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第15話 SとMの狭間で

青い空、白い雲。最高の天気だね。


はい、只今私は、この国を探検中で御座います。


 え?お城で懲りなかったのか?うん。正直懲りたよ。けど白兎に、無理矢理送り出されたんだって。


「折角なんですから、不思議の国を探検して下さい!!色んな人に会えますよ!!」


とか言ってさ。


 ちなみに今は昼間。さっきお城探検で時間潰して、で、その後ご飯食べて、送り出された。腕時計によると、現在10時くらいかな。


 エプロンドレスに着替えて、メアリに作って貰ったお弁当を鞄に入れて、のんびりとお散歩。中々優雅でメルヘンだね。現代日本に居ると暇人っぽいけど。


 それにしても、ホントにのどか。流石絵本の中だよ。ここが不思議の国で、キチガイと変態ワールドだなんて信じられない。


 そんなことを考えながら、道を歩く。町の方へは行かず、野原の中にある道っぽいところ。なんていうのかなぁ、街道?

 クネクネ折れ曲がってるし、一本道。迷うことは無いけど、面白味も無い道かな。いいけど。


「あそこに居るのは、」

「もしかしてアリス?」


可愛らしい声が、二つ聞こえたのはその時。


「え?誰?」


思わずそう呟いて辺りを見回す。エプロンドレスがヒラヒラと動く。


「ここだよアリス!」

「ここだねアリス!」


そう聞こえた時に、道の周りの野原の、草の生い茂ったところから男の子が二人出て来た。





 それはもう見事なシンメトリー。






二人ともこげ茶色の髪で、くりくりと大きな目。灰色に近い緑…せいじ色っていったかな、そんな色の瞳。少し翡翠細工に似た色…なのかな。

 さらさらの髪は、日の光を受けて輝いている。肌は滑らかな白に近い肌色。蝋人形みたいに綺麗。多分十歳くらい?私よりも年下っぽく見える。


「こんにちは!!アリス」

「よろしくね!!アリス」


全ての動作がシンメトリー。溜息が出る程そっくりさん。見分ける術なんて無いんじゃない?


「僕等の名前はトゥイードル!!」


そう言うと二人は同時にお辞儀した。


「僕の名前はトゥイードル=ディー!」

「僕の名前はトゥイードル=ダム!」


そう言われても見分けがつかない。服だってお揃いだし。


「始めまして。宜しくお願い致します。」


一応私もお辞儀して、挨拶。相手は私の名前…っていうかここでの呼び名を知ってるみたいだし、名乗らなかった。自分からアリスと名乗るのも癪だ。


「ねぇねぇアリス!!遊ぼうよ!!」

「そうだよアリス!!遊ぼうよ!!」


そう言って二人は私のエプロンドレスの袖を引っ張ってきた。うう、二つの同じ顔に囲まれるとクラクラする。まぁいいか。他に用も無いし遊ぼう。


「はい。良いですよ。何をして遊ぶんですか?」


鬼ごっこ?かくれんぼ?因みに私は運動神経は皆無だ。まぁ走ることだけは得意かな。


「えっとね…。」


うわー、声がダブってる。でも同じ声がダブってるから、凄く変な感じ。

 で?何かね?


「SMごっこ!!」





・・・・・・・・・・・・。





    HA?




「…え、えす、えむごっこ…?」


ソレハ、ドンナ、遊ビデスカ?

 御免。凄く棒読み。だって予想外だし。想定外だし。


SMごっこって…どんな遊びよ。ソレ。最近のお子様は進んでるね…まぁかく言う私も義務教育終わってないし、1年前まで小学生だったしお子様かな。人のことは言えない。


「そう!! SMごっこ!!」

「アリスはS? M? どっち?」


 双子のトゥイードルめ。目を爛々と輝かせて聞いて来やがった。


「え…? 私は、その…どっちでも無いですよ!!」


 うん。私はサディストでもマゾヒストでも無い。普通、ノーマル。


「えー、そんなのダメ!!」

「ちゃんと答えて!!」


 頬を膨らませて双子は言う。知るか。私は私なりに誠意を持って答えたぞ!?


「どっちでも無いなら、調教しちゃうよ!?」

「そうだよ!! 調教だよ!?」


いやいやいや。この国ってホントどんな国なんだ!!


三月兎は初対面の人を襲うし…「好きだから♪」とか言ってたけど、『好き=襲う』という論理は野性的だろう。例え野兎だとしても!!

 そして『ノーマル=調教』というお前等の認識も激しく間違ってる!!ホントに!!


「調教…してもらいたいのォ?」

「いいのぉ? アリス…。」


手をワキワキと怪しく動かしながら、双子が両サイドから迫ってくる。それに対し、私はジリジリと下がるしか術が無い。


 仕方ない。これはもうアレの出番だ。アレの最初の活躍は今。アレの最初の犠牲者はお前等で決まりだぁ!!


「アリス!!覚悟っ!!」


双子が飛び掛って来た。今だ!!


「わわわ! い、いっけぇぇぇぇぇ!!」


手に持って、スイッチを!!




  バッチィッ!!





激しい音。放たれた閃光。


 それらは、双子へと、確実にダメージを与える。


「くぁ!!?」

「な、何!?」


双子は口々に呟いて地面にペタリと座り込む。その様子までそっくりな動きだ。


 お、これはもしかして、痺れちゃったのか!?フフフ、姉さんもたまには役に立つモノくれるね。


 私が使ったのは、電気スタンガン。黒いボディのそれは、手にすっぽり入る小ささながらも凄いアイテムだと思う。


「アリス…なんか痺れて動けない。」

「アリス…君ってばもしかして隠れS?」


滅相も御座いません。SMトゥイードルたちめ。


「それではサヨナラ。ご機嫌よう。」


そう言ってくるりと背中を向けた。双子はほっとこっと。


「うわ、アリスったら放置プレイ!?」

「ノーマルと言って油断させたとこを…やるね!アリス。」


 なんか誤解受けた…まぁ、ドンマイ!?


 







 この国は、やっぱり変態の国に違いない。


 改めて私は、その認識を深めるのであった。


 どんな双子にしようかなー…、と迷った末、こんな結果に…。ほんとに変態の国だよここ。


凄いね!!不思議の国!!


「ねぇねぇ作者はS?」

「それともM?」


ぎゃ、ぎゃああ!!SM兄弟!?

 ノーマルです!のーまる。…どちらかというとSだけど…。


「そうなの?」

「じゃぁ、お願い!!ご褒美頂戴!!」


何のご褒美だ!!この変態めー!!




 不思議の国の9割は、変態で出来てます。


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