ヴなんですけど。前もこんなコトあったような…?


「ギブギブ!!痛いです!酸素が、脳内の酸素濃度が!低下しています!!」


よく分からない現状報告をしながらバタバタと手足を振り回す。いや、マジ冗談抜きで苦しいっす。


「あ、ごめんね。アリスちゃん。わたしったらァ、力加減間違えちゃったわ。」


低い男の人の声が聞こえたと共に、私の首に巻かれた逞しい腕が緩んだ。


「けほっけほっ…じゃ、ジャックさん…。」


急に入って来た空気に軽くむせながら、上を見上げて私の首を絞めた犯人の名前を呼ぶ。


 ニッコリ、と爽やかに微笑む彼は、どう見ても男だ。生物学上、どう考えたって男だ。

けれど女言葉が気持ち悪いながらに妙に様になってるのは何故か。世の中って謎だらけだな!!


「うふふ、アリスちゃんが居たからつい飛びついちゃったわぁ♪」


いえいえ、つい、で絞め殺さないでね。死活問題・・・っていうかマジで死ぬから。


「あ、はは…。えっと、何か御用でも?」


苦笑いしながら聞いてみると、ジャックさんは可愛らしく首を傾げながら言った。ポーズは可愛いが、正直言って逞しくて鎧を着けてるオニイサンがやっても可愛く無い。ぶっちゃけるとキショイ、って奴だろう。コレは。


「ううん。私、アリスちゃんとお話したかっただけなのよ。特に用も無いんだけどね?」


ニコリ。彼は笑って言った。まぁ爽やか。


「え…でも騎士隊長だから忙しいんじゃないですか?私と話してて大丈夫ですか?」


彼はこんな人でも騎士隊長、らしい。

 今現在私と色々と気まずい白兎さんが言ったのだから、真実だと思う。

・・・っていうか嘘だったらしばくぞ、コラ。


「ええ〜?別に良いわよぉ。そんなの部下に任せておけば良いんだって☆」


う、うわぁお。可哀想なジャックさんの部下!!合掌!!

 っていうかそれは給料泥棒じゃないのか。良いのか社会人!!?


「そ、そうなんですか…。いや、でも職務怠慢はよくないですよ…早くお仕事に戻ったほうが…。」


苦笑いしながらそう言うと、ジャックさんは溜息をついた。憂鬱そうに、意味も無く紫掛かった蒼い短髪をつまむ。


「アリスちゃんまでそんなこと言うのー?あーあ。嫌だなぁ。結構大変なのよぉ?」


むむーっ、と口を尖らせてジャックさんが憂鬱そうに言う。ふー、やっぱりオトナは大変なのね。でも私どちらかというとジャックさんの部下のほうに同情するよ。


「私ィ、強さが有ったから騎士隊長になったワケだしぃ?デスクワークは苦手なのよねぇ…。なーんか落ち着かないって言うの?」


ふーむ。私とは正反対のアウトドア派か。因みに私はインドア派だが、最早それを通り越してヒキコモリ予備軍だぞ。どっちがマシなのか。


 うーん、と考えていたその時。


「ジャック様ーーーーッ!!こんな所にいたのかッ!!」


わわわ!?大きな声が私のすぐ背後から聞こえた。

 思わず驚いて、ビクリと背中を正す。


「ジャック様!!仕事サボルな!!騎士隊長としての規律を守れ!言語道断大胆不敵!!」


振り返ると、腰に手を当て怒鳴っている青年が居た。ジャックさんは『あちゃー』という感じで、額に手を当てて苦い顔をしている。


 その青年は、長く水色に輝く髪をキッチリと太い三つ編みにし、髪と同じく淡い水色の瞳でジャックさんを睨み、怒っていた。

 …もしかしてこの人が、可哀想なジャックさんの部下だろうか。


「何処で油を売ってるかと思えばこんな所にいたのかッ…どうしてアンタはいつもそう仕事をサボる!!戦闘の修行も書類の片付けも、両方やってこそ騎士なのだと言うに!!」


 逞しいジャックさんに比べると幾分か細く見える彼は、それはもう烈火の如く怒りまくっていた。うわー、仕事上の上司だから一応様付けにして呼んではいるけど、他はタメ口だし寧ろ偉そうだし…尊敬されて無いなぁ。

 ジャックさんは非常に怒って殺気立ってる自分の部下を見ても、面倒臭そうに憂鬱そうに自分の蒼い髪をいじっている。


「えぇ〜…別に良いじゃなぁい?そんなメクジラ立てて怒らなくたって。だってエース君の作った書類のほうが見やすいって評判だしィ、それに君の方が書類作り早いじゃない?私がサボった所で何も問題無いと思うけどぉ?」


