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第17話 お茶会は大騒ぎ

 なんとか更新できた〜…。


では、どうぞ。

帽子屋さんが、私の手を取って、裏道のようなところを歩く。

 一本道だから、多分覚えられるけど、あの、だんだん町の外れに向かってる気がするんだけど。


「あの、あとどれくらいでお茶会会場に?」

「あともう少しさ。」


帽子屋め。テメーさっきからそれしか言ってないじゃん。

 なあにがあと少しだよ。ふん。


家と家の間の、狭い道。両側にそびえたつ家。上を見上げると、普段よりも遠くに空が見えた気がした。

 っていうか、…ほんとにすっごく町から遠ざかってる気がするんですけど。大丈夫なんだろうか。


そう思ってると、やっと裏道を出た。はー。明るい道に戻れ…


「はうあ!?」


戻れて…なかった。


 だってそこには道なんて無かったから。



目の前に広がるのは、広大な森。青々とした木が、元気良く生えている。


「ふあー…ここは?」

「お茶会会場さ。」


オイオイオイオイ答えになってないって!!帽子屋!!


「あっれれ〜?アリスだ!!」


うにゅ!!この声は…!!

 嫌な予感だ。とてつもなく嫌な予感だ。

そう、例えるなら思わぬ人と会って、話をしていたときに嫌いな人の声が背後から聞こえてきたようなッ・・・!!


「わ〜い!!来てくれたの?やったー!!」


 ぎゃ、ぎゃああああ!!予感的中!!

 その声のした方を見ると、ぱたぱたと兎耳をはためかせて、手をぶんぶんと天真爛漫な笑顔で振ってる少年が居た。


「さ、んがつ…兎さん!!」


 クソー。迂闊だった。お茶会でしかも帽子屋が居たら、三月兎にヤマネ、または眠りネズミっていうのが常識じゃないか…。うあー、嫌な奴と会っちゃったもんだ。

 折角さっきの双子みたいな変態に会わないように街中を通ってきたっていうのに…、巡り巡って会っちゃうなんてツイてない。


「えへへ。やっぱり挨拶行っといて良かったぁ!!」


 イヤイヤ良くないし!!っていうか私の睡眠時間を返せこの変態兎ィ!!


「お茶会に参加してくれるの?嬉しいなっ!」


 うあ、純粋な少年っぽい笑顔で言ったよコイツ…世の中のショタコンお姉さんたちはこれにヤラレルに違いない。しかし私は騙されないからなっ!!


「こっちがテーブルだよ。さぁ、席について。」


帽子屋…オマエ全然動じてないな。すげーよホント。でも、もしかしてこのドタバタに動じないのは慣れのせいなのか…。恐ろしいな、適応能力。


「あ、はい…。」


 とりあえず今は帽子屋さんに従っておこう。


 うっそうと茂った森の中に、テーブルが置いてあった。すぐ近くの高い木に、ツリーハウスが有って、そこからお湯とかを持って来てるみたい。


 ピンク色で、端っこに豪華なレースがついたテーブルクロスが掛かっている。テーブルは結構大きめ。十人位は余裕で座れるんじゃないかな。椅子はそんなに無いけど。


ひょいっと適当な位置に座る。すると正面の席に先客がいたことに初めて気が付いた。


 女の子…かな。長いこげ茶の前髪の間から、大きなブラウンの瞳がチラリと見える。

 瞳を縁取る睫毛が、目を伏せて本を読んでいることによって一層強調されている。可愛い。

 髪の毛は短くておかっぱ頭。先のほうは天然パーマなのかクルリと丸まっていた。


 多分この子は十歳くらいかな。あのSMトゥイードル兄弟と同じくらいに見える。

 肌は何故か病的な程白く、健康的な変態三月兎とは正反対かな。

 因みに私の肌もどちらかというと白い方。まぁ、外出るの嫌いで、スケッチ以外は家の中で絵描いてたからね。ちょっとヒキコモラー予備軍?まぁそのせいで運動神経が無いんだけど。


 着ている洋服は、女の子らしくスカート。ワンピースかな。涼しそう。

 髪と同じこげ茶色で、小さなかわいらしい薔薇の刺繍が入っている。それ以外の装飾品は特に無いなぁ。

 この国は基本住人はピラピラ服だったりコスプレっぽかったりするから、こんなシンプルデザインな服があったなんて少し驚きだ。


「…誰?」


その子が顔を上げて、私に尋ねた。ぬお、綺麗で可愛い…!!これはロリコン幼女趣味じゃない人もヤラレルんじゃないか?鼻血吹いてぶっ倒れるんじゃないか!?


