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第11話 チェシャ猫と哀しみ

 長らくお待たせしてスイマセンでしたー…。

最近出掛けたりして忙しかったもので…。


 それでも閲覧してくれるヒトが居ることに感謝っす!!

「えっとですね、白兎さん。私のファーストキスを奪った変質者とはこのキングさんなんです。」


 は〜い。皆様にあらすじ、現状報告でっす☆


前回私は、家の本棚に有った本を開けてみたら、なんと変な人が実体化して出てきてしまったのです!

 それでその人が私のファーストキスを「この本から開放してくれたお礼だ」とか言って奪っていっちゃったのです。むきぃーっ!!

 そしてその後天使様が「あれは悪魔です。アナタはそれを開放してしまった。偶然とはいえ責任はあります。だからもう一度封印しに行きましょう!」と言ったのです!


 それで、今やっと私達は悪魔を見つけたところなんですけど…。



ハーイハイハイ。嘘報告オワリ。悪ふざけしました。スイマセン。


 あーあ。それにしても今の発想は私の姉さんが考えそうだ。嫌だなぁ。

私は夢想家ではあるけど妄想狂では無い…。なのに姉さんと同じような発想って…。はぁ。

 血は争えないってか。嫌だ。


 ああ、そこの読者さん。ウンザリしてこのウィンドウ閉じたりしないでくれ。

そうしたら作者が読者が居ないならやーめた、ってこの話放っぽり出すから。マジで。


 じゃあ読者さんのために特別に少ない文字数で説明してあげよう!!十五文字くらいな。


『自称キングにセクハラされました』


ピッタリ十五文字!!漢字は一文字としてカウントな。OK?





 「アリス。キングが部屋の前でうめいていましたが…。」


白兎がもう一回言った。


「えっと…、はい。彼が私のファーストキスを奪った変質者です。変態です。犯罪者です。」


私がそう言うと、白兎は「えっ」と言って、目を丸くした。


「キングってば…こんな年下のアリスにも手を出すだなんて…、そしてファーストキスまで奪うとは…。」

「犯罪ですよね。」


白兎に続いてメアリが続ける。その口振りだとあのキングとやらは前科アリなんだろうか。


「あのー、あの人が王様でこの国って大丈夫なんですか。」


ナチュラルな疑問を白兎にぶつけてみると、白兎は真顔で、


「ん?駄目なんじゃないですか?」


とか言った。おまえさぁ…。一応女王の側近っていう王様とも近いし、王国の中枢部の立場としてその言い方はどうよ。うん。


「まぁ、何はともあれキスされたぐらいで良かったですね。前のアリスは襲われ…。」


よし、白兎。そっから先は放送禁止ワードだ。

 っていうか十三歳だぞ私。そんな教育上よろしくない情報ばかり教え込むな。


「あ、私も襲われかけました!!みぞおちに拳を放ったけど!!」


メアリもかよ!!っていうかミゾオチ!?

 おしとやかかと思ったら、意外とたくましいんだ!?


「っていうか…、この人ってクイーンの夫ですよね?…そんなに色んな人に手を出していいんですか…?」


私の最もな質問に、二人は顔を見合わせた。


「え?キングがあんなのな時点でもう駄目駄目だし良いんじゃないですか?」


おいおいおいおいおい。なんかヒデー言われようですね。同情はしないけど。


「まぁ、何はともあれ襲われなくて良かったですね。その時はあまりにもムカツいて、キングを僕ったら半殺しにしちゃいましたからね。」

「半殺っ…!?」


白兎さん、アンタ何気に怒りっぽいですね。怖い。

 っていうか白兎なのに黒いよね!!発言が!!バイオレンスだったり、放送禁止用語だったり!!


「では、キングは適当に始末しておくので、後は好きにお過ごし下さいな。お城の外に出ても、中で休んでも構いませんので。」


はぁ。そうですか。っていうか始末って…。怖い。怖いよこの兎!!


