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生産職って戦うの?まあね。  作者: ぺんぎん村長
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生産職ですから。

MMO、またはオンラインゲーム。個人で楽しむ事よりも、多人数で楽しむ事をテーマにしているジャンルで、十人十色と言うように様々なプレイヤーがいる。様々と言っても、ほぼ戦闘職と生産職に大別されてしまうのだが。それはそれとして、ここに生産職になろうとしているプレイヤーがいる。


「全く、勘弁してほしいな。ちょっと、手癖が悪いだけなのに。」


彼の名前はココ。ついさっき大量PKを成功させた生産職見習いである。




さて、これをどうしようか。少年は悩んでいた。ゲームのβテスターを募集している広告を見て、なんとなく応募してみたのだが、なんと、ゲーム筐体とソフトIDが纏めて家に送られて来たのだ。少年はゲームを趣味にしていない、それどころか流行なんて物すら無頓着なのだ。所謂、情報弱者という部類になる。そんな少年が、送られて来たゲームを素直に楽しむかと思えば。


「コントローラっていうのがあるはずなんだけど、どれかな?」


それどころではなく、始める前から詰んでいた。


「んー、これ…かな?」


少年が手に取ったのは、ゴーグルのようなものがプリントされた箱。


"Welcome to the dream."


それが、ゲーム筐体の名前として印刷されており、安直ではあるが、少年にとってはわかりやすかった。


「説明書とかあるのかな、わかりやすいと良いんだけど…っとあった。」


少年が見つけた説明書によると、薄着になり、ゴーグル本体の電源入れる。自分の腰位の高さに置き、ゴーグルの正面から3メートル位の位置で体型の測定を受ける事と書いてある。


「身体測定みたいなものだね。あー、でも体型がそのままアバターになるんだよね、多分。ちょっと恥ずかしいかな。」


少年の予想通り、自分の体型がアバターの基本となるが、測定後に体型を変える事が出来る。ただし、変える事が出来ても、測定結果から離れるほど、人間離れした見た目になる。顔の動きが歪んでいたり、関節が無い部分が動いていたりと違和感が激しいのだ。


「よし、あとは面倒だし中でやろうっと。」


少年は、大きなパーカーを羽織ると、自室の戸締りなどをしっかり確認したあと、ソファに寝転んでゲームを始めた。



"ドリーム・スタート"



電脳世界を始めて体験する人は、細部まで作り込まれた景観に大なり小なり感動するのだが、少年は、感動した、なんて事はなかった。そんな事よりも、体に違和感が無いかを確認することに忙しかったのである。


「さてと、ナビゲーターっていうのを使えば良いんだよね。」


ナビゲーター。名が体を表すように、細かな設定が面倒な人がよく利用する簡易AIである。


「…設定はどうしますか?」

「ゲームと検索以外いらないや。困ったらなんとかすれば良いよね。」

「…わかりました。…ゲームを始めますか?」

「んー、うん、始めて。」

「…では、始めます。」


設定を終わらせると、ナビと少年を残して、景観は、ファンタジーな雰囲気を醸し出している広場に変わった。


「…ナビを続けます。ゲーム・ファンタジアのβテスターの当選、おめでとうございます。細かい挨拶は抜きにして、ゲームアバターの設定に移っていきます。」

「うん、よろしくね。」

「…はい、宜しくお願いします。ファンタジアでは、ゲームアバターに、種族、職業、スキル、称号といった項目はありますが、力、耐久、速さなどゲームでお馴染みの項目はありません。」


ゲームアバターは種族とスキルで、ステータスが決まり、それ以外では基本的に変動しない。なぜなら、ファンタジアはゲームの自由度を上げるために、余計な項目を削ってしまったからだ。

例えば、力100と耐久50でダメージ計算をするとしよう。単純計算だと50のダメージとなるが、それではただ当てるだけの単純な作業になってしまう。叩きつけても、掠らせても、同じ結果になってしまうのだ。

つまり、違う結果になるように、現実に近付きつつゲーム要素を残したわけだ。何もかもを現実と同じにすると、ゲームである必要は無いため、自由度を上げると言っても限界は存在するのだが。


「…まずは、種族から決めていきましょう。凡人すぎる人間、学者もやしのエルフ、野生児番長のビースト、頑固脳筋のドワーフ、虫唾ダッシュの妖精、悪意の塊ランダム。どれを選びますか?」

「じゃあ、ランダムにしようかな。」

「…では、次にスキルを5つ選んでください。」


少年は、折角だしお洒落したいな、でもゲームだし。と考えつつ裁縫関係のスキルを探していく。


「…スキル構成は、製糸、操糸、鋼糸、罠作成、幻術。この構成で決定します。」

「うん、お願いね。ゲームが始まったら新しいスキルは取れるでしょ?」

「…はい、ゲーム内での行動でスキルは取得出来ます。」

「じゃあ、大丈夫だね。」

「…はい、最後にアバターネームを決めてください。」


ふむ、と一息入れつつ、腕を組んで考えていく少年。呼ばれても気づける、わかりやすい名前を。


「んー、ココって名前で。」

「…アバターネーム、ココで登録します。」

「お願いしまーす。あ、あと何か注意点って無い?簡潔に。」

「…はい、簡潔にまとめますと、チュートリアルはありません。職業にも就いていません。称号は勝手に決まります。攻略情報は一部、あてになりません。ファンタジアは自由度の高いゲームです。王道、正道、邪道、外道、など自由度が高いゲームです。」

「………ふーん、ありがとね。」

「…はい、どういたしまして。ゲーム開始までは、ゲーム内のこの広場から移動できません、ご注意を。」



広場に光の円柱が立ち上がり、中からココが現れた。彼は、辺りを見渡し誰もいない事を確認すると、すぐさま行動する。


「まずは、ストレージ。…鋼糸、これかな。」


ココは、広場から四方に広がる通路に罠を仕掛け始めた。まず通路の端から端へ、高さを調節しながら鋼糸を張りかけていく。丁度、首、胸、腹、腰、膝に近い高さに。仕掛けたら、接触面が細くなる様に強く意識して、鋼糸を製糸スキル、操糸スキル、罠作成スキルで加工していく。終わった後に、幻術を使い、細く見えにくくなった鋼糸を、さらに見えにくくする。


「……ん、これで良いかな。触らないと気づかない位には見えないし。大丈夫でしょ、多分。」


彼は、一通り確認をすると、自分のステータスやストレージを見始めた。


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