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第19話 夕焼けは切なく

はーい、今回はギャグ無いです。


 一種の伏線的なモノ?になると思われます。


シリアスな話は、後々の伏線になるので。

「さて、…そろそろお茶会はお開きかな。」


帽子屋さんの、この一言により、お茶会は終わった。





 今日は色々有ったなぁ。


赤い夕焼けの中、帰り道を急ぎながら私はそう思って溜息をつく。


 お城の中で迷うわ、猫が消えたりするわ、調教されそうになるわ、お茶会に行くわ、銃を渡されるわ…。ふう、疲れた。


 思えばこの国に来てからまだ二日しか経ってない。信じられないなぁ。




一人歩く帰り道。後ろを振り返ると、夕焼けが綺麗だった。

 全てを真っ赤に染め上げて。それは昼間の空とは別物。


赤い空は、何処か切なさを覚える。感傷的な、気分。


暮れ行く太陽。夜の色に染まり始める東と、赤に染まる西。


 綺麗なのに、何処か淋しくて、寂しくて、切なくて。



「歌でも歌おうかな…。」


お城までの帰り道。どうせ誰も居ないんだから。



 せめて、歌でも歌って。この感傷的な気分を、歌の歌詞に乗せて。




「…。」


すぅっ。息を吸う。


「…夕焼け空、赤く光って。」


声が、言葉が口から零れ、滑り出す。


「現実の少女、非現実の世界に迷い込む。」


空気を震わせる、私の小さな声。


「これは悦び?これは哀しみ?」


零れ出した言葉は、誰の気持ち?


「現実から逃げ出せて、幸せかしら。現実から引き離されて、不幸かしら。」


どっちなんだろう、私。


「せめて歌うわ。それがどちらの気持ちであったとしても。」


歌は続く。夜の迫る夕焼けの中で。


「幸せならば、祝いの歌を。不幸ならば、慰めの歌を。」


感傷的な気分を紛らわそうと、感傷的な歌を歌う私は滑稽かな?


「歌いつづけて。」


けど、歌うよ。




 パチパチパチ。



私の耳に、不意に誰かの拍手の音が聞こえた。


「え、誰!?」


誰も居ないと思って歌ってた。うわ、超恥ずかしいぞ、今の状況!!?


「アリス…歌が上手いんですね。すみません。途中から聞いてたんですが、邪魔するのもいけないと思って、黙って聞いてました。」


 白兎ィーーーーーッ、お前かーーーーッ!!!!


「え、あ、えっと、その…!!い、いいいいい今の歌は忘れてください!!」


 ハズイハズイハズイ!! 超絶ハズイから!! マジで。


 私が本気でそう思ってると、白兎はいつもの微笑を浮かべて言った。


「嫌だなぁ、アリスが折角歌ってくれた歌を忘れられる筈が無いじゃないですか。」


 ぎゃ、ぎゃーーーー!! 忘れろよ!!?


「いえいえいえいえ!! 凄く恥ずかしいので今すぐに忘れてください!!」


 うん。その記憶、デリートして、消去して、削除して、アンインストールして!! 頼むから。



 私がそう思っていると、不意に白兎は微笑を消した。


 アルビノのような、真っ白な肌が、夕暮れの太陽に照らされて薄紅色に見える。

 真っ赤な瞳はますます赤に輝いた。


「………アリス。」

「…なんですか。」


 神妙な、声。


 答える私の声も、自然と重くなった。



 真っ赤な彼の瞳が、射抜く様にこちらを見詰めた。

 背の高さが違うから、見下ろされる格好だ。


「アリスは・・・この国をどう思いますか?」


 白兎の、質問。


 その質問の意図するところは、一体何だろうか。


「この国・・・ですか?」


 神妙なこの空気。軽軽しく答えたら後悔しそうだ。

 覆水盆に帰らず。ミルクは皿に戻らない。ハンプティ・ダンプティは、どんな人が何をしても戻せない。

 この口から出た発言も、何を引き起こすか分からない。


「まだ、来たばかりなのでよく分かりませんが、良い国だと思いますよ。」


 一番無難な答え。後悔しないと良いのだけれど。


 私のその答えを聞くと、白兎はふっとまた顔に微笑を浮かべた。


「そうですか・・・。アリスにそう言って貰えて良かったです。」


良かった。とりあえず最善の答えとなったようだ。


「さぁ、アリス。それではお城に帰りましょう。突然変なことを聞いてすみませんでした。女王様やメアリが、アリスが中々戻ってこないので心配してましたよ。僕自身心配だったから迎えに来てしまったのですが。」


白兎はそう言うと、私の手を取り城へ歩き出す。


 私も白兎に付いて行った。



けれど、その時。



「…きゃっ。」


私は石につまずいて転びそうになってしまった。うう、ドジなのかなぁ、私。


「っ…アリス!」


けれど危うい所で白兎がさっと手を引き、私を抱き締める。ふいー、転ばなくてすんだ。エプロンドレスだと、足が露出してるから擦り傷なんか作ったら目立ってしまう。


「あ、…すみません。有難う御座います。白兎さん。」


今だ私を抱き締めたまま動かない白兎の腕の中で、私はお礼を言った。


 けれど、白兎は中々動かない。どうしたんだろ?


