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第10話 メイドさんと白兎。

 ああ…、私のファーストキス…。


 哀れ、不思議の国へ迷い込んでしまった私は、自称キングの派手派手オトコにファーストキスを華麗に奪われました。不幸な私…。


 そして、現在。

私の唇を奪った張本人は、私の怒りの蹴りを股間に食らって悶絶しております。


「いでえええええ!!股間はらめえええええええ!!」


  うわ。言ってる事がキモ!!そしてキショッ!!

 

 どうしよう。コイツは絶対追い出したほうが良い。そうしないと貰ったばかりのお姫様さながらの綺麗で可愛いこの部屋が穢れる。汚染される。そんな気がする。


 ちょいっとつまんで部屋の外にポイッとしてしまいたい。ポイ捨てしたい。

そう思うけど、私は怪力じゃない。むしろ非力。成人男性をポイ捨てなんて出来ない。


 あ、そうだ。こんな時こそ!!


「誰か来てーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」


そう叫び、私は金色のベルを思いっきり鳴らした。

 普通なら可愛い涼しげな音がするんだろうけど、思いっきり鳴らしている今は物凄く荒荒しい音がした。

「誰かーー!!変質者が、変態がいますゥゥゥゥゥゥゥッ!!捕まえてぇぇぇぇ!!」


死に物狂いでガラガラと振り回して、ベルを鳴らしていたら、ドアがバンッと開き、誰かが部屋に入ってきた。


「だっ、大丈夫ですか!?アリス様!!」


「助けて下さい!!この人変態です!!シメておいたんで適当にしょっ引いちゃってくださーい!!」


部屋に入って来たのは、16歳くらい? の女の子。


紺色の服に、白という色合わせのメイド服着用中。

 髪の毛はショートで金髪。目は明るい感じの青色。


 ん?このコ、髪とか目の色が不思議の国のアリスの、主人公アリスに似ているような…?


「あの…、これってキング様では…?」


メイドの格好の女のコは、床で股間を押さえながら転げ回ってるアワレな物体を見詰めていった。


「あ、ハイ。自称キングさんです。私のファーストキッスを奪いました。軽く犯罪です。」


「自称じゃねーって!!このアリス!!年下の癖に毒舌ですぐ手が出るし!!暴力反対ーっ!!」


私はそう言った。キングの叫びは無視だ。私はセクハラ反対だぞ!


 メイドさんは、しばらく目を点にして、転げ回る自称王様を見詰めた。

それから、困ったようにオズオズと私に言う。


「あのー…、コレをどうしろと?」


私は少し考えてから言う。


「あ、えっと…。私一人じゃ部屋の外に出せないので、貴女も手伝ってくれませんか?」


二人なら、女性でもなんとかなるよね。この人、年上みたいだし。


「え…あ…でも。キング様にそんなことして…。」


ああ、うんヤバイかも。でもいいや。

 そんなことより今は自分の部屋からこの変態犯罪者を出すほうが大切だ。重要事項だ。

後のことより今が大切!というわけで。


「はい。一切の責任は私が持ちます。だからお願いします。」


正直もうこの変態といるのは勘弁だ。もう嫌だ。


 そう思って、すがるような目で見ると、メイドさんはしばらく迷っていたけど、やがて決心したようにキッと眉を吊り上げ私を見据えて言った。


「解りました…。やります。」


イヤッホー!!やったー!!

 ビバビバ!メイドさん!!


 私は喜びの勢いで、メイドさんを称える『メイド賛歌』を歌いそうになったけど、すんでのところで止まって、言った。


「有難う御座います!!」



 そうして、私は無事に変態を部屋から追放した。ミッションコンプリート!!任務完了ォ!!





