創製……叫べ!生産しょーく!!
キャラブレしてるかも
例えば、目の前に兵器のボタンがあったとしよう。そのボタンを押すとバイオ兵器、そうだなゾンビになるウィルスが広まってしまうとしたら、そのボタンを押すかい?押さないかい?まあ、どちらを選択しようが問題にはならない。押すか、押さないかを選んだ所で押されるか、押されないかには関係しない、選んだだけなんだから。さらに言ってしまえば、押される事は決まっていて質問した意味なんて実は無かったりする。なら質問するなよって?その意見は最もだな、だかこういった遊びにはお約束、ある意味で茶番は必要だろう?段取りが悪いって?どうやら話の潤滑油にはならなかったようだ。
では、結果から言おう。いま現在、ハジメシティではゾンビが彷徨いていたりする。何があったか?例え話で言ったように、ゾンビになるボタンはすでに押されていた訳だ。存在しない敵を倒すためにギルドに説明を聞きに行き、ハジメシティを巡回する。まさか自分たちが敵になるだなんて考えていなかったのだろう、プレイヤー同士で戦闘が其処彼処で起きている。敵になってしまったプレイヤーは倒される理由が思いつかないから迎撃し、攻撃したプレイヤーにはゾンビにしか見えないから、迷わず倒しに行く。しばらくするとどちらのプレイヤーもゾンビになるので、そこで異変に気付くわけだ。自分たちが倒すべき敵になっていることに。
「そこまでいけば勇者のパート、演目で一番の見せ場だよね。颯爽と現れた勇者は自分たちが住む首都を守るべく、現れたゾンビたちを斬り捨てては次へ、斬り捨てては次へと活躍する。」
「おお!見よ、勇者のあの姿を!私たちが誇らしく思う勇者を!ってね。」
「勇者はその身に宿す光で闇を照らし、絶望は去ったと皆に告げる。そうして、一夜の騒動は終わりを迎え、ハジメシティには平穏が戻った。めでたし、めでたし。……な訳ないよねぇ。プレイヤーからすれば何一つめでたくはない訳だし、終わってみれば、NPCによるプレイヤーの粛清になってるんだよね。よほどの事をやらかした人が始まりとはいえ、ここまで大きくするのはやり過ぎたかな?」
少年は、それはもう楽しそうににやけていた。口ではやり過ぎとは言っているが、反省している様には見えないので言葉だけでも反省しているつもりなのだろう。そもそもギルドで受けた依頼なので、文句の言いようがない。NPCつまりゲーム側が発注したものなのでココには文句を言われる筋合いがないのだ。
「まあ、今回だけかな?これだけ好き勝手出来たのは。」
今回の事の始まりは、NPCをただの舞台装置だと決めつけた事が原因である。ゲームという舞台を盛りあげる役割があることは事実だが、装置ではなく役者であること。その違いに気付かなかった事で騒ぎが起きたのだ。NPCといえば、"ここは〇〇村だよ"、などといった僅かな台詞しか与えられない舞台装置と言えてしまうのだが、台詞の種類が増えていき、対応パターンが増えていくと、ある境を越えた瞬間からNPCはプレイヤーと区別がつかなくなる。身近に似たような事が起きた、経験したという人もいるだろう。例えば、携帯などにある音声検索。例えば、どこぞにあるロボット。AIなどと言われているものもあるが、極端な話、全てはパターンの集合体と言い切れる。人は?心は?と言われれば、機械的にはパターンの集合体、生物としては認めたくはないが。ようは、そこまで行き着いてしまったNPCはプレイヤーとの違いなんてほとんどないために、"ゲームだから"出来ていた行動を変えなければいけない、となるわけで。現実的な行動を心がけてください、と教会の懺悔部屋でピーチクパーチクお説教を頂戴することになる。正しい行動をしろと言うわけではない、そんな事を言われたからといって"はい、そうですね"、なんて返すいい子ちゃんばかりでは詰まらないだろう。無論、自己責任で悪役、ヒールプレイもできる、"見つからなければ、イカサマじゃないし、犯罪でもない"。ただそれさえ気をつけていればいい話なのだから。
「ということでさ、"ボク"は悪くない、落ち度もない。教会送りになる方が悪いし、小細工一つでアンデッドになる方に落ち度がある。罠っていうのは、仕掛けた側は油断なんてしちゃいけないんだ。だからこそ、引っかかった側が悪いのさ、残念なことだけど。ギルドの入り口に罠はない、なんて思い込みは油断している証拠、現実的に考えれば、"ゲームだから"必ず使う施設には殺意が高い罠なんて常識なのにね。PKするならこれくらいじゃないと。罠を仕掛けて及第点、同士討ちして合格点、勇者使って優秀点、責任を国になすりつけて文句なしの百点満点。アンデッド素材も手に入ってうっはうは。……でも、油断はしちゃいけない。良いことばっかりなわけないよね。」