第18話 お茶会の支配者
きゃー、大変だ!!
はーい、読者さんのための現状説明〜☆
現在お茶会に来ていたところ、チェシャ猫が来てヤマネさんが怒った。そして私は三月兎に襲われている。
以上!! 説明終了!! …え?話が飛びすぎてワケわかんない? 知るか、そんなこと。知りたいなら勝手に調べてろ!! うわあああん!!
「アリス!! 僕の愛情表現!!」
三月兎がそう言って私のエプロンドレスを脱がそうとする。…イヤイヤイヤ、何この展開!!
「やめろォォ!?」
私の必死の叫び。けれどそんなもの通用しない。ぎゃーん。
「わあああああああああああ!!ちょっ!!誰か!!?」
私が地面に押し倒されて助けを求めると、すっとチェシャ猫と帽子屋さんが横に立った。
「三月兎!!アリスにあんまり手を出さないで。」
チェシャ猫がそう言って、三月兎の体をむんずと捕まえる。わ、流石年上っぽい容姿だから、私が全然抵抗出来ない三月兎も簡単に持ち上げてる。スッゲー。
っていうか…チェシャ猫も三月兎に比べれば案外マトモじゃん!!?いや、三月兎がヤバ過ぎなのか…?
「そうだよ、三月。あんまりこの神聖なお茶会で調子乗らないこと。じゃないと・・・。」
帽子屋さんもそう言って、懐から何か取り出す。うん?何だ?アレ。
チャキッ。そんな音。そして帽子屋さんは、懐から取り出した何かを三月兎の頭に当てた。
「・・・いくら三月とはいえど、容赦無しに、撃つよ?」
…撃つ。それは、それは。まさか。
帽子屋さんの手に握られていたのは、黒い細身の銃だった。
「っぎゃあああああああ!! ぼぼっぼぼ、帽子屋さんっ!!?」
因みに現在パニック状態に陥ってるのは私。だって仕方無いじゃんよ!?
「ん? どうしたんだい? アリス。」
はぁ。帽子屋さん、微笑んでますね!! イヤイヤ、そうじゃなくて!!
「殺人は良くないですって!! 強姦も駄目だけど!!」
っていうか今三月兎がここで死んだら、凄い勢いで幽霊になって毎日出てきそうで、嫌なんですけど。
「え? でもお茶会であんまり変な事されるのは良くないし…何よりアリスが困ってるからね。これはもう殺しちゃったほうが良いんじゃない?」
「いえいえいえ!! 滅相も御座いません!! 殺すとか物騒な単語ヤメテ!!心臓に激しく悪いです!」
帽子屋さんが、「アリスがそう言うなら。」と言って一応その物騒な物を仕舞ってくれた。
今は自分がアリスで良かったわ・・・アリスという肩書き万歳!!
「そうだ、アリス。もしもの事があったら大変だから…、はい、これを上げるよ。」
「へ?これって…。」
帽子屋さんが藍色の瞳で涼やかに笑って、私に何か差し出した。
「小型の銃。この引き金を弾くと、弾が出るから。護身用にどうぞ?」
・・・マジかよ!!
いやいやそんな物騒な物要らないから!!スタンガンがあるから!!
っていうか帽子屋さん普通の人だと思ったけど前言撤回。やっぱヤバイわ。
「・・・あ、有難う御座います・・・?」
受け取り拒否して私の頭が吹っ飛ぶのは非常に嫌なので、一応受け取っといた。
「さぁ、じゃあお茶会の続きを始めようか。」
「あ〜、折角だから俺も混ぜて。」
帽子屋さんがそう言って、席に座りなおし、チェシャ猫は掴んでいた三月兎の体をぽいっと放り投げて適当に座る。
「ああ、チェシャ猫は今日は何が良い?」
「ん〜、適当に選んでよ帽子屋。」
あ、お茶会再開ですか。三月兎も席に座り直してるし、私も席につこうっと。
っていうかチェシャ猫もお茶会に参加して良いんだ…、ヤマネが嫌がってるから拒否されると思ったんだけど。
「…猫は何処か行って…!!」
その時、ヤマネさんの声が聞こえた。
うわ、ま〜たブリザードな怒りが勃発!!? 嫌だな…。
けれどもヤマネの声に反応したのは、意外にもチェシャ猫ではなく帽子屋だった。
「ヤマネ、チェシャ猫が嫌いだからってそんなふうに言うのは良くないな。彼も不思議の国の住人であり、そして私たちの隣人である。それに…。」
そこで帽子屋が言葉を切って、笑った。それはいつもの涼やかな微笑み等では無く。
「このお茶会に、誰が参加するか決められるのは・・・この私だけだよ?」
それは、支配者の笑み?
その表情を見て、流石にヤマネは黙った。私はというと、少し鳥肌が立った。
だって、それは。
常識人なんかの笑顔じゃなかったんだもの―――――――?
やっぱりここは、キチガイの国なんだね。
うん。ぶっちゃけ帽屋さんは、危ない人だぜ!!
普通の人と思わせといて・・・ってタイプですね。たちが悪い。
「十分私は普通だよ?」
…!!う、噂の帽子屋さん…!!
「ふふ、読者さんが誤解するようなことをあんまり言わないでほしいな。」
いや。アンタほんとにヤバイから!!私の頭に銃口突き付けないでほしいからッ!!?
・・・今日も平和・・・だと信じたい。