「もう!! ヤマネったら決まってるじゃん!! アリスだよ!」


三月兎が横から口を挟んだ。ヤマネ、と呼ばれた少女はフワリと首を傾げた。


「アリス…よろしくね。」


そしてそれだけ言うと、また持っていた本を黙々と読み出す。無口なタイプかな。


「さあて!!それじゃあお茶会開始だね!!」


三月兎が嬉しそうに言って、「ティーパーティー!! ティーパーティー!!」と騒いでいる。変態じゃなかったら良い人なのになぁ。少し強引だけど。


帽子屋さんがコポコポとお茶を淹れた。良い香りが辺りに立ち上り、ティーカップに紅い液体が注がれる。


「さぁ、どうぞアリス。紅茶はストレート? ミルク? レモン?」

「えっと…レモンでお願いします。」


そう答えると帽子屋さんはそばに有ったガラスの壜を取り、優雅な手つきで紅茶の中に壜の中のレモン果汁を注ぐ。すげー、手品師みたいな手つき。分量とか全然測ってないけど、長年の勘ってヤツでおぎなえるんだろうか。

 そばにあった細身で銀色の、シャープな形のスプーンで、中をかき混ぜる。カチャカチャ、と可愛らしい音がした。


「はい。」


帽子屋さんがティーカップを置いてくれた。むむ、ティーカップも高級そうだな。


「有難う御座います。頂きます。」


そう言って、私は一口飲んでみた。


「……美味しい…。」


思わず呟いてしまった。


 程よい甘味の暖かい紅茶の味が、口の中に広がり、落ち着くような良い香りがする。

 レモンの酸っぱさは、紅茶のなかの砂糖の甘味と混ざって、爽やかな味になっていた。


 こんなにおいしいお茶は飲んだ事が無いので、かなり感動してしまった。


「それは良かった。紅茶の趣味も、人によって違うからね。口に合わないといわれてしまう事もある。」


 帽子屋さんが淡く微笑んで言った。わお、美形が微笑むとカッケーなおい。


「帽子屋ー!!僕のはミルクとハチミツたっぷりー!! お砂糖も!!」


 三月兎が叫んだ。…お主、かなりの甘党か。


 帽子屋さんは黙って頷くと、三月兎の分のお茶を淹れる。

 そして、ティーカップにドボドボっと砂糖投入。良いのか、そんなに入れちゃって!?それじゃ紅茶より砂糖が多いって!!

 次に蜂蜜を何処からとも無く取り出して、紅茶…紅茶入り砂糖の中に注ぐ。

黄金の色をした、蜂蜜がトロトロとカップに入っていく。うわお、今度も恐ろしい量入れてるよ。


「はい。どうぞ。」

「ありがと♪帽子屋。」


三月兎は帽子屋から、その最早紅茶じゃないモノの入ったティーカップを受け取ると、ためらいも無く飲み始める。…私なら、そんな分量の砂糖が入ってたら少しためらうぞ。


「ねえ、三月兎さん…、そんなに砂糖入れて大丈夫なんですか…?」


しかも蜂蜜も入ってるし。味とか栄養とか、大丈夫なのか?


「え?アリス。大丈夫だよ〜!凄く美味しい♪」


三月兎が満面の笑みで言った。…嘘だろ。


「・・・・・・糖分の取り過ぎ・・・、良くない。」


ヤマネが本を読みながら、ボソリと口を挟む。嗚呼。なんて良いツッコミ。


「だいじょぶ、だいじょぶ!! 僕は成長期なんだから! どれ位糖分あったって消費しちゃう。」


いやいや。私だって現在成長期真っ只中だが、ダメだと思うぞ。



 っていうか、このお茶会って…数少ない常識人が二人も居るんだなぁ…。


まず、帽子屋さん。積極的には突っ込まないけど、マトモかな。行動は紳士的だしね!!

 ヤマネさんも物凄く常識的。突っ込んでくれるし、無口だけど変な行動も起こさない。


 これで三月兎さえ普通なら、このお茶会、普通に良い所だと思うんだけど。


「ふー、ホントにこのお茶、美味しい…。」


 また呟てしまう。ほんとにそれぐらい美味しいんだってば!


「おやや〜?アリス、お茶会に来てるの?」


 その時、私の頭上から声が聞こえた。


「え?」


 今の声は、確か。


 …あの人の声じゃなかったか?


 試しにヒョイッと上を見上げると、やっぱり予想通りの人が居た。


「あわわ!チェシャ猫さん!!」


 今朝、私を部屋まで送ってくれた時と同じく、また彼は木の上でお馴染みのニヤニヤ笑いをしていた。


「…チェシャ猫?」


 その時、不機嫌そうなヤマネの声が聞こえた。

 「え?」と思ってヤマネを見ると、ヤマネは本から目を離し、とても不機嫌そうな顔をしていた。


「…どうしてココに来たの? このゲス。」


 上を見上げ、ヤマネはチェシャ猫を睨みつける。…怖い、怖いって、ヤマネさん!!声が低くなってる!!っていうかゲス呼ばわりかよ!!