「ふぃー、本当に有難う御座いました。良かった良かった。変態が部屋から出ていって。」


私がシッカリと部屋の鍵を閉め、ついでにメイドさんを部屋の中に招き入れてから言った。


「いえ。アリス様のためなら。…そうだ。私の名前はメアリ=アンと申します。」


メイドさん――、メアリが言った。


「メアリ=アン…ですね。はい。私は有素るり。現在はアリス=リデルと皆様から呼ばれてますけど…。」


そっか。メアリ=アン。どうりでアリスに似ている筈だ。


 彼女は確か、不思議の国のアリスで、白兎に仕えている使用人の役だった。


 役、といっても、実際は名前しか出てこない超レアキャラ。

確か白兎が、アリスのことを使用人のメアリと間違えるんだ。


「そうですか…、どうお呼びしたら宜しいでしょうか?」


「お好きなようにお呼び下さい。メアリさん。」


私は言った。っていうか流石働いてる人だ。謙虚な態度。

 この国に来てから全然見かけない態度だ。偉いなぁ。


「そんなさん付けだなんて…アリスともあろうお方が、使用人ごときにお使いになられるには勿体無いですわ。…ルリ様、とお呼びしても宜しいでしょうか。」


うっあ。なんか物凄く丁寧なんだけど。すげーこの人。

 っていうか、変態から私を救い出してくれたんだから、本当は様付けでもいい気がするけどね。


「はい。そう呼んで下さい。」


 そう言うと、彼女は恥ずかしそうな顔で、「はい。」と頷いた。

 あー、控えめな感じでおしとやか。憧れるなぁ。



 そうして、私たちが和やか〜な空気の中で話し合っていると、ドアがバンバンとあらあらしくノックされた。


「アリス!? さっきベルが物ッ凄い勢いで鳴らされていましたけどどうしました!?」


 誰だろう。あ、この声は白兎か。そういえばさっき恐ろしい勢いで鳴らしたもんね。聞こえてたか。

私は、鍵を解除して、ドアを開ける。


「白兎さん。なんか部屋に変質者が来て、私のファーストキスを奪っていきましたけど、もう彼女と一緒に退治したので大丈夫です。気分的には全く大丈夫じゃないけど。」


そう言うと、彼は真っ白な耳を垂らしてほっと息をつき、「何事も無くて良かった…。」と言った。

 私のファーストキスが奪われたのは何事も無かったことに分類されるのか。チクショー。


「それはそうと彼女とは…、ああ、メアリでしたか。」

「あれ、お知り合いなんですか。二人とも。」


白兎がメアリのことを知っているような口振りで言った。

 メアリは、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俯いている。どうしたんだろ?


「ええ。元は彼女、僕専属のメイドですからね。よく身の回りの世話をして貰いました。」


 へえ。…って、


「ええ!?ししし、しし、白兎さんって、そんなお金持ちだったんですかぁ!?


 予想外の展開キタコレ!!?だってメイドさんとか雇ってるって……!!ああ、でもそういえば、お城の中も慣れた感じに歩き回ってたし、クイーンとも緊張しながらも意外と普通に話してたし!?


「へ?ああ、はい。ほら、何しろ女王様の側近ですからね。」


ぶべええええ!?側近!?SOKKIN!?まじかよ!


 っていうかこんな素っ頓狂な反応ばっかりしてるからメアリさんみたいにおしとやかになれないのか。自分よ。


 そういえば自己紹介しあったときに、『ハートの女王の城に仕えている』とか言ってたな。だけどまさか側近だとは…。地位高くね?


「あら、知らなかったのですか、ルリ様。」


メアリ…。知らんよ!だからこんなに驚いてるんだって…。


「メアリ、アリスの危機に駆けるつけてくれて有難う。僕からもお礼を言いますよ。」


白兎がニコリ、といつもの微笑を浮かべて、メアリに言った。


「ええ…、はい。彼女の危機に使用人が駆けつけるのは当然のこと、ですから……。」


メアリが嬉しそうに、けど少し哀しそうに言った。なんか見てて切なくなるような表情かお

 どうしたんだろう…?




「ところでアリス。」


うん?白兎さん。何かね?


「ドアの前でキングがうめいてましたが…。何があったか知ってます?」



 あ、忘れてた☆




はい。グダグダです。


 とりあえず一人ずつ出していこうかな…。


さ〜て、次は誰を出しましょうか?

 そして次はギャグか、シリアスか!?


こうご期待!!

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