「さぁ、メアリ。行きましょう。」

「はい。白兎様。」


そして、二人は部屋から出ていった。

ドアがバタリと閉まった。私は一人取り残された。


・・・・・・・・・・・・・・・。











あ〜暇だ。どうしようもなく暇だ。この状態。


とか言って、悶々と考えてたら変態キングが現れたのだっけ。ふー。

 なんか同じ展開でまた変態が現れたりしたらとてつもなく嫌だな。どうしよう。


 んー、変態はこの国に二人も居ないかな。キャラ被り起こすし。いや、でも何てったってこの国は不思議の国。変態が二人いても可笑しくは無い、よね。

 まったくこれだから不思議の国は……


「にゃー。」

「へ?」


私はいきなり聞こえてきたおかしな声に、間抜けな返事を返してしまった。


 窓の外から、聞こえてきたのだと思う。自信は無いけど。

身を乗り出して、窓から首を出す。ココは一階にある部屋だからそんなに怖くない。


 窓のすぐ外には大きさが様々な木がたくさんある。枝なんかも手を伸ばせば触れられる距離にあるのも数本ある。

 その木に、猫がいた。


 紫と、ピンク色の特徴的な色の縞模様。ワインレッドの綺麗な目。ニヤニヤ笑いを浮かべる三日月型の口元。


これは・・・。



 かの有名なチェシャ猫さんではござらんか!?



 私は、姉から渡された猫耳を急いで持って来て、目の前でニヤニヤしている猫と比べる。


うあ、よく見ると意外に似てるよ!この耳。くっそう、姉の妄想が正しいとか、なんかムカツクわ。


 そんな感じに猫と耳を見ていると、ニヤニヤとした口元を開けて猫が鳴いた。


「にゃー。」


・・・。


 かっ、可愛い!!


ヤバイ、マジで可愛いんですが。っていうか私、猫大好きっす。イヌよりネコ派です。

 そんなことを考えながらチェシャ猫を見ていると、チェシャ猫はなんと枝を伝って私のほうに歩いてきた。

 そして、ついには私の部屋に入って来た!!


「えっ?これって撫でても良いよってこと?フラグ?」


思わずそう言って、私はチェシャ猫に手を伸ばす。撫でる為に。


 ぽふっ。軽くて、柔らかい毛の感触。ふわふわと暖かい。


 こんな奇抜な毛色でもやっぱり猫だなぁ。可愛いよぅ。


チェシャ猫は特に嫌がる様子も無く、それ所か頭を私の手にスリスリと擦りつけてきた。可愛い。

そして、猫らしい軽い身のこなしでフワッと私のベッドに飛び乗る。


「あわわっ、待ってよう!」


人間なら許さないけど、猫ならベッドに飛び乗っても許す。これ常識!

 というわけでチェシャさんを追って、私もベッドに飛び乗った。豪華なベッドだからふわふわ。


「にゃー?」


チェシャ猫が鳴く。私はベッドの上に転がり、猫を抱く。ふわふわの毛とベッドが気持ち良い。


「ふあ…、眠い…。」


ふわふわとした二つの感触に、思わず欠伸が出る。チェシャ猫も大きく口を開けて、欠伸をしている。



眠い…。ちょっとだけ…、眠ろう…。

 思えばこの国に来てからまだ全然経ってない。一日も経ってないんだ…。


 それなのにおでこにキスされるわ、グリフォンに乗って空飛ぶわ、ファーストキス奪われるわ、メイドを呼んで変質者を追い出すわ…なんか大変な体験ばっかりだ。


疲れて、眠くなって当然だよね…。

 だって私は、日本人の普通の中学一年生、十三歳の女の子。

 アリス=リデルなんかじゃない。好奇心旺盛で、可愛い金髪の女の子じゃないよ。


ほんの少し捻くれてるだけ。ほんの少し、気紛れなだけ。ただそれだけの、普通の女の子・・・。




  おやすみ。














  ああ。何だろう。ふわふわとしたものの上に私は居るみたい。 

布団?ううん。もっとふわふわ。

 それに、何かに抱き着いてる?