「良いじゃん。俺はアリスが好きだからお茶会に来ただけ。まぁヤマネも好きだけどね?」


 うっわ、ヤマネさんの目つきが一段と鋭くなった。雰囲気がヤバイって。こういうのを火に油を注ぐっていうけど、ヤマネの怒り方は炎よりも絶対零度の氷っぽいよ。


「私はアンタなんか好きじゃない。ここに来なければ許してあげるけど、来たからには死ね。」


 怖いよ!! 怖いYO!! 背筋が凍ります。ブリザード!!?


「チェシャ猫さん…、あの、どうしてこんなに嫌われていらっしゃるのですか。」


 ブリザードの怒りが向けられているチェシャ猫本人は、全く持って気にして無いのだけれど、正直私の身は持ちそうに無い。というわけで質問してみた。


「さぁ?どうしてかなぁ。クスクス。」


 いや、マジでフザケンナって。怖いから。ヤマネさんが。


「アリスー、ヤマネがソイツを嫌ってるのは一回食われそうになったのと、読書と昼寝の邪魔を結構するからだよ〜。」


 三月兎が言った。嗚呼、変態兎、今はブリザードを和らげるオマエが天使に見えなくも無いよ!!

 っていうか何処から取り出したのか分からないけど、帽子屋さんと一緒にお茶菓子食べてる。私も貰おうっと。あ、このクッキーうめー。


・・・じゃなっくて。


「く、食われかけたって…!!」


 ちょ、絶句。いや、この国ってホント野性的。三月兎は「好き=襲う」だし、トゥイードル兄弟は、「ノーマル=調教」という超自己中論理で行動する。


「だって、アリス。ヤマネがとっても美味しそうだったんだもん。」


 チェシャ猫が絶句してる私に、口をへの字にして言う。いや、「美味しそう=食べる」も私はどうかと思うぞ!流石変態・・・ゲフンゲフン不思議の国…!!


「でもヤマネ、一回僕にも食われかけたけど、特に何も言わなかったよねー♪」


 三月兎…おまえもかー!!?


「だって…三月は仲良し…。それに食べるの意味…違う。」


 え?違う?どゆこと?


 視線でヤマネと三月兎に尋ねると、三月兎がにこっと元気良く笑って言った。


「僕はヤマネを…性的な意味で食べたのぉっ♪」


    ぶーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!


 私は紅茶を盛大に、噴いた。


「ちょっ、ま、襲ったんですか!!?」


ゲホゲホとむせ込みながら尋ねる。するとヤマネも三月兎も頷いた。


「大丈夫?」


 ゲホンゲホンと凄い勢いでむせてると、帽子屋さんが白いハンカチを差し出してくれた。うう、流石この国の常識人…涙が出そうなほど有り難い。


「三月兎に比べれば、俺の方がマシだと思うんだけどな〜。」


 チェシャ猫が木の上で、プラプラ尻尾を揺らしながら言った。

 …う〜ん…、貞操の危機と生命の危機、どっちがマシなのだ?


「…っていうか!!三月兎さん、誰彼構わず襲うのは良くないです!!」


咳が収まったので、早速ツッコミ。

 このケダモノめ!変態ィーーーーーーーッ!!


「え〜、そう?でもそれが僕の愛情表現だよ?」


 可愛らしく首を傾げて彼が言う。いや、それが愛情表現って時点でもう駄目だろ。


「じゃぁアリス、今から僕の愛情表現言いってみよー!!」


 え、それは、それはマサカ!?


「わっふる、わっふるぅ!!」


 ぎゃ、ぎゃいー!!?コイツ飛びかかって来やがった!!?




 どうなるんだ、私の貞操ーーーーーッ!!?

 さーて。次回に続きます。

アリスの貞操はどうなるのか、そして帽子屋の素顔が明らかに…!!?・・・なるかもしれません。



 それでは、コメント返信でっす☆


アイリス・ローズ様…いつも更新してるかチェックしてくれてるみたい。かなり嬉しいっす!!


 それでは、SM兄弟、チェシャ猫、帽子屋からのお言葉です!!どうぞ。


ディー「ねぇねぇ!!アイリスさんはS?」

ダム 「それとも!!アイリスさんはM?」


お前等…アイリス様に何てこと聞いてんだ…!!?;;


チェシャ「こんなのにコメントくれて有難う。それに俺のファンなんだって?嬉しいな。」


お前…こんなのっていうのは私に失礼だろ!!


帽子屋「お好みのお茶さえ言って貰えれば、リクエストにお答えして淹れて上げるよ。緑茶や抹茶もOKだからね?」


 うわーお、普通だね!!流石ミスター常識人!!でも次の話では、その化けの皮、剥がしてやるから!!ニヤリ。


 ではでは。さよならっす。

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