「問題、大有りだッ!!アンタのサボった分の仕事は全部こっちに回ってくる!!皺寄せを食らうのは我等なのだッ!!!」


うーむ。様子を見守るだけで仕事に対する情熱の温度差が違う、っていうのが簡単に分かるな。

 必死に怒ってる彼と、面倒臭そうに説教を食らう上司。


 エースさん、だっけ?彼はこの調子でいつも神経すり減らしてるのね…。

彼の胃は大丈夫だろうか。大穴開いてたりしないよね?


「嫌よぉ。私仕事よりも帽子屋んとこのお茶会とかぁ、アリスちゃんと語り合う方が大事だとおもうわぁ。それに仕事ばっかりしてたらノイローゼよ?ノイローゼ。貴方も気をつけてね〜?」


うおいおいおい。彼がノイローゼになるとしたら、原因の殆どはジャックさんだと思うぞ。


「はぁぁッ!!?これだからアンタはッ!!お茶会だのアリスだのその女言葉だの、いい加減にッ・・・ん?アリス?」


怒り沸騰で怒鳴っていた彼は、いきなりポカンとしたように私のこの国での呼び名を呼んだ。

 そして、今まで主人公の筈なのに無視されていた空気扱いの私の方に、いきなりグリンと顔を向けてきた。


「あ、アリスって、コイツか?」


は、失礼な。初対面でコイツ呼ばわりとかマジ有り得ねえ。


「そうよぉ♪このコがアリスちゃんっ!可愛いでしょお?」


そう言って、ジャックさんが私を抱き締めた。うう、嫌だな。人との接触は嫌いなんだって!!

 というよりも耳元でカッコイイオニイサンの声が女言葉を喋るという微妙な状況なら誰でも嫌になると思うぞ。おえー。


「何処がだ。やたらと仏頂面というか無表情だし子供だし貧乳だし。」


がんっ。ちょっとショックだ。っていうか…貧乳…。ひんにゅ…。

 子供が貧乳なのは…仕方無いじゃんよ…畜生ー!

無表情とか仏頂面は自覚してたけど…貧乳…貧乳…。ここまでアッサリと言うか…?普通…。


 色々と、これでもいっかいの思春期な乙女として放心してると、ジャックさんが反撃してくれた。


「んまっ!!失礼な。アリスちゃんは可愛いわよ!?貧乳が何だって言うのよ!!子供!?はん!そんなの待てば成長するわ!無表情!?仏頂面!?まだ会ったばかりだからエース君のこと信用して無いのよ!警戒してるのよ!!だからだわ!!フーンだ!!」


そこまで言いきるとジャックさんはアッカンベー、と舌を出し、エースさんに向かってしかめっつらをする。

 …というか何だかんだと言いながら貧乳発言については否定してくれないのね…?


「ふん。警戒?愛想笑いぐらい出来るだろう、普通は。それも出来ないから子供だと言うんだ。」


エースさんは心底呆れたという表情だ。

 っていうかこんな言い合いしてて良いのか。仕事の時間減るぞー。


「むっきー!!エース君の鬼!悪魔!!乙女のことをそんな風に言うなんて最低最悪!男の底辺以下の男だわーッ!!エース君なんてデスクワークばっかりしてある日頭上に落ちてきた豆腐の角に頭ぶつけて死んじゃえーーーッ!!」


なな、なんか嫌な死に様だなオイ!!