あったかい。それに大きい。けど身長155cmの私より大きな抱き枕なんて、家にあったかしら。


 ぼんやりとまとまらない思考。それに、『別にまとまらなくっていーや。正直もっと寝ちゃっても良いし?』という気持ちもある。だから余計に思考が鈍ってるんじゃあないかなぁ。

 うつらうつらと考える。ふわふわと心地良い場所。何かを抱いてるって安心できる姿勢。


もう一眠りしようかなぁ…。


 「知らないオトコ抱き締めて楽しい?」


ボンヤリとした思考は、突然聞こえた楽しそうな男の人の声によって覚醒された。


「っえ!?」


いきなり聞こえた声に私は慌ててベッドに手をつき起き上がる。


 そうだ、私は不思議の国に来て、白兎にキスされグリフォンに乗って大空を舞い…以下略。

 で、少し疲れたからチェシャ猫さんと一緒に昼寝したんだ。


それなのに…なんなのだこの男はぁ!?あ、私鍵閉めるの忘れてたかも・・・!



 目の前に居るのは、紫色の髪をした15〜18歳くらいの男の人。

サラサラの髪は、長めで肩まである。結んでないけど鬱陶しくないのかな。因みに私は背中の中程まであるけど、頭の下の方で一つ縛りにしている。高い位置で結ぶのは難しいからね。

 

 瞳は綺麗なワインレッド。明るさのグラデーションが、さらにその瞳を綺麗に見せている。

洋服はシャツの上から上着を羽織っている。上着は黒で、シャツはピンクと紫のボーダー…ってえ!?

 それは、その色合いは!!?


「チェシャ…猫さん!?」


声が裏返った。うう、恥ずかしい。


 私がそう言うと、多分チェシャ猫さんな人はクスクスと楽しそうに笑った。少しムカつく。


「よく分かったねえ。アリス。俺はチェシャ猫。この国の住人の一人さ。」


そう言ってから、彼はニヤッと笑い、こう付け足した。


「アリス、君ってば大胆なんだね。見ず知らずのオトコが部屋に入ってベッドに乗っても何も言わないし、それどころか抱き締めて一緒に寝ちゃうだなんて。」


いやいや違うから!私は可愛らしい猫と一緒に寝ただけだから!!


 けど、そんな思考の波は口から出ることは無く、顔を下に向けて私は俯く。


「ふふ、アリスったら可愛いね。顔を真っ赤にしちゃって。…大胆かと思ったら意外と照れやすいんだ?」


えーっと、いい加減そういう内容の話はヤメレ。っていうか今顔真っ赤なのか自分。オエー。


「あの…すいませんでした…。私、可愛い猫さんと一緒に寝たつもりなんですけど…。」


一応謝罪。ちょっぴり嫌味もこもってるけど。この嫌味に気づくと良いなあ。


 私の謝罪の言葉を聞くと、チェシャ猫さんはクスクスと楽しそうに笑った。

あ、よく見るとピンクと紫の耳が、髪の間から見え隠れしてる。流石猫。


「謝る必要は特に無いけどね。…俺はアリスの事が好きなワケだし。」


ああ、アンタもよく見ると美形ですね。平凡なのは私だけですか、ああそうですか。ムカツク。


「っていうかこの国の住人は全員アリスのことが大好きだよ、きっと。」


なんでそういう話になるんだ。

 それに私はアリスなんかじゃ無いのに、私の名前は有素ゆうもとるりなのに?


 そう考えると、急に哀しくなった。急に家に帰りたい気がしてきた。どうしてかな…。

 そっか、無くしてから、やっと人はその大切さを知るんだっけ。誰かがそんな事言ってたね。


「アリス?どうしたの?」


 ピンクと紫色の猫が問う。どうしたのって? 知らないよ、そんなこと。


 何も言わないで。気が付きたく無い。気が付かなければ、痛みは痛みじゃない。哀しみは哀しみとして成立しない。


「泣いちゃ駄目だよ。君の事がみんな大好きなんだから。」


 私、泣いてるのかな。私、悲しいのかな?


 大好きなんて言わないで。愛されることは幸せばかりじゃあ無い。


 愛されることは、縛られることと同じでも有るのに。

 愛されているのは呪縛でも有るのに。



「ひくっ…、あぁっ、ぁっ…。」


 喉の奥から漏れる声。怖い、怖い、何が?分からない。


 失うこと?何も分からないこと?


 何を失うの?




 ああ―――――、もう何も分からなくなっちゃった。



 うっわああああああ・・・。


暗い、暗いよ。コレ。


 っていうかコメントくれたアイリス・ローズさん!!

お待たせ致しました!!やっとチェシャさん出ましたよ!!遅ッ!!


 ではでは。

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