「あの、…白兎さん、ちょっと。」


 モゾモゾと動いて白兎の腕から逃れようとするけど、ぎゅっと白兎が私を強く抱き締めた。ぐえ、何するんだ。


「アリス…動かないで下さい。どうか、今だけは。」

「へ…?」


白兎の声が、耳の直ぐ近くで聞こえた。落ち着かないなぁ。


「どうか…今だけは…。」


え、ちょ、なんでそんなに声が震えてるの?白兎さん。


 でもここまで懇願されたら、いくら捻くれ者の私でも振り払うことは出来なかった。

 白兎に抱き締められたまま、じっとしている。


 すると、白兎が口を開いた。


「…アリス、アリスは、この国から消えたりしませんよね?僕等の前から、急に居なくなったりしませんよね?」


 わずかに震えた、声。


 心細そうな、親を求める幼子のような、その声。



 絶対が欲しい。確証が欲しい。安心出来ない。壊れてしまいそうな程の不安。



 どうしてそんなに切ない声を出すの? 私が答えらないように、がんじがらめにするほど、切ない声。




「夕焼けは、嫌いなんです。夕焼けは、怖いんです。アリスが、あのアリスと一緒で、儚く消えてしまいそうで。」




白兎の、震えた声。彼の吐息が、私の頭に掛かる。




 あのアリス? それは誰?




 気になるけど、聞けない。聞いてしまったら、きっともう一生自分の世界に戻れない。



「アリス、アリス。大好きです。…だから、僕等だけを見て。この世界だけを、その美しい瞳に映して。」


 それは、強い欲望?

 好きな人と一緒にいたい。好きな人を手に入れたい。



 翼を断ち切って。飛べない鳥は籠の中。


 愛してあげるから、外の世界なんて見ないで。一生籠の中で、僕等だけを見て。


 外の世界なんて忘れて。飛ぶことなんて忘れて。




「・・・・・・。」



 答えたら、自分のその答えに、後悔しそうで、縛られてしまいそうで。




 私は彼の問いに、答えることは出来なかった。






 甘く切ない、その問いに。


 だからそのかわり、彼の背中に手を伸ばし、抱き締めた。









 












  帰れないよ。だけど私は本当に、帰りたかったの?


 はぁー、白兎さんが有素さん抱き締めるって描写、書いてて恥ずかしかったわ。うんうん。

 っていうかシリアスムズイ。ぎゃ〜ん。


ではでは、読者様からのコメント返信!!

 

まずは…なんとまたまたコメントくれました!!

 白国雪亜様から!


え〜っと、すみません。コメントにあった羞恥プレイという言葉に反応して、SM兄弟がなんか言ってくれるそうです…ど、どうぞ…。


ディー「こんにちわ!白国さん!!」

ダム 「こんにちわ!!ねぇねぇ白国さん!!」


  「「白国さんは、S?M?どっち??」」


すみません。こいつらの物事の観点は、全てSMのようです。


ディー「羞恥プレイかぁ…そういえば作者はどっちかっていうとSっていってたもんね!!」

ダム 「うわ、意図的?やるねー。」


 だ、断じて違ーう!!誤解されるような事言うな!!


あと、ヤマネさんから一言。


「眠い…。あと、美少女って誉めてくれてありがと…。」


うわ、みじか。ヤマネさん…。


ではではお次は、毎日コメント!!最早コメントの神!!アイリス・ローズ様からぁっ!!


 それでは、今回はチェシャ猫さんからのお言葉!!


「あ、一番好きっていってくれて有難う。嬉しいな。あと作者のことは気にしなくて良いからね?俺にとってはただの馬鹿だから!!」


 ぎゃー!!ってめえ出番減らすぞチェシャ猫ォォ!!


「あーれれー?そんな事していいの?そんなことしたらアイリスさん、悲しむよ?俺は、アイリスさんが哀しむところなんて見たくないなぁ。だって好きって言ってくれてるわけだし?」


く、くっそう。私だって見たくないわコンチクショー!!


「クスクス。作者はからかうの楽しいなぁ。あ、アイリス・ローズさん、コメント、ホントにありがとね♪」




 お二人とも、有難う御座いましたー!!

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