 っていうかジャックさん、反論してくれるのは良いんだけど、お腹、段々絞まってます。あの、私を抱き締めてること忘れないで。力入ってる…。ぐええ。


「じゃ、ジャックさん、ぐるじッ…、」


そう言いながら手足をジタバタと振り回し、抵抗するとジャックさんは「あ、ごめんなさいアリスちゃん!!」と言って手を離してくれた。


「可愛い等と言いながら絞めるとは…アンタが一番最低じゃ無いか?」


エースさんがはぁ、と溜息をつきながら言った。


取り敢えずジャックさんから開放された私は、力が入らず座っていた椅子から滑り落ち、ぺたんと床に腰を下ろした。途中左足がグキリ、と痛んだが問題は無い。

「わわ、悪気は無いんだから良いじゃない!!底辺以下のエース君よりはマシよ!?」


いや、お腹を圧迫されるのは悪気が無かろうと命に関わります。めがっさ危険です。


「大体女性に対して貧乳だの何だのって、セクハラよ!?セクハラ!!」


嗚呼、そういえばそうかも。セクハラな発言だね。この人もやっぱり変態なのね。


「せ、せくッ…気のせいだ!!事実を言ったまで!!」


エースさんが反撃。事実って…。あくまでも私は貧乳扱いか…。


「ああ、そうね!エース君は巨乳が好きなのね!?やーいこのムッツリスケベー!!変態は死ねー豆腐地獄に落ちろー!!」


いやいやこの国の変態すべてが死ぬとしたらこの国の人口はもう半分以下かと。

 っていうかジャックさん、さっきから何故に豆腐にこだわるのよ。


「あの…回りの視線が集まってるんですが。」


一応ジャックさんの腕をちょいちょい、と引っ張りそう言う。

 そう、食堂中の視線が集まってた。私達に。


…まあ、そりゃそうだよな。貧乳って何回も叫んでれば。


 視線がイタイなぁ!あははははははは、はは、はぁー・・・。



久し振りの更新です。コンニチワー。

 今さっき後書きでコメ返信書いてたら、エラー起こって吹っ飛んだ、というミラクルに哀しい出来事が起こりました。

 でも頑張って、また書くんだぜ!!


ではアイリス・ローズ様!!

ディーは良し、ダムは駄目…ですか。成る程。確かに。

そいえば最近ダムはホントに変態っぽいです。嗚呼、神様どうしよう。

でも双子って、結構キャラの書き分けが難しいんですよね。双子ってだけでもう個性なので、シンメトリーになるように、ソックリという設定を意識してると、同じ人間が二人いるみたいになります。

 そういうワケで、今回のコメントはちょっと嬉しいです。書き分け、できたのかなー、と。

ディー「下らない作者の話は良いとして、ホントに有難う!嬉しいな!!」

ダム 「僕は駄目なのー?あ、でもなんかそれはそれで嬉しいかも…?」

ひ、ヒィィィィ、こいつ等は何処まで行ってもSとMですね…。変態SMツインズです。

ディー「僕がSじゃなくなったらもう僕じゃ無いもん。」

ダム 「僕がMじゃなくなったらもう僕じゃ無いもん。」

・・・SMが存在証明っていうのもどうかと。とりあえずこの二人がSMでなくなることは有り得無いようです。


では、お次は……はっ!!?

 ななな、なんと…。

素敵アリスモチーフ作品、『夢見の国のアリス』作者、白邪アリス先生からのコメントですよ!!

 ヤバイ、嬉しいぜ、これは…。

参考にしようと読んでくれて、はまってくれたようです。わーい!!

チェシャ猫とSM兄弟が好きとか。イヤッホー広がれ!チェシャ猫好きさんの輪!!

猫「俺もうれしいな。これからもよろしくね。」

ディー「わーい!今度遊ぼうよ!」

ダム 「勿論SMごっこだよ!白邪さんはどっち?」

お前等…って、ん?

 おお、白邪さんは時によって変わるようです!凄い人だ…。

ディー「わあ!じゃあMな気分の時は僕と遊ぼう!」

ダム 「わあい!Sな気分のときは僕と遊んでね!」

ええ、っと…図書アリキャラ、共々宜しくお願いします。

 あ、そうだ。皆さん、夢見の国のアリス、面白いですよ!実は私もひっそりと愛読してたりww


では次は、きぃな様から!

 お久し振りです!どうやら携帯の調子が悪かったらしく、しばらく読めなかったそうです。良くぞ戻ってまいられた!

ホントに結構チェシャ猫って嫌われてますよね。えっと、ヤマネさんにメアリさん…うわぁ、数少ない女性キャラばかりに…。

 ああ、そういえばメアリさんの悲哀の恋は、実は結構早くから決まっていた設定でした。その場のノリと勢いで小説を書く私にしては珍しいですよね。

 第10話を読むと、最後のほうにある1文にそれっぽい伏線があります。回収できて無いけど。

 というか気付いてる人いたら凄い、っていう程目立ってないので☆

 では、またこれからも更新頑張りたいと思います!!



 そういえば、チェシャ猫には愛を込めてるので人気なのは分かるのですが、なんでSM兄弟って人気なんだろ。ぶっちゃけ作者としては図書アリ最大の謎だったりする。


 あ、そうだ、皆様にお知らせです。

私の友人、異外部調査係様が、小説を書き始めました。

 面白いんで、是非探して読んでみて下さいッ!各言う私はもうコメントしてたりww


では、3人とも、ホントに有難う御座いました!!

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